【完結】IS―二人目は万能の天才!?―   作:緑竜

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はい、少々遅れました。

とりあえず今日の分どーぞ。


6.リーグマッチと乱入者

先に動いたのは万だった。手にした棍を下段に構え猛然と突進し、振り上げる。それに対し凰はその手の柳葉刀で受け止めようとするが、彼は寸止めをして反対側で殴りにかかる。それに対し素早く反応し受け止め首の付近に横に払うように柳葉刀をふるう。それに対し垂直に棍を縦に構え受け止めると、バックステップの要領でスラスターを吹かせ少し間合いを取る。その間に凰はもう一本柳葉刀を展開させ、突っ込んできた。万は一本ではなく一対であったことに驚きつつ、自身の棍でうまくいなしながら攻撃を叩き込んでいく。だが、双方とも有効打を打つには至らない。

何度目かの打ち合いで、態勢を立て直すために相手の攻撃をあえてまともに受けて、その瞬間にスラスターをバックステップの要領で吹かしつつ武装をガトリングに変更した。適当でもとりあえず銃弾をばらまき相手を牽制することで仕切り直しを狙った。

が、あろうことか銃弾を発する前に万が吹き飛ぶ。それに対し空中でうまく受け身を取ると、レーザーショットガンを数発かまし、今度こそ距離を取った。仕切り直しだ。

だが、そうそう簡単に逃がしてくれる相手でもない。自身の能力を空間に反映し、違和感を感じ取るとすぐさま横っ飛びにかわす。瞬間、今まで自分がいたところと凰の延長線上に何かが着弾した音がした。

 

その光景に対し管制は騒然とする。

 

「なんだよ今の!?」

 

一夏が思わず叫ぶとそれに冷静に山田先生が答える。

 

「衝撃砲ですね・・・。空間自体に圧力をかけて砲弾を撃ち出す兵器です」

 

「第三世代兵器ですわね・・・わたくしのブルー・ティアーズと同じ」

 

「ええ。しかも、彼女の場合、見ての通り砲弾はおろか砲身すら見えず、理論上どこにいても相手を狙い撃つことができます」

 

「そんな・・・!」

 

それに二人は絶句し、固唾をのんでモニターを見つめた。

 

 

そして、それの正体は戦っている万も知っていた。

依然として降る衝撃砲の嵐を、能力を応用したレーダーと甲龍の反応の位置から砲弾の着弾位置を推測することでなんとかかわし続けながら推測をする。

 

(聞いたことがあるな、第三世代兵器で衝撃砲っつー砲弾はおろか砲身も目に見えない射撃兵器があるって。・・・実際戦ってみると厄介極まりねえなあおい。だが、どこかで仕掛けねえと)

 

そこで、過去の一夏の言葉を思い出す。確か、凰は気性が荒く、気が短いと彼はいっていたはずだ。ならばおそらく、

 

(さっさと勝負を決めにかかるはず。特に、今みたいに向こうのペースに飲まれてる状況ならなおさら。・・・一か八か、やってみるか)

 

そう思い、とにかく動き回って攪乱することに集中する。

 

「あー、もう!ちょこまかと!」

 

気性の荒さが射撃の荒さになり、焦りになった結果、一瞬だが凰は万を見失ってしまう。それを確認してからボソリと万はつぶやく。

 

「光学迷彩、起動」

 

その瞬間、藍色のISは姿を消した。

 

 

 

その直後、凰は焦っていた。性急に事を運びすぎたのだ。どこを見ても目で見えることはない。ハイパーセンサーを駆使しても発見はかなわなかった。

 

(ああ、もう!どこにいるのよ!)

 

焦りが思考を停止させ、凰は無意識のうちに自身のISを停止させてしまった。それが致命傷だった。

 

万は光学迷彩を使った後、上空に移動して下を見ていた。

甲龍が動きを止めたのを確認すると、瞬間加速(イグニッションブースト)をも使って急加速しながら落下し、その手に槍を持って一気に甲龍に向けて降下する。相手も気づいて対応しようとするが、どう考えても遅すぎる。

 

 

その槍が甲龍に突き刺さらんとした――――が、その槍は寸でのところで甲龍には届かなかった。なぜなら、万がギリギリで機体コースをそらしながら地上すれすれで停止したからだ。

その原因は、轟音を立ててアリーナのシールドバリアが破られ、何かが乱入してきたからだった。

凰も何事かといった表情でいまだ煙が出ている発生源に――――正確には発生源にいる大きな二つの塊に目を向けている。

万が体勢を立て直した直後、無線越しに凰の声が伝わる。

 

「何!?」

 

「わからん。が、嫌な予感しかしないな」

 

「ちょっと、シャレになってないこと言わないでよ!」

 

「冗談でも何でもねえよ。こちとらロックされてんだ」

 

「は!?・・・って、こっちも!?」

 

そう、ふたりのISには所属不明のISにロックされているという警告が出ていたのである。

血の上った凰に対しとことん冷静な万。そんな対照的な二人のやり取りに割り込むように通信が入る。

 

