チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


最強の騎士との戦い

空の上での戦闘で、オレはうんざりしていた。

 

「本当に面倒だな。魔装で能力底上げしてなかったら当に落とされてたぞ」

 

上下左右で囲んで機関銃のような銃火器で遠距離攻撃を仕掛け、隙あらば背中から斬りかかってくる公国の鎧達の嫌らしい戦法にうんざりしながらも、オレはゼクトールを駆ってヒートナイフやチェーンソーモドキで一体ずつ確実に撃破していく。

 

向こうは武器ごと破壊したチェーンソーモドキを警戒してか安易に近寄ってこないが、急加速の接近で上半身と下半身を分断したり、頭部を潰したりしているので倒すこと自体は出来ている。

問題は―――それに時間が掛かっていることだ。

 

『幸い二つ―――三つに分散されていて、加えてドローンの存在でそこまで支障を来していないがな』

 

本当にその通りだよ。ハーツ。そうじゃなかったら、数の暴力でやられていただろうし。

心無しか、オレとリオンに群がってるけど。クリスの方は一対一の繰り返しなので大丈夫そうだが。

 

『しかし、本当にキャプテンの予想通り敵は撤退の動きを見せないな』

「このまま帰れば責任者は厳罰を受けるんだ。それが嫌なんだろうよ」

 

オレはハーツにそう返しつつ、敵の鎧の攻撃をシールドで受け止める。そして、向こうのブレードを弾き飛ばしてから蹴り飛ばし、持ち変えたライフルでその鎧の肩の付け根を撃ち抜いて戦闘不能にする。

普通じゃ出来ない芸当だが、魔装のおかげで狙いも正確だからな。本当に戦闘に関してだけは役に立つ腕輪だよ。

 

そう考えつつ周囲を見渡す。ウチの船は客船の護衛の為に横付けとなって可動式の大砲を撃っているが、元々小型とあって装備が乏しい。足を止めた状態ではそう長くは持たないだろう。

だが、パルトナーが救助を開始しているのでその辺りは心配せずとも……

 

『!キャプテン、新たに出てきた部隊が奴のドローンを苦もなく潰しながらパルトナーへと迫っているぞ』

「何だと!?」

 

手も足も出ないドローンを苦もなく潰しているだって!?普通に考えて精鋭じゃないか!

 

「ソイツらどこだ!?」

『此処から十時の方向だ』

 

オレは慌ててその方向へと機体を向けて確認すると……黒い鎧が六機、道中のドローンを両断しながらパルトナーへと進んでいる光景が目に写った。

 

「あの黒い機体……まさか、黒騎士か!?」

 

もし黒騎士だとしたらマズイ。このままだとパルトナーが……リビア達が危ない!

そう判断したオレは直ぐ様黒い鎧の部隊へと急行しつつ、ウチの船との通信を伝える。

 

「艦長!ブラストアーマーを何時でも出せるように準備しといてくれ!射出の指示は後で伝える!」

『了解です!若頭!!』

 

オレは艦長の言葉を聞いてすぐに通信を切ると、改めて黒い鎧の部隊へと急いで向かっていく。見ればアロガンツも同様に向かってきている。

 

姿形がはっきり見える距離に到達すると、同型の鎧は四機。一機は細部が違うだけで全体的な形状は他の四機と同じだが、最後の一機だけは明らかに異彩を放っている。

……あれがたぶん、黒騎士の機体だ。明らかに風格が違うからな。

 

『キャプテン。あの鎧が持つ大剣はアダマンティアス製だ』

「なら、アイツが黒騎士で確定だな」

 

あの機体が黒騎士だと確信したオレは、まずは周りを片付ける為に他の五機に向かってライフルを構えて引き金を引く。

その瞬間、五機はライフルの射線上から離れていた。

 

「反応良すぎだろ!?」

 

オレは向こうの実力の高さに声を上げつつも、シールドに取り付けられている銃の引き金も引いていく。

ライフルと銃の連射ですら、連中は容易く避け、その内の一機がオレに向かって斬りかかる。

 

『王国の外道が!その首を渡せぇええええ!』

 

そんな恨みが籠った叫びと共に振るわれた剣を、オレはシールドで受け止める。

そしてすぐにゼクトールのパワーで弾き飛ばすも、それを利用してすぐに距離を取られてしまう。

 

