【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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 はい、どうも。

 家より学校より車校より電車のほうが筆が進む今日この頃。なぜに電車の中。
 あれですかね、周りの目をそこまで気にする必要がないからですかね。

 そんなのはともかく、今回分どぞー。


44.最終局面―変遷―

 

 アイギスを駆使しつつ戦う万は、一抹の違和感を覚えだしていた。

 

(おかしい。俺がこの機体を最強に恥じない兵器として育て上げたのは確かな事実だし、こいつには俺の戦闘経験記録をコピーした。今なら、レギュレーションなしのガチンコなら、少なくとも、ここで負ける自信はない。だけど)

 

 思考をしつつ、群がってくる敵を叩き潰しつつ、周りの敵に向かって叩き潰す。

 

(いくらなんでも、ここまで群がるか?)

 

 ハイパーセンサーを戦っている最中に使わなくては、この中で生き残ることはできない。が、ハイパーセンサーを使っていると明らかに敵がこちらに集まってくるのが分かる。おそらく有人機も多い、新型機もこっちに来ているのだろう。それ自体は確かに喜ぶべきことかもしれない。が、これだけ集まった敵を倒さないわけには防衛戦に加わるわけにはいかない。このまま無理に加わろうものなら、二次災害を生み出しかねない。だが、ここまで自分に敵が集中するとはさすがに思っていなかった。このまま戦っていたら、撃墜は免れない。

 

 

 

 

「それと、一つ言っておく。もし本当に、撃墜が免れないような状態に陥った場合、―――切り捨てろ」

 

 あえて冷酷に万は言い切った。その言葉に、一夏は身を乗り出した。それを見て、手を前に出して止めた。

 

「お前のことだ、どうして、って言うんだろうな。だけどな、こういう作戦を立てる身としては、無理矢理助けるっていうことは、うまくいけば二人とも助かってそれで終わりだ。だけどな、断言してもいいが、そんなうまい話はフィクションの中だけだ。切り捨てれば一人の犠牲で終わる。だけど、助け出せなければ二人とも共倒れになる可能性が高い。だからなんだよ。ただでさえも貴重な戦力なんだ、できるだけ失いたくない」

 

「目の前で死ぬかもしれないってやつを見捨てろっていうのかよ」

 

 静かな声は、その表情も相まって深い怒りをよく表していた。

 

「ああ、そうだ」

 

 同じ静かな声だったが、万は変わらず静かだった。

 

 

 

 

(・・・仕方ないか。あんまり使いたくなかったが)

 

 ある種のあきらめにも似た思考と共に、剣を横に薙ぐ。その直後、一つ目を閉じた。瞼の裏に浮かぶのは多数の数列。

 

 彼の白兵戦能力、そしてシルベル・レプリカがあるとはいえ、彼がなぜここまで絶対的な自信があるのか。そもそも、それだけで、彼が最強の機体と思えるのだろうか。答えは否だ。この機体を最強たらしめているその理由は、パイロットが彼であるからだ。

 

 彼が目を閉じると、その周辺の機体が妙な軌道を見せた。徐々に動きがゆっくりになり、やがて停止した。だが、落ちる気配はなく、そのままそこで静止したのだ。その範囲は少しずつ広がり、やがてアイギスの近くの機体ほぼすべてが似たような挙動に陥った。そしてそのすべてが氷漬けになっていた。

 

 これは、アイギスと彼だからこそ可能な技。

 アイギスに搭載された、能力演算補助機能。それを使用することで、疑似的にすべてを凍り付かせる絶対零度を作り出すことによって、すべての生体反応を途絶させる、彼とアイギスの最終奥義。これこそが、アイギスが最強たるゆえんである。

 

 彼が能力を解除した瞬間、その凍結した機体群が揃って地に堕ち、尽く粉砕した。その光景に、運よく範囲外にいたり、何とか回避が間に合ったりした敵が震え上がった。

 

「ば、化け物・・・」

 

 誰かが呟く。それは、万の耳にはっきり届いていた。その声に、万は鼻で笑った。

 

「その程度のモンなのかよ、おたくらって」

 

