チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


やっぱりチートアイテムは強い

「エドの予想通り、あのクジラの戦艦の中にアンジェもヘルトルーデ王女もいるな」

「裏が取れたなら上々だ。まずは進路の確保だ。ハーツ、出来るか?」

『問題ない。アルグレアスの制御も任せるがいい』

 

それじゃ、遠慮なくモンスター達を吹き飛ばすとするか。

オレは持ってきたライフルの銃口をモンスターの群れへと構える。リオンも同様だ。

戦艦は最初から狙わない。動くとしたら、モンスター達の動きが活発化してからだ。

 

「魔法陣展開。術式は雷と風だ」

『了解だキャプテン。二属性魔法の同時運用。散弾性の貫通ホーミング弾への調整―――周辺対象への標準指定も完了だ。何時でも撃つがいい』

 

ハーツのその言葉通り、魔装で覆われた顔の右半分にはモンスターのすぐ近くにマーカーのようなものが写っている。

 

「念のために聞くが、リオンと被っていないよな?」

『……安心しろ。無駄撃ちは避けてある』

 

おいこら。今の間はなんだ?さては横取りするつもりだったな?マーカーも幾つか動いたし。

こんな状況でも変に張り合うアホ腕輪に呆れながらも、オレは改めてモンスターの群れへとライフルの銃口を構える。

 

「それじゃあ、開幕の狼煙を上げるとするか!」

 

そんな宣誓を上げながら、オレは引き金を引いた。

その途端、凄まじい衝撃が襲いかかるが魔装で強化されているので全く問題はない。魔法陣を通して放たれた銃撃は旋風が舞う無数の雷閃となり、蛇のように縦横無尽に動きながら次々とモンスター達の身体に大きな風穴を作って消し飛ばしていく。

リオンの方も、強力な雷撃弾で先頭にいたモンスター達を葬っていた。

 

「驚いたな……まさか一撃でここまでモンスターを片付けられるとはな」

『当然だ。魔法においては自分の方が圧倒的に理があるからな』

 

こんな芸当が可能になるとは、本当にハーツはロストアイテムだったんだな。ただの爆弾じゃなかったか。いや、範囲殲滅はライフルなしでもできないことはないが、その場合は誤魔化しが困難になる。それでも必要なら躊躇いなく切るけど。

 

「見たか!俺とルクシオンの力を!二人で力を合わせれば、こんな凄い魔法も使えるんだよ!」

『ほとんどが私の力でしょう。協力ではなくマスターが補助しているだけです』

「細かい事はいいんだよ!」

 

めっちゃ上機嫌だな、リオン。調子に乗ってヘマするなよ?

オレはリオンの高笑いに呆れながらも、豪華客船の進路確保の為にモンスターの掃除を続けるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「本当に先陣を切ったのか」

 

白と黒のエアバイクの姿を視界に収めた私は、本当に実行してのけた二人に私は感嘆の言葉を思わず溢す。

幾ら最善の配置とはいえ、エアバイクで攻めに行くのは……勇気も度胸もいる。私なら、二の足を踏んでいただろう。

 

「……強いな」

 

単純な剣の腕前なら私が上でも、それ以外は負けてしまっている。単に自分の方が上だと証明したかっただけの私は、なんと滑稽だったことか。確かに根性なしと言われて当然だ。

 

「私もお前達のように……強くなれるだろうか?」

 

いや、違うな。なれるかじゃない。なるんだ。私も、あの二人のような、強い騎士に。

私は修学旅行で手に入れた、剣と盾があしらわれた御守りを握りしめ、同じく鎧に乗り込んだ彼らを見やる。

そして、力強く告げた。

 

「私達の目的は飛行船を守ることだ。絶対に守り抜くぞ!!」

「「「「「おお!」」」」」

 

その掛け声と共に、私達はエアバイクで先陣を切った二人に続くように飛び出す。

この船は命懸けで守ってみせる。だから、安心してお前達の成すべきことを成してこい。

 

 

 

――――――

 

 

 

「本当に数が多いな。分かっていたことだけど」

『分かっているなら無駄口を叩かないで下さい』

「愚痴くらいいいだろ!?」

 

リオンとルクシオンのいつものやり取りを尻目に、オレは作業感覚でモンスター達を葬っていく。モンスター達の動きはあくまでこちらの行動に反応してるだけ。積極的ではない。

……さて、そろそろか?

