チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


婚活地獄再び

貴族社会は上下社会。

宮廷階位の九位と八位は一代限り。世襲は七位からとなるが、それ以降の昇進は一つ上げるだけで百年単位はかかる。

それが僅か数ヵ月。それも学生がやってのけたのだから、異例中の異例である。

 

そして、六位下以上の階位は王との面会権がある。今までは使いを通してだったのが、今後は直接謁見することが可能となる。

つまり、大出世である。

 

「まさか、こんな日が来るとは……父さんは嬉しいぞ」

「そうね。エドが少し見ない間にこんなに立派になってたからね」

 

王宮にある控え室。そこで親父とお袋は着飾った騎士服に身を包んだオレを見て、笑顔で嬉しそうにそう口にする。

夏期休暇終了間近。つまり今日、オレと同じく昇進したリオンとオレの叙勲式が王宮にて行われるのだ。だからこんなに装飾が無駄にある騎士服を着せられ、追加アーマーを取り外したデフォルト状態のゼクトールも、リオンの鎧であるアロガンツ共々会場に飾られている。

ちなみにゼクトールは見栄え用に騎士剣を突き立てている状態だ。本当はウォーハンマーが良かったけど。

 

「そもそもオレが実家より偉くなるのは親父と兄貴的にどうなんだよ?」

「面倒事を全部押し付けられる!」

「頑張って援助してくれ!」

 

親父と隣にいた兄貴は凄い爽やかな笑顔でそう言い切った。完全に寄生する気満々じゃないか。

 

「本当にエド兄さんは凄いわね。レオ兄さんも少しは見習ったらどう?」

「ハハハ、無理だって。俺にエドのような黒さはないからな」

 

アリサの言葉に兄貴がそう返す。オレってそこまで黒いのか?この世界の方法で徹底的に仕返ししただけなのに。

 

「それに偉くなると婚活が大変になるしな。男爵以上だと、相応の地位から嫁を貰わないといけないし」

「その辺りは大丈夫じゃない?上手く取り入れば玉の輿に乗れるんだし」

「いや無理だろ。例の決闘と賭けでかなり恨み買ってるんだし」

 

貴族は基本的にメンツとプライドが大事だからな。実際に貴族になると下の者に示す威光がどれ程重要なのか嫌ってほど理解できたし。

王族、名門貴族に喧嘩売った挙げ句、ボロクソに叩いたんだ。それに加え、賭け金で大分巻き上げたしな。借金するバカまでいたから逆恨みも含めてホントいい迷惑だよ。

 

「それを抜きにしても狙い目じゃ……」

「そう思うならリオンにアタックしてみろ。正妻は無理でも、妾にはなれるかもしれんぞ」

「不安要素が強いからちょっと無理。確かにエド兄さんの言った通り、全然大丈夫じゃなかった。ごめんなさい」

 

それ見ろ。売れ残りの貴族女子は大抵は自身の損得勘定でしか男を見ないんだからな。オレの言葉で自分がその立場になった場合を理解しただけマシだが。

 

「ま、仮に仕返ししてきたら、酷いものでない限り利子付けの百倍にして返すけど」

「……たぶん、エドには喧嘩を売ってこないだろうな」

「そうね。レオ兄さんの言う通り、エド兄さんに喧嘩を売る相手は余程の命知らずかバカのどちらかね」

 

兄貴とアリサが顔を引き攣らせて引いたけど、適度にガス抜きはさせるさ。

……そう言えば、今回の叙勲は王様がやるんだよな。王妃様も隣で。

 

「なあ、親父。もし親父が王様の立場でオレがやらかした事をどう対応する?」

 

オレのその疑問の言葉に親父は少し悩んで一言。

 

「……普通は昇進させないな。息子をボロクソに罵った相手を積極的に庇うつもりはない」

 

あー、やっぱり?

