彼に甘いミサトにキレたアスカはとうとう家出を慣行する。
そこで半グレ集団に絡まれたアスカ。
だが、ここでミサトが助けに入るのであった。
ややバトルあり。
「ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話」と世界間を共有しております。
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コンフォート17。
アスカは憤っていた。
ミサトはシンジに甘い。
それはシンジが男で、ミサトが女ということもあるが数日前のレリエル戦はひどかった。
ミサトの指示を無視したシンジは突っ走った結果死ぬ想いをしたのだ。
いくらシンジに甘いミサトと言えども、あれは怒らなくてはいけない。
なのに、ミサトはシンジに怒った様子はほとんどない。
「はあ!!!!!!」
アスカは鼻息を荒らしながら肩を怒らせていた。
ミサトは呑気にビールを飲みながらその様子をみていた。
「何よ、アスカ?何がそんなに不機嫌なの?」
気が付いていないのか。
アスカは余計に怒ると、ミサトを睨みつけた。
「あのさ、ミサト…なんでシンジに対して甘いの!?」
「え?」
「あいつのことがかわいいし、特別なのはわかるんだよ。でもさ…前の使徒との戦いであいつはアンタのいう事を無視したのよ!それに対してなんで怒らないの!?で、あいつは死にかけたんだよ!!!もう二度とあんなことは繰り返させないようにしないといけないでしょ!」
シンジは夕飯の用意をしながらその様子をみていた。
「あ、あの時はごめん。」
「ごめんごめんって、アンタ謝ってばっかじゃん!」
「・・・ごめん。」
ミサトはそんなシンジを観て微笑むとアスカにも微笑みを返した。
「彼もあー言ってるし。いいじゃんそれで。」
アスカは席を立った。
「もういい!アンタら…そうやって二人でベタベタイチャイチャしてなさいよッ!」
肩を怒らせ、腰に手を当てたアスカは大声をあげた。
そして、ヒステリックにドアを開けるとそのまま去っていった。
「え?」
ミサトはあまりに一瞬の出来事にキョトンとしていた。
「あいつ、なんなの?」
シンジはそれを観て少し口を開けた。
「ミサトさんに甘えたいんじゃないですか。」
「え…。」
「たまにはミサトさんに甘えたいんですよ…。」
「そうなのかな。」
「でも、アスカを追いかけないとやばいですよ。また…家出させたから今度こそ問題になりますよ。」
シンジの言葉にミサトはぎょっとした。
確かにそうだ。
以前と違い、上層部はかなりうるさい。
「保安部に連絡しておこうかな。」
ミサトはまだ鈍感のままだ。
シンジはため息をついた。
「僕が家出した時覚えてます?」
「え?うん・・・あれ結構長かったね。」
「そうじゃなくて、僕がなんで家出したかわかります?」
ミサトは顎に手を当てて少し考えた。
「僕はミサトさんに甘えたかったんです。家族として認めてほしかった。保安部の人が行くよりミサトさんがいったほうがアスカは喜ぶと思いますよ。」
「え?なんで…。」
すると、シンジは頬を染めながら小さい声でいった。
「僕はミサトさんに迎えに来てほしかったから…。きっと彼女もそうじゃないかな。」
ミサトは少し考えた。
アスカは甘えている。
口ではあまり言わないが、私を家族として認めているということか。
「…迎えに行くわ。」
ミサトは席を立った。
一気に酔いが醒めていたのだろう。
「シンちゃん、先にご飯食べておいてね!遅くなったらあれだからペンペン寝かしつけておいて!」
「はい…。」
ミサトはすぐさまアスカの足取りを追いかけた。
すぐさま携帯電話をとると、リツコにアスカが家出したことを伝えた。
リツコは「またなの、いい加減にしなさいよ。」と少しキレながらもマギの力を使いアスカのGPSをたどる手はずを始めたのだった。
その頃、アスカは電車に揺られながら第二東京に向かっていった。
辺りはすっかりもう深夜近く。
第三新東京からもかけ離れているだろう。
加持は京都に出張。
最近出張ばかりでかまってくれない。
学校にいる時はヒカリに甘えれるが、いつもはそうはいかない。
だから、実は自分が孤独なことに気づいてしまうことが多くなっている。
ミサトも最近忙しいのはわかっている。
シンジがミサトが好きなのもわかっている。
だから二人を応援してやりたい、だが‥限度がある。
先日のそれは彼女の中では超えてはいけないラインを越えてしまったと感じざる負えなかった。
エヴァパイロットとして上官の命令を無視したシンジはパイロットとして失格だ。
そのパイロットを甘やかすミサトは上官として失格。
