チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


公国襲来

『本当にそんなものに頼る気ですか?』

「別にいいだろ。俺は使えるものは使う主義なの」

 

南方の浮島を後にして豪華客船で帰路につく中、ルクシオンの不満そうな質問にリオンはそう答えていた。

何せ、新人類所縁の御守りだからな。ルクシオンからしたら本当に気に食わないんだろうな。

 

『……まあ、別にいいでしょう。私のマスターが愚か者なのはいつもの事ですし』

「お前は本当に辛辣だな!」

 

ルクシオンが例の御守りを渋々といった感じで妥協したことにリオンが吼える中、オレはふと気になったことを聞いた。

 

「もしかして王都のダンジョンに挑まなかったのは、御守りを手に入れてからと考えてたからだったのか?」

 

そう聞いた瞬間に、ルクシオンからチェーンを受け取っていたリオンは露骨に顔を逸らしたよ。完全に図星だな。

 

「その腕輪は、王都のダンジョンのどこにあるんだ?オレもこいつ(ハーツ)に慣れる為に何度か潜ったが、それらしき物は見つからなかったぞ?」

「その腕輪は上級生でも苦労する場所にあるの。お前はまだしも、モブの俺はちゃんと準備しないと安全に回収できないの。オーケー?」

 

上級生でも苦労する場所……ね。そうなると結構奥に進まないといけないって事か。オレはハーツの力を使えば何とかなるが、リオンはそうじゃないからな。

 

『しかし、そうなるとマリエが先に回収する可能性があるのではないか?そのゲームとやらのメインポジションを奪ったのだからな』

「そのマリエもこの世界が乙女ゲームと認知してるなら、馬鹿な真似はしないだろうさ。最終的には、オリヴィアさん()()()()が必要になるからな」

「それって……聖女の力とはまた別なのか?」

 

オレのその言葉にリオンはコクリと頷く。確かにそれなら、マリエも安易には動かないだろう。

殿下達を籠絡したのだって、自身の状況を打開する為だっただろうし。それにしては欲張りすぎな気もするが。

だが……何かを見落としているような気がしてならない。杞憂で済めばいいんだが。

 

『それにしても残念です。せっかく【シュヴェールト】のお披露目が出来ると思ったのですが』

 

ルクシオンの言うシュヴェールトって……色合いまで変えたあのエアバイクのことか?

 

「あのエアバイクに勝手に名前付けたの?まあ、カッコいい名前だから別にいいけど」

 

シュヴェールト……確か、ドイツ語で剣という意味だったか?確かにカッコいいが……

 

『マスター。エアバイクを魚に例える話をご存知ですか?』

「聞いたことはあるが……それがどうしたの?」

 

……完全にカジキマグロだな。形状も先端が鋭いし、色も青くすれば完全にカジキマグロだぞ。

 

『シュヴェールトは剣という意味です』

「良いじゃないか!更に気に入った。あのエアバイクは先端が鋭いからいい感じだし!」

 

リオンのやつ、全然気づいていないな。自分はカジキマグロに乗りますとアピールしているのに。まあ、意味を理解してなきゃ、響きはいいから黙っておくか。

そういえば、アロガンツは七つの大罪の名称の一つだったような……

いや、止めておこう。下手に指摘したらリオンが憐れになるだろうし。

そうしてしばらく外の景色をリオンと共に眺めていると、クリスが話しかけてきた。

 

「バルトファルト。ブラッドと勝負をしたらしいな。私とも剣術の試合をしようじゃないか。ファーレンガルドもどうだ?」

 

眼鏡を外して勝負を持ち掛けてきたクリスだが、何で“剣豪”の称号持ちの相手に剣で勝負しなきゃいかんの?

