チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


修学旅行

修学旅行当日。

用意された飛行船は随分と豪華で賭博場まで用意された豪華客船だった。いや、貴族を乗せる船だから豪華じゃないとマズイけど。

今回向かう先の季節は夏で、その浮島も修学旅行先としても人気だし、建物からしてお盆みたいな雰囲気だろうな。きっと。

 

「修学旅行だよな?これ、遊んでいるようにしか見えないんだけど」

「前世とは違うからな」

 

前世の修学旅行は勉強の意味合いが強いからな。貴族としての修学旅行とはまた違ってくるのは当然だろうな。実際、武器は最低限しか乗せられていないし、鎧も数機のみ。後はオレとリオンが持ち込んだエアバイクだけだ。一応、自衛用にライフルは持ってきてるけど。

そもそも、この女子優遇が異常な世界だから点数稼ぎが目的になってるだろうな。

 

「やあ、二人とも」

 

そんなオレとリオンに、ルクル先輩が話しかけてきた。

 

「二人も南方の浮島になったんだね」

 

そりゃ、学園の教員達に金を握らせましたから。修学旅行の行先の根回し程度なら、痛手に発展することもないしな。

 

「今回の目的地は丁度“お祭り”があるらしいよ。独特な雰囲気が楽しい所だってさ」

 

知ってますよ。だから裏金を回したんです。日本文化を堪能したくてね。

 

「女子は浴衣を着飾って楽しむ。男子はエスコートできればぐっと距離が縮まる。二人も頑張り時だよ」

 

……そうだよな。今後の為に結婚は必要だから頑張らないといけないよな。大体の優良物件はもう相手がいる状態だけど。しかも、無駄に出世したから相応の地位の相手じゃないと駄目だし。

一応相手を探す為に見渡していると、アンジェリカ嬢とオリヴィアさんが目に入った。アンジェリカ嬢は擦り寄ってくる取り巻き達に辟易しており、オリヴィアさんはボッチで浮いている。

 

「……難儀な相手を選んだね」

 

そんなオレと同じように二人を見ていたリオンに、ルクル先輩はそんな言葉を投げ掛けた。

……完全に誤解してるから訂正しておくか。

 

「なに勘違いしてるんですか先輩。そもそも、最初から狙っていませんよ」

「そうですよルクル先輩。第一、二人とも狙える立場にいませんよ」

「そ、そう……それはすまなかったね」

 

オレとリオンのその言葉に、ルクル先輩は苦笑いしながら謝罪した。

確かに性格的には理想だが、その前提から無理なんだ。どうせ最終的には政略結婚になるだろうし。

第一、もう彼女達個人の縁は切れているのだ。特にオリヴィアさんはもう、オレが原因で巻き込むわけにはいかないからな。

 

「おや。剣豪様だ」

 

そう言ってルクル先輩が示す先には、カウンター席でカードゲームに興じているクリスの姿があった。お約束の如く、大勢の女子からちやほやされて。

 

「失礼する」

 

カードゲームに勝利したクリスはそう言って席を立つと、女子達はきゃっきゃと喚いてクリスの後ろを付いていく。

そんな彼女達にクリスはふかした態度を取るも……

 

「「きゃ……」」

「「「待ってクリス様ぁあああああああ!」」」

 

……相変わらず酷いイケメンフィルターだよ。ホント。他の男子だったら散々罵倒して足蹴にするだろうに。

こんな感じで。

 

『は?』

『ウザいんだけど?』

『調子のんな』

『ガラクタと共に朽ちろ』

『ポンコツ諸とも滅びよ』

 

おいこらアホ腕輪。オレの想像にさらっと割って入って暴言吐くな。ついでにルクシオンも加わるな。

 

『くぁwせdrftgyふじこlp!!』

『くぁwせdrftgyふじこlp!!』

 

そしてお約束の罵り合戦に突入するな!!いくら周りに聞こえてないとはいえ、本当に心臓に悪いわ!リオンだって顔を顰めてるし!

