【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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はい、どうも。

なんとか書き上げれましたけど・・・。うわあ・・・。
まあつなぎだからこんなもんかな・・・(震え声

では今回分どうぞ。


25.嵐の前触れ

無人機の襲撃から少し経った頃の夜、万のメッセージチェッカーが着信を告げた。何だろうと思いつつ件名をちらと見ると、一見無秩序な文字列が並んでいた。その文字列から送り主をだいたい見当をつけた万は、頭の中で文面を書き換える。

というのも、これは彼の編み出した暗号化プログラムで、こちらのパターンは浜面に送ったほうのものである。浜面に渡したUSBメモリの中身のひとつがこの暗号化プログラムだった。自分で開発した以上、自分の頭の中でプログラムが書き換える前の文章を逆算することも可能だ。

 

そして、その結果生まれた文面は次のようなものだった。

 

『こちらのほうで動きがあった。

 ニトロが聞いた情報によれば、かなり大規模な外への輸送班が組まれているらしい。

 一回一回はかなり少ない上に、それぞれかなり巧妙な偽装をされているため、校閲に引っかかることは考えにくい。

 そうなったらトライではやることはできない。俺たちはあんたの使った隠し通路はわからないし、ライトも覚えてないそうだからな

 もしかしたらどこかで派手に花火でも上げるつもりなのかもしれない 万が一の時は麦野を頼む

 また詳細をつかんだら連絡する

 ビーチ』

 

ちなみにいうと、ニトロというのが絹旗最愛、トライというのはアイテム、ビーチというのは浜面のことを指す。

いくら暗号化のパターンがいくつかあるにせよ、これでは文面から簡単に察せてしまう。だが、それだけ考える暇もなかったのだろう。ということは、つまりそれだけ猶予がないということを示す。

 

「なんとか、ってとこか」

 

そういってゆっくりと椅子に体を沈めて軽く伸びをしていたところに、今度は通信機のほうが音を立てた。ディスプレイの“ライト”の文字を見て能力で通信状態にすると、万は声を出した。

 

「全く、夜更かしは美容に良くないぞ?」

 

「ずいぶんとらしくないセリフを言うのね」

 

「うるせえ、ほっとけ。・・・で、何の用だ、セレネ?」

 

「その名前は捨てたわ。今は深名よ」

 

少女のように軽く頬をふくらますセレネ改め深名は、初めて会ったときに比べ表情も柔らかくなり、心なしかリラックスしているように感じた。

 

「ああ、悪い。で、どういう用件だ?」

 

「は・・・じゃないや、ビーチから連絡って行った?」

 

「今さっきメッセ読み終えたところだ。で、どうした?」

 

「・・・どうやら、一部の元暗部や施設の子供たちが近々外に出されるらしいの。私も含めて」

 

「・・・お前もか?」

 

「どうやら気づいた人は黄泉川先生だけじゃなかったみたいね」

 

「・・・そういうことかよ、くそッたれが。ほかにそっちくらいの年ごろのやつはどんなもん居るんだ?」

 

「同年代は私も含めて5人くらい。能力者はほかも合わせれば軽く100人は下らないんじゃないかな。全員レベル4よ」

 

「まて、能力者はってどういうことだ?」

 

「ほかの人たちもいるの。そっちの人たちはもっぱら銃機とかを持ってるわ。

 

「総数は?」

 

「ごめん、そこまでは・・・。でも、10、20で効く数じゃないのは確かよ」

 

「穏やかならざる話だな、そりゃ。で、お前はどうするつもりだ?」

 

「もう私はセレネじゃない」

 

万の返答に対する答えは一見答えになっていないようなものだった。だが、万にはそれで十分だった。

 

「それと、ありがとうね」

 

「何のことだよ」

 

「私の名前、あなたが考えてくれたんでしょ?いい名前をありがとう」

 

「・・・気にすんなよ、そんくらい」

 

「気にするわよ、どうしても」

 

深名のその言葉に万はふと笑った。それにつられてか、無線の向こうのセレネも笑った。

 

「じゃあ、また」

 

「ああ、またな」

 

その言葉でその通信は切れた。

通信が完全に切れていることを確認すると、万は煙草を口にくわえた。バイトをしている同級生からちょっとした取引で入手してから、徹夜をするときと考えをまとめるときに万はこのまずい煙を吸うことにしていた。それからというもの、だいたい2月に一箱くらいのペースでタバコを吸っている。

今回考えていることは敵の襲撃目的だ。おそらくはISの強奪だろうが、ISに匹敵するレベルの戦力を数で補える学園都市がどうしてそこまで躍起になっているのか万には理解ができなかった。ISに使われているのは、コアのブラックボックスを除いてほとんどが外部の技術である。もっとも、ブラックボックスになっているというだけでコアの技術も外部のものであるのだが。

ならばどうしてか。考えられるケースは複数ある。

まず一つ目。外部の技術が内部の技術より上回るというのが面白くない、という考えがあるから。今現在をもってしても、ISのコア技術にどんなものが使われているのかはわかっていない。その点では外部の技術に劣っていると考えられなくもない。が、この可能性は捨てていいと考えた。さすがに、だからと言ってISを強奪するほどのものでもないだろう。