 

「お前、本気で言ってんの?」

「ブラッドは苦手な分野で勝負を挑んできたのに、お前は得意な剣術で勝負するとか……ブラッドより根性ないな」

 

オレの呆れとリオンの嫌味を含んだ返しに、クリスは苛立ちを露に噛み締める。

 

「わ、私は剣術を得意だと思ったことがない」

「それは嫌味か?オレに剣術の才能なんて欠片もないってのに」

 

実際、剣術に対する授業評価はビリだしな。

 

「そうだぞ。剣豪様にはもっと堂々としてほしいよ」

「嫌味でも嘘でもない。ずっと修行してきて、父には才能がないと言われた。この前も、お前のような出来損ないは破門にすると言われたしな」

 

それ、お前達のやらかしを考えたら当然だろ。むしろ何のお咎め無しと考えていたなら、それこそ馬鹿の極みだろ。

 

「そんなに才能ないとかほざくなら、捨てればいいじゃん。破門になったなら、剣に拘る必要もないしな」

「そうだね。才能がないと言いながら剣豪になっているのに、ホント言い分がめちゃくちゃだよな」

「私には剣しかなかった!何でも持っているお前達に私の何がわかる!?」

 

何でも持ってる?冗談も本当に大概にしてくれ。

オレらだって、今あるものを使って頑張っているんだよ。その結果がこれであって、最初から持ってるわけじゃないんだよ。

 

「わかりたくもね~よ。同情してほしけりゃ、前にも言ったようにマリエにでも言え」

「人の頑張りにケチ付けてる時点で、タカが知れてるけどな」

「……ッ。たいして努力もしていないお前達みたいなやつが、私は嫌いだ!!」

 

たいして努力していない?相変わらずの自分本位だな。オレやリオンだけじゃなく、周りだって今の為に努力してるの。そもそも、リオンは殿下に対してあれこれ言っていただろ。それを聞けばリオンも必死に頑張っていたと察せるだろ。むしろ命懸けで頑張っていた奴に文句を言うお前が、本当は一番嫌われるんだよ。

 

「それは奇遇だな。俺もお前が大嫌……」

 

リオンも同じ事を考えていたのか、クリスに対して大嫌いだと返そうとしたその時、危険を知らせる警報が鳴り響いた。

 

「!?」

「何だ!?」

「警報?―――!?」

 

その突然の警報にオレとリオンはもちろん、クリスも困惑する。そんな中、クリスは何かに気付いたように目を見開いた。

オレもそちらに目を向けると……その先には大小様々な姿形のモンスターの大群が見覚えのある紋章を頭に浮かべながらこちらに近づいてきていた。

 

「何だよ……これは」

「おい……冗談だろ」

 

その異様な光景にオレは表情を引き攣らせる中、リオンは予想外と言いたげに呟く。ひょっとして、心当たりがあるのか?

 

「いったい何が起きた!?」

「分かりません。いきなりモンスターが現れて……」

 

クリスが乗組員に状況を確認している中、オレは何か知っているであろうリオンに事態の詳細を求めた。

 

「おいリオン。この状況に心当たりがあるだろ?今すぐ説明してくれ」

「……ファンオース公国の紋章とモンスターの大群。この二つからして、あのモンスター達は操られている筈だ」

 

モンスターを操るだって?

 

「公国にある魔笛……それがモンスターを操る事ができる設定になっていた。こんな数を操れるなんて聞いてなかったけどな」

 

まてき……つまり、笛ということか。しかし、何故このタイミングで?

 

「ちょっと……何よあのモンスターの数……!」

「この船、大丈夫なの!?」

「武器くらい積んでるんじゃないの!?」

「逃げろ!」

「空の上なのに、どこに逃げるのよ!?」

「うわぁああああ!」

「止めろ!下手に刺激するな!」

 

完全にパニックになっているな。だが、オレもさすがに頭が完全に追い付いていない。まったく予想だにしてなかったからな。

 

『本体とパルトナーを出撃させます。マスター許可を』

「すぐに出せ!時間は?」

『急ぎますがすぐというわけには……』

 

リオンもルクシオン本体とパルトナーの出撃を決定したが、距離的に考えると相応の時間が掛かる。それまで持ちこたえればいいんだが……

 

「何だあれは!?」

 

クリスが再び声を上げたのでまたそちらに目を向けると……今度は数隻の戦艦と、モンスターに戦艦を鎖で繋げた旗艦らしき戦艦、それに中抜きされた歯車で囲われた浮島だった。

 

『キャプテン。あのモンスターに背負われた戦艦から独特の波長を感知した。彼処にモンスターを制御している兵器があると見ていい』

 

マジか……そうなるとますますリオンの話が現実味を帯びてきたな。完全な後手。こちらが圧倒的に不利な状況だ。

 

「公国だと……王国の領空に入って……何を考えている!?」

「どう見ても侵略だ」

「戦艦は少ないが、侵略できる戦力は揃えているぞ」

「な……っ」

 