 

「王子様のグループで南方の浮島は彼一人みたいだね」

 

そりゃ五人だからな。殿下とジルク、ブラッドとグレッグで分かれたみたいだし。マリエは知らん。少なくともこの南方の浮島のグループではない。

 

「二人はどうする?ルーレットでもするかい?」

「いえ。結構です」

「俺も。ギャンブルはしない主義なので」

「え!?嘘でしょ?」

 

ルクル先輩は信じられないといった表情をするが、リオンはともかくオレの方はちゃんと思い出してほしい。

決闘の賭けもバイクレースの賭けも、全部仕掛けてきた連中への仕返しの為にやったことだ。仕返しの為の手段であって、ギャンブルそのものには興味はないのだ。

その後、オレ達は適当に飯を食って過ごすのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ついに完成しましたね」

「そうだな。テスト飛行も問題なしだったからな」

「この船で、若頭を驚かせに行きましょう!」

「それは良い考えだな。決行は修学旅行の最終日……帰ってくる途中で見せびらかすとするか」

「若頭の鎧は乗せていきますか?」

「一緒に乗せていこう。現存の装甲一式も乗せてな」

「今から若頭の驚く顔が楽しみです、(かしら)!」

「馬鹿野郎!俺はもう(かしら)じゃねえ!艦長と呼べ!今の(かしら)は若頭一人だけだ!!」

 

 

 

――――――

 

 

 

屋台が建ち並び、赤い提灯が夜の光を照らす。

……うん。懐かしい日本の祭りだな。こういうお祭りのお約束の買い物は……

 

「このお面をくれ」

「あいよ!」

 

狐のお面だよな!あと法被も!

浴衣も悪くないが、オレは法被派だからな。いやー、この世界にも法被があってラッキーだよ。うん。

 

『意外と楽しんでいるな。キャプテン』

 

ハーツが呆れているが、本当に何十年振りの日本文化なんだ。楽しめる時に楽しんでおかないとな。

この修学旅行が終わったらまた忙しくなるだろうし、その間だけは領主の仕事は忘れていたいし。

そういや、アロガンツのあの攻撃を参考にした新しいアーマー、【ブラストアーマー】はどうなっているかな?一通りは完成したと報告は受けたけど、ちゃんと機能するかどうかは五分五分だし。

 

『その辺りは心配不要だ。いざとなれば、自分がブーストして強引に使えばいいだけだからな』

 

……それ、確実に壊れるよな?

お祭りの定番メニューはたこ焼や焼きそばだが、今回はタレの串焼き数本にした。

この串焼き、どこで食べようか。少し人気のないところで食べるか。

 

「にしてもリオンの奴、浴衣に着替えて早々に何処に行ったのやら……」

 

あの立ち去り方からして、目的地は決まっている筈だからな。

女子へのお近づき?そんなの今はどうでもいい。日本の風情を楽しむのが重要だ。

そんな考えで、鳥居が建っている神社らしき建物に足を伸ばしたのだが……

 

「それを寄越せ~!俺が全部買い取るから!」

「駄目です!いくら貴族様でもそれは聞けません!」

 

そこでリオンに出会してしまった。狐のお面を被った男の持つ木箱を奪い取ろうとするオマケ付きで。

 

「あ!そこの方、どうか助けてください!」

「エド!頼むから俺に協力してくれ!」

 

更に最悪な事に両名ともオレの存在に気付き、助けを求めてきた。

 

「はぁ……」

 

オレは面倒な事になったと言いたげに溜め息を吐くと、串焼きが入った紙パックを神社の廊下に置いてから二人に近づき……後ろからリオンを羽交い締めにして引き離した。

 

「おいエド!?一体どういうつ―――」

「早く行ってください。面倒にならない内に」

「は、はい!どうもありがとうございます!」

 

狐の面をした男はお礼を言って足早に去っていった。

 

「待って俺のアイテムぅううううう!!」

 

リオンがめっちゃ嘆いて狐の面をした男が去っていった方に手を伸ばすが、オレは彼の姿が見えなくなるまでリオンを抑え続ける。

そうして狐の面をした男が見えなくなり、すべてが終わったように脱力したリオンを引き摺って廊下に座らせると……

 

「おまっ……おまもっり……ほじがっだのに……っ。おまヴぇのぜいで……っ」

「だとしてもやり過ぎだアホ」

 

