【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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はい、どうも。

なんというか、大学の夏休みがさっさと終わりすぎて残念な感じが・・・。
だって今までみたいに自由にヒトカラとかいけないし。
そして教科書代の計算もしなきゃいけないというね。もうね。めんどい。

まあそんなのはどこかに置いといて。今回どうぞ。


22.報せ

相手の顔が変わったのを見て、二人も表情を引き締めた。

 

「・・・話、というと?」

 

「学園都市の中にISを獲得、解析ののちにその仕組みをこっちの兵器に転写できないか、って意見があってな。しかも厄介なことに、平和的獲得ができなければ奪取、最悪流血もやむなし、っていう過激な意見まで出てる始末だ」

 

「・・・なるほど。な。それで俺に、ってことか」

 

IS並の戦闘力を持つ機械の製造など、学園都市の技術力をもってすれば可能だろう。だが、”操縦者の絶対の安全”というのは保証ができない。その点だけでも、ということなのだろう。ならば、ISを入手して、というのが手っ取り早い。―――あくまで手段を択ばないのなら、ではあるが。

各国の機体を奪うという手もあるし、購入するというのも一つの手としてあるが、国家がほぼ独占しているISをいまさら入手するのは難しい。ならば奪うしかない。

なら、どこから奪うか。簡単な話だ、奪いやすいところを狙えばいい。とすれば、それはどこか。国家と違い、あくまで傭兵に過ぎない警備員しかおらず、訓練機としてISを多く―――他に比べて、という意味だが―――保管しているIS学園などカモだろう。

 

「で、結論として何が言いたいんだ?」

 

「気を付けてほしいんだよ」

 

万の問いかけに答えた浜面の後を継ぐ形で少女が静かに口を開いた。

 

「私たちはここから出ることはできない。もうすでに、何か学園のほうで不穏なことがあったみたい、っていうのはわかるんだけど」

 

「・・・さすがは能力追跡(AIMストーカー)、そのくらいはお見通しってか」

 

「体晶を使わなくても、ぼんやりとならわかるし、その状態でもはっきり分かるくらい変化があったから。・・・それで、麦野は私たちの仲間だから。できることなら、もう危ない目には遭ってほしくない」

 

それは麦野沈利という人の性格や立場から言ってかなり難しいことと分かったうえで言っているのだろう、というのは容易に察することができた。

 

「・・・わかった。できるだけ、目を光らせる。約束する」

 

しっかりと相手の目を見据えながら、万は静かに宣言する。

 

「ありがとう」

 

「礼を言われるようなことじゃねえから安心しろ。それに、俺にとっても、降りかかる火の粉は払うだけだ」

 

最後に付け足すように言われた一言の口調の冷たさに、その部屋にいた皆が口をつぐんだ。まるでその冷たさは、自分以外の人間がどうなろうと知ったことではない、と言外に言うような口調だったからだ。

実際、彼はそうなのだろう。いくらお人よしでも、仕事でも、無理な仕事は引き受けない。それは、彼が仕事人(タスカー)として過ごしていた時代からのルールだった。

 

「重ね重ね、IDの件は感謝する。それと、これを」

 

そういって万は机の上にUSBメモリを置いた。この手のものはいくら科学技術が進んだと言えどまだ現役で残っているものも多い。もっとも、そのUSBにさまざまなセキュリティを設定できるようになっているなどの工夫はされているが。

 

「俺の連絡先と、後俺の拠点に入るためのパスワード。それと、それ以外にも役に立つであろうファイルだ。詳しくは一緒に入っているテキストファイルを見ればやり方は書いてある」

 

その言葉を聞いた瞬間に、浜面の目が何とも言えない光を帯びたことに万は気づかぬふりをした。

 

「じゃあ、俺はそろそろ行かせてもらう。またなんかあればその連絡先に頼む」

 

「・・・ああ」

 

一拍おいてからの返答にぺこりとお辞儀をしたセレネを見て万はふと微笑んだ。

 

 

 

またもタンデムで移動してたどり着いたのは何の変哲もない普通の高校であった。もっとも、“学園都市の中で言う”普通の高校だが。

正面玄関から入って事務室で面会に来た旨を伝え、応接室で待つこと数分。ジャージ姿の女性教師と女の子が入ってきた。

 

「いやー、待たせたじゃん」

 

「いえ、あなたには一宿一飯の恩義がありますし、大して待ってもいないので気にしないでください」

 

「そういわれると助かるじゃん。ところで、そこの子が・・・」

 

「はい。月島深名(つきしまみな)です」

 

静かな声でセレネが自己紹介をする。もともとの振る舞いがどこかお嬢様のような上品なものだからか、それを見て二人は好感を持ったようだった。

 

「私は黄泉川愛穂(よみかわあいほ)。で、こっちが月詠小萌(つくよみこもえ)。二人ともこの学校の教師じゃん」

 

黄泉川のほうからもたらされた紹介に二人は半ば反射的にいぶかしげな顔をした。そんな二人の様子を見てか、小萌が―――この場合では小萌先生というべきかもしれないが―――軽く苦笑しながら二人に向けていった。

 

「人は見かけによらないのですよ~、二人とも」

 

その言葉に万は半ば感心しながら“やってしまった”というような顔をした。彼は簡単に表情を表に出すことを良しとしていないからだ。

 

「すみません。ところで、そろそろ本題に入りたいのですが」

 

