この辺はあれですね、アニメとそこまで大きく変える必要がない分楽ですね。おかげで筆も書き出せれば進みましたよ。そう、書き出せれば・・・。
それでは今回分どうぞ。
その後日、臨海学校へと向かうバスの中に万はいた。周りは何やら雑談している様子だが、それをどこ吹く風という様子で本を読んでいた万だったが、ある程度のところまで読んだところで軽く首を回す。その様子を見てか、セシリアが声をかけた。
「万さん、あなたはお菓子類を持ってきてませんの?」
「いや、持ってきてはいるが・・・」
「へえ、どんなものなんだ?」
興味を向けたのか箒に万はこともなげに答える
「おもしろ大福」
「・・・何よそれ」
「ほら、バラエティー番組とかでよくあるじゃん、大福の中になんか変なものが入ってるってやつ。あれみたいに普通に餡子だけじゃなくてほかのものもちょっと混ぜてある、みたいな。もっとも、滅茶苦茶なものは混ぜてないけどな」
「ほう、それは面白そうだな」
「ま、味見はしてあるからまずくはないぞ?」
「「「いや、それは当り前だろう(でしょ)!?」」」
万の保証にその周辺にいたセシリア以外の全員からステレオでツッコミが入った。それをさらりと受け流して万は保冷バックを取り出し、その蓋を開けた。その中には見た目は普通の大福があった。
「見た目は普通なんだな」
「見た目はな。さて、食べたいんならどうぞ」
そういって軽く差し出す。それに対し恐る恐るではあるがシャルロットが手を伸ばして口に運んだ。
「・・・ん、なにこれ。しょっぱい、けど甘い」
「あー、たぶんそれは塩大福だな。お土産物であったから再現してみようと思ったらそうなった」
「うん、話に聞いてた大福っていうのとちょっと感じが違うけど、これはこれでおいしい」
そういって顔をほころばせた。その様子を見て「だから味は保証するっていっただろ」と万はあきれた様子でつぶやいた。彼女に追従する形でほかのメンバーも手を伸ばす。
ほかのおもしろ大福も好評で、バスが目的地に着くころには大福はあらかたなくなっていた。
そして、着替えて海での自由行動中、万は海に浮かんでいた。泳ぐでもなく、ただただ仰向けに浮いていた。
もともと集団で何かするというより、一人でいるほうを好む彼にとって、こちらのほうがよっぽどか気楽なのだ。特に、万は一人でぼんやりしている時間が結構好きだったりするので、何も考えずぼーっとしているというのがそこまで珍しくなかったりする。
そんなことをしているとセイリュウが通信を告げた。相手を確認すると、つないで一言発した。
「どうした、デュノア」
「ねえ万、ラウラになんか変なことした?」
つないでいきなり言われたセリフに万は苦笑する。
「開口一番なんかひどくねえか?」
「だってラウラったら着替えるや否やタオルで体を覆ってるんだもん。僕だって見てないんだよ、ラウラの水着」
「で、俺にどうしろと?」
「こっちに来てラウラ説得してよ。一緒に買ったんでしょ、水着」
「セシリアとかに頼めばいいじゃねえか、面倒くせえ」
「頼んだよ、でも断られたもん。だからこうして頼んでるんだよ」
その言葉に軽くため息をついて立ち泳ぎの姿勢になってシャルロットの位置を確認すると、確かにその横にはタオルをさながらミイラ男のように巻いた小柄な人物がいた。おそらくあれがラウラなのだろう。体を覆っているとは確かに言っていたが、その滑稽な見た目に軽く噴出した。
「どうかしたの?」
通信で笑い声がかすかに聞こえたのだろう、シャルロットが聞いてくる。それに何事もなかったかのように万は返した。
「うんにゃ、なんでもない。それより、そっちの位置は確認できた。今からそっちに行くから待ってろ」
それだけ言うと通信を切って泳ぎだした。
「・・・で、いつまでそうしている気だ?」
後ろから二人に近寄って声をかけた。それに対し二人は驚いた。もっとも、ラウラは驚いたようだ、としか形容できなかったが。
「うわあ! なんだ、びっくりさせないでよ・・・」
「そんなにびっくりすることもないだろ。とりあえず、あの唐変木のとこに行くぞ」
「え、一夏の?」
「他に誰がいるんだよ。それに、もとより一夏に見せる目的で買ったものでもあるだろうがよ」
「・・・まあ、確かにそうだが・・・。その、心の準備というやつがな・・・」
そんなことを言いつつ両手の指を絡ませたりする様子は普段の軍人の彼女とはかけ離れたものだった。それゆえか、ぼそりとつぶやいた。いや、つぶやいてしまった。