 口調は挑発している。だが、先ほどと違って、それに対して無条件で向かってくる相手はいなかった。

 

 

 その頃、簪たちは丁度本拠地にあるEMP解除装置の下にたどり着いていた。そこには、一人の少女がいた。半ば反射的に銃を向ける簪を庵が制した。

 

「久しぶりだな。今は深名と言ったか」

 

「ええ、久しぶりね。今は確か、庵さん、だったっけ?」

 

「ああ。で、なぜここに?」

 

「もとは学園都市の部隊としてここに来たんだけどね。多分、今頃IMA(作戦行動中行方不明)かKIA(作戦行動中死亡)として処理されてるんじゃないかなー」

 

「答えになっていないぞ」

 

「まあまあ、そんなに慌てない。で、部隊は私も含めて全滅したことにしちゃった。ちょっと犠牲は払ったけど、誤魔化せたと思うし」

 

 そういいつつ、片袖を軽くまくる。そこには少々以上に痛々しいとも取れる痣があった。

 

「最悪、裏切ったことがバレてるかもしれないけどね」

 

 直後、その横に藍色のISが滑るように飛んできた。そのままひざを折り、その前の装甲を開く。

 

『乗ってください』

 

 一瞬、その合成音声のような声がどこから聞こえたのか、理解することができなかった。

 

『私の命を、あなたに預けます』

 

 が、この言葉で、すぐに理解することができた。この目の前の機体が、まさに自分にその身を預けようとしているのだ。その事実に、少なくない驚きを覚えていた。

 だが、迷いはなかった。ISスーツはないが、この際仕方ない。と、思っていた矢先に、ISスーツが投げられた。

 

『万殿より、預かっておりましたゆえ。あなた様は私たちがお守りします』

 

 その言葉に一も二もなく頷いていた。素早くISスーツを身にまとうと、機体に体を預ける。初めて乗るはずなのに、その機体はまるで長い間使っていたような居心地の良さがあった。

 

[JP MULTI TEST TYPE CODE γ restart.

A New Pilot is recognized.

First-Shift ready……start.]

 

 一瞬だけ流れた英字。直後に、頭の中に情報が流れ込む。だがそれも一瞬で、すぐに機体は意のままに動いていた。

 

「あなたの名前は?」

 

 さすがに、JP MULTI TEST TYPE CODE γ―――日本の種々の試験機γ型、というのが正式名称というわけではあるまい。

 

『私に名前などありません。私はセイリュウの中のAIです』

 

「そっか、なら・・・インディゴ。今からあなたはインディゴ」

 

 藍色の機体、その色からインディゴと名付けた。我ながら安直なネーミングだが、咄嗟なのだから仕方ない。

 

『・・・わかりました。これからよろしくお願いします。マスター』

 

「うん、よろしく」

 

 やり取りを終えたころには、簪たちは自分たちの作業を終えていた。

 

「終わったよ。けど、すぐに解除されちゃうから、暫くここに張り付いていないと」

 

「となると、ここで簪を防衛しながら大本を叩く、ということになるな」

 

「それなら私たちに任せて。ここは死守するわ。それに、庵さんと私たちとでどちらが戦闘能力が高いかなんて比べるまでもないわけだし」

 

「それはそうだが・・・」

 

「大丈夫。発信源の逆探知も大体終わったよ。もっとも、攻撃手段をどうしようかって話だけど」

 

「どういうことだ?万はかなりの状況をシミュレートしていた。大抵の状況には対応できるはずだろう?」

 

「確かにそうなんだけど・・・水中だから」

 

 

 

 

「敵さんのことだ、むざむざとやられるとは考えにくい。パッと考え付くのは電波妨害、その手段はチャフやEMPだろうな。

 チャフはおそらく使ってこない。ただでさえも空中戦が繰り広げられている空間だ、チャフなんか使おうもんならどうなることやら。

 EMPに関しては、簪の機体の追加パッケージにある。ダウンロード過程で少しプログラムをいじらせてもらった。その時に使えるようになっているはずだ。もし出力が足りないのなら、学校側からエネルギーを融通すれば解決するはずだ。もっとも、それを使うとオーバーロードするから、少々リスキーだがな。そうじゃないのなら、学校側のレーダーをハッキングして対EMPの対策とする、とかな。ただ、後者の場合、技術的には可能だろうが、成功した後にちゃんと報告すること。面倒なことになる」