 

そう考えた直後、普通ではあり得ない法螺貝でも吹いたような大きな音が辺りに響き渡る。それと同時にモンスター達が雄叫びを上げた。

……ようやく敵さんも動き出したか。同時に艦隊も動くだろうな。

 

「リオン。ここから別行動だ。きっちりメインを果たして来いよ?」

 

オレはそう告げると、リオンの返答を待たずに進路を変更。包囲に動き始めた戦艦の一隻へと近づいていく。

 

「ハーツ。風魔法でアルグレアスのスピード上昇、並びに攻防一体の風のバリアを展開。並びにライフルの付与魔法を炎と風に変更だ」

『了解だ。キャプテン』

 

オレの指示にハーツは素直に従い、アルグレアスのスピードが更に加速し、周囲に嵐のような風のバリアが展開される。

それで強引に進路上のモンスターを蹴散らしながら進み―――目的との射程圏へと入る。

 

「それじゃ、出鼻を挫かせて貰うぞ」

 

オレはそう呟いてライフルを構える。最初と同様に複数の魔法陣が展開され狙いも左のプロペラへと定める。

 

「この距離なら、障壁は意味なしだ」

 

その言葉と共に……障壁の内側となった近距離でライフルの引き金を引く。

着弾。そして大爆発。

その爆風と衝撃でオレはアルグレアスもろとも吹き飛ばされながらも、戦艦の左プロペラは目論見通りおじゃんとなった。同時に進路も内側へとずれていく。

 

オレはそれに構わずにアルグレアスのバランスを取り、次の目的である戦艦の大砲を先程の魔法で吹き飛ばしていく。

そんな方法で大砲が潰せるのかって?砲の中で大爆発を起こせば、中に入っている弾も誘爆するからそこまで非現実的じゃないんだよ。

 

「それじゃ船尾も破壊だ。こっちの砲弾避けの壁となれや」

 

オレはそう呟くと、ギリギリの航行を可能とする船尾も近距離で吹き飛ばすのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「何をしているのですか!?早く囲んでしまいなさい!!」

「そ、それが……戦艦の一隻の航行能力が損なわれてしまい……制御が困難に……」

「なら、それを無視して囲めばいいではありませんか!」

「それも無理です!向こうの船はその船を盾にするように進路を取っているのです!間違いなく、巻き込んでしまいます!!」

 

ゲラットと他の士官の言い合いに、私は苛立ちを露にする。さっきまでは勝手に魔笛で操ったモンスターごと王国の船を沈めようとしたゲラットに苛立ちを覚えたが、今は別の苛立ちが勝っている。

こちらが圧倒的に優位の筈なのに、徐々に追い詰められているかのような……そんな漠然とした予感に対しての苛立ちだ。

 

この魔笛とモンスターの群れで憎き王国を滅ぼせる筈なのに……どうして目の前の飛行船すらすぐに沈められないの?

これがアンジェリカの言っていた……バルトファルトという騎士の力だとでも言うの?

 

「そもそも何故、戦艦が損傷したのです!?」

「報告によると……エアバイクが接近した直後にそうなったと……」

「冗談も大概にしなさい!まさかエアバイク一つに、我々の艦隊が遅れを取ったと言うのですか!?」

 

ゲラットが怒りを露に叫ぶ。私もその報告は信じられないが、現実として一隻の船からは煙が上がっている。

アンジェリカだけは呆れたような笑みを浮かべているが、教える気はないように見える。

そこに、さらに慌てたように別の士官が入ってきた。

 

「今度は後方から包囲しようとした三番艦から右側の推進機関部に損傷を受けたと報告が!これでは後ろから包囲できません!」

 

またしても公国の誇る戦艦が手傷を負うなんて……!向こうは軍人でもない、ただの学生の筈なのに何故!?

