チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


意地を見せろ

クリスが牢屋の鍵を持ってきていたので、すんなりと外に出られたオレとリオンはクリスに指示を出して全員をラウンジに集めさせた。オレとリオンじゃ無駄な会話が発生して時間が掛かるからな。こういう時にイケメンの肩書きは便利だよ。

 

クリスに全員集めさせている間にオレはルクシオンに内部調査を頼み、一番怪しいグループを探らせたら見事にヒット。その連中は牢屋に閉じ込めたから後で締め上げるとして、今はこの腑抜け共の安いプライドを粉々に砕いて立ち上がらせるのが先だ。

 

ちなみに眼鏡はボコられた際にフレームがイカれ、駄目になってしまったのでスペアの眼鏡をかけている。終わったら、新しい眼鏡を買わないとな。同じデザインがあればいいけど。

 

「みんな、聞いてほしい。この数と状況を前に絶望してしまう気持ちは分かる。抗う気力さえ、失ってしまったのも分かる。だが、全員が助かるにはみんなで戦うしかない。頼む!力を貸してくれ!」

 

クリスの懸命な説得に、集められた連中は誰も答えず頷かない。最初からオレとリオンでズタボロにしても良かったが、クリスの真っ当な説得の後で言った方が効果が絶大だからな。

これに関してはクリスはもちろん、オリヴィアさんとリオンにまでドン引きされた。クリスとオリヴィアさんはまだしも、リオンにドン引きされたのは解せない。

 

「今立ち上がらければ、私達はこのまま犬死にに……」

「うるせーぞ一年坊主が!調子に乗ってんじゃねーぞ!!」

 

ついに反発したか。いいぞ、もっとしろ。反発すればするほど、お前達自身の退路を塞ぐんだからな。

 

「そうだ!大して強くない癖に、偉そうに威張ってんじゃねーよ!」

「そうよ!そこにいるクズ野郎二人に決闘で負けたくせに!」

「引っ込め廃嫡野郎!」

「大体、アンジェリカが悪いのよ!」

「そうだ!結局自分だけが助かったんだからな!何が公爵令嬢だ!」

 

本当によくもここまで言えるな。後、リオン。苛立つのは分かるが今は堪えろ。こいつらの退路を塞ぐ為にな。

 

「戦うだってよ!上級クラスの奴は本当に偉そうだよな」

「命令すれば、誰もが素直に聞くと思ってるんだろ」

「おい!普通クラス如きが生意気だぞ!」

「うるせぇ!どうせ死ぬんだ。もう階級なんて関係ないんだよ!」

 

……そろそろいいか。

オレはリオンに視線で合図を送ると、リオンはゲスい表情を浮かべて皆の前に立ち上がった。

 

「ガタガタ五月蝿いんだよ。根性なしのカス共が」

 

……中々の罵倒だな。台詞はアドリブで良いと伝えていたが、こうも喧嘩売る言葉を自然と吐けるのは、もう一種の才能だな。おかげで全員、リオンに注目してるからな。

 

「よく聞け。俺は正式に男爵位を持っている騎士だ。おまけに五位下。その俺がお前らに命令してやるよ。戦え。死にたくないなら戦え」

「ふ、ふざけんな!」

「お前達で勝手に戦えよ!」

「そうよ!」

 

リオンの命令に全員反発してるな。それじゃあ、退路を塞ぎに行こうか。

 

「いいぜ。命令に従ってやるよ。そこにいる、一生後ろ指差されて生き恥を晒す人生を送る連中と違ってな」

 

オレのその罵倒に一同絶句。そこにリオンが追い討ちをかけていく。

 

「さすが、俺と同じ“本物の”貴族のエドだな。目の前のエセ貴族達とは大違いだ」

「エセ貴族……ですって?」

 

リオンのエセ貴族という言葉に反応し、一人のドリルウェーブの髪型の高飛車そうな先輩らしき女性がオレ達の前に出てきた。

 

「伯爵家出身の(わたくし)に対して失礼ですわね。取り消しなさい!!」

「……誰だよ?」

(わたくし)を知らないですって!?(わたくし)はディアドリー・フォウ・ローズブレイド!!ローズブレイド伯爵家の娘よ!覚えておきなさい!」

 