 

「でも、レーダーの出力程度で大丈夫なの?」

 

「まったくもって問題ない。電“波”だからな。波の合成の原理でやれば問題なく対抗できるはずだ。最悪でも改善くらいはできる。

 だが問題は発信源だ。これはあくまで対症療法だし、おそらく解除するまで簪はそっちにかかりっきりになる。考えられる発信源は超高高度からか、水中だ。水中に関しては、ラウラを除く射撃型の誰かがやってくれ。音響弾があるはずだから、そいつで位置を特定して、超音波弾で破壊って流れになるかな。あわよくばほかの水中戦力も無効化できれば御の字だけど、そこまでは状況を見てくれ。無理に遂行しようとはするなよ」

 

「高高度の場合はどうするの?」

 

「その時は、庵しかいないな。一気に距離を詰めて片を付けろ。無論、ステルスを使ってな。そうそう簡単に破られるようなセキュリティを組んじゃいないから大丈夫だ」

 

「その時の簪の護衛はどうする?」

 

「三つ子に任せる。施設内防衛だけど、あいつらならやり遂げるだろう」

 

 

 

 

「大丈夫。守り通して見せるから」

 

 その言葉の裏に強い覚悟を感じた庵は、少しの逡巡の後に頷いていた。

 

「分かった。ここは任せる。さっさと行って終わらせて来る」

 

 そう一言告げると、手近な窓を破って外に出ていった。

 

 

 

 その頃、万は少々劣勢に追い込まれていた。絶対零度はあくまで奥の手で、使用には多大の集中を要する。それに感付いてさえしまえば対処は容易だ。それに、その攻撃特性上、敵も味方も中立も関係なく殲滅してしまう。それに気づけば対処は容易だ。再び物量で押しつぶしにかかった敵の前に、万は再び苦戦に陥った。いかにシルベル・レプリカがあるとはいえ、流石に敵の量が多すぎた。軽く舌打ちを一つすると、剣を振り、もう片手の細身の銃の引き金を引く。それでも、敵は一向に減らなかった。

 

「ったく、俺を倒して何になるってんだよ。ここまで兵力を偏らせてもやる必要のあることなのか?」

 

 ぼやいていても始まらないとわかっていてもぼやかずにはいられないほどに敵は膨大だった。ここにいるのが氷山の一角だとしたら、彼の想像していた以上の大群だ。さすがにこれは危ないと思いだしたところに、見覚えのある青い閃光が数筋走った。

 

「おいおい、マジかよ」

 

『ご無事ですか』

 

「ああ、大丈夫だ。サンキュな、セシリア」

 

 正直に言って巻き込みたくなかったが、こうなってしまっては仕方がない。それに、一人だけならジリ貧だが、援護があるのなら問題はなかろう。

 

「悪いけど暫くお付き合いいただけるか?セシリア」

 

「もとよりそのつもりですわ」

 

 近接戦闘で切り抜けて、万のすぐそばまで来たセシリアは、真っ直ぐに剣先を敵に向けた。

 

「悪い。サンキュな」

 

 そういうと、万は再び突っ込んでいった。後ろには援護がある。それが今までにない安心を万に与えていた。

 

 

 その頃、地下シェルター上空には不穏な影が差していた。

 

「来たぞ!」

 

「了解した」

 

 おそらく、落下速度でミサイルの威力を上乗せする腹積もりだろう。相当の速度で落下すればISのシールドエネルギーを一撃で刈り取ることも可能だろう。ならば・・・

 そのまま機体を仰向けにする。そのまま、右手を前にかざし、目を閉ざす。AICを使う感覚が、体を包む。今までの感覚とは少し違う感覚だ。それで分かった。

 ハイパーセンサーがちらりとミサイルを感知する。すぐこちらに到着するだろう。

 

