【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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えーと、大変お待たせしました?

ようやく次ができました。

むぎのんのキャラがいまいちつかめてない・・・orz
やっぱりノリで新キャラ出すとかとかいう無茶はやるもんじゃないですね、はい。

では今回どうぞ。



18.新学期

不思議なことに、なすべきことをなしていると時がたつのは早いものだ。

麦野のIS学園への編入に際して必要なデータ―――IS適性、身長など体格データ諸々―――の採取、出生に関するものなどの改竄、ISの基礎知識の教育などをこなしていると8月も最終週に突入していた。

 

そうして迎えた新学期初日、教室に生徒が集まっているのを確認すると千冬が切り出した。

 

「さて、今日からこのクラスに編入する生徒を紹介する」

 

千冬が入り口に向けて声をかけた瞬間、万はにやりと笑った。セイリュウの光学迷彩とステルスを駆使して一組の転校生がだれか知っていたからだ。

そして、その編入生は入ってきて一言、

 

「麦野沈利です。よろしく」

 

と、軽く緊張しながら言った。

彼女はもともとスタイルがとてもよく、それは制服越しでも明らかだった。シャルロットがシャルルとして編入してきたときとはまた違った黄色い歓声があちこちから飛んだ。軽く鼻の下を伸ばす一夏とは違い、万はくつくつとこらえきれない笑いをもらしていた。もっとも、その様子を見て向こうは今にも原子崩し(メルトダウナー)を撃って殺さんとばかりに睨んできたが。

 

「静かにせんか馬鹿ども!」

 

その黄色い歓声を千冬が一喝のもとに断ち切り静かになったクラスに諸連絡を伝えている間も万の笑いは収まらなかった。

 

 

その後の休み時間で麦野は質問攻めに遭っていた。曰く、どこから来たのか、その体系のコツは何か、スリーサイズは、などなど。見たところではまだ我慢が聞いているようだが、あの様子ではしばらくは持つまい。そんなことを思いつつ、万は武装のコンセプトをまとめだしていた。

 

彼女は休み時間ごとに質問攻めを受けていた。その様子を見ていい加減彼女が爆発してもおかしくないと判断した万は昼休みに女子が集まる前に麦野に声をかけた。

 

「ちょっといいか?」

 

その声にかなり不機嫌な声で麦野は顔もむけずに答えた。

 

「なんだ、お前か。何の用だ?」

 

「ここの食堂、なかなかうまいんだよ。食べに行かねえか?それに、ずっとここにいちゃまたきついだろう?」

 

「・・・そうさせていただくよ。で、どこなんだ?」

 

「案内くらいするっての」

 

そういうと麦野は席を立った。その時一瞬見えた顔には疲労が色濃く出ていた。

 

 

 

 

「で、どうだよ。生まれて初めての学園生活は?」

 

自分の頼んだラーメンをすすりつつ万が問いかけた。それに対する麦野も鮭の焼き魚をつつきながら答える。

 

「・・・悪くはねえ、かな。多少の違和感はあるが」

 

そんな暗部時代とは対照的などこか照れているような様子の彼女に万はくつくつと笑った。

 

「まあ、誰でもそんなもんだろ。俺だってそうだったしな」

 

「そういうもんなのか?」

 

「そういうもんだよ。案外普通だろ?」

 

「違いないな」

 

そんなことを言って軽く笑いあう。その直後に万の顔が引き締まる。両利きであることをフルに利用して、右手で箸を使って食べ物を口に運びながら左手でメモ用紙にペンを走らせた。

 

『そっちの専用機についてだが、まだ登録が終わってない。あと一週間もすれば終わらせるから、そこまで隠し通してくれ』

 

そんな風に殴り書き、相手の様子を横目で見る。それに気づいた麦野がかすかにうなずいたのを確認して万はそのメモ用紙をしまった。

 

 

 

 

それから一週間後のホームルームで、万は教室の前方に立っていた。来月開催される学園祭のクラス企画について決めるためだ。

 

「とりあえず、今出ている案についてだが・・・」

 

そこでいったん言葉を切ると、軽く息を吸い込んで大きめの声で宣言した。

 

「すべて却下だ!!」

 

それに対し教室からはブーイングが起こる。もっとも、最前列に座っている一夏のみ例外だったが。それを受けてあきれ半分いらだち半分といった表情で隣にいる山田先生に目を向けるが、こちらはこちらで軽い恍惚状態にあるのが表情から読み取れたので、速攻で頼る線を切った。