「黒川、凰!試合は中止、即座にピットに退避しろ!」

 

「俺らがピットに戻ったらもれなくこいつらもついてきて大暴れすることが予測されますがどうしますか?」

 

千冬に対し冷静に反論する万。だがそう簡単に下がる千冬ではない。

 

「とにかく、後の対応は教師に任せて退避しろ!」

 

「へえ、鋼鉄のシールドが降りている状態で、どうやって突入するんです?それまで生徒の安全はどうやって確保すると?」

 

そこまで言ったところでようやく千冬も折れた。

 

「・・・わかった、死ぬなよ」

 

「了解です」

 

そして、そのまま無線で凰に話しかける。

 

「てわけで、勝手ながらおつきあいいただくぜ?凰」

 

「気にしなくていいわよ。戦えるのはあたしらだけだし」

 

「感謝する。・・・左を頼む。くれぐれも巻き込むなよ?」

 

「了解。そっちこそ、しっかりやりなさいよ?」

 

「わかってるっつーの」

 

軽口のたたき合いとも思えるやり取りとともに二人はそれぞれの目標に向かっていった。

 

 

大見得を切って猛然と突っ込んでいった万だったが、戦い始めて一つの問題に気づく。

相手が想像以上に強いのである。これは倒せなくもないかもしれないが、やたらエネルギーを持ってかれたうえで持久戦を余儀なくされるだろう。そして、こちらは先ほどまでの戦闘でエネルギーを多くはないが少なからず消耗していて持久戦は微妙なところだ。

そこまで推測したところで、相手のISに近接と射撃を使い分けつつ戦いながら管制に秘匿回線をつないだ。

 

「コントロール、応答願います」

 

「どうした?」

 

打って響く間合いで千冬の声が聞こえた。

 

「織斑とオルコットをよこしてください。そこにいるんでしょう?」

 

「どうしてだ?」

 

「ちょいときついんですよね、今。全力を出しても拮抗するのが精いっぱいです。視界の端で見るに、凰もそうみたいですしね」

 

「・・・わかった。二人とも、聞こえたな」

 

その直後、二人にも回線をつなぐ。

 

「よし、一夏は凰の援護を、オルコットは俺の援護を頼む。話は俺から通しておく。」

 

「「了解!」」

 

「できるだけ早く頼む。ラジオオーバー、切ります」

 

そして今度は凰のみに秘匿回線をつなぐ。

 

「凰!今からそっちに織斑が援護に来る。あいつは近接しか使えない。その辺を考えて作戦を立ててくれ」

 

「了解。意外と気が回るのね」

 

「場合によっちゃ最悪の事態だろ。こっちにも援護はくるから安心しろ。ラジオオーバー、切るぞ」

 

相手の銃撃をかわしつつ無線で伝えると今度は接近戦を挑む。

何回か接近戦と銃撃戦を繰り返していると、横から青い閃光が飛んできて胴と頭に着弾した。それにより生まれた隙を突き、万は後ろに回り攻撃を仕掛ける。が、相手は後ろに腕を回してそれを受けようとしたが、それをかいくぐる形でナックルダスターを装備した彼の左ストレートが決まり、相手は吹っ飛ばされる。それを確認した万はオープンチャンネルを開き、短く発した。

 

「援護を頼む。背中預けた」

 

そして武器を両手に二本の剣を持った状態に切り替え、突撃する。敵のISはそれを確認し拳を突き出してくるが、万はそれを受け流すともう一方の剣を片腕に突き立てる。その瞬間にもう片方の腕が迫り、セシリアの援護とともに一回距離を取った万だったが、その感触に疑問を覚える。

 

「なあ、オルコット。あれ、本当に人が乗ってるのか・・・?」

 

「何をおっしゃっていますの?ISは人が乗らなければ起動はしませんのよ?」

 

「つってもだ、俺は間違いなく腕に剣を突き立てたぞ。お前も剣が腕を貫通したのを見ただろ?なのに、血の一滴すらないってのはどういうことだ?それに、肉を突き破る独特の感触もなかったし」

 

その言葉にセシリアは今対峙している相手を見る。

 

「・・・確かに、あの位置なら普通は腕があるはずですから、剣が刺さって血が出ないというのは・・・。その剣が高温、もしくは極低温になっているという可能性は?」

 

「それはない。それなら俺が気づくし、なにより使ってない」

 

「ですが、あれが無人機のところで何もならないのでは?」

 

セシリアの疑問に対し万は首を振る。

 

「いいや、違う。たぶん、無人機ってことで絶対防御を発動させてないんだろう。人間がいない以上、必要ないからな。だから剣が腕を貫通した。そして、今までの戦い方から推測するにおそらく武装は拳と手の甲にある銃のみ。てことは、両腕をつぶせばいいわけだ。幸い、片腕は穴が開いてて、あの様子から察するにたぶんオシャカになってる。もう片方の腕を鎮圧すればそれでOKだ。そのあとは一気に攻撃を叩き込んで終わらせればいい。」

 

「・・・さらりと難しいことをおっしゃいますのね」

 