『怨念が籠った叫びだったな』

「逆恨み、が付くけどな。本当に面の皮が厚いとしか言えないけどな」

 

そもそもオレ達が外道なら、そっちは性根が腐ったクズだ。国のトップを何も知らない傀儡に仕立て上げたんだからな。

 

「隙を見てブラストアーマーに付け換える。ぶっちゃけ徒手空拳の方がまだ勝機がある」

 

オレはそう呟くと、チェーンソーモドキを構えて突撃する。接近した鎧に向かって横薙ぎにチェーンソーモドキを振るうも、ソイツは容易く上へと避けそのまま斬りかかってくる。

 

『もらったぁあああああああ!!』

 

そんな雄叫びと共に振るわれる剣。その剣をチェーンソーモドキの刃で受け止め―――火花と共に切り込んでいく。

 

『な、何ぃ!?』

 

操縦者が明らかに驚いた声を上げるが、オレは構わずにチェーンソーモドキを振るい、剣を両断してすぐに両腕も切断。そして蹴り飛ばして海の方へと落としていく。

胸部を全力で蹴り飛ばしたからな。これで一機片付いて……

そう思ったのも束の間、別の鎧がオレに斬りかかってきた。

 

「味方がやられようがお構い無しかよ!」

 

倒れる味方に一瞥もせずに攻撃を仕掛けてきた事実に、オレは思わず悪態を付いてしまう。

 

『消えろ。王国の化け物の一つよ』

 

背後から聞こえたその声に咄嗟に振り返ると―――黒騎士と思わしき鎧が大剣を向けて突撃してくる光景が目に入った。

そしてそのまま、大剣の剣先がゼクトールの胸部へと突き刺さるのだった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「マジでこいつら、チート過ぎんだろ!?」

 

俺は黒騎士たちの能力の高さにうんざりしながら叫ぶ。

黒騎士らしき隊長機は様子見に徹しているのか動いていないが、こちらに攻めてきた三機の内の一機の動きが明らかに他の二機よりも良すぎる。

エドも二機相手してるようだが、俺と同じく苦戦しているようだ。

 

『パイロットの技量が他の者より秀でていますね。加えて、反射神経も高いですね』

「その反射神経がウザすぎだろ!」

 

実際、掴もうとしても紙一重で避けてくるし!途中から素手で相手して二機沈めたのに!

 

「いくらアロガンツに傷一つ付かないとはいえ、こうもちょこまかされると本当にウゼェ!」

 

俺が目の前の機体に悪態を付いていると、その鎧は持っていた剣を前触れもなく突然捨てる。そして、明らかに小ぶりな剣を腰から二つ取り出した。

 

「戦い方を変えようってか?その程度でアロガンツに傷が付くと―――」

 

俺が小馬鹿にするようにそう呟いた直後、その機体は急接近して右の短剣を突き出す。

俺はそれをアロガンツの左腕で受け止めようとして―――アロガンツの左腕に深々と刺さった。

 

「何!?」

 

俺は驚きつつも咄嗟に右手で奴を掴もうとするも、奴はすぐに下がっており右手は空しく宙を切る。

 

「アロガンツの装甲を貫くとか嘘だろ!?」

 

俺は信じられないと叫ぶも、すぐにある記憶が脳裏を過る。

まさかあの短剣は……!

 

『あの短剣は両方ともアダマンティアスで出来ていますね。左腕で受け止めようとしていなければ、間違いなく胸部中央に刺さってましたよ』

「やっぱり例のアロガンツ以上の硬度を持つ金属かよ!?」

 

てか、お前は黒騎士でもないモブの筈だろ!?モブなのに何でそんな超強力な武器を持っているんだよ!?しかもお前が黒騎士だと名乗っても素直に信じられるくらい強いし!

 

『マスター。本体の使用許可を求めます。例の黒騎士も同じ材質の剣を持っているので、かなり危険です』

 

黒騎士も同じ材質の武器持ちかよ!このチート野郎共が!