リオンの質問にドリル先輩改めディアドリー先輩は憤慨しながら自己紹介する。

ローズブレイド家……レッドグレイブ家を除けば、この中では一番実力のある家だな。

だが……そんなのは関係ないんだよ。

 

「そのローズブレイドの令嬢さんはリオンの発言を取り消せと?今のアンタはリオンの言う通り、エセ貴族なのにか?」

「エセ……!?お前も(わたくし)を侮辱するの!?」

 

おーおー、憤慨してるな。じゃあ、そのプライドをベキベキに折らせてもらおうか。

 

「まさか、家のことを侮辱されたとでも思っているのか?だとしたら、本当にめでたい人だよ。個人に対しての評価に、家を持ち出すなんてな」

「そうだね。さすがエセ貴族だよ。俺には真似できないね」

「成り上がり風情たちが……!」

 

ディアドリー先輩は怒り心頭といった表情をするが、それもリオンの次の言葉で崩れ去った。

 

「じゃあ聞くが、今のお前はどうしている?アンジェが一人連れ去られた時、どうしてた?周りが腑抜けている間、何をした?何を考えた?」

「それは……!」

「言えないんだな?言えないんだろ?アンジェに全部押し付けて、自分は楽な方に逃げたんだからな!!」

 

リオンのその言葉に、ディアドリー先輩は唇を噛み締めて何も言えなくなる。そりゃそうだ。実質、オレ達に文句言ってるだけだからな。ここで反論しても、説得力がないと察しているからな。

 

「彼女だけじゃない。お前達にも言えることだ。自分達の行動が跳ね返ったくせに、それに文句をほざいて責任を他者に押し付ける。それがリオンの言った根性なしのエセ貴族じゃないなら何だ?臆病者の卑怯者か?いいや。今のお前らはその卑怯者以下だ!」

 

さあ、ここからが本番だ。

 

「調子に乗るな?お前たち全員を助ける為に、お前らが言ったクズ野郎二人に地べたに両手をついて頭をくっ付けてまで協力を頼んだ剣豪に対して暴言吐く方がずっと調子に乗ってるだろ。大して強くない?お前達はその剣豪より強いのか?強いなら、戦って証明したらどうだ?それが出来ないなら、剣豪に文句を言う資格はねぇよ」

 

クリスがそこまでやってないと視線で訴えてきているが無視。こう言った方がダメージがデカイからな。実際、ソイツらは反論できずに項垂れているからな。

 

「アンジェリカ嬢が悪い?全員を助ける為に自ら人質になったのを庇いもせずに見捨てたのに、思う結果にならなくて罵倒したお前らの方が悪いだろ。命令するな?命令しなきゃお前達は文句言うだけで何もしないだろ。実際、それしかやっていなかっただろ。ここまでやらかしておいて、エセ貴族じゃない?ふざけるのも大概にしろや」

 

オレの指摘に誰もが歯を噛み締める。そりゃ言えないよな。全部、自分に返ってきただけなんだからな。

 

「黙れよ成り上がり共が!」

「正論付かれて逆上か。さすがエセ貴族だな。その面の厚さに感心してしまうよ」

「ぐっ……!」

 

一人反発してきたが、速攻で切り返したら黙りとなったよ。本当に底が浅い連中だよ。

 

「もうこいつらに何を言っても無駄だ、エド。こいつらは、命懸けで冒険して貴族に成り上がった祖先の、勇気も知恵も力も……そのすべてを受け継がなかったんだ。そんな情けない根性なしのエセ貴族にはもう、構う価値はないんだよ」

「……ああ、そうだな。ここで死のうが生き残ろうが、こいつらは“貴族の面汚し”、“意気地無しの騎士”、“一族の汚点”、“末代までの恥”という不名誉な称号を永劫背負うことを選んだからな。苦労して貴族となったご先祖様も、こんな子孫たちと絶縁したい気持ちだろうよ」

 

リオンの呆れを多分に含んだ発言に、オレは同意するように言葉を紡ぎ、盛大に溜め息を吐く。

……さて、ここまで罵倒したんだ。冒険者に憧れ、その末裔であることに誇りを持ってる連中は、このまま黙っているかな?

