前までのペースはどこへやら、一気に減速してました。
というのも、お盆で結構こっちも立て込んでしまいまして・・・。もっと書きたかったのですが、それを書く体力もなく・・・。
とりあえず、こっからはもっと書いていきたい!です!
それでは今回どぞー。
それは、そこから数日後のことだった。
学校中に警告音が響き渡るようなことはなかった。ただ、それはすぐに知らせられた。
「来たよ」
静かに、官制で待機していた簪が、小さく呟いた。
『了解。各自持ち場につけ。事前に話した通りだ』
すぐに帰ってくる青年の声。それに対応するように、若い男女の声が響いた。そして、報告した本人も、行動を開始した。
「今回想定される敵は数えるのが馬鹿らしくなるくらいの大群だろう。それに、相手も戦闘機やらステルス機やらもいるだろう。それに、学園都市からの応援があるってことは、おそらく能力者からなる歩兵もいる。そいつらも立派な戦力だ。まず、その歩兵に関しては、麦野、それから会長に任せたい。異存はありませんか」
「特にないわ」
「こっちからもなし。能力は使ってもいいんだよな?」
「もち。ただし、一般生徒に危害を加えないことが条件。まかり間違っても一般生徒が入り混じってるのに
「分かった分かった」
「よし。つーわけで、二人は主に歩兵戦力を任せたい。不足はないだろう。
で、後方支援は簪に任せる。先生とうまく連携とってくれ。それと、最初の見張りは簪、俺、庵の三人が交代でやる。官制で確実に後方支援ができるのは俺らだろうからな」
自分で言った言葉を思い出しながら、万は手を動かす。
『先生への通知は終わってる。官制からの指示も、たぶん遅くないうちに来る』
「OK、サンキュな、簪。こっちはもう間もなくだ。残り時間推定2分」
『なんでそんなに早いのよ!?』
「事態を想定してれば動きも早くなるってもんだ。喋ってる暇あったら行動しろ。敵の距離は?」
『最短で、推定77000くらい。音速は出してないみたいだから、多分数分で到着すると思う』
「了解。先制組、大丈夫か?」
『問題なし』
『準備は終わっている』
『今、向かってる。けど、先制攻撃までには、間に合うと、思う』
「後方出撃組は?」
『こちらも問題ありませんわ』
「OK、各々持ち場で待機。先制組はレーダーに引っかかった瞬間にぶっ放せ」
喋りながらも手は止めない。その間で作業を終えた万は、目の前に鎮座する機体たちをそっと撫でた。
「ごめんな。お前さんらには、もっと別の道を歩ませたかったんだけど」
自身の生み出した、子と同じような存在を戦場に送らなくはならない。それに、少なくない心痛を覚えていた。だが、彼女らの起動はもう終わっていた。もう、後戻りはできない。それは、彼自身が一番分かっていた。
「敵襲を感知した直後に、俺は学園の地下に行く。セイリュウのステルスを使えば潜り込めるはずだ。そこで、学園に訓練機として置かれているブラックバードとガンチャリオットを叩き起こす。その間に、おたくらは寮から出撃。三つ子を飛び出させた後、俺もアイギスで飛び出す。飛び出す場所は廊下からでもいいし、その辺は任せる。ただ、同室のやつには話さないこと。それが条件だ」
「同室の子に話さない理由って何?」
凰が一言聞いてくる。確かに、パッと理由は思い当たらないだろう。
「単純に情報漏えい防止だ。この襲撃のタイミングは細かくはわかっていなかったが、そろそろかなとは思ってたんだ。というのも、向こうからこっちに少し情報が流れてたんだ。わずかでも流れてくれるだけありがたいってもんでな。で、何が言いたいかっていうと、こっちがやってることを相手がやっていないって保証はないっつーことだ」
「早い話が、信用ができないと?」
ややにらみながらも箒が言う。自分と同じように生活している人物をそのように言われて、いい気分になる人間はいないだろう。
「ま、そういうこと。言わないに越したことはない。
で、こっからはしっかり聞けよ。最初の立ち位置に関して説明するからな」
『別に恨んでなんかないよ』
