「うわぁ~~……」
『これだけ集まると壮観ですね』
『制御されてはいないがな。どうやらあの光はモンスターを呼び寄せるものだったようだな』
「自軍もろとも殺そうってか?本当に公国は末期だろ」
一面モンスターだらけとなった空にオレ達はうんざりする。
あの激戦の後で比にならない程のモンスターの大群とか……本当に面倒極まりない。
「愚か者が!この場のすべてを消し去るつもりか!?」
縛り上げられた黒騎士のジジイは苛立ちを露にそう吐き捨てる。そして、オレ達に顔を向けて話しかけた。
「小僧共、姫様に伝えろ。魔笛を吹くように伝えるのだ」
確かに魔笛を使えば一応の危機は脱せられるだろう。だが、都合の良いことしか知らないあの公女がモンスターを操れば、間違いなくその牙をオレ達に向けるだろうからその手は使えない。
そうなると……
「リオン。
「そうだね。このまま全滅なんて嫌だし―――ルクシオン」
『ようやく出番ですか』
オレの言葉の意図を正確に把握したリオンがルクシオンに視線を向け、ルクシオンも呆れ気味に言葉を発し、赤いレンズを光らせる。
その直後、空から無数の光が降り注ぎ、モンスター達を次々と撃ち抜いていった。
「な……何が起きている!?」
その光景に黒騎士のジジイは信じられないと言わんばかりに叫ぶ。そんな黒騎士のジジイにリオンがふてぶてしい態度で話しかけた。
「切り札を持っているのはお前達だけじゃないってことさ。国に帰ったら伝えるんだな」
「貴様ら、最初から手加減していたな!?その上俺の首も取らぬとは……どこまでコケにするつもりだ!」
手加減?それにコケにするだって?
「アホかジジイ。切り札はすぐに切るものじゃない。切るべき時に切るもんなんだよ。使い所に文句を言われる筋合いはないぞ」
実際、この攻撃―――ルクシオン本体を早々に使えば悪目立ち確定だ。間違いなく大勢から脅威判定される。敵味方問わずにだ。
そういう意味ではリオンが一番力を持つ人物としては優れている。能力云々ではなく、精神面でだ。たまに調子に乗るが。
「そうだよ。それにジジイの首はいらねえよ。代わりにお前達の剣はもらっていくけどね」
リオンも黒騎士のジジイを殺す気はなく、武器だけ押収するつもりのようだ。
まあ、アロガンツをボロボロにできる武器だからな。今後の為にも回収しておいた方が吉か。
「……貴様らのその甘さ、いつか命取りになることを忘れるな。次こそは必ず!」
甘さと次ね……その勘違い、今ここで折らせてもらうか。今後の為にな。
「そんな事ほざく暇があるなら、自分の国のヤバさをどうにかしろ。自分達の姫が、戦争したい連中にとって都合の良い傀儡に仕立て上げられていたんだからな」
「……傀儡、だと?貴様、姫様を侮辱するつもりか!」
「侮辱?単に事実を伝えただけだぞ?少ししか話していないが、あれは本当にマズイ状態だぞ」
本来、国の頂点に立つ人物は不都合なことも知っていなければならない。知らなければ、いざという時に利用されかねないからだ。
だから、黒騎士のジジイにハッキリと伝えておく。戦争が起きた原因をな。
「確かに王国は公国を侵略した。だがな、その理由はお前たちが国家としての約束守らなかったからだ。浮島や浮遊石……王国から奪ったもんを賠償という形で落とし所にもっていったにも関わらず、そっちが一方的に踏み倒したからだ。それで怒りが爆発した連中が奪われたものを取り返そうと、お前たちの国を侵略したんだよ」
オレのその言葉に黒騎士のジジイは目を見開く。やっぱり知らなかったか。どうせ、当時の書面も処分されてる可能性が高いしな。
リオンがどうしてそこまで知っているのかと視線で訴えているような気もするが、終わったら後でちゃんと説明してやるよ。
「そんなデタラメを―――」
「デタラメ?本当にデタラメだと思うのか?都合の良いことしか知らない、王国と戦争したい国のトップなんて、侵略して甘い蜜を啜りたい連中からしたら最高の傀儡じゃないか。そういう連中は、いざ自分達が不利になったらすべての責任をその傀儡に押し付けるだろうよ」
