っていってもこの辺原作とまるで違いますけどねw
タイトルから想像できると思いますが今回どうぞ―
そして、その日の夜。寝静まったころ、一人デュノアは起きだした。
時刻は午前2時。消灯時間も過ぎ、普通なら寝ていてもおかしくない時間だ。そんな時間にデュノアは起きだした。その手の伸びる先は寝ている万の枕元。そこにある眼鏡に手を伸ばした。
「僕も本来はこんなことしたくないんだけど・・・。ごめんね」
そしてとん、と眼鏡をたたく。だが、本人が予想していた事象は起きなかった。
「あれ・・・?なんで・・・?」
さらに何回もたたく。が、それでもおこしたい事象は一向に起きなかった。
そんなことをしている腹に、下から掌底が叩き込まれた。不意打ちに息が詰まる。生まれた隙をつかれ、後ろから胴を抱え込まれる形で両腕を拘束され、首筋には冷たい感触があった。
「あと一週間くらいは隠れているかと思ったんだが・・・まあ、さっさと行動してくれれば楽っちゃ楽なんだがな」
そういうのは拘束している万だった。
「・・・いつから僕を疑ってたの?」
「最初からだ。代表候補生になったにしては時間が少なすぎるからな。ついでに言うと、あれはただの伊達眼鏡だ。じゃ、本題に入るか」
そこでいったん言葉を切る。その瞬間、彼の纏う雰囲気が変わる。今までは冷静だっただけだが、それにかすかな別の感覚が加わる。それが殺気であることにデュノアは気づかず、ただピリピリするような感情に驚いていた。
「そこで俺のセイリュウに何をしようとしていた。さっさと吐いたほうがお互いのためだぜ?」
「そういわれて、はいわかりましたって言うと思う?それに、お互いじゃなくて僕のためじゃないの?」
「いいや、お互いであってるぜ?・・・5カウント内に答えろ。答えなきゃ体に聞く」
「体に聞くってどういうこと?」
「そのままの意味だ」
そしてカウントを開始する。結局、デュノアは答えなかった。
「警告完了。・・・演算を開始。生体電流を解析、接続―――」
その先、万は何か言っていたようだが、デュノアには聞き取れなかった。何やら脳に直接情報を入力されているような感覚に意識を持っていかれてしまったからだ。それと同時、走馬灯のようにいくつかの映像が目の前をよぎる。心なしか、音声も聞こえるように感じた。
それが終わった瞬間、何か一言自分が言ったような気がするが、それすらもわからずそのまま意識を失った。
デュノアが起きだしたころ、万は気配の変化を感じ取りひそかに周囲に能力のレーダーを発動させた。相手がセイリュウのダミーである伊達眼鏡に触れたことを確認すると、静かに体を動かした。
体勢を整えると腹部に掌底をかます。相手の体が硬直したのを確認すると、右腕を回し無理やり体を起こさせ、右腕と左ひざを使って相手の後ろに回る。そして相手の両腕を胴を抱えるように左腕で固定したうえで、右手にナイフを出して首筋に当てた。
デュノアに自白を促しつつ、万は考える。
(こんなことをやるのは暗部時代以来だな)
そのままカウントが尽きた。警告が完了したのだ。そして演算をして相手の生体電流を読み取る。だが、それをした瞬間、万は己の演算がはじき出した結果に驚いた。
(いやはや、想像はしていてもこれは驚くな・・・。ま、真偽は読み取ればいいか)
そのまま予定していた演算を開始する。
その内容は生体信号を利用して脳細胞に保存された情報を読み取る、というものだ。つまるところ、記憶を読み取る、ということだ。
直後、学習装置によく似た感覚が襲う。そこに読み取られた情報はその前の生体電流の解析で得た情報を裏付けるものだった。
それが終わっても万は拘束を解かないようにするのに苦労した。何度か頭に直接情報を流し込む経験をしてはいるが、毎回脳にかかる負担の大きさから軽くめまいを起こしてしまうのだ。もっとも、慣れている万はいいのだが、
「何・・・今の・・・?」
デュノアに至ってはそう一言発するのが限界だったようで、そのまま気を失ってしまった。仕方がないのでそのままベッドに寝かせ布団をかけ、頭に手を当てる。生体電流から体に異常がないことを確認すると、脳波をノンレム睡眠の時と同じにし、そのまま寝かせた。しっかり寝息を立てているのを確認すると、万も今度こそ寝た。
翌朝、例によって早起きした万は面白い場所を見つけた。
彼もこの時初めて知ったのだが、ここには射撃場があったのだ。しかも中に入ってみるとなかなかに本格的で、射撃レーンがざっと10~15、そして小部屋がいくつか。小部屋はいったい何のためのものだろうかと気になりのぞいてみると、近接戦闘訓練用となっていた。中にも少し入ってみたが、どうやらある程度の状況を想定し訓練ができるものらしい。
