チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


決別の時

「……私……何であんな酷いことを言っちゃったんだろう……」

 

壁に背を預けて床に膝を抱えて座り込んでいた私は、自己嫌悪の言葉をポツリと洩らす。

 

『別にいいんじゃないのか?学園側の意向なんだし』

 

最初は存在だけ知っていた私と同じ特待生のエドさん。そんな彼は当初の私の不安に対してそう答えてくれた。

その後はリオンさんとも共に過ごすようになって……いつも私を助けてくれた。

そこに悪意があるはずがないのに……普通に接してくれていたのに。

側にいられたのすら奇跡のような関係だったのに……それ以上の関係を勝手に望んだのは私の方なのに……

 

『お前はペットじゃない!第一、オレらの事情にお前を……』

 

エドさんは私のことを、愛玩動物じゃないと否定してくれたのに……

 

『もしくは都合の良い人形かしらね?一応貴族であるファーレンガルドはあんたと同じ特待生だし、自身を飾るのに丁度良かったんじゃない?』

 

私は、エドさんより彼女の言葉の方を信じて、酷い言葉を浴びせてしまった。あんなに酷い事を言ったら、誰だって言葉を失うのに、私は勝手に失望して飛び出してしまった。

 

リオンさんは何も言わなかったけど……リオンさんも私の言葉で傷付けてしまった。

……謝ろう。リオンさんと……エドさんに……

私は二人に酷い言葉を浴びせてしまった事を謝ろうと決めた矢先、外から轟音が鳴り響いた。

 

「な……何?」

 

その轟音に私は困惑しながらも、その正体を確かめる為に窓の外へと近づくのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

『畜生!なんだ!?あの青い鎧の武器は!?』

『下手に間合いを詰めるな!武器ごと両断されるぞ!』

 

鎧を出撃させてオレ達の制圧に動き出したウィングシャーク達であったが、オレが駆るゼクトールのチェーンソーモドキのヤバさから、迂闊に近づくことを躊躇っている。

そりゃそうだ。鉈のような剣で受け止めても、その鉈ごと腕をぶった斬られたんだ。普通に警戒する。

その為、連中はライフルでオレを仕留めようとしてくるが……

 

「無駄だっつーの」

 

オレは一人呟くと、左腕のシールドで銃撃を防ぎつつ加速。駆け抜け様に鎧の上半身と下半身を真っ二つにしてやる。

鎧のコクピットは胸部で重要機関は背中だからな。腰から下を意識してぶった斬れば、大抵の鎧はそれで行動不能となる。

 

なんせ、下半身にバランスを取る機能が集約しているのだ。片足だけならまだ動かせるが、両足を失えばバランスが取れずに漂うだけとなるからな。

 

『それも自分の力ありきだがな』

「自覚してるわ」

 

ハーツの呆れにオレはそう返す。実際、ゼクトールの燃費は悪い方だし、魔装による魔力供給の恩恵がなければ長時間の戦闘は厳しいし。

 

『連中の飛行船も、パルトナーを攻撃し始めたな。欠片も通用していないが』

「船からの攻撃なら、防壁だけで十分だろ」

 

むしろ、鎧が直接パルトナーに乗り込むのを警戒しないといけない。

そう考えていると、一際大きな鎧がオレに襲いかかった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「エドさん!?」

 

窓から外の光景を見ていた私は、思わず彼の名前を叫ぶ。

あの鎧、色も体型も違うが特徴的な頭部を見る限り、エドさんの鎧であるゼクトールだ。そのゼクトールが、周りの鎧より大きい鎧に蹴飛ばされ、飛行船の防壁に叩き付けられた。

 

咄嗟に左腕のシールドで攻撃自体は防いだようだが、私はいてもたってもいられず、部屋の外へと飛び出す。

道中、リオンさんが言っていたロボットが私を止めようとしたが、謝りつつ彼らを避けて廊下を走り、甲板の外へと飛び出す。

 

「エドさん……!エドさん……!」

 

私は必死にエドさんが乗っているゼクトールの姿を探す。そんな私の前に、先ほどゼクトールを蹴り飛ばした重装甲の鎧が降り立った。

 

「え……!?」

『……そういう事か。あのガキ共、俺達を嵌めやがったな』

 

困惑する私の前で、鎧に乗っているであろう男の人が憎々しげに声を発する。

 

『おい女。お前はクソガキ共への人質だ。大人しくしてもらおうか』

 

男はそう言って、鎧を動かして私に大きな手を伸ばしてくる。

怖い。逃げたいのに、足が動かない。助けて、エドさん……!