オレとリオンの言葉にクリスが絶句する中、オリヴィアさんとアンジェリカ嬢が息を切らせて駆け寄って来た。

 

「リオン!エド!ここにいたか」

「エドさん!リオンさん!って、リオンさんの横に何か浮いてますよ!」

 

声を掛けて早々、オリヴィアさんはリオンの隣にいたルクシオンの存在に気付いてぎょっとしていた。

そういえば、ルクシオンが堂々と姿を現しているな。それだけ、ルクシオンも危険な状況と判断しているのか。

 

「わ……私も気になっていたが、これはなんだ?」

「……大丈夫なのか?」

 

クリスもアンジェリカ嬢もルクシオンの存在に困惑しているな。

 

「こいつは使い魔のルクシオンだよ」

『使い魔?納得できませんね』

『科学の結晶が使い魔か。滑稽だな』

『黙れ魔の付く欠陥品』

『ほざけ金属の塊』

「「この状況で喧嘩するな」」

 

罵り合戦に発展しそうだったので、オレとリオンはそれぞれの相棒を強引に押さえ込む。

 

「エ、エドさん!?今、その腕輪から声が出ませんでしたか!?」

「ああ、出てたよ。面倒になるから隠してたけどな」

 

オリヴィアさんの驚愕に対して、オレは状況もあっておざなりに返す。

 

「色々とツッコミたいところだが……今はそれよりも奴らだ。公国に見えるが、何故モンスターと一緒にいる!?」

 

アンジェリカ嬢はルクシオンとハーツの存在に問い質したい思いがあるにも関わらず、目の前の状況の確認を優先してくる。

 

「ハーツ。さっきオレにした説明をみんなに説明しろ」

(そっちの方が余計な混乱を招かないで済むからな)

『了解だ。キャプテン』

 

オレの裏の意図も汲み取ってくれたハーツは、モンスター達が制御下に置かれていること。その制御の要が中央のモンスター旗艦にあるとオリヴィアさん達に説明する。

 

「モンスターを操っている、だと……いや、だから今襲ってこないのか」

 

説明を受けたアンジェリカ嬢は半信半疑ながらも、納得した表情で頷いてくれた。

 

「ど、どうやってこれ程のモンスターを操っているのでしょうか?」

『知らん』

 

オリヴィアさんの質問をハーツは無情に返した。本当は知ってるけど、それを話すと混乱してしまうからな。納得させる嘘も思い付かないし。

 

「誰か出てくるぞ!」

 

クリスのその言葉通り、旗艦の甲板の前に一人の質素な漆黒のドレスを着た黒髪長髪の少女が出てきた。

 

「……!ヘルトルーデ王女か」

 

アンジェリカ嬢がその少女の名前を呟く。王女と言った辺り、彼女が公国のトップか。まさかトップがいるとか……本当に何が狙いなんだ?

向こう側の真意をはかり損ねていると、向こうから説明してくれた。

 

『ファンオース公国第一王女、ヘルトルーデ・セラ・ファンオースが告げる。我らはホルファート王国に宣戦布告する。愚かなる王国貴族の子弟達よ、覚悟を決める時間をやろう。降伏か、死か。一時間だけ待つ』

 

黒髪の少女―――ヘルトルーデはそれだけ告げると船の中へと戻っていく。

向こうが戦争する気なのは理解したが……この鉢合わせは偶然なのか?そもそも国のトップがいる理由も不明だし、解決すべき疑問が多すぎる。

そんな中で、公国の使者が客船に乗り込んで来た。

 

「ごきげんよう王国の皆さん。私はゲラットと申します」

 

如何にも性格が悪そうなちょび髭を生やした貴族らしき男が嫌味たっぷりに挨拶する。お付きの士官二人は黙りだが。

 

「男爵家以上の子弟は捕虜として扱ってあげましょう。それ以下の騎士家の子弟に興味はありません。もちろん、亜人の奴隷とこの船の乗組員もね」

 

ゲラットがそう告げると、普通クラスの面々は絶望したように項垂れる。その間も、ゲラットはチラチラと視線を周囲に向けて動かしている。

あの目の動き……誰かを探しているのか?一体誰を……

オレがゲラットの目的を探る意味で見守っていると、見知った顔がゲラットの前に躍り出てしまった。

 