 

「お前らもっとマシな案はねえのかコラ!!」

 

そこにあった案とは、男子二人とポッキーゲーム、男子二人とツイスターなどなど、要するに男子二人が何かしらするというものだ。ここまで同じベクトルの案しかないというのもなかなかだと万はあきれていた。

万のその言葉に一人女子が反応した。

 

「はいはい、なら男子二人のホスト―――」

 

その言葉を最後まで言うことはかなわなかった。その女子が顔を後ろに向けて気絶したからだ。そして、万の手には小さな拳銃のようなものがあった。

 

「安心しろ、ゴム弾だ」

 

そこでいったん言葉を切ってもう一度息を吸い込む。

 

「お前らなあ、もっとまじめな案を出せよ!屋台ものとかプラネタリウムとかお化け屋敷とか、いろいろあんだろうが!それに、こんな案仮に出したところで通ると思うか!?」

 

その瞬間に全員が黙り込んだ。その一瞬の沈黙の間に声を発したものがいた。

 

「メイド喫茶はどうだ」

 

その言葉が出た方向に目を向け、驚いた万はもう一度目を向けた。なぜなら、

 

(ら、ラウラからそんな案が・・・!?)

 

その案を出したのがこの中ではおそらく1,2を争うレベルでこんな案を出さないであろう人間だからだ。

 

「飲食店なら経費の回収も行えるし、客受けもいいだろう。まさに一石二鳥だ」

 

「・・・うん、いいんじゃない?」

 

「でも、そうなったら織斑君と黒川君はどうしよう?」

 

「厨房を担当してもらえばいいんじゃない?そうすれば人前には出ないわけだし」

 

「でも、せっかくだし接客もやってもらえば・・・」

 

「じゃあ、服はどうする?」

 

「スーツとか?」

 

「燕尾服っていうのもよくない?」

 

置いてけぼりを蹴飛ばして進むような議論に万は机を両手でたたいた。ばん! という大きな音に議論がいったん中断したところで全体を見渡して言う。

 

「と、に、か、く!クラス企画は喫茶店!異議のあるやつ挙手!」

 

その言葉にいったん議論は中断してまた教室が静まり返る。挙手する生徒がいないことを確認すると、万は腕時計を確認して続けた。

 

「おし、じゃあクラス企画は喫茶店で決まりな。あと数分でホームルームが終了するから詳しい内容は次回。以上、ホームルーム終了!」

 

その言葉を皮切りに女子たちはまた議論を開始した。それをよそに、万はクラス企画の書類を書き出した。

その次の日行われた朝のSHRの短い時間で正式にメイド喫茶をやることになり、万と一夏は燕尾服を着ることとなった。

 

 

 

その日の放課後、万と麦野は二人でアリーナのピットに向かっていた。まだISに触れて日の経っていない麦野にISに関してもろもろを教えるためだ。

 

「それにしても、あんたがあんな案をのむとはねぇ・・・」

 

「あの状況であれよりマシな案が出ると思うか?」

 

「思わないわね」

 

「つまりはそういうことだ」

 

そんなことを会話しているとピットについた。もうすでに二人ともISスーツに着替えているので、あとはISを展開するだけだ。

万のレクチャーで麦野がどうにかISの展開に成功し、見慣れた量子変換の光が彼女を包む。その中から現れたのは専用機“閃光”をまとった彼女の姿だった。

 

「これでいいのか?」

 

「ああ、OKだ。まあ、欲を言えばもっと早く展開できればいいんだが・・・ま、その辺は仕方ないか」

 

そういうと自分もセイリュウを展開した。そのスピードに麦野が驚く。

 

「・・・早いな」

 

「まあ、慣れたからな。早いやつだとこれより少し早いらしい。っと、こんなことはどうでもいいや。飛行訓練を開始するぞ」

 

そういって自分も軽く浮いた。

 

「あんたは能力で浮くことってできないんだっけ?」

 

「お前やどこぞのもやしほど万能じゃないからな」

 

その言葉に万はふっと笑った。

 

「俺はともかく、あれはさすがに万能すぎ、てかもはやチート。・・・まあ、そんなのどうでもいいや。こう、ふわっと体が持ち上がるのを想像してみ?」

 