 

『させるかぁああああああ!!』

 

そんな大声が響くと同時に、紫に彩られた空賊の鎧がその鎧に飛び蹴りを叩き込む。

飛び蹴りを受けた鎧は少し後退りし、私とその鎧の間に私を助けてくれた鎧が降り立つ。

 

「だ、誰……?」

『ブラッドだ。君は早く逃げろ!』

 

その鎧に乗っている人―――ブラッドさんは私に逃げるように告げるも……

 

『調子に乗るな!クソガキ!!』

 

ブラッドさんが乗る鎧は、拳の一撃で吹き飛ばされてしまった。

 

「ブラッドさん!」

『おらあっ!どけええええ!!』

 

今度は赤色の空賊の鎧がパルトナーの甲板に降り立って槍を振るうも……

 

(かて)え!」

『小賢しく知恵を絞ったようだが……潜ってきた修羅場の数が(ちげ)ぇんだよっ!!』

 

その槍は鎧に傷一つ付けられず、逆に頭部を鷲掴みにされて甲板に叩き付けられてしまった。

その為す術もなく一方的に倒される光景を、私は見ていることしか出来なかった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「くそっ!」

 

オレは悪態を付きながら、左手の銃で牽制しつつチェーンソーモドキの腹で鎧を叩いて吹き飛ばす。

 

『随分と苦戦してるな。不殺を止めれば、幾ばくか楽になるというのに』

「情報吐かせる必要があるから却下だ!今苦労しとけば、後が楽になる!」

 

ハーツの呆れに対してオレは却下と怒鳴り返しながら、後ろから攻撃しようとしてきた鎧の右腕をチェーンソーモドキで斬り飛ばす。

 

「さっき蹴り飛ばしたあの鎧、おそらく指揮官機だ。あれの相手はブラッドとグレッグの二人じゃキツい!」

 

周りのスマートな鎧と違い、その鎧だけは重装甲で異彩を放っていたのだ。間違いなく、連中が操る中で一番性能が高いやつと見ていい。そんな鎧に、連中から押収した鎧で勝ち星を拾うのは至難の技だ。

リオンのアロガンツなら問題ないが、そのアロガンツにはオレ以上に鎧が集っている。こっちは武器を持ってるのに対し、アロガンツは素手だからな。そっちの方がリスクが少ないと考えるのは、ある意味必然だ。

 

『キャプテン。その指揮官機はパルトナーの甲板に降り立ったようだぞ』

「何!?」

 

ハーツの報告に、オレはどうやって把握したのかも疑問に思う暇もなくすぐに確認する。

 

「な!?リビア!?」

 

ハーツの報告通り、例の指揮官機は確かにパルトナーの甲板に降り立っていた。その向かい合う先には、部屋に閉じ籠っていた筈のリビアがいるというオマケ付きで。

 

「何でリビアが外に!?」

『知らん。少なくとも、自身の意思で出たと判断できるが……』

 

そうだとしても、何でリオンとルクシオンは阻止しなかったんだ!

いや、まさか……以前リオンが話していたリビア自身の力か!?その力は、科学の結晶のロボットにまで作用するのか!?どれだけ規格外なんだ!?

 

いち早く駆けつけたブラッドとグレッグがその指揮官機と戦ってくれているが、性能面から見て間違いなくじり貧だ。

これ以上、リビアを傷付けさせは……!

 

「…………」

『……キャプテン?』

 

……リビアを傷付けたのは、誰だ?

