「まーてまてまてまてまてぇぇ!!話を聞け話を!おわっぷッ!?あちぃ!!バカアチィ!!」
現在俺は、竹林を全力疾走で駆け抜けております。理由は至極単純。
妹紅「人がっ…!下手に出てれば調子に乗りやがって!!大人しくこんがり焼き上がりやがれ!!!」
「おわっち!!あっちっち!!バーロー!別に調子乗ってねぇわ!!お前が勝手にカムチャッカファイヤしただけだろうが!?お前の思考はチャッカマンか!?」
妹紅「なぁぁぁんだとてめぇぇ!?もう手加減はいらねぇぇよなぁぁぁ!?」
「最初からしてなかっただろっってっっっぶねぇぇぇ!!!」
額スレスレを掠める赤い炎。というか、炎が赤いからまだどうにか暑さに耐えられてはいるが、これがもし青白い炎だったらやばかった。最悪熱いだけじゃ済まされねぇ。
そもそも俺は最初に話し合いをしたいと言ったはずだが、めちゃくちゃ無視してぶっぱなしてくる。
「だぁぁいたいおまえなぁぁっ!?俺はお前の名前を呼んだだけだろうがァ!?」
妹紅「うっさい!うっせぇーわハゲ!あたしはあたしが認めた奴にしか名を許してねぇーんだよ!ましてや妖怪になったとか言う減らず口を言う人間如きに教えるわけねぇぇだろぉがァ!!」
「誰がハゲだ!?ってのわぁぁっっ!?」
右手を俺の方へと伸ばすと、そこから伸びるように炎の柱が俺へと飛翔してくる。すぐ様真横に急旋回するように飛び込み炎をやり過ごす。
「ちっ…永琳先生の言う通り、認めさせなきゃならない訳…か。」チラ
妹紅「ちっっ。口先だけで妖怪というほどだけはあるかっ…それに…」ギリッ
妹紅『変な奴が幻想郷に来たぁ?』
てゐ『そーそー♪たまたま博麗神社の近くまで行く用事があってね、イタズラしようと潜んでたんだけどね?なーんとびっくり!その迷い人、魔理沙の攻撃を交わしてたの!』
妹紅『……。…それは本当なんだろうな?』
てゐ『私はイタズラは良くするけど、嘘はつかないよ!?結構ボロボロだったけどね。霊夢が助けに来なきゃ、きっと死んでたんじゃないかな?』
妹紅(問題はそこじゃねぇーだろうが…。あの初見予測不可能な魔理沙の攻撃を見てから避ける動体視力…最悪心を読めるさとりと同格がそれ以上か…。何個か被弾するあたり、考えと体があってねぇーんだ。…だが、魔理沙に1度瀕死まで持ってかれてる…。それならば………)
てゐ『…?妹紅?』
妹紅『…。警戒はしとけよ。』
てゐ『何言ってるのさ♪相手は人間で』
妹紅「それでも…だっ。絶対に…警戒しておけ。」
妹紅「まさかっ…本人から来てくれるとは…思わないさ。」
「何をブツブツ言ってるんっっだぁぁっ!?」ズドンッッ
ひとりげに呟く妹紅の横っ面を叩き落とすように飛びかかる。
およそ元の人間のスペックじゃ到底出しえない跳躍力。内心相当ビビってはいるが…命には変えられない。それに…
「こちとら防戦一方なんだよ!高台で優雅にポンポン火の玉飛びしやがって!当たってはねぇーが熱いんだぞ!!?」
妹紅「っ!?っっ!」
「あっ!?だァァっクソっ!」
殴るその刹那、ハッと驚いた表情をするとくるりと全身を翻し、鉄棒で言うコウモリから降り立つ形にするように俺の攻撃を避ける。そんな俺はまだコントロールもままならない状態での全力のぶん殴り。スカッただけで殴りに使用した右手側がバキバキと悲鳴をあげる。
「っっっっ!!かはっ!…はぁっ…はぁっ。クソっ…力の調整は要相談だな…こんちくしょうが…」プラ-ンッ
使いモノにならなくなった右手を押さえつつ、地上に降りた妹紅。そんな妹紅と視線を合わせる。
妹紅(ただの人間…?なんの冗談だてゐ…。こいつぁ…)
「やぁぁっと同じ土俵だ…。ぽんぽん火の玉出されるのは変わらんが…高台からじゃ訳が違う。」
妹紅(こいつは…立派に妖怪だよっ…!)ニヤ
「さぁ!認めてもらおうかっ!話し合いをする為に!」
霊夢「別に私はいいわよ…てか引っ張んないでよ。シワが増えるじゃない」
永琳「呑気に話してる場合じゃないのよ!?さっきから聞こえてるでしょ!?」
慌てたようにそう言うヤブ医者にハイハイと流しながら引っ張られる。
説得も何も、私は彼をこれっぽっちも心配しちゃいないし眼中にもない。それにこれぐらいで死ぬようなら妖怪になるとか大層戯れた事を言う資格すらない。てか私が直々に屠ってる。