そうなると……この昇進は嫌がらせ?いや、女尊男卑のこの世界の結婚事情を把握してるなら、昇進はマイナスになる可能性があると把握してる筈。

つまり、今回の昇進はオレとリオンへの嫌がらせか。婚活地獄へ再び叩き落とす為の。もう、どうしようもないけどな。

 

 

―――この日、二人の騎士が誕生した。

十六歳という年齢で、それも二人同時に正式に騎士として認められるのはかなり珍しく、同時に爵位も正式に与えられたのだ。

リオン・フォウ・バルトファルトは六位上。エドワード・フォウ・ファーレンガルドは六位下。

リオンは冒険者としての成功。エドワードは冒険者としての成功だけでなく領地開拓の功績。

 

そして、共通の功績は王太子の愚行を諌めた事である。

実際には様々な思惑が入り交じっているが、表向きは以上の理由であり、そんな騎士二人を見る為に王宮には大勢の者たちが押し寄せ、その二人の叙勲式をその目に収めるのであった。

 

 

―――夜。

 

「こんなに嬉しくない昇進は初めてだ」

『昇進して嘆くとは、随分贅沢な悩みだな。キャプテン』

 

ハーツがオレの呟きに辛辣な言葉で返した。

叙勲式が終わってすぐに領地の正式な手続きの書類等を片付けたオレは、明日から学園が再開するので学生寮へと行くと、そこでの対応が色々と変わっていた。

部屋のランクも上がり、使用人の態度も変わっている。対応した使用人曰く、オレが正式な騎士となった上に男爵へと昇格したからとのこと。

 

そんなオレに同学年の生徒は話しかけてこず、ダニエルとレイモンドも嫌がらせに加担した負い目からか声をかけてこなかった。クラリス先輩の取り巻き達は、改めてオレにお礼を言って頭を下げたけど。

 

閑話休題。

そんな心情に構わず辛辣な言葉をぶつけたハーツに、オレは間髪入れずに反論した。

 

「昇進した途端、責任やら納税やらの義務が増えたんだぞ!?あの浮島は準男爵規模が限度なのに!!」

 

しかも納税は本来のものより一段上になっているんだ。それも卒業してからじゃなく現時点だったし!完全に飼い殺しじゃないか!!

オレのあの領地で農業するのはまだずっと先だし、鎧の修理や耕運機のレンタルで今は何とか回しているが、このままだと財政破綻間違いなしだよチクショウ!

 

「そもそも昇進するとか聞いてないし!何でリオン共々昇進する羽目に……!」

『キャプテンの言うところのパワーバランスの問題だろう。将来の中核五人が一斉にドロップアウトしたのだ。代わりを据え置きしたいと考えるのは当然だろう』

 

……ハーツの返しに何も言い返せねえ。

確かに今回の騒動でレッドグレイブ家は弱体化しただろうし、アトリー家も痛手だった筈だ。王国の未来の中核を探す意味でも、実力も気概もあると判断されたオレとリオンに白羽の矢が立つのは必然だったか。

 

『それに加え、例の工作資金は全額使われただろう。懐に入れるより全額使って擁護した方が将来的なメリットとなるとレッドグレイブ当主は判断したのだろうな』

 

……本当に見立てが甘かったと痛感させられる。

確かにあの剛健そうな人は賄賂なんて受け取りそうにないし、宮廷工作に全部使うだろうし!

 

「行動そのものに後悔はないけど、もっと上手く立ち回れば良かったよ。恨みの矛先の八割をおバカファイブの取り巻きに向かうようにしとけば良かった」

『後悔先に立たず、か。まさにキャプテンにピッタリの言葉だな』

 

本当に言い返せないな。チクショウ。

 

「また婚活地獄か……もうホントヤダ」

『学園の大多数を敵に回したからな。多くが向こうに巨額の金を賭けていたから、必死で金策に奔走しただろうな』

 

そりゃあ、オレとリオンが大金持参して自身に賭けなきゃ成立しないくらいだったからな。絶対に儲けどころと思っていたのが向こうの運の尽きだ。

大負けした連中は絶対陰口を叩くだろうが、その辺はスルーするさ。それにまで噛み付いていたらキリがないし。

でも、婚活はホントにヤダ。結婚しなきゃ実家にも悪影響でるし……

 