オフリーの令嬢?カーラ?あの指揮官?…………違う。

 

「リビアを傷付けたのは……オレじゃないか。オレの甘さが、リビアを一番傷付けたんじゃないか」

 

功績を作り出世すれば、当然周りから僻みと妬みが向けられる。その相手を陥れるにはどうする?先ずは周りから切り崩すのが定石だ。

リビアはどれだけ凄かろうと平民の出に変わりはなく、引き摺り下ろしたい連中からすれば格好のターゲットだ。今回のように。

 

その度に出汁にされ、オレに……オレ達に迷惑をかければ彼女はどうなる?間違いなく傷付く。下手したら二度と癒えない傷を作るかもしれない。

……オレはもう、彼女の側にいるべきじゃない。

 

「ハーツ。魔装を完全展開。同時にゼクトールの出力も上げるぞ」

『……了解だ』

 

オレは彼女……()()()()()()()との決別を心に決めると、全身を黒い鎧姿へと変えるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

『く、くそ……』

『何で大型でここまでの力が……!』

『やっぱりガキだな。鎧の性能を大きさで判断してるからな』

 

ブラッドさんとグレッグさんの信じられないといった言葉に対し、対峙している男は嘲笑を込めて吐き捨てる。

終始一方的にやられ、グレッグさんは足蹴にされてブラッドさんは首を掴まれている。

 

『おい女。さっさとこっちに来い。こいつらを殺されたくなかったらな』

 

男はそう告げると、大鉈のような剣をブラッドさんが乗る鎧の胸部へとめり込ませ、グレッグさんが乗る鎧も踏み潰そうとする。

 

『ぐっ……』

『に、逃げろ……!俺達に構わず…!』

『てめぇらは黙ってろ!!』

『『ぐあっ!』』

 

ブラッドさんとグレッグさんは自分達に構わずに逃げるよう私に告げるも、男が叫ぶと同時に彼らへの制裁を強めていく。

 

「……っ」

 

私のせいだ。私が足手まといで……役立たずで……皆に迷惑ばかりかけてるから……

自責と諦感に駆られるように、私が男の指示に従って近づこうとした瞬間、青色の鎧が私とその男の間に割って入った。同時に鉈を持った右腕が宙を舞う。

 

『な―――』

 

突然の乱入者に男が絶句するも、青色の鎧―――ゼクトールが隙だらけと言わんばかりに左腕の盾から飛び出た赤く輝く短剣をブラッドさんを掴んでいた腕の肩の付け根へと突き刺し、両断する。

ほぼ一瞬で男が操る鎧の両腕を斬り飛ばしたゼクトールは、最初に腕を斬り飛ばした黒い剣を背中に背負うと、その鎧の首を掴んで持ち上げた。

 

「エドさん……?」

 

並々ならぬ雰囲気を発しているゼクトールに私は不安を覚えていると、ゼクトールは首もとで掴んだ鎧を甲板へと叩き付けた。それも一度ではなく、何度も。

 

「エドさん駄目……っ。殺したら……」

 

その行動に私は不安を覚えて静止の言葉を投げ掛けるも、エドさんは止めることなく何度も甲板に叩き付けていく。

何度も叩き付けられたことで鎧の胸部は破壊され、中にいた褐色の男が外へと放り出された。

 

「た、助けてくれ!降伏だ!降伏するから―――」

『降伏?お前一人が降伏して何の意味があんの?』

 

褐色の男の降伏宣言対し、エドさんは酷く冷めた声で言葉を返してくる。普段の声とは大違いだ。

 

「い、意味ならある!俺はあいつらの頭領だ!だから俺が負けを認めれば……」

『その割には誰も助けに来ないよな?頭領なら、部下は助ける為に動くよな?そんな気配が見えないのにお前が空賊の頭領?助かる為の嘘じゃないのか?』

「う、嘘じゃない!本当に俺は―――」

 

必死に弁明する褐色の男―――空賊の頭に対し、エドさんはゼクトールの左手の赤く輝く短剣をその男のすぐ近くに突き立てる。

 

「ひいっ……!?」

『本当に頭なら早く部下達に降伏するように言え。やらないなら、まずはお前のハゲ頭に火傷を負わせるぞ?』

「わ、わかりました!すぐに降伏するよう指示しますので!どうか、どうか命ばかりは!」

 