 AICを壁のように展開する。

 

 遮断するものの設定を、より大雑把に。かつてはそんなことをしようものなら何もできずに、むざむざと攻撃に身をさらしただけになる。

 

 目を見開く。遠くにミサイルが見えた。それに付随するかのように、航空機。おそらく戦闘機だろう。今までなら止められない。

 

だが、今なら―――止められる。なんとなくだが、確信があった。

 

 手を広げる。その先に、AIC発動の結界が、まるで壁のように見えた。不思議なことに、その壁は厚くなり―――やがて、その壁にミサイルや航空機が差し掛かると、次々に、まるでブレーキがかかったように静止していった。

 

 

 その様子に、ラウラは薄く笑った。いまだに莫大な集中を要する状況ではあるが、口もきけないというほどではない。AICの範囲を調節し、そのまま少し距離をとる。

 

「ドライ・カノーニア」

 

 短く、静かなコール。それだけで、両肩に重みが加わった。右腕にも重みが加わる。それを確認して、ラウラはAICを解除し、直後に引き金を引いた。弾頭を撃ち抜かれ、その機体に穴をあけられたことにより、それらは例外なく炎上し、空中で爆発した。

 

(ここまで予測していたのだとしたら・・・まったく、慧眼恐れ入るな)

 

 先ほどとは違う笑みを浮かべながら、ラウラは先へと進んだ。

 

 

 その頃、一夏達の下にも件の新型が迫っていた。基本的にはナターシャが迎え撃つが、それでもすべてを対処できるわけではない。どうしても一夏達のほうにも新型が向かった。

 始め、一夏は新型をISだと思っていた。話を聞くに、学園都市の内側の科学技術はかなり進んでいるといわれている。ならば、ISを作ることも可能だったのだろう。そんなことを考えつつ、手にした雪片を、相手の胴へ一閃する。何事もなく、―――と言っては少々語弊があるが―――そのまま落下していくはずの機体から、飛び散るはずのない鮮血が飛び散った。

 

「え・・・?」

 

 茫然とした。雪片を使って、人を傷つけたのはこれが二度目だ。万も、今回は人死にが出るといっていた。だが、実際に直面した瞬間に、一夏の体は硬直していた。

 

「織斑君、何をしているの!」

 

 ナターシャが叱責する。その声も一夏には届かない。無防備な一夏に入りそうになる攻撃を放つ相手を、アサルトライフルの弾丸が撃ち落とし、見えない弾丸が吹き飛ばした。

 

「一夏、ボーっとしている暇はないよ」

 

 だが、その声すらも届かない。が、この中の一人はまったく違う行動をとっていた。その一人はそのまま傍まで飛ぶと、拳で一発殴った後に、その胸倉をつかんだ。

 

「ふざっけんじゃないわよ。あんたは腹くくれてなかったわけ?」

 

 激しやすい凰だからこそ、その口調の静かさがかえって恐ろしい。殴られたことも相まって、一夏にはその本気度合いというものがよく分かった。

 

「・・・悪い」

 

 何とか一言絞り出す。その言葉に、凰は突き飛ばすように手を放し、横と後ろに向けて片手に持っていたレールカノンを放った。その弾丸は轟音を立ててその先の相手を撃ち落としていた。

 

「本当に分かったんなら、行動で示しなさいよ」

 

 その目もかなり険しい。どうやら自分が思っているより本気で怒っているようだ。

 

「悪い」

 

 だが、おかげで腹をくくることができた。ほかの人間からしたら遅すぎるかもしれない。が、それでも無駄ではない。

 ハイパーセンサーが背後の敵を感知する。少々距離があるということが分かると、一夏は雪羅を荷電粒子砲の状態に切替え、一発放った。命中し、相手はそのまま地に堕ちた。だが、もう一夏は振り返らなかった。振り返るのは、この場ですることではない。

 

 

 庵はステルスを駆使して高速機動を続けていた。相手のポイントはおおよそ推測がついている。推測ポイントの近くに到達すると、凩を起動させる。そのまま機体の状態を水中でも稼働可能にし、水中から一発だけ音響弾を発射する。この手の小技までできるような性能になっているあたり、あの男は本当に優秀な技師なのだろう。そのまま、自身の耳と目を集中させる。

 

 キーン、コーン、ポーンと三種類の音が響く。少し遅れて、反響が帰ってくる。その時間からそれぞれのポイントからおおよその距離を算出する。そこから、おおよそとは言えど場所が算出させられた。

 

(見つけた・・・!)