「おっとっと、そうじゃん。で、わざわざ会いに来たってことはそれほどの用件、ってことなのか?」

 

「ええ。・・・ところで深名」

 

「もう確かめてある。少なくとも、盗聴器は仕掛けられてないわ。カメラのほうは私がごまかせる」

 

「OK、サンキュ」

 

思い出したように呼ばれたセレネがすばやくリサーチ結果を伝えた。その短い会話を聞いた黄泉川の表情にすと陰りがさしたのを万は見逃さなかった。

 

「・・・どうかされました?」

 

「いや、なんでもないじゃん」

 

何気ない体で問いかけた万の質問に黄泉川も何事もないように答えた。

 

「それで、ですね。彼女はちょいと訳ありでして。で、数日前に行き会って、行く当てがないそうなので、そういえば、と思い出してここを訪ねた次第なのですが」

 

「なるほどねぇ。要するに、月詠センセにその子を預かってほしいと」

 

「はい。彼女のほうも、この件は承諾しています。身勝手なお願いであることは重々承知の上ですが・・・。お願いできますか?」

 

「構わないのですよ。よろしくお願いしますね、月島ちゃん」

 

あまりの即答に軽くない驚きを感じながら万とセレネは頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

 

「別にお礼を言われるようなことではないのですよ」

 

そんなテンプレなやり取りが終わったところで、黄泉川がいったんつむっていた目をゆっくりと開き、万をしっかり見据えて問いかけた。

 

「なあ、一つ聞いていいか?」

 

「ええ。なんでしょう?」

 

そして、その口から出てきた言葉には万も驚くしかなかった。

 

「その子、もしかして“裏”に関係してるじゃん?」

 

隠せない驚きを出しながら、ゆっくりと万はうなずいた。その反応を見て黄泉川は「やっぱりか・・・」と独りごちた。

そんな反応を見て、万は黄泉川に問いかけた。

 

「なぜそう思ったのか、参考までにお聞かせ願えますか?」

 

「・・・直感、かな。知り合いに何人かいるじゃん、そういうやつが。そいつらと、なんというか・・・。雰囲気っていうのか、オーラっていうのか・・・そういうのが似てるような気がしたじゃん。それに、彼女の能力、もしかして“波長を操る能力”なんじゃないか?」

 

前半には慧眼に驚くばかりだったが、最後に付け足されたように言われた言葉に、二人とも驚きと疑問が入り混じったような表情を浮かべた。

 

「なら、たぶん間違いないな。君、もしかしなくても研究所暮らしだったんじゃないか?」

 

あえて、黄泉川は月島とも深名ともいわず、君という呼称を使ってそういった。

ここまで当てられてはもう疑うべくもない。万はそう判断し、口を開いた。

 

「あなたは、彼女の幼少期を知っているのですね? それも、個人としてではなく、警備員(アンチスキル)として」

 

今度は黄泉川が驚く番だった。その反応を見て、どこか悲しげにふと笑った。

 

「やはり、ですか・・・。結論から言いましょう。彼女はその頃を覚えていません。あなたが過去のことをどうしようと、俺は干渉しない。故に、俺はこの件についてこれ以上触れないことを約束します」

 

それは、宣言と同時に、一つの封印を解く言葉でもあった。

今まで彼女の過去に触れることはほかならぬ彼が禁止していたのだ。彼女の記憶を断片的に見たからこそ、彼はそれを禁止したのだ。

それを知っているからこそ、セレネは横でぎょっとしたような表情を浮かべこっちを見た。それに対し、軽く笑って万は言った。

 

「大丈夫だ。その辺はちゃんとわきまえてる人だからな。・・・何はともあれ、お願いします」

 

そういってもう一度頭を下げた。そのまま、隣のセレネを促して帰ろうとしたときに、ぽつりと彼女が言った。

 

「ねえ。やっぱり私、ここに残りたい」

 

その言葉に、教師二人は訳が分からないといった表情をしていたが、万だけが軽く笑った。それはまるで、いたずらばかりする子供に対して仕方ないと笑うような、やさしい笑顔だった。

 

「・・・俺は言ったはずだ。あんたの意志を尊重すると」

 

そして、笑みを消して、しっかり目を見ていった。

 

「お前は、何がしたいんだ? そのために、何をしなくてはならないんだ?」

 

その言葉を受けたセレネの目に、力強い光がともった。そこに今まであった躊躇や遠慮はなかった。

 

「・・・私を、この学校においてもらえないでしょうか?」

 

その言葉に、教師二人は先ほどの万のような笑みを浮かべた。

 

「・・・構わないじゃん」

 

「そうですよ。遠慮することはないのです!」

 

「・・・ありがとうございます!」

 

その言葉に、心底嬉しそうな笑みを浮かべ、セレネは深く頭を下げた。その笑みは、万が今まで見た中で最高の輝きを伴っていた。

 




とまあ、つなぎに近い話でした。

今回は打って変わって短いですね。
ちなみに今回3707文字だそうです。短っ!

さてさて、次回からある程度更新間隔は短くなるかもといったな、あれは嘘だ。
言い訳するようですが、バイト代でSAOと劣等生の既刊すべてを買ってしましまして。
劣等生は読み終えたんですけど、コミック買ってないとはいえど同じくらいのペースでSAOを読もうと思うとあとひと月はかかる計算なんですね

なので、その期間更新は停滞すると思います。申し訳ない。

活動報告のほうのコメントもお願いいたします。

では、また次回。
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