 

「なら、包囲せずに撃ち落としてしまいなさい!所詮は客船。戦艦の砲撃に耐えうる筈がありません!!」

 

包囲網の構築を妨害されている事実に、ゲラットはもう包囲せずに王国の船を沈めるように半ば叫ぶように指示を飛ばす。

 

「はは……随分と余裕がなくなってきているな?最初の余裕はどこにいった?」

「黙りなさいアンジェリカ!」

 

自分達の盤面が崩壊に向かって行っているような状況を、私はあり得ないと内心で否定し続けるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「エドのやつ……本当に戦艦の出鼻を挫きやがったな」

 

チートアイテムがあるとはいえ、まさか本当に戦艦にダメージを与えるなんて……ルクシオンでも無理じゃね?

 

『私もしっかりと準備すれば同様の事ができます。マスターが駄目なので困難ですが』

 

それ、俺のせいにしてるよな?それと張り合ってどうすんの?

 

『張り合ってなどいません。事実を申しているだけです』

 

もう、それでいいよ。

 

 

 

――――――

 

 

 

「小物はこっちに任せろ!」

「入ってきたモンスターは素早く倒せ!」

「死にもの狂いで戦え!!」

「本当にバリアに穴を作ってて大丈夫なの!?小さいのしか入ってきてないけどさ!」

「いいからやるの!一応、ムカつくけど上手くいってるんだし!!」

『強引に入ろうとする大型はすぐに排除しろ!小型は船の皆に任せるんだ!』

『『はい!』』

 

みんなが必死に戦う中、私は怪我を負った人達の治療を行っていた。

 

「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……治癒魔法なんて初めて見た」

 

傷が治った船員さんは困惑しながらも頷いてくれる。

みんな、大なり小なり怪我を負っているけど、誰も諦めた目をしていない。エドさんとリオンさんが焚き付ける前とは大違いだ。

 

そのエドさんは、船の防衛方法も考えていた。かなりの綱渡りだったけど。

その方法は意図的に船を守るバリアに隙間を空けて、そこから侵入した小型のモンスターを素早く叩くというものだった。例え操られたモンスターでも、侵入口があればそこから中に入ろうとするのは自然の流れであり、結果的にバリアを長く張れると言っていた。

 

仮にその穴から大型が入ろうとするなら、穴の側に配備した鎧ですぐに排除すればいいとも。

そして、船の進路はアンジェがいるであろう船に向かうのではなく、片面の側砲が死んでいる戦艦一隻を他の戦艦に挟み込むように取っている。

 

エドさんが戦艦の航行能力を奪ったこともあってか、包囲網が作れずに四苦八苦しているように見える。

本当にエドさんは凄い……此処までの策を思いき、実行に移すなんて。

そう思っていると、彼方から轟音が突如鳴り響いた。

 

「何だ!?」

「大砲の音だ!あいつら、包囲もせずに大砲を撃ってきたのか!?」

「何が何でも俺達を吹き飛ばすつもりかよ!?」

 

そんな……!?

見れば確かに距離もあり、逃げ道も塞がれていないのに、公国の船は大砲を撃ち始めている。

大砲は側面にあり、囲い切れていないこの状況では命中するかは定かではないが、当たれば無事ではすまない。

 

「クソ!壁にしている船と距離を詰めろ!」

「駄目だ!それをやったら鎧を出してくるってあの野郎は言っていただろ!?」

「じゃあ、どうするの!?大砲なんて防げないわよ!」

 

みんながこの状況に浮き足立ち始めている。

 

「……だめ」

 

このままじゃ、鎧に乗って戦っているクリスさんが。

アンジェを助ける為にエアバイクで空を駆けているリオンさんが。

同じくエアバイクで船を相手にしているエドさんが。

みんなが、死んでしまう。

 

「だめぇええええええ!!」

 

私は無我夢中でそう叫ぶと、辺り一面が白い光に包まれるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「今のは……?」

『魔力の波長からして、オリヴィアがやったのであろうな』

「……そうか」

 

向こうが包囲するのを諦め、がむしゃらに近い形で砲撃を開始した時はさすがに焦ったが、オリヴィアさんのおかげでそれも杞憂に終わった。

まさか砲撃を完全に防ぐとは……命中しそうなのもあったから本当に良かったよ。

 