突然、無線に聞こえた合成音声の声。はっと見上げたそこには、ハンガーに掛けられた3機のヘルメットにあたる部分がこちらに向いていた。無人機であることを悟られないように全身装甲にしたその体が、こちらに向いていた。
『そうね。むしろ、感謝しているくらい』
『あなたがいなければ、私たちは生まれてなかった』
『それに、あなたも言っていたでしょう?所詮、ISは兵器だって』
『ならば、戦場に出るのは至極まっとうなこと。違うか?』
その機械の声は、心に響いた。今まで感じたことのなかった感情に押しつぶされそうになる。
「それでも、俺は、ISの平和的な使い方っていうのを突き詰めたかった。その先駆けとして、お前らを送り出したかった」
殺し慣れてしまったからこそ求めた、
『それなら簡単でしょ』
『至極単純明快な話だ。生きて帰ってこればいい』
『そして、その暁には、その方法を探せばいい。違う?』
その言葉に、思わず万は言葉を失った。それから、軽く笑って言う。
「そう、だな。じゃ、俺からの命令だ。―――全力を尽くして、生きて帰ってこい!」
『了解だ』『そうこなくっちゃ!』『はい!』
揃った返答に、万は手元のコンソールを操作する。
「カタパルト、固定確認。OK、天井開口、OK。アリーナシールド、解除確認。システム確認、オールグリーン。射出準備完了。―――行って来い!」
最後の一言ともにカタパルトから勢いよく機体が飛び出していく。飛び出した3機を目で追い、自身もアイギスを展開し、飛び立った。
「まず、簪、ラウラ、庵は先制組として待機。ハイパーセンサーを長距離にしておいて、先制で射撃をぶちかましてやれ。その射撃が終わり次第、残りが出撃。敵を殲滅していく。んだが、この時に、全員バイザーを着用すること」
「それって何か意味があるの?」
「視線か」
シャルロットの言葉に続くように言ったラウラに、一つ指を鳴らすことで肯定の意を示す。
「視線で相手の攻撃を読むっていうのはよくある話だ。俺にも覚えがあるしな。バイザーで目元を覆ってやればそれはできなくなる。ちっさいかもしんないけどアドバンテージだ」
本来、バイザーを付けるということはもう一つ別の意図がある。だが、それはばらしてしまったら意味がない。
「それと一応言っておく。今回の作戦は、絶対死人が出る。これはまず避けられないことだ。だけど、大抵のやつは人殺しをためらうだろう。でも、やれ。ためらうな。じゃないと、こっちがやられるぞ」
やがて、レーダーにちらりと先頭の影が映った。三次元レーダーから射出目標を定める。それは、ステルスで最前線に隠れていたアイギスにもはっきりと分かった。
そして、弾丸が放たれる。凩と山嵐から放たれる雨あられの弾丸、それを縫うようにレールカノンと極太のレーザーが飛んでいく。
「よし、行くぞ」
その一言で、アイギスも含めたISが飛び立った。
「本格的な戦闘になった時の立ち位置だが、基本的には俺、セシリア、篠ノ之、凰の組とシャルロット、一夏、ラウラの組、それから簪、三つ子、庵の組で動く。お互い通信を忘れるな。
組って言っても、確認のためのグループ分けみたいなもんだ。別に、セシリアのフォローを一夏がしてもいいし、箒がシャルロットの背中を守っても一向に構わん。簪と庵に関しては、簪が安心してサポートできるように護衛してやれ。庵の機体はかなりオールマイティな機体に仕上げたつもりだから、可能なはずだ」
「三つ子はその支援に入るということか?」
「ああ。それに関しては俺から伝える。幸いなことに、俺はメンテのためにちょくちょくあの2機の近くに行ってるからな。近々、って言っても、最短で3日くらいは必要だろう。明日、学園に行ったときに作戦概要は伝える。あいつらのことだ、作戦遂行能力に関して、問題はないだろう」
「まあ、あのコンビネーションは脅威だったね。あれを単騎で打ち破った人もいるけど」
言いつつ、シャルロットは万のほうに流し目を使う。が、当の万は冷静だった。
「あれは俺とアイギスだからできたことだ。俺だから2機のコンビネーション攻撃が読めたし、アイギスだからその対処もできた。ま、あそこにいた無人機くらいだったらあの2機なら余裕だろうな。