短剣を突き刺さした甲板から焦げる臭いと白い煙が上がっているのを目の当たりにした空賊の頭は、怯えた表情を隠さずに周りに降伏するよう大声で指示を飛ばす。

それからすぐに、空賊達の船に白旗が掲げられた。

 

『……本当に頭だったみたいだな』

「あ、ああ……だから命だけは……」

『そうだな。命だけは助けてやる。奴隷として一生働かせることでな』

 

エドさんのその言葉に空賊の頭は安堵の表情から一転、絶望に叩き落とされた表情へと変えた。

 

『まさか見逃してもらえるとでも思ったのか?犯罪者……それも貴族と結託していたお前達を見逃すと思ったのか?下手したら極刑……証拠隠滅の口封じで殺されてもおかしくないのに、奴隷として生きて働けるだけまだマシじゃないのか?まあ、死ぬより辛い目に合うかもしれないけど』

 

エドさんの宣告とも言える言葉に、空賊の頭はうちひしがれたように四つん這いとなる。

 

『つう訳で、お前は一回寝てろ。後で色々と吐いてもらうから覚悟しとけ』

 

エドさんはそう言って、ゼクトールの足で空賊の頭を蹴り飛ばした。

 

「がっ……」

 

蹴り飛ばされた空賊の頭は、甲板の上を転がりそのまま沈黙した。

 

「ぐっ……」

「ブラッドさん!」

 

鎧から降りていたらしい、腕から血を流して苦悶の表情を浮かべるブラッドさんの姿を見た私は、慌てて彼の下へと駆け寄る。

 

「すぐに治療します!」

「ありがとう……」

 

ブラッドさんはお礼を言うも、私はそれを受け取れない。だって、私のせいで怪我をしたのだから……

 

「いえ、私のせいで怪我を……!」

「それは違うよ。僕もグレッグも君を守るために戦った。それで納得している。何しろ僕達は騎士を目指しているからね。騎士は女性に優しくしないと……あ、そこ、痛い!!」

 

子供のように痛がるブラッドさんの反応に、思わず私は笑ってしまう。

私はそのまま腕の傷を治すと、ブラッドさんは緊張が取れたように気を失ってしまった。

そんなブラッドさんの血をハンカチで拭いていると……ゼクトールから降りたエドさんが近寄って来た。

 

「エドさんっ。あ、あの……」

 

私はエドさんにあの時の事を謝ろうとするも、どこか寂しげな表情にも見えるエドさんは私の言葉を遮るように口を開いた。

 

「悪いな、オリヴィアさん。オレのせいで傷付けてしまって」

 

……え?エド、さん……?

エドさんからの急な謝罪と愛称ではない方の名前呼びに戸惑っていると、エドさんはそれで話は終わりと言わんばかりに離れていく。

その先には―――グレッグさんとリオンさんがいる。

 

「ご苦労さん。意外と強いじゃないか」

「嫌味かよ、バルトファルト。それに悪いな、ファーレンガルド。鎧を駄目にしちまって」

「構わねぇよ。ちゃんと働いてくれたしな。それよりブラッドを運ぶから手を貸せ」

「ブラッドは無事なのか?」

「怪我はオリヴィアさんが治したから大丈夫だ」

 

エドさんのグレッグさんの質問に対するその言葉に、先程の言葉は聞き間違いでないとハッキリと分かり、胸が傷んだ。

 

「……そうか。さすがオリヴィアさんだな」

 

エドさんだけでなく、リオンさんまで私のことを“リビア”ではなく“オリヴィアさん”と呼ばれたことに、私は再びショックを受ける。

どうして……?なんで、リビアって呼んでくれないのですか?