『相手なら取引相手から選べばいいだろう。エアバイクの共同開発やら、農機具の開発やらで幾つかの貴族と契約を交わしたのだからな』

「無理に決まってるだろ。将来の可能性程度の相手に関係を強くする結婚に踏み切りはしないだろうが」

 

結婚はまさに家同士の繋がりを良くも悪くも強めてしまう。その家がヘマをすれば、当然その被害は相手の家にも及ぶ。だから簡単に繋がりを切れる書面契約が限度なんだよ、このアホ腕輪。

 

 

 

――――――

 

 

 

始業式から三日。

周りの生徒は見事にオレとリオンを避けていた。

ダニエルとレイモンドは謝罪してきたが、負い目からまだギクシャクした空気なので今後コキ使うことで解消する事にした。

それを伝えたらリオンは軽く引いてたけど。

そんな訳で放課後。公舎の寂しい中庭でオレとリオンはベンチに座っていた。

 

「……これが夢だったら良かったのに」

「ところが残念。これが現実だ」

 

リオンの現実逃避に対し、オレは死んだ魚のような目で無情に切り捨てる。悲しいけど、これが現実なんだよな。

 

「幸い、オレらの周りはそこまで困ってなさそうだけど」

「それは間違いないよ。ルクシオンがちゃんと調べてくれているからね」

『当然です。私はどこぞの役立たずな腕輪とは違うのですからね』

『裏でコソコソする貴様ららしいな』

『それすら出来ないお前が言っても負け犬の遠吠えですよ』

『負け犬は貴様らだろう!くぁwせdrftgyふじこlp!!』

『言いましたね!くぁwせdrftgyふじこlp!!』

 

あー、またルクシオンとハーツがお互いを口汚く罵り合ってるよ。いくら周りに誰もいないからとはいえ、ホントに飽きないな。

リオンもリオンで呆れた表情をしてるし。

 

『マスター!今すぐこの腕輪の破壊を!』

『キャプテン!すぐにでもこやつの本体を潰しに行くぞ!』

「「だからやめい!!」」

 

そして、互いに破壊を進言して物理的に宥められるのもお約束だ。

そんな犬猿の仲を地で行くベンチに叩きつけられた腕輪と主人に鷲掴みにされた金属ボールの口論を物理的に止め、オレとリオンは会話を続けていく。どっちもバタバタしてたから、こうしてゆっくり?話し合うのも悪くないからな。

 

「オレの知る限りじゃ、リビアは相変わらずの勉強三昧。アンジェ嬢は取り巻き達の媚売りに辟易。クラリス先輩は実家の手伝いに積極的だ。そっちは?」

「特に訂正する箇所はないぞ。むしろリビアから勉強を教えて欲しいと言われないかビクビクしてる」

「ゲーム知識で調子乗ったからだ」

 

リオンの自業自得とも言える言葉を、オレは無情に切り捨てた。

リビアは一年で学ぶ内容を完璧に理解してしまい、二年生で学ぶ内容を先取りして勉強しているからな。やっぱりリビアは優秀だと呟いたら、当の本人はそんな事ないと否定した。

 

リビアはあの治癒魔法含め、自身の能力をもっと自覚すべきだと思う。あれじゃ無意識に周りからヘイト集めるぞ。今はそのヘイトはオレとリオンに向いているから大丈夫だと思うが。

 

「ちなみにおバカファイブとマリエは?見た限り、いつも一緒にいるようだが」

 

特にクソ殿下はマリエに二度と近づかないのが決闘で交わした約束だろ。おもいっきり約束破ってやがるから、クソ殿下の評価はさらに下がったのは言うまでもない。

 

「そうなんだよな。アイツら、夏期休暇の間は何度もダンジョンに挑んでいたらしい。グレッグとクリスは俺とエドにリベンジする為に力を付けようとしているようだぞ」

「ご苦労なこって。ちなみに変化は?」

「ないぞ。あの脳筋は装備の質は全然上がってないみたいだし、構ってちゃんも相変わらず剣一筋のままだしな」

「全然成長してないな」

 