「……っ!」
黒騎士のジジイの表情からして、心当たりがあるようだな。そっちの内政事情は知らんが、都合が良かったのは実感していたようだな。
実際、ヘルトルーデをすぐに切り捨てたんだ。そういう連中に忠誠心はまずない……むしろ都合の良い傀儡が失敗した程度の認識だろうよ。
そんな黒騎士のジジイの胸ぐらを掴み、至近距離でその目を睨み付ける。
「テメェにとって大事なのは己の怨念か?トップへの忠誠か?後者なら、“代わり”も良いように利用されないように、しっかり目を光らせやがれ。そのお膳立ては、やっておいてやるからよ」
「え?騎士として引退させないの?俺としては騎士としてこのまま死んでほしいんだけど」
リオンが信じられないように呟くが、このまま放置するのはアウトなんだよ。なら、地位も力もあり、最低限の判断が出来そうな奴を軛にする。
間違いなく、魔笛と同等かそれ以上の切り札をまだ残しているだろうから。
「貴様!我らを恥辱にまみれさせるだけでなく、利用するつもりか!?どこまで腐っているのだ!この外道の悪魔共が!!」
黒騎士のジジイが怒りを露にそう叫んだ直後、オレは黒騎士のジジイのハゲ頭に頭突きを叩き込んだ。
……地味に痛い。頭蓋骨の固さも規格外なのか?
「外道の悪魔?無自覚の盗人根性が染み付いているお前達が言うんじゃねえよ。第一、お前達の恨みは先も言ったが自分勝手が過ぎるんだよ」
「……ッ」
オレの底冷えする声と鋭い視線に、黒騎士のジジイは言葉を失う。そんなジジイに構うことなく、オレは言葉を続けていく。
「王国が百パーセント正義とは言わねえよ。被害にあった連中からしたら堪ったものじゃないからな。だからお前らが王国を恨むのは自由だが……恨むなら、全部理解してから恨めや。殴られることをやらかしておきながら、いざ殴られたら一方的な被害面して相手を叩くんじゃねえよ。いい年したジジイが善悪の判断もつかないガキみたいに喚く方が、よっぽど恥ずかしいだろうが。それが分かったら、しっかり考えておくんだな」
オレはそう言い終えると、黒騎士のジジイを突き飛ばす。黒騎士のジジイはオレを射殺さんばかりに睨み付けてくるが、オレは構わず無視する。
ルクシオン本体もモンスター達を殲滅しきったことで、今度こそこの戦いは終わるのであった。
――――――
一段落した後、オレとリオンはパルトナーの格納庫でアダマンティアス製の武器を眺めていた。
「奪ったはいいけど、どうしようか……なんか呪われていそうだし」
「王国に献上すればいいんじゃないか?」
「採用」
オレの呟きにリオンは間髪入れずに頷いた。
まあ、大剣も双剣、どっちも国宝レベルと言えるほどの出来だし、国に献上した方が無難だしな。
そう考えていると、リオンはオレの顔を見て話しかけた。
「なあ、エド。何で乙女ゲームの設定……公国の歴史を知ってんの?お前にはゲームの知識はない筈だよな?」
ゲームの知識って……相変わらずのゲーム脳か?いや、それは今はいいか。
「オレが連中の事情を知ってるのは、その略奪の被害者だからだ」
オレはそう言って、ファーレンガルド家と公国の関係を教えていく。こうして家について話すのは初めてだな。安易に話せないものだけど。
「……という訳だ。だからオレはその辺りの事情を知っていたんだよ」
「マジか……普通に乙女ゲームの設定として登場していても不思議じゃないぞ」
だから現実とゲームを混ぜるなよ。いや、本当に。
――――――
翌日。
オレとリオンは連中の浮島で今回の戦利品の回収作業に取りかかっていた。
「こんなに俺の取り分が良くていいの?そっちは状態が悪いのが多いんだけど」
「いいんだよ。こっちはバラして調べあげるんだからな」
昨日の内に決めたオレとリオンの取り分、王国への献上分に対してリオンが疑問を口にするが、オレは何てことのないように答える。