 

「……ふざけるな」

「馬鹿にするな。俺は……エセ貴族なんかじゃない……!」

「そんな不名誉な称号……死んでも御免よ……!」

 

よしよし、いいぞ。このままその矛先をクソ公国に向けてやる。

 

「口だけなら何とでも言えるんだよ。違うと言うなら、口ではなく行動で証明しやがれ。自身の今までの不甲斐なさを、最初からオレ達を殺す気で内心コケにしていた公国の連中にぶつけやがれ!!」

 

オレのその言葉に、全員はどういう意味かと視線で訴えかけている。それじゃ、情報を一部解禁だ。

 

「まさか、この状況になってもまだ気づいていなかったのか?あの髭野郎は“最後の仕事を与える”とほざいただろ。今の状況と合わせれば、最初から一番爵位の高い子弟しか生かす気なんてなかったんだよ。今頃、嫌らしい笑みを浮かべて扱き下ろしているだろうよ」

「だな。特にあの髭使者は聞くに耐えない言葉を並べ連ねた挙げ句、公爵令嬢を命惜しさに見捨てた腰抜け連中と周りに風潮するだろうな。良かったね、君たち。あの髭使者のおかげで凄く有名になるよ。もちろん悪い意味でね!」

 

その瞬間、ブチィ……と何かが切れる音が聞こえた気がした。

 

「公国の野郎どもぉ……!」

「平然と嘘を付きやがってぇ……!」

「何が男爵以上の子弟は人質にする、だ……俺達を馬鹿にしやがって……!」

「ここまでコケにされて黙っていられないわ!!」

「絶対にぶっ飛ばしてやるぅ……!」

「このまま馬鹿にされて、泣き寝入りして堪るもんですか!」

「誰か武器を持ってこい!あの使者だけは、絶対に殺ってやる!!」

 

その場にいた全員、怒気と殺気マックスでやる気になったな。

オレはその光景に、内心でほくそ笑む。いやあ、怒りパワーって本当に素晴らしい。

 

「間違ってはいないが……この何とも言えない気持ちは何だろうな……」

 

クリスが凄い微妙な表情をしてるが、士気を高める意味では何も間違っちゃいないだろ。特にあの髭野郎は下品な笑みを確実に浮かべてるだろうし。

 

「……そうですわね。ここまでコケにされて黙ってるなんて……ローズブレイドの人間として恥ずかしいわ」

 

ディアドリー先輩も怒り心頭の表情で呟く。美女の怒った表情は恐いって言うけど、確かに迫力があるね。うん。

 

「それで?これからどうするの?ここまで言ったのだから、考えがあるのでしょうね?」

「ああ。これから俺達がすることは正面突破だ。狙いはアンジェの救出と公国の旗印―――公国の王女の強奪だ」

 

ディアドリー先輩の質問に、リオンがオレが伝えた策を伝える。

 

「正面突破!?」

「正気なのか!?」

「いい!凄く良いわよ、貴方!」

 

正面突破に周りが困惑する中、ディアドリー先輩だけは上機嫌で高笑いしている。

じゃ、さらに爆弾投下だ。

 

「その正面突破でオレとリオンはエアバイクで出る。リオンが救出と強奪。オレは船の出鼻を挫いてやる」

「エアバイクぅ!?貴方たち、正気なの!?モンスターの群れに飛行船もいるのよ。鎧だって出てくるわ!」

 

ディアドリー先輩は信じられないと叫ぶが、これが現時点での最善の配置だ。その理由も、今から説明してやる。

 

「正気も正気だ。こちらの鎧は船の防衛には絶対に外せない。第一、鎧で向かっても警戒して対応を引き上げてくるだけだ。その点、エアバイクなら向こうも無謀と舐めてかかる。それとあちらの鎧は公女を拐うまで出してこない。連中はモンスターを操っているんだ。補充の利くのを優先的にぶつけるのは戦術の基礎だろ」

 

これは前世の会社での経験ではあるがな。戦略ゲームも開発してたし、漠然程度だが動きは予測できる。

ましてや、モンスターを除いた数の差は本来王国側が上なのだ。学生相手なら、出し惜しみするのが定石だ。連中の立場なら、オレだってそう判断するしな。

 

「そして、一応交渉したと形を取る為に公女はアンジェリカ嬢と一緒の船―――あの趣味の悪い船の中にいる筈だ。別の船に乗せ変えるとは思わないし、公女が出向くとも思えない。そして、絶望するその姿を眺めて悦に入ろうと絶対に側に置いとくだろうよ」

