【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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はい、どうも。

バイトやらレポートやらで筆を執る時間が取れない今日この頃。
しかもポケモンやらモンハンやらの攻略もしたいっていう。

そんなのはおいといて。今回どうぞ―。


27.深まる謎

その後、学園へ戻った簪以外の専用機持ちは織斑、真耶の二人の先生の前に出頭していた。簪は今回のことには関係していないので不問とされた。

もともと、無許可でのISの起動は処罰に値する。それに、その直後に複数の輝点がその付近で確認されている。ならば、速やかな報告は必要だろう。

 

「そうか。・・・で、言い訳はあるか、馬鹿ども?」

 

全員の報告を聞き、千冬が静かに睨みを利かせつつ言った。その言葉に、面々は沈黙した。

 

「お前らは周りを見るということを覚えろ。市街上空での戦闘は、そのまま直接市街に被害が及びやすいということだ。うまく敵を誘導し、海上での戦闘に持ち込むことをなぜしなかった」

 

投げかけられる厳しい言葉の数々に、生徒は反論する言葉を持っていなかった。

 

「それにだ、例の謎のISがいなければ、事態の収拾も不可能だったように私には聞こえたが?だったら、そう判断した時点に学園も含めた関係各所に連絡があってしかるべきだろう」

 

「お、織斑先生、一回その辺に・・・」

 

「すみませんが、口を挟まないでもらえますか、山田先生」

 

あまりに厳しい言葉の数々に真耶がなんとかなだめようとするが、それを一蹴して千冬は続けた。

 

「とにかくだ、今後勝手な行動は慎むこと。もし今後やむを得ず教師の目の届かないところで戦闘行為をせざるを得ない状況下に入ったら、一言でもいい、学園に報告しろ。いいな?」

 

その言葉に七人はうなずいた。それを確認してから、思い出したように千冬が言った。

 

「ああ、それと。さっきのことは更識妹にも伝えておけ」

 

その言葉に一夏が頷いた。この中で一番簪と意志疎通が取りやすいのは一夏であると全員の無言の了解を得た形だ。

 

 

 

「黒川殿、少々話があるのだが・・・」

 

そして、部屋を出た後に万は呼び止められた。振り向かなくとも、その口調で万は相手がだれかわかった。振り返った先にいたのは、予想に違わぬ小柄な銀髪。

 

「ったく、いい加減その口調やめろっての。むず痒い」

 

「努力はします。ですが、今はそんなことより大切なことがある」

 

「なんだよ」

 

「あの謎ISについてです」

 

いまだ四角い口調を変えずに、しっかりとその灰色の目を見てラウラは言った。はっきりと何のことかは言わなかったが、それでもどのことなのか、二人にはわかっていた。

 

「・・・なんでそんなの俺に聞く?」

 

「あなたがおそらく唯一の手がかりだからだ、黒川万。あの機体、本当の読み名は“イージス”ではなく“アイギス”なのではありませんか?」

 

「・・・それこそ関係者に聞け。俺に聞くな。だが、まあ、あの綴りだ。どちらでも読めるわな」

 

一呼吸、それこそ本当にたった一呼吸だったが、言葉を開けて万は言った。そしてそのまま歩き出すが、その背中からさらにラウラは声をかけた。

 

「ならば約束してください。しかるべき時が来たら、その時には必ず話すと」

 

その声には答えず、万はそのままラウラの前から去った。

 

 

その後、万がたどり着いたのは整備室だった。万の記憶違いでなければ、あの二機はいまここにいるはずである。

扉を開くと、そこには先客がいた。

 

「・・・こんなところで何をしているんですか、ナターシャさ・・・先生」

 

そこには、二機を見上げる形で見つめながら、静かにたたずむ元銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のパイロット、ナターシャ・ファイルスがいた。

もともと彼女は軍属だったが、死亡扱いにされたことで国籍もなくなった。だがそれはあくまで表向きの扱いで、裏で彼女の国籍も生きていた。結果、新たな教員の補強ということで彼女はこのIS学園に教員という形で採用、もとい匿われることとなったのだ。

どういういきさつなのかはわからないが、ナターシャ自身、日本語と英語の両方を話すことができたため、コミュニケーションに問題はなかった。

かくして、ナターシャはIS学園教員としてここにいる次第である。

 

「この子たちを見ていたの。この子たちを作ったのは、あなた?」

 

「まあ、そうですね。俺だけではないですけど」

 

「でも、主にこの子たちの面倒を見たのはあなたでしょう?その年でそういったことをするあたり、さすがは“神童”といったところかしら」

 

「やめてくれ、その名前は好きじゃない」

 

「そう。・・・それはともかく、この子たち、ずいぶんとあなたに感謝してるわよ?」

 

その言葉に万はしばし押し黙った。確かに、このAIを基幹としたコンセプトを発案したのは万で、その開発にかなり深くかかわっていたといえる。だが、それをいったいどうやって読み取ったというのか。

 

「ふふ、とても不思議そうな顔をしてるわね。私、世間一般で言うところの超能力者ってやつでね。物の記憶とか、それにある種の思いがこもっていれば読み取れるの。まあ、普段は使わないのだけれど」