膝を抱えてグズグズ泣いているリオンの文句を、オレは串焼きを食べながらしれっと流していた。

どうもリオンの話では、あの男が抱えていた木箱の中には成長率が上がる御守りが入っているようで、その中の一つを確実に手に入れる為にあんな行動をやらかしたそうだ。

 

「ぶヴんのおまもり……あれだげは、ぜっだいでにいれだがっだのに……」

「また混ぜてるのか……?ちなみにハーツ。お前的にはどう見る?」

『新人類の兵器の中には、自身の能力を底上げする兵器もあった。その系譜であれば、さほど非現実的ではないな』

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

 

ま、マジか……だとしたら少し悪いことをしたな。それでもあれはやり過ぎな事にかわりないが。

頭を抱えて嘆くリオンに僅かに罪悪感を覚えていると、見知った顔が二つ、こちらに近寄ってきていた。

 

「……もしやとは思ったが、やはりお前達だったのか」

 

見知った顔の内の一人―――アンジェリカ嬢の呆れの言葉に、オレは肩を竦めるしかない。だって、特に反論できないからな。

 

「ところで、何で二人はここに?先の言葉からして、あの狐のお面の人に会ったんだろうが」

「ああ。少し慌てたように走っていたからな。危うくぶつかりそうだったのもあり、その理由を聞いたんだが……」

 

それだけで十分に理解したよ。うん。

 

「それでオリヴィアさんとこっちに来たってわけね」

 

オレのその言葉にアンジェリカ嬢の後ろにいたオリヴィアさんの顔は少し暗くなるも、オレは心を鬼にして無視する。

アンジェリカ嬢が少しオレを睨んできたが、無視だ無視。

 

「せっかく裏で色々準備したのに……エドのせいで全部無駄になってしまった……」

「リオンさん……」

 

真っ白に燃え尽きたようにぶつぶつ呟くリオンの姿に、オリヴィアさんは何とも言えぬ表情をしている。

まったく、ほとんどリオンの自業自得だから気にしなくていいのに。

 

「あっ。ここにいらしたのですね。貴族様」

 

そうこうしていると、あの狐のお面の男がこちらに向かって歩いてきていた。

 

「二つ余ったので、こちらをどうぞ」

「ほわああああああああ!」

 

手渡された二つの御守り袋に、リオンは涙を流して狂喜乱舞。せっかくなので良かったねの意味合いを込めてオリヴィアさん達と一緒に拍手を送ってやる。

その結果は……

 

「……白の【属性の加護】と赤の【属性の加護】。駄目だ……どっちも意味がない……」

 

二つとも玉の色が異なる、六芒星の御守りという結果に落胆していた。

 

(……あれの効力は?)

『おそらく光と火だな』

 

つまり、火属性の魔法と光属性の魔法の底上げね。確かにリオンには無用の長物だな。

 

「では、俺は戻りますね。それと貴族様。その御守りはそちらのお嬢さん達の方がお似合いに見えますよ」

 

狐のお面の男はそう言い残して去っていった。

リオンはその言葉を聞き、その御守りを二人にプレゼントした。

 

「え……くれるのか?」

「別にいいよ。俺の狙ってたモノじゃないし……」

「わ、私はさすがに……」

「遠慮せずに貰っとけ。その御守り、特定の属性の魔法を強めるご利益があるようだし、どっちもリオンにとっては無意味だからな」

「何故お前にそれが分かるんだ?」

「勘」

 

アンジェリカ嬢の疑問にオレはそう答えると、再び串焼きを頬張っていく。そんな中、オリヴィアさんが申し訳なさそうな表情でオレとリオンを交互に見ていた。

 

「エドさん……リオンさん……あの……」

「あ、お嬢様!」

 

オリヴィアさんが何か言おうとした矢先、遮るように男の声が辺りに響く。誰かと思って声がした方に顔を向けると、そこにいたのはアンジェリカ嬢の取り巻き達だった。

 

「わ、悪い。私は行く。あいつら最近しつこくてな……」

 