そういうと閃光が軽く浮き、セイリュウに乗った万と目線がほとんど同じになった。

 

「さすがはレベル5、呑み込みが早い」

 

「こんなの説明書に書いてあるレベルだろ?」

 

「まあ確かにそうだけどよ。あの量を短期間でさっさと読み終えて内容を丸暗記するやつなんてそんなにいないと思うぞ?」

 

「そうか?」

 

「そうだよ。・・・じゃあ、次は上昇だ。つっても、ここまでくれば楽だろうけどな」

 

そういって万は真上に上昇した。ワンテンポ遅れて麦野もついてくる。それをバックモニターで確認して無線をつないだ。

 

「よし、OKだ。じゃあ、次は本格的に行くぞ。俺に後ろで動きをコピーしろ。後ろは見えてるから安心しな」

 

そういって万はさまざまな軌道で飛び回る。蛇行、急上昇と急下降、挙句にはコークスクリューや宙返りといった曲芸飛行に発展した。が、その動きすべてに彼女はついてきた。

やがて下降して地上スレスレで停止すると無線を通さずに話した。

 

「いやー、すげえな。ここまでできるとは・・・」

 

「なんだその言い方。なんか引っかかるな」

 

「ただ単に感心してるだけだよ。一夏なんてこの地上停止を始めてやった時はどでかいクレーター作ってたぞ?」

 

「それはただ単なるドジだろう」

 

「ま、そうだな。んじゃあ、次は戦闘訓練と行こうか」

 

そういうと万はセイリュウの前に仮想ディスプレイをいくつか表示させる。それを操作すると目の前に的が出てきた。

これは戦闘訓練のための的を出すためのシステムである。念のためこちらのシステムの借用許可も取ってきていて正解だったと万は割と本気で思った。

 

「手始めにあれライフルで撃ってみ」

 

「ライフルっつってもなー・・・。どうやって出すんだ?」

 

「念じろ。だめなら声出せ」

 

純粋な疑問に対して万がノータイムで放ったコメントに麦野はため息をついて少し目を閉じた。直後、その右手には狙撃銃が展開されていた。それを構えて目の前の的に向けて撃つ。その瞬間、光がライフルの銃口から飛び出し、的の中心からほんの少し外れた位置をうがった。それに対し万はヒュウと口笛を吹いた。

 

「はじめてにしてはやるぅ」

 

「感覚としては能力を撃つ感覚とほとんど変わらないからな」

 

「あー、そういうこと。欲を言えばもっと射撃精度が高いといいんだけど・・・ま、その辺は慣れだな、うん」

 

「そういうもんなのか?」

 

「そういうもんだ。最悪、腕のいい狙撃型のパイロットを知ってるから、そっちからどうにかすればOKだし」

 

「名選手は必ずしも名監督とはならないぞ?」

 

「あの教え方を理解する頭があれば大丈夫だ。んで、レベル5が理解力に劣るっていうのは考えにくいからな。・・・第七位以外」

 

「どんな教え方をするんだ?そいつ」

 

「ガチガチの理論武装、って言えばわかるか?」

 

「あー、そういうこと。でもま、自分で習得しちまえば問題ねえよ・・・な!」

 

そういってもう一回構えていた狙撃銃で的を狙撃した。今度は的の中心を射抜いた。

 

それから戦闘訓練を行ったが、的の中心をうがった攻撃が全体の実に80%を占めていた。この結果に万は「本当に初めての本格的なIS搭乗かよ」と驚いていたという。また、その日彼を見かけた人間は口をそろえて“あの日の万はどこか暗くて話しかけづらかった”という。

 

 

 

 

「円軌道のコツ?」

 

その次の日、教室で目の前の人間から出た言葉に万は思わずおうむ返しに言った。

 

「ああ。教えてくれないか?」

 

その言葉に言葉を発した張本人である一夏がうなずいた。

 

「教えてもいいが・・・なんでだ?」

 

「白式が二次移行して荷電粒子砲がついたから、それのために必要だっていまコーチされてる人に言われてな」

 

「誰のコーチ受けてるんだ?」

 

万の記憶が正しければ一夏は射撃、特に狙撃は苦手だったはずだ。そんな彼にわざわざ射撃の訓練をさせる度胸と技量が彼女らにあるとは思えなかった。

だが、彼の口から出てきたのは予想外の人物の名前だった。

 

「更識楯無って人。先輩で生徒会長の」

 

