彼女(メリュ子)は百合ヶ丘のリリィ。   作:Celtmyth

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 お久しぶりです。

 短い内容で申し訳ございません。メリュの戦闘力がリリィの水準を軽く突破しているから立ち位置がどうも最終兵器または後方腕組み待機状態で立ち回りが難しいです。


第03話『11本目の百合は美しく、』

 件の特型ヒュージ、アンジェラスやらジェミノスやらと呼称されたがこの二つの名前の通り形態進化が早い個体らしく、通称は『特型ヒュージ』になる。私はともかく、梨璃たち一柳隊の感触は「これまでにない、未知であり強敵のヒュージ」という事らしい。ただし私なら「逃げ出す前にぶっ潰せる」と言うお言葉を百由から貰っている。

 でもその方法は取れない。その特型ヒュージが撤退する判断を持つ知能を持っているからだ。それだけの知能があるなら、ほとんどのヒュージが私に向かってくることをしない可能性もある。そうなると私が出撃した途端、特型ヒュージが逃亡する羽目になっては出撃が無駄になる。

 もちろん現場のリリィ達が足止めをする事だって出来るだろうけど、最初の遭遇で一柳隊とヘルヴォルの二つのレギオンがいても歯が立たずに取り逃がしている。どちらもまだ結成から日は浅いがヘルヴォルは序列トップのリリィが選抜したメンバーであるから実力については上位の筈。それが取り逃がしたなら私から逃げ出す可能性は決して低くない。まぁ要するに「撃破可能であっても遭遇しない可能性があるのならメリュジーヌ・ヴィヴィの出撃の許可は出せない」と言うわけだ。現時点でG.E.H.E.N.A.の裏工作による私の出撃を誘致しているからなおさらね。一応、百由はその戦闘から得られた情報で特型ヒュージの出現場所を特定できるようになったらしいけど、それがいつなのかはわからないそうだ。

 ここまでの話から特型ヒュージに対する結論は、まずその特型ヒュージ対抗できるように強化合宿を行う事となった。

 

「私も強くなった方がいいのかしら?」

「いやいやいや。メリュちゃんがこれ以上強くなったら……、と言うか強くなる余地があるの?」

「多分。私って戦う時、戦闘本能と状況把握を同時にしているの。自分で言うのもなんだけどこれって頭のいい獣と一緒なの。だから人の戦い方として技術や戦術をしっかりすれば総合力として上がるわよ、きっと」

「……それは鍛えたほうがいいのかしら?」

「ただしそうなると私は生物としての中立から人類寄りになるわね。つまり私を御せる、なんて考える連中が増える可能性があるわ」

「じゃあ止めましょう。研究者としては気になるけど、今でも十分に強いメリュちゃんのままでいましょうね」

「うん」

 

 強化合宿の話をしてきた百由はあっさり却下してくれた。つまり私への話はそれとは別と言う訳ね。実際に私一人が百由の研究室に呼び出されてるからね。

 

「じゃあ話の続きだけど。この強化合宿はレギオンの合同で行うの。この百合ヶ丘に呼んでね」

「ああ、前に反していたガーデンの垣根を越えてってやつ?」

「そ、神庭女子藝術高校のグラン・エプレとエレンスゲ女学園のヘルヴォル。彼女たちに声をかけたわ。で、そうなると一柳隊として唯一顔を合わせていないメリュ子ちゃんの扱いをどうするのか、という事よ」

「どうするの?」

「結論から言えば会ってオッケー、ってなったわ」

 

 百由は軽く返すがかなり政治的な交渉があったはず。神庭はともかく、エレンスゲは親G.E.H.E.N.A.のガーデンだ。結梨たちの話からヘルヴォルのリーダー相澤一葉は()()()とは真逆、なんだけど妙に疼く所があるのよね。

 

「百合ヶ丘の管轄内で、()()()()()()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()

「まぁその程度なら」

「でも残念。彼女たちの合流までメリュ子ちゃんは私と一緒よ」

「なんだ。目的はそっちなのね」

「そうよ。私が声をかけたから人柄もおおよそ把握してるんだけど。ヘルヴォルの相澤さん、ガーデンが親G.E.H.E.N.A.だから気を遣いそうでね。それであるロッジを使わせて貰う事にしたのよ。私たちは先んじてそこに向かうわ」

「ロッジ? 百合ヶ丘はそんな施設も備えてるの?」

「いえ、これは百合ヶ丘商店街の会長さんからよ。この話は二水ちゃんも聞いてるから、ヘルヴォルが百合ヶ丘への宿泊を断るならそこへ誘導してくれる筈よ」

「二水ならそうするね。いや、梨璃がヘルヴォルの宿泊施設へ押しかけようとする方が先かしら?」

「……メリュ子ちゃん、普段から結梨ちゃんを優先してるけど他の皆の事もよく見てるわね」

「いつも言ってると思うけど? 私は結梨とこの百合ヶ丘のリリィ達の為にここに居るって」

「ああ、そう言う事なのね。相変わらずイケメン王子だったのね」

「? そんな媚びを売るような事はしてないけど?」

「ファンクラブ、出来てるの知らないの?」

「………知らなかったなぁ」

 

 でも耳に入らなかった以上、あえて深く詮索しないようにした。

 

 

 

 

 百由の案内でやってきたロッジは安易に貸し出すにしては立派な建物だった。ここまでの物を貸し出してくれる理由を尋ねると以前、グリーンフェスの件でのお礼を含むらしい。

 