「小娘が何用ですかな?」

「アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ。私の家名くらい知っているだろう?」

「ほぅ!」

 

アンジェリカ嬢の名乗りにゲラットは感心したように言葉を洩らす。

 

「人質は私一人で十分だろう?他の者は見逃せ」

「まさか公爵令嬢が乗っておられるとは。王国は本当にマヌケですね」

 

……ゲラットの先ほどまでの目の動きが止まっている。まさか……

 

「名乗り出たその勇気に敬意を表しましょう。こちらへ」

 

ゲラットはそう言ってアンジェリカ嬢に手を差し伸べる。

 

「ま―――」

 

オレは嫌な予感を覚えて駆けつけようとするも、不意に誰かに押し倒され、地面に組伏せられてしまった。見れば、リオンも同様に押さえ込まれている。

 

「お前ら……!」

「アンジェ一人だけ人質にさせるとか正気か!?」

 

しかもよくよく見れば、アンジェリカ嬢の取り巻き達じゃないか。こいつら、一度だけでなく二度までも……!

 

「騒がしいですね。誰ですか?」

「……私の友人だ」

「そうですか。なんとも友達思いですねぇ」

 

ゲラットはアンジェリカ嬢にそう返すと、わざとらしく靴音を立ててこちらへと近づき……オレの顔を蹴り飛ばし、続いてリオンの頭を足蹴にした。

 

「どちらも反抗的な態度ですねぇ。どれ、王国の貴族たちに最後の仕事を与えましょうか」

 

最後の仕事。

ゲラットのその言葉で、オレの予測は確信に変わった。こいつら、初めからアンジェリカ嬢だけを人質にするつもりだったな!

 

「この者たちへの制裁を行いなさい。ほら、早く」

 

そんなオレの内心に構うことなく、ゲラットは周りにオレとリオンを攻撃するように命令してくる。

その瞬間、オレとリオンを組伏せていた連中が攻撃を始めていった。

 

「お前ら……!」

「この馬鹿野郎共が……!」

「馬鹿はお前らだ!」

「そうだ!お嬢様のご厚意を無駄にするんじゃない!」

 

オレとリオンの言葉に連中はそう返すと、殴る蹴るを繰り返していく。クソッ。眼鏡が吹き飛びやがった。

 

「もうよせ。止めてくれ!」

「おや。人にものを頼む態度じゃないですねぇ。公爵令嬢がそのようではいけませんよ」

「……止めてください。お願いします」

「残念。拒否させて頂きます!さぁ、貴女は私と共に行きましょう。お前たちはその糞ガキ二人を叩きのめしておきなさい」

「くっ……私以外のものは見逃してくれるだろうな?」

「その自己犠牲精神は泣けてきますねぇ。それについては私達の船で話し合いましょう」

 

そんな思ってもいないことをいけしゃあしゃあと……!最初から話すつもりなんてないだろうが!

上等だ……お前ら全員、百倍返ししてやるよ。そのプライドをボロクソの粉々にして、クソ公国への反撃にこき使ってやる。

オレはそう心に決め、周りの暴行に耐えていくのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

客船の牢屋にて。

 

「ひっく……うっく……ひっく……」

 

連中にボコられたオレとリオンが閉じ込められている牢屋の外で、ボロボロになったオリヴィアさんがすすり泣きしている。

オリヴィアさんがボロボロになったのは、オレとリオンを助ける為に暴れた結果だから、そこは申し訳なく思うよ。

 

しかし、今はオリヴィアさんに構っている暇はない。この状況からでの勝ち筋の算段を付けないといけないからな。

鎧は六機。武器も最低限。エアバイクは二台。周りはモンスターに加え、高性能の戦艦数隻。この状況でパルトナーが到着するまで耐えなければならない。

 

「ごめんなさい……エドさん……リオンさん……アンジェも助けられず……二人をここから出せなれなくて……」

「オリヴィアさんは十分頑張ったさ。だから、もう泣くなよ」

 

オリヴィアさんの謝罪に対し、リオンは頑張ったのだと逆に慰める。

その間も、オレは思考を止めない。このまま、泣き寝入りする気はないからな。

……ただ凌ぐだけじゃダメだな。やはり、向こうの旗印を奪うのが一番か。

ある程度、反撃への道筋が組上がっていると、クリスが神妙な面持ちでオレ達の前に現れた。

 