アンジェリカ嬢は慌てたようにそう告げると、足早にその場を立ち去っていく。

それを取り巻きの女子達は追いかけ……男子の方はオレとリオンを睨みつけてきた。

 

「またお前達か。少し出世したからっていい気になるなよ。お嬢様に取り入った貧乏貴族どもが」

 

如何にも気に入らないという態度を隠そうとしない、男子の取り巻き達。オレは取り合う価値もないので無視しておく。この程度の嫌味、痛くも痒くもないからな。

 

「え?悔しいの?それなら見捨てなければよかったじゃん。それを今さら取り入ろうとして恥ずかしくないの?」

「おまえ……っ」

 

リオンの至極真っ当な正論に、取り巻きの一人が憎々しげに睨んでくるが無視。だって、こいつらにそんな度胸があるなら、決闘騒ぎの時に名乗り出ただろうからな。

 

「け、喧嘩は駄目です!」

 

オレとリオン、取り巻き達の空気に不安を覚えたのか、オリヴィアさんが割って入ってきた。

 

「先に喧嘩を売ってきたのはそっちだろうが!」

 

いや、先に喧嘩を売ってきたのはお前達の方だろ。挑発しておきながらリオンに嫌味を返されて逆ギレすんじゃねぇよ。

オレはお前達が言うなという意味を込めて睨んでやると、連中はビビったように後退りした。

 

「……くそっ!」

 

取り巻きの一人がそう吐き捨てると、苛立ちを露に立ち去っていった。他の奴らもそれに追従していく。

 

「本当に根性がない奴らだな。エドが睨んだだけで逃げ出すとか」

「おいリオン。余計なことを言うな」

 

リオンの呟きにオレが文句を言ってると、オリヴィアさんは申し訳なさそうな表情でオレを見ていた。

 

「エドさん……私……」

「別に気にしなくていいよオリヴィアさん。どうせ嫌味しか言えないんだから、無視しとけばいいんだよ」

 

実際、騒ぎを起こせば向こうが不利なんだし。

それでも、オリヴィアさんは表情を変えなかった。

 

「……ごめんなさい。エドさん……リオンさん……私ずっと、謝りたくて……」

 

そう口にするオリヴィアさんの顔は今にも泣きそうだ。まったく、本当に難儀だな。

 

「……オリヴィアさんが謝ることじゃないだろ。むしろオレが―――」

 

謝るべき立場だ。と言おうとしたが、いつの間にか参道に立っていたお婆ちゃんの存在にビビったことで最後まで言えなかった。

 

「ど、どちら様で……?」

 

リオンもお婆ちゃんの存在に驚いたようで、少しびくびくしながら話しかける。そのお婆ちゃんは、杖をつきながら笑みを浮かべて近寄ってきた。

 

「いえ。孫がお世話になったのでお話に、と」

 

孫……あの狐のお面の男のことか。

 

「だとしたら申し訳ない。オレの知り合いが迷惑をかけてしまって」

「ええ。この度は大変申し訳ない事をしたと、心から反省しています」

 

お婆ちゃんに対してオレとリオンは深々と頭を下げる。対してお婆ちゃんは、笑顔を崩さなかった。

 

「いえいえ。私の作った御守りを全部買い取ってでも欲しいという方は珍しいですし、孫もそちらの眼鏡をかけた方に助けられたと感謝しておられたのですよ。どちらも余っているもので悪いですが、これらをどうぞ」

 

お婆ちゃんはそう言って、オレとリオンに御守り袋を手渡す。

オレは何が入っているのかと思ってその袋を開けると、中には色付きの玉がない、五芒星の御守りだった。

 

「武運の御守り……かな?でも、形が違うような……」

 

リオンの方は剣が三本あしらわれたような御守りだった。悪魔の羽のような鍔と剣の先にある黒い翼もあるので、少し禍々しさを感じてしまう。

 

「随分とお詳しいですね。どちらも特別に作ったものなのですが、お気に召すでしょうか」

 

特別に作った……ね。

 

(ハーツ。これにはどんな効果が望める?)