何せ、昔のウチの技術を発展させてきた鎧と飛行船だからな。技術系統の根幹は同じみたいだし、解析、調査をすればすぐにものにできるだろうよ。
「当然、向こうの飛行船も持って帰る。幸い、ウチの職人達も乗船していたから応急措置は可能だからな」
鎧と飛行船、浮遊石も大量に回収する中、縛られて横たわっている男が情けない声色で声を上げた。
「あ、あの~~、出来れば浮遊石は勘弁して頂けると……」
懇願するようにオレ達に話しかけてきたのは、髭をルクシオンによって永久に喪い、ボコられた痕が残っている使者―――ゲラットだ。
どうやらこの男が例のモンスターを誘き寄せる光を放った張本人のようで、周りから恨みを買って既にボコボコにされて縛り上げられていた。
おかげで、裏工作の交渉がしやすかったけど。
「え~、どうしようかなぁ?こっちは豪華客船を破壊されたから、少しでも回収したいんだよね~。あ~あ、誰かさんが襲ってこなければな~」
「で、でしたら公国と王国で正式な交渉を……」
リオンがわざとらしく嘆くと、ゲラットは正式に交渉すればいいと持ちかけてくる。
そんなゲラットに対し、オレは奴の顔スレスレで地面を踏みつけた。
「ヒンッ」
「交渉?過去の交渉の決めごとを反故にして踏み倒したお前達が交渉?そんなお前達と交渉しても、速攻で破るのは目に見えてるのにか?公国の人間は冗談が本当に上手いな」
オレが営業スマイルでそう言ってやると、ゲラットは露骨に視線を逸らした。どうやらコイツは知ってるみたいだな。もしかしたら伯爵以上の連中は知っているかもしれないな。そこまで調べる気はないけど。
「まあ、お前達の旗艦と黒騎士部隊の鎧、多少の浮遊石は勘弁してやってもいいかな?」
オレのその言葉にゲラットは希望を見出だしたような表情をする。大方、自分の手柄にするつもりなんだろうな。
それも、すぐに絶望に叩き落としてやるけど。
「実は、もう交渉は終えているんだよね。アンタに全責任が向かうことで」
「…………へ?」
オレのその言葉にゲラットは茫然。次いで顔をどんどん青ざめさせていく。
「いやー、恨みって怖いね。兵士の皆さん、勝手に心中しようとしたアンタを躊躇いなく売ったんだからさ」
オレは事実を教えてやった黒騎士のジジイが引退に追い込まれないようにするため、全責任をゲラットに押し付けることを思い付いた。責任者の上、総攻撃命令も心中も全部こいつが実行したしな。
捕らえた兵士さん達に見返りも伝えたら、あっさりと頷いてくれたよ。打算もあるだろうけど。
黒騎士のジジイも年が近い男もめっちゃ顔を屈辱に歪めていたが、一応は呑み込んだ。ちなみにリオンが戦った年が近い男―――クロウはあのジジイが直々に鍛えた弟子だそうだ。その事実にリオンはげんなりしていたが。
「ま、それも仕方ないよな。アンタは黒騎士達が
「え……?いや、先に黒騎士達が……」
ゲラットは順序が違うと呟くが、オレは営業スマイルでゲラットの顔を覗き込む。
確かに順序は違うが、こうした方が双方の都合が良いんだよ。互いにメリットがあるからね。
その際、ジジイと弟子が偽りの功績に文句言ったけど、リオンの『敗者は勝者に従え』という言葉で黙りとなった。ついでに『優しい俺達のおかげで“英雄”の肩書きが残って良かったね』とも。
「本当に愚かな真似をしたねー。黒騎士達を勝手に出撃させた上に足も引っ張ったから、責任を全部背負うのは当然だよねー」
「いや、だから……」
「ちなみにこの交渉も黒騎士の功績になるから、そこもよろしく。む・の・う・な責任者さん♪」
オレがトドメとばかりにそう告げると、ゲラットはトドメを刺されたように真っ白となって脱力した。
だってトップ諸とも葬るために総攻撃命令まで出したんだからな。その責任は、無能でもちゃんと取らないとね。
『本当にキャプテンは悪魔だな』
「悪魔上等。これで少しでもマシになるなら、安いもんだ」
だって、何も対策打たなかったら戦争だからな。なら、動機も口実も奪って戦争を起こしにくくする。それが、最善ってもんよ。