「かわいい・・・」
「え、今なんか言った?」
耳ざとく聞いてくるシャルロットに軽く赤くなった顔で「なんでもねえ」と万は返すと、ラウラに歩み寄る。
「そんなの向こうですりゃいいだろ。とにかく行くぞ」
そして彼女の手を取り引きずるように連れていく。この強硬策にシャルロットは慌ててそのあとをつけていった。
「・・・で、そのバスタオルおばけはラウラなのか?」
「まあな。本人は照れてるらしいが」
無理やり引きずられてきたラウラを見た一夏は説明を受けてまず漏らした。
「とりあえず、そのバスタオルとったらどうだ?」
「そうだぞ、何より暑いだろ」
一夏の言葉に乗っかるように言う。
「とはいっても、まだ心の準備が・・・」
まだそのようにためらうラウラにこっそりと万は耳打ちする。
「さっさととらねえと俺がとるぞ?」
その言葉にびくりとした後、小刻みに体を震わせる。そして、半ばやけになったような声で一気にそのタオルを取った。その中からは黒い水着を着たラウラの姿が出てきた。それを見て一夏は感心したように声を上げた。
「全然おかしくない。むしろかわいいぞ」
「だろ?俺もそういったんだがな・・・」
そのコメントに万も同意する。だが、当の本人は赤面してもじもじしていた。どうやら“かわいい”と言われたのがよほど効いたらしい。
(まあ、こいつにとってそういう言葉は言われ慣れてないだろうからな・・・)
そう思いつつにやりとしていると、隣の一夏がさらに言った。
「・・・万、なに企んでるんだ?」
「なにも企んでねえけど、なんでそんなことを?」
思わぬ言葉をかけられ、冷静に返した万に一夏は口元を指さしつついう。
「お前がトム笑いするときって悪巧みしてることが多いからな」
「ちょっとまて、トム笑いって何だ?」
「トムとジェリーのトムみたいなにやにやした笑い方。たまにお前そういう笑い方するんだよ。気づいてたか?」
確かに考えてみれば悪巧みしたときに出る独特の笑い方は存在するが、
「俺をあのバカ猫と同列にしてくれるなよ・・・」
ため息交じりのコメントに一夏はあははと笑いながら謝った。
その後は特に何事もなく夜を迎えた。
「うん、うまい。さすが本わさ」
夕食の懐石料理の刺身を一口食べて一夏が漏らす。その言葉に反応して隣のシャルロットが刺身の横に添えられたわさびを口に運ぼうとする。それを見て万と一夏は止めにかかるが時すでに遅し。案の定、わさびのつんとした強い風味にシャルロットが鼻をつまむ。
「おい、大丈夫かシャル?」
「うん、大丈夫。風味があっておいしいよ・・・」
一夏の言葉にも鼻をつまみつつ答え、彼が持ってきたお茶を一気に飲む。その直後に急須が彼女の近くに置かれた。
「足りねえんならつかえ」
ぶっきらぼうにそういうと万も席に戻る。その言葉に甘えてシャルロットは急須から追加のお茶を注いでさらにお茶を飲んだ。
そして食事を再開する前に隣の席で慣れない正座に苦労している様子のセシリアに声をかけた。
「正座苦手ならテーブル席に移ったらどうだ?」
「いいえ、構いませんわ・・・」
「なら足伸ばしたらどうだ?少々行儀は悪いが、対岸の席のやつはいないんだし」
「ならば失礼して・・・」
その言葉に反応して足を伸ばして座るセシリアを横目に見つつ万も食事を再開する。セシリアが食事を始めたのを見て軽く彼女に耳打ちした。
「後で先生も交えて話したいことがある。とりあえず俺の部屋の前まで頼めるか?」
それに対し彼女は食事をしつつ軽く頷くことで同意を示した。それの謝意を耳打ちすると、今度こそ万は食事を再開した。
その後、織斑姉弟の部屋までたどり着いた二人が見たのは部屋の前で聞き耳を立てる凰、箒、シャルロット、ラウラだった。
「・・・何してんだお前ら」
あきれ半分で万が声をかけると凰は唇に人差し指を当てて親指で中を示した。どうやら中の様子を知りたいから静かにしてろ、ということらしい。その聞き耳部隊にセシリアも参加したのを見てため息をつきつつ万も襖の横に立った。
その中から聞こえたのは会話だけ聞き出せばR-18物の行為をしている、かもしれない声だった。聞き耳を立てているのは仮にも年頃の少女たちで、気になるのだろう、さらに耳を襖に近づけたとき、マンガのように襖が中に倒れた。それを見て足音を消して万は一度距離を取り、何食わぬ顔でもう一度部屋に来た。もっとも、部屋の中に声をかけた瞬間に5人から恨みがましい目を向けられたが。