「けど、あれほどの力は長くは持たない……すぐに向こうの砲を潰すぞ」

『了解だ』

 

オレは再びアルグレアスを最速で発進させ、客船との距離が近い船の大砲から順番に潰していく。

潰すのは片側のみ。全部潰してたら間に合わないし、強度と防御重視で全方位可動式の大砲は取り付けられていないからな。

 

『キャプテン。アルグレアスのエンジンが悲鳴を上げている。限界も近いぞ』

 

マジかよ。いや、ほぼ常にフルスロットル状態でかなり無茶をさせているけどさ。

ハーツの報告に焦りを覚える中、モンスター旗艦のモンスターが霧となって消滅していく光景が目に入った。

 

「どうやら、リオンが上手くやったようだな」

『ふん。ガラクタのくせにやるではないか。旗艦のモンスターが消えたことで向こうも鎧を出してきたな』

「じゃ、さっさとずらかるか」

 

さすがに鎧を相手するのは厳しいからな。

オレはもう意味がないと言わんばかりにアルグレアスを客船に向かって飛ばし、そのまま甲板へと降り立つ。

 

「ファーレンガルド!」

 

オレが降り立つと、コクピットハッチが開いた状態でクリスが話しかけてくる。乗ってる鎧はボロボロだ。

 

「バルトファルトが上手くやったようだが、これからどうする?もうこれ以上戦う力は……」

「リオンが戻り次第、すぐに右側から離脱する。公女がいれば強引な手は取れない筈だ」

 

実際、これ以上の戦闘は厳しいだろう。鎧は全機ボロボロ。船もあちこち壊れてるし、周りも息が上がっている。オリヴィアさんも手すりに背を預けている始末だ。

交渉は最初の対応からして不可能だし、もう逃げるしか手がない。パルトナーもまだ来そうにないし。

 

そう考えていると、シュヴェールトが甲板に降り立つ。そこからリオンとアンジェリカ嬢、後ろ手に縛られたヘルトルーデが降り立った。

 

「リオン。向こうの切り札は?」

「きっちり回収したさ。今はアンジェが持ってる」

「良し。なら、このまま離脱―――」

 

オレがこのまま逃げるように伝えようとした瞬間、前提を覆す言葉が響いた。

 

『各艦に告ぐ。王女殿下はその身を公国に捧げた。各艦、総攻撃を開始せよ』

 

な……!?公女がいるのに総攻撃だと!?完全に見捨てる気か!?

 

「自国の王女に死ねと言うのか!?」

「……何も分かっていませんね。公国はこの程度では止まりません。私の“代わり”はいるのです」

 

クリスの信じられないという言葉に、ヘルトルーデは平然とした表情でそう告げる。

“代わり”がいるって……いくら代わりがいるとはいえ、決断をくだすのが早すぎる。トップを早々に見捨てれば、国の威信が揺らぎかねないと言うのに。

向こうの判断に理解が追い付いていないと、ヘルトルーデは頭上に公国の紋章を顕現させて音を響かせた。

 

「何をした!?」

「やはり覚悟が足りませんね。即座に私を撃ち抜くべきでした」

 

リオンが厳しい表情で銃を突き付けるも、ヘルトルーデは余裕を崩さない。そして、更なる情報を明かした。

 

「モンスターを私の支配から解き放ちました。支配されたモンスターは支配していた者を狙ってくる。すぐにこの船に集まってくるでしょうね」

 

……ここで無理心中を図ろうってか?覚悟がガン極りすぎだろ。

 

「……逆恨みもここまで来ると、逆に清々しいなぁ」

 

オレが思わずそう呟くと、ヘルトルーデは今までの余裕の態度から一転して、怒りの表情でオレを睨みつけた。

 

「逆恨みですって……?よくそんな事が言えますね!二十年前、貴方達が公国に攻めこんだくせに!!」

「それは自分たちの行動が跳ね返ってきただけだろ。確かに攻めはしたが、その原因を作ったお前らが自分たちのやらかした事を無視すんな」

 

オレがヘルトルーデの言葉にそう返すと、次に出てきた言葉に耳を疑った。

 

「原因を作ったですって……?お前たち王国が、一方的に我が公国を攻めてきたくせに!」

 

……は?