 

『黒騎士もエドワードへ攻撃を開始しています。このままでは……』

「エドが負けるってか?アイツもチートアイテム持ってるから大丈夫だ」

 

ルクシオンの予測を俺はすぐに否定する。あの腹黒がそう簡単に負けるわけないだろ。

それに、信じているしな。アイツは面倒臭い性格だが、やる時は絶対にやる奴だからな。

 

「それに、お前を使えば全員殺すことになるだろうが。それじゃ駄目なんだよ」

 

正直言えば逃げ出したいが、アロガンツの装甲を貫く武器を持つ奴らを放置すれば間違いなくパルトナーは無事では済まない。そうなればリビアはもちろん、アンジェも危険に晒される。

―――絶対に、手出しはさせない!

 

『理解できませんね。敵機、来ます!』

 

ルクシオンの警告と同時に、例の鎧がアダマンティアスの双剣を構えて突撃してくる。

俺は操縦棍を握りしめ、目の前の機体の相手に集中するのだった。

 

『くたばれ!王国の外道!』

「うるせぇ!チート野郎!!」

『意味が分からないことを……!』

 

 

――――――

 

 

 

戦況が大分好転してきたことで、私はバルトファルトとファーレンガルドの二人を探していた。

 

「あの二人はどこに……」

 

私は二人の姿を求めて周囲を見渡していると……ファーレンガルドのゼクトールが敵の鎧の大剣が突き刺さっている光景が目に入った。

 

「ファーレンガルド!?」

 

その光景に私は驚愕していると、それを実行した者の正体も知り更に愕然とする。

 

「あれは……黒騎士!?」

 

剣聖の称号を持つ父ですら一度も勝てなかった相手が、まさかこの場にいたとは……!

 

「バルトファルトはどこに……!」

 

私は急いでバルトファルトを探すと、バルトファルトは両手に剣を持つ黒い鎧と互角の戦いを繰り広げている。

―――動きで分かる。あれは私よりも強い。相対すれば間違いなく殺られる。下手に介入してはバルトファルトの足を引っ張るだけだ。

 

このまま黒騎士を放置すれば、間違いなくバルトファルトへと向かうだろう。バルトファルトも余裕がないのか、目の前の戦いに集中しているように見える。

なら、私のすべき事は……!

 

「マリエ、すまない……!」

 

倒される前提で時間稼ぎの為に黒騎士と戦う覚悟を決め、マリエにもう二度と会えないことを謝罪していると……ゼクトールは左腕に持つ武器を黒騎士に向かって構えた。

 

「!?」

 

その事実に私は驚いていると、黒騎士はすぐに射線上から離れて銃撃から逃れる。

その瞬間、ゼクトールは踵を返してパルトナーへと向かっていく。

 

「ファーレンガルド……!?何を……!?」

 

ファーレンガルドのその行動の意味が理解出来ずに困惑していると、白い船からエアバイクのような何かが飛び出す。

そのエアバイクから幾つもの赤色の装甲らしきものが放たれ―――同時にゼクトールの青い装甲が全部外れていく。

 

そして、グレー一色となったゼクトールはその赤色の装甲を瞬く間に装着していき―――胸部が出っ張り、両腕に巨大なガントレットのような武器を装備した赤い機体へと姿を変えた。

 

そんなゼクトールに黒騎士とは違う黒い鎧が斬りかかるも、ゼクトールはカウンターの如くその左拳を胸部に叩き込み―――轟音と衝撃と共に吹き飛ばした。

 

「あれがファーレンガルドの鎧の真価なのか……!」

 

決闘の時の重装甲とは違う、出っ張りが目立つ赤い装甲。心無しか動きも先の青色の装甲の時より軽快そうに見える。

あの装甲の取り変えの際、胸部にはかすり傷しか付いていなかった。つまり、最初から無事だったのだ。

 

「ファーレンガルド……!バルトファルト……!お前たちなら……!」

 

私は胸の高鳴りを実感しつつ、今も尚戦う二人に声援を送るのだった。

 

 

 

――――――

 

 

 

―――本当にあれは肝が冷えたぞ。

 

『胸部がアダマンティアスのみで構成されていて良かったな、キャプテン。そうでなければ、今頃死んでいたぞ』

「まったくだ。あれは本当にヒヤッとした」

 

ハーツの言葉に、魔装を再度完全展開したオレは冷や汗を感じながら同意する。

同じアダマンティアスじゃなければ、今頃身体を刺し貫かれて終わってた。本当にコクピット周りを丈夫にしておいて良かったよ。うん。

 