ことの顛末としては、中で二人がやっていたのは単なるマッサージで、千冬曰く「なかなかうまい」らしい。その言葉に甘えて順番にマッサージを受けたところで千冬が一夏に言った。
「一夏、こいつらに飲み物を買ってこい」
そういって自分の財布を投げる。それをキャッチすると一夏は部屋を出ていった。
その後生徒たちと千冬の間には微妙な空気が流れた。それすらも気にせず飲み物―――ビールを取ってくるあたり、さすがは世界最強と謳われた人間だと万は改めて感心した。借りてきた猫のような彼女らに不信を覚えたのか千冬が言った。
「おい、いつものバカ騒ぎはどうした?」
「こうして織斑先生と話すのは初めてですから」
返答したのはシャルロットだったが、他のメンバーから反論はなかった。
「・・・そうか。まあいい」
そういってプルタブを起こすと一口あおった。そして爆弾を言い放つ。
「ところでお前ら、あいつのどこがいいんだ?」
その言葉に万を除く全員が反応する。
「まあ確かにあいつは役に立つ。家事もなかなかだし料理もうまい。そしてマッサージもうまいと来た。付き合える女は得だな」
そして酔った勢いなのかさらに爆弾を投下する。
「・・・どうだ、ほしいか?」
「「「「「くれるんですか!?」」」」」
(お前らはパブロフの犬か)
冷静に突っ込む万をよそに少女たちは身を乗り出した。その反応を見て鼻で笑うように千冬は言った。
「やるかバカ。・・・女ならな、奪うくらいの気概がなくてどうする。せいぜい自分を磨けよ、ガキども」
最初の一言で撃沈していた少女たちに後ろの二言が届いたかは微妙なところである。さらに一口ビールを飲んだところで千冬はもう一人に声をかける。
「そういえば、黒川はどういう用件だ?」
その言葉に万はすぐに答えなかった。が、やがて顔を相手に向けた。
「・・・本来ならセシリアと3人で話したほうが良かったかもしれませんが、まあいいです。―――俺の用件はISの兵装に関してです」
「兵装、ですの?」
「ああ。―――知っての通り、あくまで現行で開発されている第三世代型ISは
「お待ちください!その情報はどこから・・・」
割り込んで質問をしたセシリアに少々申し訳なさそうな顔を万は向けた。
「悪い、セシリア。質問は後でまとめて頼む。―――そこで、です。ある程度、こいつらの兵装を開発してみたいのです。これは、ある意味では俺のわがままです。・・・どうでしょうか?」
その言葉に千冬は少しうなった。
「・・・なるほどな、だがオルコットを先に回したのはどういう理由だ?」
その質問に対し、万はまずセイリュウを右腕だけ展開した。
「こういう事情です」
そしてその右手に大型の銃が展開される。見た印象はラウラの肩のレールカノンの砲身を細く小型にしたようなものだった。
「これは磁力狙撃砲です。射程距離は普通のライフルより少し長い程度ですが、特徴なのはその静音性と威力です。電気を利用してその時に発生する磁力を使って砲撃を行いますので、実弾のライフルに比べかなり射出音は静かで、しかもなおかつ電気系統の改良で弾速が向上したことにより威力も同じ大きさのライフル弾より1.5~2.5倍となっています。もっとも、弾速が早い関係から射程は変わらないのですが」
その説明の完璧さなどにも驚いたが、そのほかにも驚いたことがあった。それは、
「わたくしのブルー・ティアーズと同じカラーリング・・・」
その砲身がセシリアの専用機であるブルー・ティアーズと同じようなカラーリングだったことだ。
「そうだ、セシリア。ちょうどお前が得意とするライフル型でもある。ちょうどいいしお前に装備してほしいと思ったんだが、俺の一存ではいこれお前にやる、とはいかないからな。―――で、どうですか?」
それに対して困ったような笑いを千冬は浮かべた。
「・・・全く、お前というやつは。・・・いいだろう。ただし対象人物に装備させる前に必ず私に見せること、それが条件だ。わかったな?」
「はい。・・・ではちょっと失礼」
そういってセシリアのイヤーカフスをちょんとつつく。予想通り仮想ディスプレイが展開されたところでそのキーボードをたたいていく。少しするとそこにあった細身の銃は消えていた。
「よし、これでいいはず。・・・では、失礼します」
そういって万は二人の部屋を出ていった。
塩大福はおいしいです。
自分は伊勢参りするときにおはらい町で見かけました。おいしいので是非。
そしてバイトがきつくなってきました・・・。これから更新はさらに停滞するものと思われます。
では、また次回。