「エドは本当に悪魔だな……見ている分にはスカッとするけど」
『その悪魔の提案を二つ返事でオーケーしたマスターも同類ですけどね』
リオンとルクシオンがどこか呆れているが無視。このまま戦争なんて、本当にごめん被りたいし。
「……鎧の修理はどうするかな。いっそ、エドのとこに全部やってもらおうかな」
「さすがにそれは無理だ。今回の取り分だけで一杯一杯だろうし、信頼できる工場を紹介するからそこに依頼しとけ」
何せ、公国製の鎧と船だからな。ウチの気質からして、修理なんて後回しにしそうだし。実際、応急措置も渋々といった感じでやってるしな。
『それが妥当ですね。私が全てを行うと疑う者も出てくるでしょうし。最近は鎧作成のスペシャリストを名乗る詐欺師も多いようですし』
「そういう詐欺師は確かにいたなー。今回は心配しなくて良さそうだけど」
「その詐欺師は、依頼者が鎧の知識に疎いのを良いことに適当な改造で法外の値段を請求するからな。大抵は個人だけど」
工場ぐるみの詐欺はこの世界じゃ実質不可能だからな。
「今回もだいぶ深く関わったなぁ……」
「残りは王国に任せるさ。全部やると反感を買うだろうし」
ヘルトルーデの処遇に関しては王国に任せるしかない。あれでも一国の王女だから、オレ達の一存で決められるものじゃないしな。一応、傀儡状態のお飾りであることは伝えるけど。懐柔しても役に立たない可能性が高いし。
ぶっちゃけヘルトルーデにも事実を教えたいところだが、あの反応からしてたぶん言っても信じない。それこそ、証拠をはっきりと掲示しない限りは。その辺りは王宮に期待するしかない。お願いだからちゃんと仕事してね。マジで。
そうして回収作業も終え、残すもんは連中の浮島に残して帰路へと着く。もちろん、追いかけて来れないように弾や剣は全部没収して。
「はぁ……疲れた」
「悪いけど、休むのはまだ後だぞ。今後の方針も決めないと駄目だし」
「……やっぱりエドは、向こうが戦争を止めないと考えてるの?」
どこか疲れたような表情でのリオンの質問に、オレは頷く。
「一応軛は打ち込んだが、ちゃんと働くかは期待しない方がいいしな。後、向こうも切り札をまだ温存してるだろうし」
「え?魔笛も奪って黒騎士も倒したのに?」
…………。
「リオン。アイツらは“先遣隊”だと言っていただろ。その先遣隊に切り札を持たせたってことは、最低でも魔笛と同等……それ以上の切り札がまだ存在してると考えるべきだ」
オレのその言葉に、リオンは言われてみれば確かに……と言いたげな表情となる。ゲーム知識も本当に一長一短だな。情報が手に入るのはありがたいけど。
そうこう話していると、リオンの部屋へと辿り着く。
「お、警備ご苦労さん」
リオンはそう言って中に入ろうとするも、警備のロボットは何故かリオンを通そうとしない。
「何だよ!早く通してくれよ!さっさと終わらせて寝たいんだよ!」
リオンが苛立ちを若干露にしながらどくように言うも、警備のロボットはピーピー音を鳴らすだけで通す気配がない。
「強制停止」
リオンはマスター権限を使ってロボットを強制停止。そのまま部屋へと入っていく。
オレもそれに着いていくが、正直早く終わらせたい。魔装を短時間で二回も完全展開した疲労が完全に抜けてないし、頭もだいぶ使ったからな。
「あれ?何で布団が膨らんでいるんだ……?」
リオンはそう呟いて上布団を剥がすと……
「「――――――」」
リビアとアンジェリカ嬢が眠っていた。それも下着のみで。
リオンはそっと布団をかけ直し、オレと一緒にそろーりと出て、一定の距離で部屋から離れると……
「ぎぃやあああああああああああああああ!!」
リオン絶叫。オレは頭を抱えてその場に踞った。
『マスター。そのリアクションはおかしいです』
『あの程度で情けない姿を晒すな』
相棒達がオレらの反応に呆れているが、普通にアウトだからな!?しかもかなり際どかったし!!