おかげで隙を付けて、アロガンツのあの攻撃―――【インパクト】を再現した格闘戦闘特化型の【ブラストアーマー】に換装することが出来た。

 

ブラストアーマーのメイン武装であるガントレットは、内部を叩く衝撃を魔法で増幅して放ち相手を攻撃する。素材はもちろんアダマンティアスだから耐久性も高い。更に脚の装甲にはピンバイス型のドリルも内蔵してあるので、膝からも攻撃出来る。

 

『……若いな。若すぎる。これが王国の騎士か?』

 

ジジイらしき声が落胆したような、呆れたような声で疑問を口にしている。

そんな身勝手な台詞に、オレは反論した。

 

「学生だから若くて当然だろうが。そもそも今回攻めてきたのはそっちだろ」

 

そっちから喧嘩を売っておきながら落胆とか、相手を馬鹿にしてんのか?

 

『そうか。俺の時もそうだった。―――小僧、王国に生まれたことを憎め』

 

黒騎士はそう言って大剣を改めて構える。

……王国に生まれたことを憎めだって?

 

「ならアンタは、約束を守らない自分の国を恨みやがれ。それが大元の原因なんだからな」

『…………』

 

オレが皮肉をたっぷり込めて言い返すも、黒騎士は無言。心無しか、殺気が膨れ上がったように感じる。

……図星を付かれて逆上か、本当に知らないのか判断できないな。

 

『―――来るぞ!』

 

ハーツの警告と同時に黒騎士が加速して接近する。

黒騎士は大剣を巧みに振るい、オレは両腕のガントレットで受け止めていく。本当になんて剣速だ。ハーツで強化してなかったら、全然反応できないぞ!

その間にも黒騎士の大剣が両腕のガントレットに叩き込まれるも、どちらも固い音が響くだけで傷一つ付かない。

 

「こっちもアダマンティアスを使ってるんだ!打ち合いなら負けないぞ!」

 

オレはそう叫んで右拳で殴りかかる。黒騎士はそれを上に飛んで回避し、逆さまの体勢で加速して突撃してくる。

それに対してオレは振り返りつつ右腕を弓なりのように引き絞り、そのまま黒騎士の左肩へと叩き込む。

同時に衝撃も叩き込み、黒騎士の左肩の装甲を粉砕する。

 

『チィッ!』

 

黒騎士は舌打ちしつつもオレに足蹴を食らわせ、強引に距離を取る。足蹴を受けた際に脚部の仕込み武器のドリルを放ったが、少しかすった程度で終わってしまっている。

戦闘技術も経験も向こうが上……!それを能力の底上げと鎧の性能で誤魔化しているが、長引けばボロが出てしまう。

 

『キャプテン。オーバードライブを使え。確実に勝つにはそれしかない』

「それを使えば後が無くなるから却下だ!!」

 

オーバードライブを使えば確かに勝てるかもしれないが、その後の反動のことを考えれば今使うのは得策じゃない。それにアロガンツとルクシオンがいるリオンもこっちに来ないのを見る限り、相当苦戦している筈だ。

そんな状況で、お荷物になるオーバードライブは使えない。使うわけにはいかない。

 

そう反論している間に黒騎士は大剣を構えて此方に向かってくる。オレは両腕を構えて迎え撃つ。

剣と拳が打ち合い、激しい金属音を響かせ火花を散らしていく。

……何れくらい時間経ったのか分からない。もう空は赤く染まっている。

 

「ハァ……ハァ……」

 

互いに決定打を与えられず、小競り合いのような状態が続く中で互いに距離を取って気を窺っている。

……一応、このアーマー特有の“奥の手”はあるが、タイミングをミスれば致命的な隙となる。安易に使うわけにはいかない。

そんな中、黒騎士が勝負を仕掛けた。

 

『王国の騎士に負けるわけには……いかぬのだ!』

 

黒騎士はそう叫び、夕日を背に突撃してくる。

夕日の光で目を眩ませ、その隙を付いて切り捨てる気か!?古典的ではあるが有効な手だ。

けどな……その突撃は裏目だ!!

 

オレはゼクトールの出っ張った胸部装甲を操作し、上下に開いてその内部に隠れていたスピーカーのような砲口を露にする。

これがブラストアーマーの“奥の手”……!強力な衝撃波を放つ衝撃砲だ!!