(便利なもんだこと。ま、こういった訓練がされればISにもいかされるだろうしな、納得ではある)
そんなことを考え、来たついでに軽く射撃を、と思い銃を受け取って射撃レーンへ行くと、そこにはセシリアがいた。
さすがは遠距離型を駆る代表候補生、射撃の精度も素晴らしいものだ、と感心していると、相手もこちらに気づいて振り向いた。
「あら、万さん。早いですわね」
「癖でね。そっちも早いな」
「月末にトーナメントがありますもの、その訓練もかねて、ですわ。いまなら、静かに集中できますし」
そういわれて周りを見渡すと、セシリアと万以外は誰もいなかった。
「なるほどな・・・それもそうだ」
そういってふっと笑う。そんな万につられる形で微笑んだセシリアは思い出したように言った。
「そういえば、万さんはペアはどうされますの?」
「ペア?何の話だ?」
セシリアの話にいまいち要領を得ない様子の万をみて、「どうやらご存じないようですわね・・・」といった。
「月末にトーナメントがありますでしょう?それが、タッグマッチ、つまり二人一組のペアで行われることになったのです。そのペアのことですわ」
「・・・まあ、あんなことがあったからな、教師陣としては打てる手は打っておきたいってとこなんだろうな・・・」
「そうなのでしょうね、表向きはより実践的な戦闘経験を積ませる、ということですけど」
「ま、建前にすぎんわな、んなの」
その反応を見て、そこでとセシリアは切り出した。
「ペアをわたくしと組んでくださりませんか?一度共闘した仲ですし」
「まあ、そうだな。考えておくよ、たぶんすぐ結論出るけど、今ちょっと立て込んでてな」
「・・・武器の構想が煮えきらないといったところではありませんわよね?」
「そんなのじゃねえよ。ま、じきわかる。さてと、―――」
そういって万はセシリアの隣のレーンに立った。脇の端末を操作して的を表示させ、持ってきたスナイパーライフルを構える。そのまま弾丸を射出するが、弾丸は中心をわずかにそれて命中した。少し間をあけてさらに数発。しかし、そのすべてが中心に当ることはなかった。
「・・・やっぱライフルは苦手だな。ガトリングとかでばらまくほうがよっぽどか性に合ってる」
「・・・よろしければ指導して差し上げましょうか?」
その様子に隣で見ていたセシリアが提案する。
「悪いな、オルコット。頼む」
その言葉に少し間をあけてセシリアは言った。
「万さん」
「ん?」
「どうか、わたくしのことはセシリアと呼んでくださいませんか?二人のときだけでもよろしいですから」
その言葉に万は目を瞬かせる。そのあと微笑んでいった。
「わかった。んじゃあ、改めて。・・・コツとか教えてくれるか?セシリア」
「喜んで!」
そういって見せた笑顔は今までで一番明るいものだった。
射撃練習を終え部屋に戻ると、デュノアが起きて着替えていた。
「・・・万・・・」
「おはよう、“シャルロット”。よく眠れた?」
万の口から出た名前にデュノアは驚いた。
「う、うん。まあ・・・って、そうじゃなくて!なんで・・・?」
「ん?ん~・・・。昨夜どうやって寝たか、覚えてるか?」
「え、っと・・・。確か、気を失って、気づいたら朝だった、はずだけど・・・」
「・・・あー、そっか。そっちから見ればそうか。とりあえずだ、昨夜あの時、俺がやったことを言うぞ」
そこでいったん万は言葉を切って、自分の支度を始める。
「あの時俺はそっちの生体電流を読んで、それを介する形でそっちの記憶を読み取った。あの様子から察するに、そっちにも何かあったようだがな。それで、そのまま気を失ったから、寝かせたうえで脳波を睡眠時と同じような状態にした。で、その過程でそっちの本当の名前を知った。ついでに言えば、なんでこんな入学をしたのかという理由もな」
「そうなんだ・・・。じゃあ、もうごまかせないね。僕も、僕の見たことのない景色を見たから・・・」
「・・・ってことは、そっちは俺の記憶を見たんだろうな、たぶん。生体電流で記憶域のネットワークを作っている以上、ありえない話じゃない。なら、そっちが気を失った理由も頷けるな」
「・・・どういうこと?」
「考えてもみろ、普通なら情報ってのは感覚器を介して脳に伝えられる。それを直接脳にインストールした形になったんだ、気分が悪くなるに決まってんだろ」
「・・・うわー・・・。ってちょっと待って、万もそうのはずだよね?」
「俺は慣れてるからな。とりあえず、放課後職員室に行くぞ。一夏も一緒に」
「え、一夏も?」
「お前の本来の指示は俺らのISデータの入手だろうが。あいつも関係者だ。それに、お前が女だってことも知らせないとな」