そんな私の心の内の問いかけに気づくことなく、エドさん達は甲板を立ち去って行くのだった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「……よくこれだけ貯め込んだな」

「リスクと保険等といった事情からだろ。この世界じゃ、持ち主に返す基盤もないしな」

 

ウィングシャークが強盗で得たであろう金銀財宝の山の前にリオンは呆れ、オレは推測を口にする。

 

『空賊団の壊滅と空賊達の捕縛で懸賞金も手に入りますし、十分な元手となりますよ』

『分け合っても、十分な財産になるだろうな』

 

ルクシオンとハーツの言う通り、目の前の財宝と懸賞金を山分けしても十分な財産となるだろう。

 

「で、リオンは目的のものは手に入ったのか?」

「ああ。そっちはどうだった?」

 

リオンは今回の依頼を受けた目的であった首飾りをオレに見せるように掲げ、オレは押収した書類をはためかせる。

 

「オフリー家と空賊が繋がっている証拠はしっかり残ってたさ。それも押印付きでな」

 

しかも、ウィングシャークはオフリー家以外の貴族の家とも少なからず繋がっているみたいだし。書面の内容を見る限り、全部オフリー家が関わっているが。

 

「それに今回の件にも、オフリー家当主が関わっていた。大方、リオンのロストアイテムを手中に収める気だったんだろ」

 

実際、尋問した頭領の話では、伯爵は多額の金と引き換えにパルトナーを手に入れる心算だったようだし。そのシナリオも、お抱えの艦隊で奪い返したというある意味杜撰なものだったようだけど。

 

「これだけあれば、オフリー家はもうおしまいだな。密接な関係者も同じくな」

「……それってやっぱり処刑?」

「普通にそうなるだろ。あの令嬢も、おそらく秘密裏に処刑されるだろうな」

 

何せ、今回の主犯だからな。先日のミレーヌ様への不敬も合わされば、絶対に無事にはすまないだろうな。

 

『そこまでの弱みなら、伯爵家が空賊達を取り返しに来るかもしれませんね』

『その時にはもう手遅れ、後の祭りだろう。空賊の壊滅に気付いて動くより、キャプテン達が引き渡している方が早い』

 

ま、あの嘘を保険も打たずに信じていたくらいだからな。気付くのは数時間後の定期連絡が来ない時だろうし。

 

「仮にそうなったとしても、物理的に叩き潰せばいいだけだよな」

『マスターらしくない言葉ですね。空賊達への八つ当たりは十分ではありませんでしたか?』

「…………」

 

ルクシオンのその言葉に、リオンは黙りを貫く。

……八つ当たり、か。オレも似たような気持ちだったし、その件を責める資格はオレにはない。

 

『……あれで良かったのか?キャプテン』

「良いも悪いもないだろ。これ以上、彼女を巻き込むわけにはいかない」

「この世界じゃ、オリヴィアさんは面倒ごとに巻き込まれるぞ。俺らと関わるよりはマシだろうが」

 

……そうだな。リオンの言う通り、そっちの方がマシかもしれないな。

 

「だから、ブラッドとグレッグの二人を元の位置に戻す。エドも良いよな?」

「別にいいよ。バランスを取る意味でも、今回の功績はあの二人によるものにしとくさ」

 

今回の手柄を全部オレとリオンのものと正直に告げれば、良くも悪くも目立ってしまう。最悪、暗殺に動く輩が現れるかもしれない。

そこで今回の空賊退治そのものはブラッドとグレッグの功績ということにし、オレとリオンはその後処理をしただけとなれば、幾ばくかはマシとなる筈だ。

あの二人がマリエから離れるとは思えないが、嫡男復帰すれば公爵家の派閥の力は多少なりとも戻る筈だ。

 

『マスター。レッドグレイブ家の飛行船がこちらに向かってきています』

 

……どうやら、もう一悶着ありそうだな。

ルクシオンのリオンへの報告に、オレは溜め息混じりに天井を見つめるのであった。

 

 




「この首飾り、どうやってオリヴィアさんに渡そ」
「下手に渡したら、教会の権力云々が面倒になる。下手したら傀儡化されるぞ」
『政治の御輿か……十分にあり得るな』
『その可能性は濃厚ですね。むしろ下手に権力を得たから、都合よく動けるようになったのでは?』
「……本当にあの乙女ゲームの展開は幸運の連続だったんだな」
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