 

『ぬっ!?』

 

黒騎士はゼクトールの胸部の砲口が放つ光に気付くが遅い!その加速じゃ、急な方向転換はできないだろ!

 

「盛大に、食らっとけや!!」

 

オレはそう叫ぶと共に胸部の衝撃砲を発射。その衝撃波は黒騎士を襲う。

 

『ぐぅうううううううう……!?』

 

照射するかの如く放たれた衝撃波に黒騎士は耐えるように呻き声を上げる。機体の方は加速の勢いが死に、その場に留まっている。

十秒くらい続いただろうか。胸部の砲口から爆発が上がると同時に衝撃波も止まる。

 

『完全に壊れたな。二度目はもう打てないぞ』

「ああ。だが……十分だ」

 

そう呟くオレの視界の先には、全身がヒビだらけとなり、明らかに壊れた人形のようにしか動けていない黒騎士の鎧が漂っていた。

 

『グッ……!』

 

……あれを食らってまだ意識があるとか、黒騎士は本当に規格外だな。

肉体の方もチートクラスかと思いつつ、オレは警戒しながら黒騎士に近づき―――鎧の胸部装甲を力任せに取り外した。

 

「お前の負けだ。降伏しろ」

 

オレはゼクトールに乗ったまま、向こうの鎧のコクピットから見える、筋肉質なハゲジジイに投降を呼びかける。

 

「断る。さっさと殺せ。臆病者が」

 

それに対して黒騎士のジジイは口から血を流しながらも、迫力ある表情で殺すように言ってきた。

……これが歴戦の貫禄ってやつか。思わず呑まれそうになったよ。だが、オレは構わずに言葉を続けていく。

 

「こっちの都合で生かすのを臆病者と揶揄するか。第一、そっちは交渉もせずにオレ達全員殺す気だっただろうが。自分達の都合で殺そうとしていた奴が、オレらの対応に文句言うんじゃねえよ。そもそも、そっちの言い分は自分勝手が過ぎるんだよ」

 

オレは若干苛立ちを覚えながら黒騎士のジジイにそう返す。家の過去のあれこれを積極的に持ち出す気はないが、自分達の行いを棚上げして文句言うとか、ガキかと文句を言いたくなる。

それに、ここでこのジジイを殺すのは正直得策じゃない。少なくとも今はな。

 

「自分勝手だと……?ふざけた事を抜かすな!お前達、王国の外道共が攻め込んでこなければ!!」

「ふざけてるのはそっちだ。国同士の約束を反故しておいて、その結果で起きた戦争を一方的に王国が悪いとほざいているんだからな」

 

オレのその返しに黒騎士のジジイは憎悪を露にこちらを睨んでくる。この様子だと、知らないみたいだな。公国の最強戦力も、都合の良い駒ということか。

そうして互いに睨み合うように無言を貫いていると、片手片足を失った鎧を脇に抱えたアロガンツが近くに降り立つ。アロガンツにはあちこち貫かれた跡があり、胸部にもその跡があるからかなりボロボロだ。

 

「そっちも無事に終わったか」

『ああ。結構ギリギリだったけどな』

 

オレの言葉にリオンは疲れたように肯定する。アロガンツの状態を見る限り、相当な激闘だったのだろう。

 

『それと連中は全員制圧した。だから俺達の勝利だ』

 

リオンのその言葉に、黒騎士は悔しそうに顔を歪める。次いで、申し訳なさそうな表情となった。

 

「申し訳ありません……!姫様……!」

 

黒騎士のジジイがそう呟いた直後、強烈な光が空を覆った。

 

「今のは……」

『……ちっ、往生際が悪すぎる』

 

リオンがその光に悪態を付く。詳細は分からないが、絶対にロクなことではないな。

取り敢えず、黒騎士のジジイとリオンが抱えていた鎧の中にいた同年代くらいの男を縛っていると、大量の大型モンスターが集まってきていた。

 

 

 




『死ね!王国の騎士!!』
ズンッ!
『これで終わり……』
ガシッ!
「……捕まえたぞ」
『!?まさかわざと……!?』
「ルクシオン!」
『インパクト』
ズドンッ!!
『ガッ……』
「何とか勝てたな……こんなスレスレな真似、二度とゴメンだぞ」
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