このヤブ医者も分かってるはずなのだ。私が目の前の異変を放置してるって事。私は害のない異変や興味を惹かない異変には自分から首を突っ込まない。だって面倒臭いでしょう?ボランティアじゃないのよ。異変解決ってのは。
永琳「っっ!もこっっ……うっっ……?」
妹紅「あぁっ!?って永琳!?っっ!あぶねぇぇ!」
永琳「ぬぁぁっ!?」
霊夢「…………」
なんという茶番でしょうか。全身に所々土が付着した妹紅が永琳を庇うように飛んでいく。その刹那、ズドンっっと砂煙を上げ、竹が生えた土に少量のクレーターを作る……
「っっっだぁぁぁぁっ!!クソッッ!力の調整がァァァ!!」
無様にその辺で痛い痛いとけんけん足で宣う阿呆が1人。
妹紅「霊夢っ!霊夢かっ!?悪いが力を貸してくれよ!!私1人じゃあいつは!」
霊夢「はぁっ…?……はぁ…たく…面倒臭いわね…」
相当真剣な顔でそんな至極めんどくさい事を言われる。こいつを止める?協力?それ以前に一言かければいい話でしょうが…
霊夢「…へい、そこの自称妖怪」
「はーい♪自称妖怪さんですよー♪…んあ?霊夢じゃねぇか。なんだ?暇だからきたってか?」
…こいつ。口調が相当変わってるわね。アレね。戦闘スイッチが入ると口調が変わるって言うタイプ。鬼共と同じアレね。
霊夢「暇でも好き好んであんたみたいなあほの相手なんてしないわよ。」
「だろうな。霊夢は優しい巫女だが、心底どうでもいい事には首を突っ込まないもんな。魔理沙とのやり取りで大体わかるよ」
霊夢「優しい巫女…は、素直に受け取っておくわよ。」
「おう。んじゃなんでここに来たんだ?」
そうして、私は面倒くさそうにここにいる原因と、その原因が白目剥いて気絶してる事をアホに伝える。
「……。あはは…少しやりすぎた…」
霊夢「やりすぎたって…あんたねぇ?力の調節がままならないからって、これは少しやりすぎよ。」
周りには、妹紅が飛ばしたであろう火の玉。あらぬ方向の竹やぶにぶち当たってるってことから推測して、こいつが何かしらの方法で弾いたものね…
霊夢「…妖怪になると言うだけの度胸はあるわね。けっこう化け物じみてる」
「おっ!?マジでマジで!?こりゃ俺もようやく妖怪さんに」
霊夢「何喜んでるのよ…。てかただ単に力はって話よ。」
「ショボン」
全く…たかが力で圧倒した所で、妹紅は傷つけまいとスペルカードも弾幕すら使ってないのだから、当然の結果でしょうね。いえ、彼女の事だから、人間の鷹を括ってたのでしょうね。そして見事に力に押された…と。
霊夢「妹紅、素直にスペルカードを使ってれば勝ってたのにね。そんなにあの阿呆に使うのが嫌だったのかしら?」
「霊夢お前…俺の事めちゃくちゃアホアホ言うやん…」
妹紅「……人間相手に使っちまったら……私は…」
霊夢「ふんっ。爪が甘かったわね。確かにアホでも人間よ。アホでもね」
「なぜ二回言った…」
霊夢「…でもね、彼も端くれなりにも妖怪よ。妖怪に手加減をする…それで勝てるとでも?」
妹紅「…。~~~ダァァァァッッ!クソっっ!私の負けだよ負け!!肉なり焼くなり好きにしやがれってんだ!!」
霊夢「……らしいけど?」
「へ?いや俺、ただ話し合いしたいだけなんだけど」
妹紅「あぁ…?」
「いやいや、そんな困った反応されても、最初から言ってたやん。藤原 妹紅って奴と話し合いがしたい。あわよくば仲良くなりたいってさ」
妹紅「んな事1度も…」
「そりゃ、有無も言わさず攻撃してきたのはお前からだからな。んじゃ改めて…コホンっ。」
そう言って、膝まづいてる妹紅に手を差し伸べた彼は
「俺と話し合いをしよう。んで、ウマが合うなら仲良くしようぜ?
」
妹紅「ポカ-ン
……ハッ!馬鹿か?お前…」
「もう馬鹿でもアホでもいいから……ほれ。」
妹紅「……あんた、名前は?」
「呼びやすいように、拓斗。俺の下の名前で通してる。」
妹紅「んじゃ、私のことも妹紅でいいぜ。拓斗っ!」ガシッッ
こうして、とてもとても長い茶番をしていたのでした…
霊夢「私帰っていい?」
「えっ?なn」
妹紅「おうっ!帰れ帰れ~♪私は拓斗と話してるから♪なっ!!」
「お、おう…?」
霊夢「……。永琳、あんた茶ぐらい出しなさいよ。」
妹紅「帰んねぇーのかよ…」
霊夢「……。一応、彼の監視役だもの。」チラ
「?……そういえばそうだったな」ニコ
霊夢「っ…。ふんっ。ほらさっさと起きなさい」ガシッ
永琳「あぐっ!…んもう…ヤブ医者扱いが悪いんだから…」
(だったらべつにいいんじゃね…?)