あの敗戦から何も学んでいない脳筋と構ってちゃんにオレは辟易とした表情となる。

 

「ブラッドとジルク、マリエの方は資金稼ぎ。あの五人は勘当されたから支援なんて受けられないからな。マリエの実家も家計は火の車だからな。ユリウスの方は『たまたま一緒になった』というふざけた理由で行動を共にしていたそうだ」

「絶対にクズジルクの入れ知恵だな」

 

リオンがもたらしたクソ殿下の情報に、オレはクズジルクが絶対に絡んでいると確信した。あのクズはルール破ってまでクソ殿下のご機嫌取りをしたんだ。今後もマリエではなくクズジルク達と行動してるだけとかほざいてマリエの傍にいるだろうな。

 

「あー、やっぱりそう思う?ちなみに根拠は?」

「クズジルクが『そんなに従わせたいなら決闘に参加すれば良いでしょう。もっとも、殿下に牙を向ける覚悟があれば、ですけど』とクラリス先輩の取り巻き達にほざいて動きを封じたからだが?」

「……本当にジルクは笑えないクズだわ」

『ええ、正真正銘のクズですね』

『ああ、あの男は本当にクズだったぞ』

 

予想を遥かに越えるクズジルクのクズっぷりに、リオンは心底嫌な表情で酷評する。ルクシオンとハーツでさえ同意する始末だ。

 

「それもあってクラリス先輩の取り巻き達のクズジルクへの怒りが凄まじくてな。下手したらそのまま報復に動くくらいだったからな」

「別にいいんじゃね?あのクズはもっと地獄を見ればいいと思う」

「アホかリオン。アイツは本当にクズだぞ。報復したら、それをネタに揺するのは確実だろうが。それでクラリス先輩に責任能力を問い質した上で、迷惑料とかほざいて金を巻き上げるくらいはしてきそうだからな」

「それがしれっと浮かび上がるお前も大概だぞ」

 

オレのクズジルクの行動予測に、リオンがジト目でオレに対して呆れてるが知らん。

その行動予測を聞いた取り巻き達のクズジルクへのヘイトはさらに上がり、現在進行形の『自身が幸せになって相手を後悔させる大作戦』に一丸となったから、別にいいだろ。

 

「ま、その中でマリエだけが現実を見て焦っているけどな。他の面子は今の状況を楽しんでいるのが最高のスパイスになってるしな」

「お前も人のこと言えんだろ」

 

リオンがマリエの不幸に非常に悪い笑顔で喜ぶのを見て、オレは同じじゃないかとツッコミを入れた。

 

「そもそも何で逆ハーレムとか目指したのやら……普通は一人に狙いを定めそうなものなのに」

「そうなんだよなぁ……乙女ゲームを知ってるなら、リビアがいないとマズイのは知ってる筈なのに……」

 

またそれか……

 

「まだ現実とゲームを混ぜているのか?それをアテにしてたら絶対に痛い目を見るぞ」

「そうは言うけどさ……マジでこの先に訪れるであろう展開がヤバイんだって。下手したら王国滅びるんだし」

 

俗に言うゲームオーバー展開に、本当に根が深い問題だと痛感する。

そのシナリオ通りに進めないと王国が滅びるという事は、必然的に自身を含めて多くの人が死ぬ。ゲーム知識である程度把握してるなら、それを元に避けようと動くのはある意味仕方がないかもしれない。

 

「そもそも、オレとリオンはその乙女ゲームの名前の出ないモブという認識なんだろ?そのモブがメインに関わっている時点でそのシナリオはもう崩れてると考えた方がいいだろ」

「うぐっ……」

 

オレの至極真っ当な指摘にリオンは胸を押さえる。どうやら自覚はちゃんとあるみたいだな。

まあ、この話はここまでにしとくか。あまり外で話すべきものじゃないし。

 

「にしても、周りのおバカファイブに対するフィルターがおかしいだろ。俺とエドはボロクソな評価なのに」

「幻想を抱いているんじゃないのか?自分もワンチャンあるかもという、浅い魂胆でマリエと自分を重ね合わせてさ」

「あー……」

 