と、そんなのは置いといて。学園都市は無人制御というのも発達させている。つまり、機械類は少なからず無人制御が含まれるだろう。機械類は目下最大火力だろうから、それを考えれば、そっから叩くのが一番早いだろうな」
「人殺しをしたくなければ、機械類から叩けってこと?」
「理解の仕方なんざどうでもいい。どちらにせよ、戦闘機やなんやらあたりから叩いたほうが効率は上がるだろう、ってだけだ」
高速飛行で敵軍に接近する。その間に、万は気づいた。明らかに万が知っている
「IS、いや、パチモンか?」
コア反応もなければ、スコープ越しに補足したのに機体情報も出ない。ということは、おそらく疑似ISだろう。兵器としてならISではなくとも似たようなものなら十二分に開発可能だということは、一時期とはいえ住人だった自分が一番分かっている。だが、どちらにせよ、
「叩き潰すまで」
そういいつつ速度は緩めない。
『先制、命中は約8割。あとは撃ち落とされた』
「了解。そのまま支援射撃を続行、後発隊とともに攻撃を続けてくれ」
その指示を出しながら、片手に長剣を出現させる。
「
一言叫ぶと、すれ違いざまに一太刀。それで片翼を失った戦闘機は、そのままきりもみ落下していった。それを確認することなく、後方に確認した新型駆動鎧に向けて進路をとる。
今ここに、戦いの火蓋が切って落とされた。
あちこちで戦いの音が聞こえ始めたころ、生徒たちも何事かと目を上げだしていた。
「生徒諸君に連絡します、生徒は全員地下シェルターに避難しなさい。繰り返します―――」
その放送は、寮だけでなく外にも聞こえた。
「全員ごめん。今、寮に放送があった」
それを聞いて、簪は通信を繋げた。
「それと一応言っておく。今回の目的はあくまで防衛戦だ。その過程で殲滅をするってだけだ。で、防衛戦だから、生徒や施設を守る必要がある。だから、あんまり破壊力の大きい、周りを巻き込みかねない攻撃は禁止。ただし、周りに被害が出ないようにコントロールできるっていう自信があるのなら使っていい。
で、生徒の避難とかもさせるはずだ。その連絡は、戦場を経験したやつなら、無線とかで伝えるとか、ちょっと古風だけど伝令で伝えるとかすると思うんだけど―――」
「ここは荒事に慣れていない人間が多い。そうならないことも十二分に考えられるな」
続けて言った庵の言葉に、万は大きく頷いた。
「最悪なのは放送とかで声高に案内をしちゃうこと。敵さんのほうにもバレるからな。そうなった場合は、そこを重点的に防衛することになる。その場合、ラウラと篠ノ之がそっちのほうについてくれ。おそらく、避難先は地下シェルター。場所で言えばこの位置だ」
そういうと、地図の一角が囲われる。
「ラウラは初期位置でこのあたり。篠ノ之だとこのあたりだ。歩いていく歩兵部隊よりどう考えても早いだろう。ラウラは比較的近い位置だし、紅椿の機動力は折り紙付きだ。でも、二人とも全力で飛んでくれ。生徒が移動する前にそこを潰された場合、それ以外で安全な場所っていうとおそらく学校の施設になる。てことは、屋外を移動することになるだろう。
相手の目的は、おそらくISの操縦者根絶。いくら技術があっても、それを使える人間がいなければ話にならないからな。なら、間違いなく狙うのは人間が密集するポイントだ。そこが分かってるのなら狙えばいいだけの話。特にそのポイントで守るのは二人だけど、他も頭にだけは入れておいてくれ
で、放送に気付いたやつは誰でもいいから無線でメンバーに連絡。OK?」
「もし放送に気付けなかったら?」
「そのままだ。攻撃が集中しだした時点で自主的な防衛に切り替えろ。ま、その場合、おそらく目標がそっちに集中することになるから、自然とそうなるだろうけど」
無線を聞いた万は、剣を振りながら盛大に舌打ちした。
「まったく、平和ボケした馬鹿どもが・・・!ラウラ、篠ノ之!」
『わかっている!』
『今向かっている』
二つの声を聞きながら、万は先に進む。時折ばらまかれる弾幕を避け、斬り、防ぐ。新型の駆動鎧は1機でも撃墜する必要があるだろう。生憎とその新型は奥のほうにいた。ならば、奥まで突っ込んで撃破するしか、手段はないだろう。
(さて、行くか、本丸!)