 

 凩の射撃モードを全連射に変更し、弾頭は対潜兵器へ。おおよそのポイントへ向け、その兵器を一斉に発射した。EMP攻撃拠点を潰すことに成功していた。

 

「簪、一応お前が言ったポイントにいたと思われる敵は潰した。状況はどうだ?」

 

『大丈夫。そのまま戦線に加わるから、戻ってきて』

 

 その一言を聞き、庵は浮上を開始していた。

 

 

 セシリアと合流し、敵を順調に撃墜する万にも、流石に疲労の色が見えていた。

 

「多すぎねえか」

 

「多いだろうといったのはあなたでしょう?」

 

「さすがに俺にここまで集中するとは思ってねえよ。このままだと押し切られるな」

 

 疲労と共に焦燥にも似た危機の色も見える。セシリアが、この短時間でも少なくない疲労を覚える戦闘を、おそらく開始直後からずっと繰り返しているのだろう。だとすれば、彼の精神力の強靭さは圧巻の一言に尽きる。だが、このまま突破するのが難しいというのはセシリアも感じていた。そう思っていた時に、それが現れた。

 前の敵を下から切り上げ倒す。が、その直後に横に敵が現れた。セシリアのビットも遠い位置にある。一撃は覚悟すべきかと背を向けた瞬間に、そのあたりが爆炎に包まれた。その熱量を吸収し、アイギスのエネルギーが回復する。それを確認すると、一つの回線を開いた。

 

「とりあえず、感謝すべき状況なのかな、これは」

 

『別に感謝とかは必要ないわよ。私も、目的のためにはこの人たちは邪魔だから』

 

 聞き覚えのある声。それに、やはりと思った。ハイパーセンサーを少し意識すると、そこにはやはりというべきか、金色の機体が佇んでいた。

 

「セシリア、あの金ぴかには攻撃するなよ。向こうが攻撃してきたのなら話は違うけど」

 

「分かりましたわ」

 

 理由を聞かないあたり、この少女の聡明さには感謝だ。いちいち理由を説明しているほど悠長な暇はない。

 

「とにかく、叩き潰すぞ」

 

 実力は一瞬とはいえ直接対峙した自分がよく分かっている。だからこそ、危険であり、頼もしかった。

 

 

 同じころ、麦野も疑問に思っていた。いくらなんでも、こんなに簡単に防げるものなのかと。歩兵の戦力など、猟犬部隊(ハウンドドッグ)や、一度は壊滅したとはいえ、人員だけでも復活させたスクール、ブロック、メンバーなど、かき集める気になればいくらでも集められるだろうに。

 

(楯無と私のほかに食い止めている人間がいるってことか?)

 

 それこそありえないだろうが、そうでもなければ説明を付けることが難しかった。だが、自分のやるべきことはここから一人たりとも通さないこと。ならば、それを遂行するまでである。

 その考えを頭から捨て去り、再び能力を前方に放つ。その後に気付いた。遠く、本当に遠くだが、壁のようなものができていて、増援が少ない理由は、おそらくそれだろう。誰なのかは知らないが、楽にしてくれているのは確かだ。そう思った麦野は楯無の下へと向かった。

 




 はい、というわけで。

 たぶんいまだかつてないほどにサブタイトルは悩まなかったです。変遷というか激動というか。でも戦況の変化、ということで変遷という言葉を選ばさせてもらいました。

 なんというか、状況の変化がめまぐるしい回ですね。書いていたらあれやこれやとアイデアがわいてきてそのまま書いていました。収集つくのかこれ。つかせるしかないんですけどね。

 ではまた次回。
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