「・・・わかった」
そのまま支度をしていると出発する時間になり、二人は部屋を出た。
そして、放課後。一夏は半ば引きずられるように職員室に連れてこられていた。連れてきた当人は織斑先生、つまり千冬に話があるといっていたが、詳しくは知らされていない。
デュノア、一夏、万の3人が千冬にできるだけ早く伝えた話がある、できれば人に聞かれない場所がいい、と切り出すと、千冬は職員室の一角にある応接室に案内した。
「・・・それで、火急の用件とはなんだ、黒川」
「俺のことじゃないんですがね。こいつのことです」
そういって隣のデュノアに目を向ける。
「・・・織斑先生、今から言うことはすべて事実です」
そういってデュノアはしゃべりだした。
曰く、自分は本当は女であるということ。
デュノア社の社長の子であることは確かだが、正妻の子ではなく、愛人の子であること。
一夏、そして万の登場に伴い、性別を偽って入学したうえで二人に接近、二人の機体データを採取することをデュノア社から命じられたこと。
昨日、万の機体データの閲覧を試みたが失敗、それにより彼改め彼女が女であることが露見したこと。
今まで秘密にしてきたすべてのことを包み隠さず話した。
「・・・そんな・・・」
一夏はデュノアが話し終えると絶句した。
「事実だ。それは記憶を読み取った俺が保証する」
「で、お前はどうしたいんだ、黒川」
「本人に任せますよ。本国へ帰ろうが、このまま首をつろうが、俺には関係ない」
「お前なぁ!――――」
「ただ」
激昂する一夏を遮り万はつづけた。
「本国へ帰ればどうなるかは、本人も見当がついているみたいですけど」
「・・・どういうことだよ?」
「早い話が動かない歯車はいらない、ってことだよ」
「歯車って・・・!部品じゃないんだし」
「部品同然なんだよ、会社のトップにとって従業員なんざ。そうじゃなきゃリストラなんてことは発生しない。・・・で、どうする、デュノア」
その問いかけにデュノアは黙り込む。
「・・・そうだね、今なら僕一人で済むから、本国へ帰ろうかな・・・って、思ってなくもない」
「シャルル・・・!」
「そうでもないぞ?」
その言葉にいさめようとした一夏だが、千冬が口を開いたことでその口を閉ざした。
「織斑、IS学園特記事項第21条を音読しろ」
「あ、はい」
そういって一夏は生徒手帳を取り出す。
「えー、と。IS学園特記事項、第21条。この学園の生徒は、在学中において、本校を除くいかなる国家、企業、組織に帰属しない」
「・・・そういうことか」
その瞬間、ふたりが納得した。が、音読した本人は要領を得ない顔をする。
「つまりだ、在学中だけデュノアはデュノア社のスパイでも、フランス国籍でもない。故に、デュノア社だろうが、フランス政府だろうが、こいつには干渉できない。・・・違いますか、先生」
「その通りだ」
万の推測を千冬が肯定する。
「・・・でも、僕、ここにいていいのかな・・・?」
「いいんだよ、シャルル。むしろ、ここにいろ。3年もある、いい手の一つや二つくらい思いつくだろ」
「俺としては消えてもらっても構わんが・・・ま、居たいっていうのならそうすればいい」
「・・・ありがとう・・・!」
そういってデュノアは笑った。
「とにかく、一回再編入の手続きをする。デュノアはここに残れ」
「え?どういうこと?」
「ばれちまった以上、男扱いにしておくより女扱いにしたほうがよっぽどか楽だろうが。ちっとは頭使え」
「そういうことだ。あと、一応言っておくが・・・」
「他言無用、でしょう?」
「ああ」
「以上ですか?」
「以上だ。二人は下がれ」
その言葉に二人は千冬のもとを去った。
職員室を出ると、一夏は万に聞いた。
「お前、なんでシャルルにあんなこと・・・」
「最終的に決めるのはあいつだ。なら、俺らが今後どうするかなんて強制できるわけねえだろ」
「それはそうかもしれないけど!」
「確かに言い方はきつかったかもしれん。だがな、あれくらいでへこたれるのならそれまでだが、仮にも代表候補生までのし上がった身だ、ちょうどいい発破になっただろうさ」
にべにもなくそんなことを言う万に一夏は驚愕を露わにする。
「・・・お前って恐ろしいな」
「何をいまさら。それと、月末のトーナメントでは負ける気はねえからな」
「望むところ!」
そういって拳をぶつけ合うと万は自主練のためアリーナに向けて歩き出した。
21条というのは適当です。アニメだと特記事項だってことと特記事項は55ある、としか言ってなかったから適当な思いついた数字を振りました。
ってわけでシャルロットほぼ陥落状態。あと一押しで落ちます。
ではでは、ごきげんよう、ごきげんよう~