次の二つ目。ISではなく、生徒が狙いである場合。ここは元女子高だ。今でも、男は万と一夏しかいない。ならば、考えられるのは売春婦の真似事を指せるか、人体実験の実験台にするか、といったところだろう。だが、この可能性も低い。実験台なら置き去り(チャイルドエラー)がいる。ここまでの学園都市の発展を陰で支えた―――といっても本人たちはそんなことミジンコ一匹分も思っていないだろうが―――のは彼ら、彼女らである。その存在がずっと消えていない以上、ここから突然数が減りだすとも考えにくい。ということは、実験台には困っていないわけだ。無論、置き去り(チャイルドエラー)が男ばかりとも考えにくい以上、前者にしてもそうである。もっとも、そういったいわば純粋無垢な女子を調教することに快感を覚える異常性癖の持ち主がわんさといるというのなら話は別だが。なにより、この可能性はあまりにも胸糞が悪いので考えたくはない。いざとなったら腹をくくる必要はあるかもしれないが。

そして残った三つ目。外部からの依頼。いったいどんな依頼なのかはこの際おいておくとして、この線が一番濃いと万は見ている。絶対数が少ないISは、量産が可能な品となればとてつもない戦力と化す。そうなってしまえばアラスカ条約など形骸化するだろう。

だが、そんなことはどうでもいい。今重要なのは、攻められる可能性がすくなからず、しかも遠からぬうちにあるということだ。ならば、こちらもある程度の体勢は整えておかねばならない。そう思った万は、灰が長くなった煙草を灰皿の上においてパソコンを起動させた。

 

その数日後、万は買い出しの帰りに嫌な目線を感じた。だが、この目線はどこかで覚えのある気がした。が、少なくともIS学園の生徒ではない。そうであったらまずだけか特定ができるはずだからだ。

だとすれば、いったい誰なのか。それを特定するために、あえて万はいつものルートではない道を使って人気のない裏路地に誘い込もうとした。念のため能力を使っていたが、罠というわけでもなさそうだと判断したところで、万は振り返って声を出した。

 

「ここなら人気はないぜ。出てこい」

 

目線からだいたいどこに相手がいるのかを特定していた万は相手がここまでついてきていることも知っていた。それゆえの行動だった。

建物の陰から出てきたのは金髪を縦にまいた明らかに外国人と思しき女だった。その顔に覚えはなかったが、

 

「参考までにどのタイミングで看破していたのか、教えてもらえるかしら?」

 

声に覚えはあった。ほぼ間違いなく、デメテルを迎えに来たあの金色のISのパイロットだ。

 

「俺が買い物を終えて店を出たタイミングだ。それまではなんかいやな目線がするな、ってだけだったが、それが店を出たところまで続くとなると、俺に用があった、としか考えられなかったからな」

 

「あら、そんなに早く看破されていたとは驚きね。さすがは“ドイツの神童”といったところかしら?」

 

相手から出た言葉に万は反射的に身構えた。

 

「・・・なぜその呼称を、あろうことか亡国企業(ファントムタスク)が知っている・・・!?」

 

「覚えてくれていたとは嬉しいわ。質問に答えさせていただくと、ある程度長く生きているとあちこちにコネができるものなの。その中の一つから得られた情報よ」

 

「なるほどな。で、俺にはどういう用件だ?」

 

「直接いうのは憚られるから・・・そうね、襲撃、とでもいえば見当はつくかしら?」

 

その言葉でわかった。どういう形でかはわからないが、この一件に亡国企業は何かしらの情報をつかんでいる。

 

「・・・なるほどな。で、俺に何が言いたい」

 

「こちらに来ない?黒川万」

 

その言葉にさらに万は身構える。

 

「あなたほどの戦力なんて、世界中探してもなかなかいないわ。わざわざあんな学園で腐っている必要なんてない。いろいろ優遇はするわよ?」

 

「・・・罠って可能性も否定できないがな」

 

「そうね、でもあの子を()()()()()殺したのはあなただと知っているのは私とデメテルくらいのものだから心配する必要はないわ」

 

付け足された言葉の意味を正確に理解した万は、そのうえで相手を睨んだまま言った。

 

「そのお誘いは断らせてもらう。だが、一つだけ教えろ」

 

「・・・なにかしら」

 

今出せる限りで周りに悟られないレベルの殺気を放出しているというのに、相手の女はいまだに飄飄としていることに軽く内心で驚きつつ、万は言葉を紡いだ。

 

「お前は今回の襲撃に関して何を知ってる・・・?」

 

「私が知っているのは襲撃の依頼と動機だけ。それだけよ?」

 

「その依頼内容は?」

 

「それ以上は企業秘密ってものよ、坊や」

 

唇に人差し指を当て、首を傾げながら言う彼女からは言いようのない色気も感じたが、そんなものに興味のない万の前には意味がなかった。

 

「そうか。なら、おれはここらで失礼したいんだが。一戦交えるというのなら、受けて立つが?」

 

「まさか。こんな昼間から市街地戦を仕掛けるほどバトルホリックでもないわよ、私は。なら、また今度ね、坊や」

 

「ああ。その時にどういう立場に置かれてるかはさておいて、な」

 

そういって万はゆっくりと歩き出した。

 




とまあこんなところですかね?

万の過去設定はもう面倒くさいから没にしようかとも思ってましたけど、使います。

先に言っておきます、ここから結構急展開になります。

ではまた次回。
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