その言葉に万は納得した。なるほど彼の戦闘能力をある程度知っていて、しかも個人としての戦闘力も高い彼女なら教える技量さえあれば問題ないだろう。それに、この学校において生徒会長とは“学園最強”の肩書を意味する。そんな人物なら教える機会も多いだろうし、その経験を活かしてうまく教えられるだろう。

 

「あー・・・。でも、それならあっちのほうが教えるのうまいと思うぞ?」

 

「それもそうなんだけどよ・・・つかみどころないっていうか、接しづらいんだよな・・・」

 

「慣れろ。仮にもコーチしてくれてる身だろうが」

 

「いや、そういわれてもよ・・・」

 

そういいつつ軽くうなだれる一夏を尻目に万はため息を一つついていった。

 

「で、円軌道のコツだったか?」

 

「あ、ああ」

 

「一言で言っちまえば感覚だ。Gを感じてスラスターの向きを調整することで安定した円軌道を実現する。ま、こればっかりは慣れだな、うん」

 

その言葉に今度は一夏がため息をつく。

 

「・・・お前って実は感覚派?」

 

「いまさら何言ってんのお前? まあ、だからこそあんまり人教えたりしないんだけどな。でも、これはそこまで難しくないと思うぞ?」

 

さらに何か一夏は言いつのろうとしたが、ちょうどその時にチャイムが鳴った。

 

「・・・うん、なんつーか、参考になったわ。サンキュ」

 

そういって一夏は自分の席に戻って行った。

 

 

 

その日の放課後、万はまた麦野とアリーナに来ていた。麦野がISを展開していつでも始められる状態になったことを確認すると万は言った。

 

「よし、今までは一対一の戦闘訓練を積んできたわけだが、今回は毛並みを変えるぞ」

 

「どういうこと?」

 

「今回やるのは一体多の戦闘訓練だ。今まで、ブースターとして使用していたものの一部をビットとして使用、そこからの多角攻撃の訓練だ」

 

「ブースター? ああ、この腰のやつか」

 

そういいつつ彼女は腰についているとがった8つの部分を指さした。それを見て万は頷く。

 

「そう、それだ。それを―――Oビットを使った攻撃だ」

 

「Oビット、ねぇ」

 

「とりあえず、まず動かすところからだ。それが飛んでいくように念じてみ」

 

そういうと麦野は軽く目を閉じた。少ししてからOビットがすべてパージされ、麦野の周りに浮いた。

 

「そう、そんな感じだ。あとはそれを操作するんだが・・・」

 

「解説はいいわ。だいたいわかったから」

 

そういうと今度はOビットが自由に動き出した。それはまるで見えない糸で操られているかのようだった。

 

「・・・わーお」

 

「パージしたときにわかったんだよ、感覚が。・・・で? 今度はこれで撃つようにとでも念じればいいのか?」

 

「まあ、な」

 

「OK、やったろうじゃん」

 

そういうと麦野は万があらかじめ用意してあった三つの的をビットのみでさっさと撃ち抜いた。

 

「・・・よし、じゃあ今度はもっと出すから片っ端から撃ち抜いてみよー!」

 

どこか道化のような万の声とともにアリーナに大量の的が出現した。

 

「・・・上等だぁ!」

 

そういうと麦野は飛翔して片っ端から的を撃ち抜いていった。

 

 

その五分後、万は驚愕していた。

 

「アリーナに次々に設置された的の総数278、そのすべてを3分ですべて撃破してそのほとんどが真ん中って・・・」

 

「レベル5をなめるなってことだよ」

 

「ああ、そうだな。改めて、敵に回さなくてよかったよ」

 

「で、どうするんだ?」

 

それに対して万は少しうなった後で言った。

 

「特にやることもないし、今日はここまででいいか?」

 

「私はそれでいいけど?」

 

「よし、じゃあ今日はこれまでってことで」

 

そういうと万はシステムのチェックを始めつつ、麦野に先に帰るように促した。

 

 

麦野の姿が完全に消えると、万は左手を胸に持ってきた。そして、そのまま周りに能力を展開する。少し考えたのち、万はISを展開して自分の訓練に入って行った。




はい、今回はここまでです。

少しづつ伏線をつけてるつもりですが・・・。
今度オリジナルストーリーでそれをうまく回収できればなー・・・(遠い目

ではまた次回
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