彼女のプライドは許せなかった、それを。
今はミサトと会う気はない。
「でも、どうしようかなこれから…。」
アスカは思わず言ってしまった。
行く当てもないんだった。
ヒカリの家に行くのもなんか、迷惑だろーしなあ。
っていうか親戚が泊っているらしいし。
「何?君家出なの?どこか行く場所に困ってるの?」
声がした。
彼女はふと前をみた。
チャラそうな男だ。
髪の毛はらしくもないドレッドヘアーにしていた。
「だったら俺の家にでもくる?」
アスカは笑顔で返した。
「イヤ。」
アスカはすぐさま電車を降りた。
こんな奴とも付き合いたくはない。
男は彼女を追いかけに来た。
「そんな冷たくしなくてもいいじゃん。」
「だからイヤだっていってるじゃない。」
「あのさ…。」
「消えな。」
改札におりるとアスカは黙ってキップをいれた。
そして、降りようとした。
男はまだ追いかけてきているようだ。
「なあ、俺の話を聞けよ。」
男はアスカの肩に手をやった。
しめった感触がアスカの肌を通してわかった。
「いい加減、しつこい!」
アスカがそう言おうとした矢先だった。
男の顔が見えた。
「おい、アバズレ。いい加減に俺の話をきかねェってか?」
怒っている。
顔は赤く紅潮し、眉間に皺がよっている。
その顔は鬼のようになっていた。
「なあ、俺を誰かわかってナンパを拒絶してるんだろうな!」
アスカはふと周囲をみた。
男の周りには多くの男がいた。
腕周りにはタトゥーがしていた。
その手にはバールやビール瓶などがあった。
人数は10数人近くいる。
半グレだ。
「ここは俺の地元なんだよ!!!ここで俺の誘いを断るってことはな、俺の仲間に喧嘩売ってるってことなんだよ!!!調子に乗りやがって!!シバキ回すぞコラァ!!!」
このチャラい男はこいつらのリーダーか。
アスカは冷静に足を切り出し、リーダーの顎を蹴り飛ばした。
「ぶごっ!」
「なめんじゃないわよ!!」
ミサトに教わった攻撃だ。
って、こんな時にミサトのことを思い出すなんて・・。
そして、一目散に逃げる。
先手必勝というものだそうだ。
「畜生、なめやがって!!!」
顎を押さえたリーダーは部下に指示を出した。
複数名の男たちがアスカを追いかけはじめた。
「うそッ!!!」
ちょっと、こいつらマジなの!?
アスカは少し驚いた。
っていうか、そっちが悪いのになんで私が悪いみたいな扱いされなきゃいけないの!?
アスカは全力をもって、走り始めた。
しかし、とうとう限界がきた。
「げ、行き止まり?!」
彼女が困惑していると、半グレの男たちはアスカを追い詰めた。
そして、リーダーの男がやってきた。
「ここで行き止まりだな。大人しく俺のナンパに従えばよかったのに…なあ俺のプライドをくじいたことの落とし前つけてやるよ!!!」
「情けないプライドね。」
アスカの口は思わず反射的に動いた。
男はそれを聞くと怒りに体を撃ち震わせた。
その手にはバールがあった。
アスカに近づくと、それを振りかざそうと…してきた。
その矢先だった。
空気を斬る音が聞こえた。
するとアスカの手の甲サイズほどの石がどこからともなく飛んできた。
「いでっ!!!」
その石はリーダーの頭にがつんと当たった。
「いい加減にしなさい。」
女の声。
アスカはこの声に聞き覚えがあった。
「確かにそいつは偉そうで毒舌かもしれない。でも、その娘は私にとって妹のような存在なのよ、彼女になにかあればアンタらは皆殺しにしてやるから。」
「ミサト!?」
「アスカ、ごめん…遅くなっちゃった。」
「ミサト…。」
アスカは目に涙を浮かべそうになった。
そうか、コイツはシンジだけじゃない。
自分だって大事な家族として認識しているんだ。
「なんだこのクソアマァ!!!邪魔してんじゃねええ!!!殺すぞボケナスが!!!!」
半グレの内、特に大きな巨漢がミサトに踊りかかっていた。
だが、ミサトは冷静だった。
その内一人の足を踏み、みぞおちにエルボーを食らわした。
「ごぼ!?」
巨漢はミサトのエルボーを喰らうと、地面に倒れた。
周囲の半グレは顔を青ざめていた。
「うそだろ!?ジュンちゃんは国体に出たこともあるほどの逸材だぞ!?」
「あれが一瞬で…。」
「なんだこいつ…。」
男たちは一瞬でざわついた。
睨んでいたはずの男たちは何かドス黒いものに呑まれて行くのを感じた。
それはアスカも同じだった。
怖い。
ミサトの背後に何か黒いオーラが漂っているようにみえた。
簡単に人を殺す殺人マシーン。
アスカは心底震えあがった。
ミサトの目は渇いていた。
そして、黒くたたずんでいた。
「なんだあれ・・・。」
「わからん。」
「なんだよ・・・。」