今回の経緯を考えれば、普通は最低過ぎる行為だ。なのに同情されるということは、イケメン名門のフィルターが酷すぎるとしか言い様がない。もしくはおバカファイブに同情する自分素敵!と考えて酔っているかだな。

リオンも納得したように唸ってるし。

 

「エドさん。リオンさん。今日も一緒なんですね」

 

気が付くとリビアと少し疲れた表情をしたアンジェ嬢が近くに来ていた。ハーツとルクシオンも二人が来てから黙りになったし。ルクシオンに至っては姿まで消してるし。

 

「ハイハイ。今日も嫌われ者同士一緒ですよ」

「盛大に恨みを買ったからな。こうなるのは当然の流れというやつだ」

 

実際、中庭のベンチに座った瞬間、それまで周りにいた連中は逃げ出すように立ち去ったし。

 

「お前達は本当に相変わらずだな。それより暇なら付き合え」

「付き合う?どこに?」

「クレープの屋台です。評判の良いお店があるんです!」

 

リオンの疑問にリビアがウキウキした表情で答える。完全に楽しみにしてるな。

 

「クレープか……無性に甘いものを食いたい気分だし、別にいいか」

「そうだな。俺も今は甘いものが食べたい」

 

オレとリオンはそう言って立ち上がり、そのまま四人でクレープの屋台へと向かっていく。

今回の一件でリビアとアンジェ嬢との距離は近くなったけど、どっちも結婚相手としては無理なんだよな。

リビアは平民で、アンジェ嬢は公爵令嬢。どっちも立場と身分が最大の壁となっている。

 

クラリス先輩?あの人はお似合いの人が近くにいるから対象外。取り巻きの一人であるガタイの良い先輩とか。入り婿ならギリセーフだったと思うし。

ああ、この世界の女性事情は本当に辛い。クレープ食べてる間は忘れていようと思うオレなのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

―――とある場所にて。

 

「何で主人公が双子になってんすか!?出だしからヤバイんすけど!!」

『その乙女ゲームとやらの二作目の主人公は本来は一人っ子だったと?』

「そうっすよ!自分の身を守る為にゲーム知識使って冒険者やって、苦労してチートアイテムゲットしたのに!これじゃマズイっすよ!」

『なら、本来はいない筈の彼女のことを私が調べましょうか?』

「いや、いいっす。君子危うきに近寄らずですし、君の場合だと誤まった情報まで伝えそうっすし」

『……チッ。鋭い』

「今舌打ちしたっすよね!?どんだけ私のことが嫌いなんすか!?」

『嫌いで当然です。新人類はすぐにでも抹殺すべき存在ですから。無駄に鋭いおかげで、口八丁で懐柔して意のままに動かす傀儡計画が頓挫してしまいましたが』

「本当に恐ろしい偵察船っすね!それと裏表が相変わらず激しいっすよ!」

『偵察船云々は関係ありません。それと、旧人類の遺伝子があるとはいえ、新人類は我々の不倶戴天の敵だ。だから一秒でも早く不幸な事故で死ね』

「私、マスター!君の、ご主人!マスターの命、守る!絶対!」

『お前を私のマスターに登録したのは本当に失敗でしたね。こうなるなら、船の警備システムとステルスロボを使って始末しとけば良かったです』

「もうやだこいつ……助けて先輩ぃ……」

『この世界にいもしない前世の先輩とやらに助けを求めるとは、本当にこの女はどうしようもなくダメだな』

 

 

 




「それにしてもエドのあの鎧。何で追加装甲があんの?」
「一つの機体に複数の能力を換装で持たせるのはロマンだ」
「まさかの男のロマンかよ。ちなみに空中換装とか……」
「もちろんそれ前提に作ってある。アーマーを運ぶ遠隔操作の無人機も開発中だ」
「……お前も意外とバカなんだな」
「そこはお互い様だろ。大豆や米を作って日本食を再現しようとしてるお前とな」
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