『全魔法の底上げが期待できるぞ。大事に取っておくがいい』

 

マジか。凄い大当たりじゃん。

 

「ありがとうございます。あ、代金を」

「オレも出します。さすがにタダで貰うわけにはいかないので」

 

リオンとオレはこの御守りの代金を渡そうとするも、お婆ちゃんはやんわりと手を振って受け取りを拒否した。

 

「いりませんよ。どうしてもというなら、お参りでもしていってください。ここは縁結びの神社ですので……ご利益もありますよ」

 

お婆ちゃんはそう言って、その場から立ち去った。

それにしても縁結び……ね。みんなが挙って願いそうだな。

 

「縁結び……」

 

オリヴィアさんはそう呟くと、オレの方をチラチラと見てきた。

……うん。この流れはまずい。

 

「エドさん……あの……」

「じゃ、オレはそろそろ戻るか。二人も、あんまり遅くなるなよ」

 

オレはそう言って足早に神社を立ち去っていく。

オリヴィアさんはもうオレと積極的に関わるべきじゃない。例の昇進でまた敵が増えただろうし、下手したらオフリーの二の舞だ。絶対に平穏になるとは言えないが、オレと関わるよりかはずっとマシな筈だ。

もう、オレが原因で傷付けるわけにはいかないのだから。

 

 

 

――――――

 

 

 

早朝。

 

『随分早起きしたなキャプテン。それほど鉢合わせしたくないのか』

「そうだよ」

 

ハーツの言葉にそう返し、オレ参道を登って縁結びの神社へと辿り着く。

 

「あ。今日はお参りに来られたのですか?」

「そうだよ」

 

朝早くから掃除をしていた、小学生低学年くらいの子供の質問にオレは素直に頷く。

 

「お参りの仕方はご存知ですか?ご存知なければ、私がお教えしますよ」

「知ってるから大丈夫だよ」

 

なんせ、前世は日本人だからな。学生時代、後輩や同級生と一緒にお参りしてたし。

手水舎で手を洗い、口を濯いで賽銭箱の前に立ち、鈴を鳴らしてから白金貨を五枚投入。神社の参拝は願掛けだからな。白金貨はやり過ぎな気がしなくもないが。

 

取り敢えず、オレに良縁が来るようお願いします。後、アンジェリカ嬢とリオンにも良縁に恵まれるようお願いします。

オリヴィアさんは……オレ以外の人と良縁が結ばれるようにお願いします。オレとの縁は悪縁となるので。

一頻り、願いを心の内で言い終えたオレは神社を後にしよとすると……

 

「「「あ」」」

 

リオンとアンジェリカ嬢、オリヴィアさんの三人にばったりと出会してしまった。

 

「……三人もお参りに?」

「……ああ。偶然、ばったりと出会してな……お前は?」

「オレはお参り終わって帰るところだ。じゃ」

 

オレはそう言って立ち去ろうとしたが、アンジェリカ嬢にがっしりと肩を掴まれてしまった。

 

「既にお参りを終えたのなら丁度いい。私達にお参りの仕方を教えろ」

「え……いや……」

「いいな?」

「……はい」

 

アンジェリカ嬢の有無を言わさぬ凄まじい圧に屈し、オレは三人のお参りを見守る羽目となった。

その際……

 

「何卒、愛嬌のある女性を!出来れば胸が大きくて腰の括れた女性を!ぶっちゃけ、俺を甘やかして―――」

「何大声でトンでもないこと言ってるんだ!?お前は!!」

「ごふぅっ!?」

 

リオンが子供がいる前でトンでもないことを泣き叫んでいたので、拳骨を食らわせて物理的に黙らせた。

 

「クソ!こんな事をほざくなら、お前の良縁を願うんじゃなかった!」

 

オレはそう文句を言って、リオンの襟首を掴んで引き摺っていくのであった。

 

 

 




「エドのやつ、串焼きを置いていったな……丁度二本あるから俺とオリヴィアさんで食べようか」
「え!?さすがにそれは……」
「どうせこのままだと捨てる羽目になるし、食べた方がマシだよ」
「そうですね……それじゃ……」
『マスター。オリヴィアにエドワードの食べ掛けを与えて良いのですか?』
(俺は男と間接キスする趣味はねーの!)
『そうですか』
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