 

「……それ、本気で言ってんの?まさか、自分たちは一方的な被害者とか、本気でほざくつもりじゃないだろうな?」

「公国は独立の為に戦った!不当に扱う王国に対して!!」

 

ヘルトルーデのその言葉にクリスは困惑、アンジェリカ嬢は無言を貫き、リオンはどこかゲンナリしている。

オレは……目の前の彼女に冷めきっていた。

 

「まさか国のトップが都合の良いことしか知らない傀儡とか……本当に公国は王国より腐ってるな。都合の良い道具だから、簡単に切り捨てられるのも納得だな」

 

もうこの女には人質としての価値もない。さすがに末端の兵士は躊躇うだろうが、上層部辺りは簡単に切り捨てるだろうな。

ほぼ間違いなく、その“代わり”もこいつと同じ傀儡だろうから。

 

「王国より腐ってるですって……!?卑劣な王国の人間のくせに!」

「自覚のない道化にもう取り合ってられるか。取り敢えずこれだけ言っとくか……今のままじゃ、自分の国が原因で全部失うぞ。それが嫌なら、歴史の勉強をやり直せ」

 

オレは未だ睨み続ける道化の公女にそう告げると、完全に無視してアルグレアスに跨がる。

こうも容易く公女を切り捨てたんだ。オレ達全員殺した挙げ句、『公女は王国の卑劣な策で命を散らした』とでも伝えて戦争の火付けにするだろうよ。

 

『アルグレアスはもう限界だぞ。速度もそんなに出せないぞ』

「それでもやるしかないだろ。とにかく時間を稼ぐぞ!」

 

オレはハーツの報告にそう返し、再び空へと上がっていく。同時にリオンもシュヴェールトで空を飛ぶ。

やはりエンジンに限界がきているのか、シュヴェールトにあっさりと置いていかれてしまったが、オレは構わずにライフルをモンスター達に向けて魔法弾を放ち、消し飛ばしていく。

しかし、いくら消し飛ばしても次から次へとモンスター達が向かってくる。

 

「餌に群がる魚かよ!」

 

本当にキリがないと思いつつも、残り少ない銃弾を使いモンスター達を吹き飛ばしていく。

そんな中で、公国の戦艦が客船に体当たりを仕掛けた。

 

「なっ!?」

『体当たりか……砲撃でない辺り、公女の救出を諦めていないな?』

 

ハーツが戦艦の行動を考察しているが、オレは急いで客船の方へと踵を返している。

クソ。全力で吹かしている筈なのにスピードが全然出ない。冗談抜きでマズイって言うのに!

そんな苛立ちを覚えながらも向かうが、その間に二回目の体当たりが炸裂した。

そこで目に写った光景は……オリヴィアさんが船から落ちていっている瞬間だった。

 

「オリヴィアさん!」

 

このままアルグレアスで向かう?スピードが全然出せないのにか?

リオンに急いで救出に向かってもらう?モンスターに群がられている上、距離があって間に合わない。

なら……!

 

「ハーツ!魔装を完全展開だ!!」

『本気か?人前で使うのは避けて……』

「いいからさっさとやれ!」

 

オレはハーツの言葉を遮るように告げると、ヘルメットを投げ捨てつつアルグレアスから飛び降りる。

切り札や奥の手は最後まで取っておくものじゃない。使うべき時に使うものなんだよ!

 

『……了解だ。キャプテン』

 

ハーツがどこか呆れたように了承すると、全身に粒子が集まるようにオレの身体全体が黒い鎧に覆われる。

うっすらと輝く碧の光を残しながら、オレは風魔法を利用した加速飛行で遥か下の海へと向かって落ちていくオリヴィアさんの下へと向かっていくのであった。

 

 

 




「そろそろ若頭がいる客船が見える筈だ。旅行先は観光地として有名な彼処と呟いていたからな」
「艦長!公国の戦艦を確認しました!若頭がいる客船もです!」
「なんだとぉ!?」
「どうしますか艦長!?」
「そんなの聞くまでもないだろ!機関最大!艦首砲も砲撃準備!若頭達を助けるぞ!」
「「「「「おお!!」」」」」
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