 

相手に嫌がらせする際は、されて嫌なことを実行する。ましてや全員皆殺しにするのだ。その光景を見て崩れる姿を、絶対に視界に収めようとする筈だ。

 

「そこでアンジェリカ嬢を救出しつつ公女を人質に取れば、向こうもすぐには動けない。その隙をついて包囲網を突破する。分かったか?」

「……理屈としては筋が通っているわね。けど、貴方はよくこの策に乗りましたわね?」

 

ディアドリー先輩はオレの言い分に納得しつつ、浮かんだ疑問をリオンにぶつける。それに対し、リオンはニヒルな笑みを浮かべた。

 

「男なら一度はお姫様のピンチに駆け付ける騎士になりたいと思うだろ。それに、アンジェはお前らより良い女だから、エドの策に関係なく見捨てられないんだよ」

「私に向かって他の女が良いなどと……初めて言われたわ!」

 

リオンのその返答に、ディアドリー先輩は悔しげに指の爪を噛む。

まあ、確かに一度はそうなりたいとは思うよな。そう思いたい女性が圧倒的に少ないのが現実だけどな。

これで、最初の段階はクリアできた。次は……不穏因子の排除だ。

 

 

 

――――――

 

 

 

「待ってよ!誤解なの!」

「お願いだから、話を聞いてよ!」

 

焚き付けから少しして、閉じ込めた牢屋の中で助けを求めているのはアンジェリカ嬢の取り巻きの女二人だ。

この場にいるのはオレとリオンにアンジェリカ嬢の取り巻き全員、そして数名の女性船員だけだ。

何故この二人を焚き付け前に牢屋へと閉じ込めたのか……それは、彼女達がアンジェリカ嬢の居場所を教えた内通者だったからだ。

 

「お、おい。嘘じゃないか?こいつらは……」

 

連れて来られた取り巻きの一人が信じられないと言いたげな言葉を遮るように、オレは回収していた発煙筒モドキを突き付けた。

 

「女性船員達にこいつらの部屋を徹底的に調べてもらったら、これと同じものが幾つも出てきた。ご丁寧に使い方が記載された説明書付きでな」

 

牢屋に閉じ込められていた間、オレは状況の打開だけでなく、どうやってアンジェリカ嬢がこの船にいると連中が知っていた理由も考えていた。

それで真っ先に思いついたのが情報を横流しした存在がいること。確実にアンジェリカ嬢がいると把握できる存在は、彼女の取り巻き以外に考えられなかったのだ。

 

修学旅行での職員への根回しの際、グループ分けも移動ルートも情報の秘匿性から独立していて、職員では完全に把握しきれないのは知っていたからな。その秘匿性の高さから、船員達もどのグループを乗せるのか当日でないと知り得なかったのも把握していた。以上の点から存在と居場所……その両方を確実にクリアできる存在はアンジェリカ嬢の取り巻きしかいなかったのだ。

 

実際、公爵家の立場は依然弱いままだし、フランプトン侯爵の立場は相対的に強いままだ。取り巻き達の家の当主が侯爵側に寝返る為の見返りに、当主を通して裏切り行為を子息に指示していたとしてもおかしくはない。

 

「それと言葉には気を付けた方がいいぞ。お前達も、この二人と同じ末路を辿りたくなかったらな」

 

オレのその言葉に取り巻き達は息を呑むも、表情からしてまだ理解できていないようだな。自分達の立ち位置が崖っぷちであることがな。

そんな取り巻き達に、リオンが呆れながら説明した。

 

「そんなんだからアンジェに避けられるんだよ。お前らの中に裏切り者がいた。それも場合よっては国への反逆行為と見なされる事をしでかしてな。それを……公爵家と国が許すと思うか?」

 

リオンのその言葉でようやく理解できたのか、取り巻き達は一斉に顔を青ざめさせる。

ようやく理解できたようだな。自分達の立場と、この二人のしでかした事の大きさを。

 

「知りませんでした。こうなるとは思わなかったはもう通用しないんだよ。少なくとも、この二人は地獄を見ることは確定だ。一瞬か永劫かは知らないけどな」

 