 

その言葉に万は少なくない驚きを覚えた。確かにごくごく少数、学園都市で能力開発を受けなくても能力を持つ、という人間は存在する。よくテレビなどでやっているエスパーはその典型だろう。そういった人間を、内部の人間は“原石”と呼称する。

 

「・・・確かにこいつらに俺はかなり深くかかわっています。・・・で、俺に何か用があったのではありませんか?」

 

「うん、すこし、ね。ちょっと前にイーリから連絡があったの。そろそろ、爆ぜる頃合だと思う、ってね」

 

その言葉に万は軽く眉根にしわを寄せた。この際、イーリというのが誰なのか、というのはどうでもいい。だが、

 

「・・・爆ぜる、とは・・・?」

 

「君ならわかるんじゃない?三つ子の親たる君なら」

 

その言葉に万は軽くため息をついた。単語の意味するところに心当たりはあった。

 

「・・・わかりました。一応頭には入れておきます。・・・で、本当にそれだけなのですか?」

 

「ええ、それだけよ。できればあの青い子も見ておきたかったけど・・・」

 

「・・・あるんじゃないですか、用件・・・」

 

軽くため息をつきつつ万はあと一か所開いているハンガーの上に立ちセイリュウを展開した。そのまま飛び降り、仮想ディスプレイを表示して整備を開始する。

 

「ねえ、少しこの子を“視て”もいいかしら?」

 

その言葉に含められた意味を理解した万はただ一言「どうぞ」といった。別に機体に誰かが触っているからといえど、最初のほうはただのチェックのため大した支障はない。

 

「へえ、この子・・・」

 

セイリュウに軽く触りながら、ナターシャは感心したように目を細めた。装甲などには細かい傷が目立ち、明らかにほかの二機より多くの実践を経験したのだろうということはうかがい知れた。が。

 

「先生、そろそろ離れてもらえますか?装甲の修復を始めますので、下手すると巻き込まれますよ」

 

「いいわよ。それに、もう十分わかった」

 

その言葉に万はややオーバーに怪訝な表情をした。

 

「この子、かなりあなたを慕っているわよ。ここまではっきり声が聞こえたのは初めて」

 

声、というのは先ほどの彼女の言葉を借りるなら“ものに込められた思い”というやつなのだろう、と万は理解した。そのうえで、万は尋ねた。

 

「そういうもんなのですか?ひたすら俺の勝手でいじくりまわして、痛めつけて・・・恨みこそすれ、慕うなんて・・・」

 

「でも、あなたの在り方に共感している。必要ないなら殺さずに無力化するための鍛錬を怠らない。そんなあなたに、ね」

 

「・・・不思議なものですね、俺だって殺す時は殺すのに・・・」

 

「ええ、そうね。だって、機械が嫉妬しているのだもの」

 

「はあ!?」

 

思わず大きな声が出た。

 

「いやいや、嫉妬って、いったい何に?」

 

「さあ?そこまではわからなかったわ。だけど、“あれより私のほうが主にはふさわしい”って思っているらしいわね」

 

それにいくつか心当たりのある万は、自動制御に任せてため息をついた。

 

「・・・わかりました。とりあえず、情報ありがとうございました」

 

「いいわよ、これくらい。それじゃあね」

 

そういってナターシャは整備室から去って行った。

いまだ続ける自動制御の処理を見ながら、万はぼんやりと昔のことに思いをはせていた。

 

 

それとほぼ同じ時刻、専用機持ちたちは学食にて夕飯を取っていた。

いつものようにおしゃべりをしているときに、思い出したように箒が言った。

 

「そういえば、万はもともと技術者だったと言っていたが、あの年でそんなことなどあり得るのか?」

 

「あの人なら、十分ありえるだろう」

 

それに答えたのはラウラだった。全員の視線が集中していることなど意に介さず、彼女は続けた。

 

「彼は、ドイツで生まれたのだ。おそらく、あの目はその影響だ」

 

「なるほど、日系人と向こうの人とのハーフ、ってわけだ」

 

「それについては万がちょっと前に言ってたぜ。なんでも、日本人とナントカ系のハーフで、結果的に目だけあの色になったらしい」

 

「たぶん、スラブ系ね。ロシアとか、チェコとかに多いって聞くわ。確かドイツにもいなかったっけ?」

 

「私に聞かれてもよくわからない。物心ついてからずっと軍属だったからな。ただ、それはおそらく、黒川殿の方便だろう」

 

「それは・・・ごめん」

 

少し無神経なことを言ったと思ったのだろう、凰が一言謝るが、ラウラは「気にするな」といった。が、一切表情を変えずに言われても説得力があまりないのも確かな話だった。

 

「そんなのはどうでもいい。万ならありえる、とはどういう意味だ?」

 

「そのままの意味だ。ここから先は表面上にも出ていないがな―――」

 

そういってラウラは話しだした

 




というわけで、いつぞや以上のつなぎ回です。

ナターシャ先生についてはもう少し活躍させたいというのが本音なのですが・・・どうやったらうまくいくのか悩んでます。
っていってももうラストは考えてあるのですが。

ではまた次回。

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