「それにしても、なんていうか綺麗よね」

「ああ、それは……。いや、メリュ子ちゃんはそんな事が言いたいんじゃないわよね?」

「立地としてはいいと思うわ。気になるのはこんな場所も人類の生存圏に含まれているんだなって」

「メリュ子ちゃんは学園内からあんまり出ないし、だいたいはヒュージの討伐ぐらいだったからね。人の生活圏はここみたいに都市や町から離れた所にもあるわ。そもそもヒュージから生存圏を奪還した後、エリアディフェンスを設置してケイブの発生を抑えているわ」

「じゃあここも?」

「この辺りはメリュ子ちゃんが来る前からそうよ。でもこの間のネスト消滅からヒュージの出現率は激減して、それに伴ってケイブも減ってエリアディフェンスの範囲も広がったわ。その功績には貴女と結梨ちゃんにもあるわ」

「……そう」

 

 これは、遠回しに感謝の言葉を伝えてくれたのかな? ああでも最近はヒュージ討伐が終わった後は「終わったよ。それじゃあ」って感じに簡単に済ませていたからそのせいかもしれない。

 

「まぁいいか。百由、ここに来てする事は?」

「実を言うとそうないのよ。必要な道具や食材なんかも会長さんが手を回してくれたからね」

「じゃあ先に用意」

「はダメよ。それを使ってみんなに親睦してもらう予定だから」

「じゃあ何をするの?」

「何もないわよ。でも折角だからCHARM談義でもして時間潰す?」

「私のオートクレール越えられるなら」

「…………………………………悩むわ」

「その返事まででも悩んだね」

 

 結局、それぞれで時間を潰す事になった。

 

………………………………………

 

 

 

 

………………………

 

 

 

………

 

 

 

 

「――――ちゃーん」

「んん……?」

 

 結局、することがなかった私は広間のソファーでひと眠りをすることにした。それを起こす声は百由じゃなくて愛しい妹の声。

 

「結梨ぃ?」

「おはようお姉ちゃん」

 

 寝起きで間抜けな声で名前を口にしながら微睡みが残る瞼を開ける。見上げれば結梨が覗くように私を見下ろしている。

 

「百由はぁ?」

「外でみんなと待ってるよ。私じゃないと起こせないからって」

「んー?」

 

 なんか意味深な言葉。私、そこまで寝相が悪いはずじゃないわよ?あー、でもまだ頭がぼんやりしてる。

 

「先に戻ってて。出てくるまでに目を覚ましておくわ……」

「はーい」

 

 素直に戻っていった結梨を見送ると私もソファーから立ち上がり、軽く伸びをして体を解して目を覚ましていく。そして最後にオートクレールを腰に装着する。

 

「さて」

 

 外へ出る扉に向かいながら、そこにいるだろうグラン・エプレとヘルヴォルのリリィ達の事を考える。

 正直、初対面相手に親密にする気はない。私にとってはここ百合ヶ丘が全て、その他は興味がない。梨璃なら『仲良くしようよ!』って言ってくるだろうけど、言われてそうする程、私は素直じゃないし。

 ……まぁなるようになるしかないか。

 

 

 

 

 

 ―――音が止まる。

 

 そんなありきたりな表現は本で見る事はあってもその光景のイメージは安直な物だ。静寂に包まれた光景、もしくは風が吹く光景が浮かぶだろうがこの時は言葉の意味になった。現れた少女の音だけが世界に鳴っていた。

 背は低くガーデンの高等部相当ではない。ヘルヴォルの佐々木藍よりは高いが小さいと言える体躯。しかし白亜のように輝く髪に黄金に輝く瞳。外出した事もないかのような白い肌は黒が基調の百合ヶ丘の制服との対比で一層映えて見えた。腰にはCHARMだと思われる、鞘の形をした武器が二本。一般的には専用の鞄に入れて持ち運ぶのだが彼女の場合は特別なのかもしれない。

 結梨に手を引かれてロッジから出てきた彼女はヒトから離れ過ぎていた。現実味のない幻想的な容貌と、どうしてか胸の奥で燻る()()。相反する印象が彼女との間に隔壁があった。それでも彼女たちはその姿から目が離せなかった。

 

「メリュちゃん!」

 

 そんな中で梨璃が彼女に駆け寄った。確かな信頼と親愛があり、同じ一柳隊の皆も同様だ。

 

「ごめんね。しばらく一人にして」

「気にしないで。仕方がない事だし」

 

 声も見た目通り、理想通りとも言える程に澄んでいたが、またその姿に相反するよう傲慢さが感じられた。

 そんな彼女が相澤一葉のヘルヴォル、今叶星のグラン・エプレを見渡す。その瞳と目が合った。一人、一人と視線を交わし――この中で一番小さい藍が目を合わせた瞬間、同じ制服を着たリリィの影に隠れた――、何かに納得したようで頷いた。

 

「はじめまして。君たちの事は結梨、そして一柳隊の皆から聞いているよ。()はメリュジーヌ・ヴィヴィ。梨璃たちと同じ一柳隊のリリィで、特例で結梨とシュッツエンゲルの契りを結んでいるよ」

「うんっ、結梨のお姉ちゃん!」

 

 メリュ、メリュジーヌに結梨が抱き着くとグラン・エプレのリリィが胸を押さえて倒れた。それは無視し、思考に耽るのか目を閉じ、しかしすぐに開けて告げる。

 

「そしてこの地球上で最強の生物。絶対唯一の頂点。まあ、おいおい理解してもらえればいいさ」

 

 一柳隊を除き、その言葉の意味を理解できず首を傾げた。

 

 




 本話で時間が掛ったのは最後の三人称の辺り。とは言え原作のメインストーリー進行の状況からより難しくなってしまったのでキリの良い所を検討しています。

BOUQUET編終わり後について(今後は溜めて投稿するので間隔は長くなります。

  • ラスバレ編に突入
  • FGOクロス多めのストーリー
  • こっちは休んで停滞している他の作品をする
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