自分に喝を入れ、一気にスラスターを吹かした。
「学園都市のことだから、超高感度サーマルセンサーくらいは持ってくるだろう。となれば、歩兵部隊が突入してくるのは生徒の避難したタイミング。さすがに輸送機とかは空中で送ってくることはないだろう。とすれば、おそらく、潜水艦とか、もしくは陸路で来る。陸路って言っても、ここは島だから、おそらく前者。どこから接岸してくるか、ってとこだけど・・・大きな可能性は、形式上の港であるここか、逆に絶壁のここ、それから低地になっているここやここだな」
そういうと、いくつかのポイントが地図上に表示される。が、
「・・・多いな」
「ああ。だから、俺は2つの作戦を提案する。ひとつは、ふたりに2ポイントで待機してもらうやつだ。感知できない範囲は、簪、篠ノ之、俺、三つ子のハイパーセンサーと官制で補うっていう方法だ」
「その2ポイントというのは?」
「正直言って、港のほうは形式上とはいえ警備がある。そこを突破するとなると大なり小なり消耗があるから、そこは避けるはず。その日の風にもよるけど、絶壁を上るっていうのも、同じ理由で却下。となると、低地の2か所。そのどちらかに来るだろう。そっちに山を張る。これはうまくいけば周りをほとんど気にせず戦闘できるから、戦いやすいっていうメリットがある。が、当てが外れる、くらいは特に問題ないかな。最悪なのは戦力を分散された場合。そこを撃破しても、目的を達成させられる。相手は殲滅が目的だからな。
で、もう1個。俺はこっちを推奨したいんだが、これは避難先の近くで待ち構えるって方法だ。相手はおそらく避難先を狙って叩き潰す腹だろう。だったら、そこで待ち構えて一気にやり返す。これは、もし相手の目的が破壊なら取り返しがつかないうえに戦いにくい。が、その目的が考えている通りなら問題ない。どうする?」
「足して2で割ればいいじゃねえか、面倒くせえ」
「つーと、片方を避難先に回して、もう片方を低地に回すってことか?」
「低地にじゃねえ。この2つをよく見たらよ、どっちもこっからはルートがほとんど同じじゃねえのか。こっから、こういう風に言って、そっからこうだろ」
地図上で麦野は指を走らせる。それを見て、万は頷いた。
「うかつだった、言われてみればそうだな。なら、片方をそこに配置するってことでいいのか?」
「正確には私だ。こういう場には私が適任だろ?」
「そうか。なら頼む」
「確かに提案したのは私だけどよ。こうも的中しちゃ、ある意味笑えるな」
迫りくる敵を前に、麦野は笑っていた。本来、学園都市のスパイとしてはやってはいけない行為なのだろうが、
「じゃ、ここでやりますかね。久しぶりだから加減はできねえ・・・ぞ!」
宣言し、自身の能力―――原子崩しを放射状に放った。
「となると、会長の役目は防衛です。避難してきた生徒たちへの兵の前に立つ、すさまじい重圧を伴う役目ですが・・・」
「誰に向かって言ってるの?」
そういって手元の扇子を広げる。そこには例によって達筆で“心配無用”の文字。
「お願いします。最悪、あなたのISなら部分展開して、ということも可能でしょう。それと、これらを」
そういって渡したのは、銃身部に色がついた三つの銃。だが、それは銃と呼んでいいものなのか、と思うほどにいびつな形をしていた。
「
「ありがとう。うまく使わせてもらうわ」
地下シェルターの入り口近く、そこからでもレーダーにちらほらと敵影が映るようになってきていた。低地の2ヵ所は麦野が防衛している。ということは、こちらに向かってきているのはおそらくもう2か所のどちらかからの敵。どちらにせよ、更識楯無がやることはただ一つ。ここを守り抜くこと。一つ腹をくくると、彼からもらった青い銃を空に向けて放つ。
あの暗がりで彼と出会ったことが何よりの証左だが、この身にも能力は宿っている。たまたま、学園都市に一瞬とはいえ在籍したことで生まれた能力、その名を
彼は渡す時に“氷の能力が使える”といった。が、あとからこれをしっかり見てみると、温度の調節機構までちゃんとついていた。つまり、ギリギリ融解する寸前の氷を打ち出すことも、十二分に可能だったのだ。
そして、この液流操作の最大火力の攻撃。それは、一気に温度を上げることによる爆発。油ならそのまま文字通り“爆発”するし、水でも水蒸気爆発で攻撃ができる。タイミングを見計らい、一つ指を鳴らす。瞬間、敵の真上で起きた水蒸気爆発は、敵の3割を戦闘不能に追い込んだ。
戦闘は徐々に激化していった。
はい、というわけで。
最終局面ですね。ここからはサブタイトルは”最終局面―○○―”という形で最後まで行こうかな、と思っています。
最終決戦をうまく書けるよう努力した参ります。今後ともよろしくお願いします。
ではまた次回。