「バルトファルト。ファーレンガルド。先ほど公国の使者が来た」

 

クリスはそう言って、人質はアンジェリカ嬢以外は不要で残りは殺すという、オレの予想通りの言葉を紡いでいく。

 

「それで?俺達にどうしろと?」

「……手を貸してほしい。私とお前達で―――」

「断る」

 

クリスの嘆願を遮るように、オレは速攻で拒否した。それじゃ、意味がないんだよ。

 

「ああ、嫌だね」

「そこを曲げて頼む。全員が死ぬわけには―――」

「全員を生かしたいなら、全員で足掻かせろボケ」

 

オレは再びクリスの言葉をバッサリ切り、今まで背中を預けていた鉄格子に顔を向け、クリスに向かい合った。

 

「そもそも状況をちゃんと把握しろ。たったの数人でこの状況を打破できるわけないだろうが。やるなら、全員を巻き込んでやれ」

「……!無理だ。皆絶望して立ち上がれすらしないんだぞ」

 

だろうな。アンジェリカ嬢を見捨てて生き残ろうとして、失敗に終わったんだからな。

 

「なら、連中のプライドズタズタにぶっ壊してケツを蹴り飛ばすだけだ。オレは、やられたら倍返しでやり返す主義だからな」

 

オレのその言葉にクリスは息を呑み、オリヴィアさんは呆気に取られ、リオンはやっぱりかという表情となった。

 

「やっぱお前は腹黒だわ。もう、反撃の算段を立てていたのかよ」

「当たり前だろリオン。連中が最初からアンジェリカ嬢だけが狙いだと分かった時点で、残りを生かす気はなかったのは明白だったからな」

「……!気付いていたなら、何故止めなかった!?」

 

クリスがオレに文句を言ってきたが、それに気付いたのは奴の言葉でだからな?しかも周りからボコられていたしな。

 

「エドが気付いたのは俺らがボコられてる時だろ?そんな状況で言えるわけないじゃん」

 

リオンの嫌みたっぷりの言葉に頷いてやると、クリスは悔しそうに顔を顰めたよ。

 

「それで?お前はどんな策を思いついたんだ?」

「端的に言えば全員で正面突破して公国の旗印を奪う。それが現時点での最善の策だ」

「正面突破だと!?それの何処が策なんだ!?」

 

オレのその考えにクリスが文句をぶつけるが、オレは一切怯まずに伝えていく。

 

「向こうは確実にオレ達を下に見ている。そこを付けば連中を出し抜ける可能性がある。ましてや自分たちが圧倒的に優位と考えているんだ。アンジェリカ嬢を取り返された挙げ句、公女も奪われたら浮足立つ筈だ」

 

何せ第一公女だからな。国のトップを拐われれば、幾ばくか動揺する筈だ。

 

「だが、モンスターと艦隊はどうする!?」

「モンスターはお前達が相手しろ。戦艦の方はオレが出来る限り出鼻を挫く。リオンが一番キツい役になるが、いいな?」

「いいぜ。アンジェ助けて向こうの旗印を奪うとか、最高だからな。お前は自慢の剣術披露して船を守ってろ」

「……自慢した覚えはない」

 

これ、本気で言ってるんだろうな。本当に自惚れが酷い名門の坊っちゃんは……

 

「それでどうする?エドの策に乗るのか?それとも無謀と蹴り飛ばすのか?どっちなのか、今すぐ決めろ」

「……いいだろう。お前同様、ファーレンガルドの策に乗ってやる。私も、またマリエの笑顔が見たいからな」

 

リオンの言葉に、クリスはオレの策に乗ることを選んだ。相変わらずのマリエ愛をちらつかせながら。

 

「オリヴィアさんにも当然、頑張ってもらうぞ。全員でやらなきゃ、意味がないからな」

「っ!はい!!」

 

オレの言葉にオリヴィアさんは笑顔で頷く。

さて、腰抜け連中にクソ公国ども。今から盛大に反撃してやるぞ。

 

 

 




「お前、眼鏡ない方がイケメンに見えるんだけど」
「目が悪いから眼鏡は必須だボケ」
「この眼鏡……質に拘った一品か。それがこんな無惨になるとは……!」
「!分かるのか?」
「ああ。私もこの眼鏡を作った店を重宝しているからな」
「まさかの眼鏡繋がりかよ!?」
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