「あんたの狙撃技術と俺の腕があれば可能だ。俺が時間を稼ぐ。あんたはそのライフルで腕の破壊を頼む」

 

「・・・承りましたわ」

 

承諾を聞くと同時、万は拳の保護グローブを展開すると猛然と突進していった。その勢いを使って右手で掌底を放つが、かわされて反撃を放たれる。それを確認してから相手の腕を左手でつかむとさらに足と右手でつかみ固定する。完全にその腕が静止した直後に腕の銃に青い閃光が突き刺さる。それを確認してから両腕でややむちゃくちゃな動きで拳を高速かつ連続で叩き込んだ。セシリアもビットを駆使して相手のISのシールドエネルギーを削っていく。やがてある表示が両方に出た。

―――敵IS、行動を停止―――

 

「攻撃中止!」

 

それを見た瞬間、セシリアに対しプライベートチャンネルで叫んだ。声に気づいたセシリアはビットの攻撃を停止させた。そのまま通信をつないだ状態で呼びかける。

 

「こいつの解析作業に入る。一応、周りを警戒しておいてくれ」

 

「了解ですわ」

 

返答を確認してから、万はボイスコマンドで告げる。

 

「モードチェンジ、マニピュレータ」

 

その言葉とともに彼のISの形態が大きく変化する。今までの無骨な印象のもので戦うための必要最低限な質素なものとは打って変わり、すらりとした印象なもので目にはゴーグルのようなものがあるものへと変化を遂げていた。

そして、万は解析を開始する。まず、胴を覆っている部分に手を当てて、自身の能力をフルに使い中の様子を”視る”。その結果得られた情報は。

 

「・・・やはり無人機か」

 

推測していた通り、相手が無人機だったということだ。そのまま回路を解析し、機体構造を把握していく。

解析もほぼ終わりかけの時、轟音が鳴った。何事かと思い目を向けると白式がたたきつけられていた。念のためつないだままにしていた無線に叫んだ。

 

「オルコット、一夏を援護しろ!」

 

「了解ですわ!」

 

直後、セシリアは一夏の援護に回る。万も行きたいが、形態変更には少なからず時間がかかり、それだけあればあのISは白式を戦闘不能にするだろう。戦況を知るためにも万はオープンチャンネルをつないだ。やがて一夏の声が聞こえた。

 

「・・・狙いは?」

 

「完璧ですわ」

 

そして青い閃光が数筋。それを放ったのはセシリアだ。それを見て一夏が叫ぶ。

 

「セシリア、やれ!」

 

「了解ですわ!」

 

そしてとどめと言わんばかりに相手の胴に閃光が走り、敵ISは倒れた。ほっとしたのもつかの間、敵のISが再起動する。狙いは白式だ。

それに対し一夏は特攻するが、敵の銃弾に白式のシールドエネルギーが0になり、一夏も気を失った。

それを見た瞬間、残った三人が動く。柳葉刀と剣で両側から胴を斬られ、頭を撃ち抜かれたことで今度こそ敵は動きを止めた。

 

 

 

 

その日の夜、万は二人の先生とピットにいた。もっとも、万は機械作業形態(マニピュレータモード)にしたセイリュウを身にまとって、だが。

 

「・・・やはり二機とも無人機ですね。コアも未登録のものが使われていました」

 

「ということは、黒川の解析はあたっていたわけか」

 

「そういうことになりますね。・・・正直、あたっていてほしくなかったんですけど」

 

「それはこちらもだ」

 

そんな応酬をする万と千冬。それまでのけだるそうな口調から一変させ、真面目な口調で万は千冬に切り出した。

 

「先生、頼みがあります」

 

「なんだ?」

 

「このISのコア、いただけないでしょうか?むろん、表向きには破壊した、ということにして、です」

 

「・・・何を言っているんだ、貴様は」

 

「無茶を言っているのは百も承知です。ですが、そこをどうか。お願いします」

 

そういって万は頭を下げた。

 

「・・・全く、本当に大したやつだな、お前は。・・・山田先生」

 

「は、はい」

 

「これは部外秘だ。・・・このISからコアを抜き取るぞ。自爆機構は・・・」

 

「問題ありません。解除しておいたはずです。そうでしょう?」

 

「あ、はい。そういったものは見受けられません」

 

「よし。ならコアを抜き取れ」

 

その指示とともに二人の操作する機器が二つのISコアを抜き取る。抜き取ってもISが自爆する様子はなかった。

抜き取った後、万は改めて頭を下げた。

 

「・・・ありがとうございます」

 

「なに、気にするな。無理無茶無謀は若いうちにやっておけ。それと、もう夜も遅い。さっさと部屋に戻って寝ろ。明日寝坊などしようものならグラウンド外周20周ランニングだ。いいな?」

 

そういいつつ千冬は微笑む。その言葉に万はISコアを量子変換ボックスに収納してISを解除すると、失礼しますと一声かけて部屋に戻った。

 




はい、今回はここまで。
次からが結構自分が書きたかったところ。
でもそろそろバイト始まるしなぁ、投稿ペースもっと落ちるかも。


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