半グレ一味は顔を青くして士気が一気に引くのがアスカにもみえた。
彼らは本能で動く、だからこそわかっている。
自分たちよりも強い圧倒的な存在を前にしている。
しかも、それは女なんだ。
「その娘に何もしないなら、私もあなたたちに何もしない。黙って帰るなら追いかけない。どう?」
リーダーらしき男は頭を押さえながら立ち上がった。
「おばさんは下がってろよ。」
アスカは口をあんぐりとさせた。
「いや・・・多分それ一番いっちゃいけない言葉だと、おも・・・思うンだ・・・けど。」
半グレの一人も言ってはいけないことを言ったことに気が付くと慌ててリーダーを静止させた。
「木村さんもうやめましょう!こんなことしても何もなりません!」
「そうっすよ!女なら俺のツレ呼ぶんで…それで簡便しましょうよ・・・。」
木村という名前の半グレは声を震わせて怒号をあげた。
「お前ら恥ずかしくねェのか!!!!女にイモ引くのかよ!!!!」
男はバールを手に持つと震えながら、ミサトの前に踊りかかった。
「出たァ!!!木村さんの殺人バールだぜ!!!あれ喰らって本職6人が頭蓋骨骨折したって話は有名だ!!!」
半グレの一人が小躍りしながら言った。
「いいか、俺はバールの木村って恐れられてンだよ!!!!俺の特性バールを喰らってみろ!!!!このバールはなァ!!!鋼鉄も砕くンだぜ!!!てめえのブサイク顔をボコボコにして塗装してやるよォ!!!!」
そして、振りかぶってミサトの頭にバールをぶつけたはずだった。
「み、ミサトォ!!!!」
アスカの悲鳴がとどろいた。
だが、ミサトの動きは早かった
木村がバールを空振りして、地面にぶつけた時、ミサトは地面を蹴り上げ空中に飛びあがっていた。
「なにっ!」
月は輝いていた。
その月にミサトの影は浮かんでいた。
そして、彼女の大きなかかと落としは木村の頭に降り注いだ。
ゴン!!!
鈍い音が聞こえた。
木村といわれる男は地面にそのまま倒れていった。
「月に替わって・・・・おしおきよ!!!」
ミサトは見栄を切った。
半グレの一人とアスカは顔を想わず見合わせてしまった。
「その娘を置いて、帰りなさい。あなたたちの命まで取る気はない。」
男たちは悲鳴をあげ『ごめんなさい』とうわごとのようにつぶやくと一目散に逃げ始めていった。
木村と呼ばれた男とリーダーの男は仲間たちにかつがれていくのがアスカにはみえた。
アスカとミサトは二人だけになった。
「ミサト…。」
アスカは思わずつぶやいた。
次にミサトはアスカのことを優しく抱き寄せていた。
「あなたも大事な『家族』だから、そこは忘れないでね。」
アスカはその時、ママを思い出した。
そうだ、私にはママがいた。
こうやって私を抱きしめてくれたんだ。
「ミサト…ごめん。」
「シンちゃんとペンペンが待ってる、帰ろ?」
「うん。」
アスカは気が付けば泣いていた。
「怖かった…怖かったよ!!」
「泣かない泣かない。」
ミサトは子供のようにアスカをあやすと、強く抱きしめた。
二人はミサトの愛車に乗るとそのまま揺られながら、シンジとペンペンの待っているマンションに帰宅していった。
数日後発令所。
その日は訓練があった。
シンジは、エヴァのシンクロテストを受けていた。
「シンジ君、私はあなたに何を言ったか覚えてる?できるだけ被害の少ないように動きなさい。」
「はい!」
「私はあなたの上司でもある、忘れないでね。」
アスカは発令所で待機していた。
その背中を観たアスカは満足だった。
ちゃんと叱っている。
「なになに?私の前でカッコイイ上司を気取っているの?」
「まだ文句あるの?アスカ?」
ミサトは不機嫌そうにアスカをみた。
だが、アスカは幸せそうだった。
「へへ、文句なんてないわよ。お姉さま。だーいすき。」
ミサトはそんな彼女をみて幸せそうに微笑みかえした。
「で、新しくできたラブホテルなんだけど…裏口を使えばシンジを連れていけるんじゃないかしら。そう、きっといけるわ!」
「あのね…アスカ…。」
「いい加減抱いてあげないと、ダメよ!」
ミサトは羞恥で頭を抱えた。
横で聞いていたリツコに至ってはコーヒーを日向の顔にぶちまけていた。
ゲンドウはしきりに「うんうんそうだそうだ」「コンドームもいらん、孫がみたい」と頷いていた。
そんな中、シンジは呻き声をあげていた。
「もうやめて…。」
その日、シンジの数値は歴代でも最低を記録していた。
アスカのたわいもない言葉で彼の心が乱されていたからである。
この事で冬月からミサトはこってりと説教を受ける羽目になったのであった。
アスカはそんな彼女を後目に、アイスクリームを食べながらニコニコと上機嫌に笑っているのだった。