オレのその言葉に、牢屋の二人は揃ってガタガタと身体を震わせていく。自分達のこれから先の光景が想像できたんだろうな。もう後悔しても遅い。アンジェリカ嬢を裏切った時点で、こいつらの未来は閉ざされていたのだから。

その間に取り巻きの一人がリオンに殴り飛ばされた。

 

「お前達は死ぬ気で戦え。自らの潔白を証明する為にな。でないと……同じ運命を辿るぞ」

 

リオンの底冷えしたその言葉に、殴り飛ばされた取り巻きはコクコクと頷く。

この分なら自棄になって暴走、という事もないだろう。そうでなかったら、あの二人同様に牢屋に閉じ込めるつもりだった。

 

本当は問答無用であの二人同様に閉じ込めたいところだったが、見捨てただけである以上戦力として数え、使わなければならない。それだけこちらが圧倒的に不利だからな。これが後手対応の辛いところだ。

 

どっちにしろ、連中はもうアンジェリカ嬢の取り巻きではいられないだろうけど。二度も見捨てた挙げ句、裏切り者もいたのだ。もう信用は地に失墜している。最低でも、縁切りされるだろうよ。

そうしてやるべき事を済ませたオレとリオンは、それぞれのエアバイクの最終調整に入る。

 

「それでエド。どうやって戦艦の出鼻を挫くんだ?」

「移動用のプロペラや船尾を潰す。それで制御を困難にする」

 

この世界の船は“浮遊石”が存在する為製造コストは安いが、その多くの推進方法がプロペラ頼みとなっているのだ。

そこで片方のプロペラや移動を調整する船尾が潰されたらどうなる?航行に支障をきたすのは確実だ。

 

「本当に出来るのか?」

「この腕輪に精一杯働いてもらうさ」

 

オレはそう言ってハーツを見せつけるように掲げる。本当は爆弾があれば良かったが、生憎なかったからな。ハーツで超強化した魔法弾を近距離で叩き込んで潰してやるさ。

 

『不安ですね。役立たずの欠陥に頼るだなんて』

『抜かせ出遅れ船。あんな陳腐な船程度、容易く吹き飛ばしてやる』

『では、失敗した暁には盛大に虚仮にしてあげましょう』

『なら、自分はそれをつついて煽ってやる』

 

相変わらずの喧嘩腰の相棒達だ。その対応が一切ぶれていないことが、何となく羨ましいと感じてしまったよ。

 

「ハーツ。魔装を手足に展開。出撃後は顔の右半分にも展開だ」

『……了解だ。キャプテン』

 

オレの指示にハーツが少しの間から従った瞬間、周囲から粒子が集まるように手足に黒い装甲が追加される。

 

『相変わらず、私の知るデータとは違う展開ですね。本来は液体のように纏わりつくんですがね』

『プロトタイプだからな。魔素を集約して身体を覆う鎧を作ることで、力を引き出す作りとなっている。生体パーツが最初から組み込まれている他の魔装とは違う』

 

生体パーツ……ね。そういえば、モンスターもその新人類が作ったんだよな。バイオ技術は向こうが上だったのか?

 

『そうだな。向こうは人体改造が精一杯だったからな』

『非常に不本意ながら同意しましょう。その点だけは、我々よりは上でしたね』

 

……また気になる事実が出てきたな。けど、それは放置だ。

船員達の準備も終わってこちらに近づいてきたので、オレとリオンはそれぞれのエアバイクに乗る。

 

持ち武器はライフルのみ。弾は持てるだけ持ったが、数の差から無駄撃ちはできない。

せっかくだし、このエアバイクに名前でも付けておくか。白銀の色合いだから……【アルグレアス】とでも名付けておくか。

 

「ほ、本当にやるんですか?」

「やるしかない状況だからな」

「なんだったら、あの髭使者も連れてきて、全員で髭をむしってやるか?」

「ははっ。それは名案ですね」

 

船員達と軽口を交わしている間にハッチが開かれる。オレはハンドルを握り締め、エンジンを噴かしていく。

 

「では、ご無事で!!」

 

船員のその合図に、オレとリオンはスロットルを回してモンスターと戦艦が待ち受ける空へと飛んでいくのであった。

 

 

 




「貴方達がアンジェリカのお気に入りでなかったら、(わたくし)がペットにしていたというのに!」
「この先輩、ドSだ」
「罵りに息を荒げているからMの方だろ」
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