「程度ってなんだ程度って!?覗きは社会的に重罪なんだぞ!?」
「エドの言う通りだ!バレたらアンジェパパに殺される!!そもそも何で俺の布団で寝てるの!?」
そうだそうだ!二人の部屋もリオンはちゃんと用意していたのに!
『マスター達を待ってる内に眠ってしまったようです。ベッドに運んだのはロボットですが』
「せめて脱がすなよ!」
『知らないのですか?制服のまま寝るとシワができるんですよ。シワが』
『鉄屑に同意するのは癪だが、確かにシワになるな。シワは一度付くと直すのが面倒になるからな』
「シワくらいいいだろ!?」
前世には裸Tシャツという寝間着スタイルがあったんだし!
とにかく心頭滅却……あの記憶を抹消せねば……!
「バルトファルト。ファーレンガルド」
そう考えていると、後ろから声を掛けられる。誰かと思い振り返ると、そこにいたのはクリスだった。
「何だ……お前か」
リオンもクリスの姿を確認してそう呟く。対してクリスは真剣な表情で口を開いた。
「二人とも、答えてほしい。お前達が私と剣術の勝負をしないのは、私ではお前達に勝てないからだろうか?」
……は?
「お前本当に何言ってんの?」
「冗談にしてはマジで面白くなんだけど」
剣術で戦えば普通にお前が勝つわ。リオンの言う通り、冗談にしては全然面白くない。神経逆撫でしとるわ。
「いや、いいんだ。黒騎士達に勝ったお前達だ……私など眼中にないだろう。お前達の技量と度胸を測れなかった私など」
何か勘違いしてない?リオンもどこか呆れたような表情してるし。
オレが黒騎士のジジイに勝てたのはハーツと奥の手の不意討ちだ。断じて剣術の腕ではない。
「私は必ずお前達に追いつく!そして、お前達に認められるくらい強くなる!二人は私の目標だ!」
クリスのその宣言に、オレとリオンは揃ってドン引きした。
いやいや、目標にされても本当に困るんだけど。本当に。切実に。
「それだけを言いたかった……覚えておいてくれ」
クリスは最後にそう言って、立ち去っていった。
「……誤解解くのも、面倒になってきたな」
「同じく」
あの勘違いバカのせいで余計に疲れた。もう、早く休みたい。
「……もう、方針云々は明日以降にするか」
「賛成。後、黒騎士達を倒した功績をアイツに押し付けていいか?」
「賛成」
リオンの提案にオレは速攻で頷く。バカ正直に全部報告したら、また出世するだろうし。
『また悪巧みですか』
『キャプテンが悪巧みするのはいつものことだ。受け身寄りではあるがな』
いつも悪巧みしているみたいに言うな、ハーツ。単に状況に対応してるだけだつーの。あんまり出世すると、本当に不必要な敵を作ってしまうからな。
色々と限界だったオレはリオン共々、その場で眠りこけてしまうのであった。
「貴様、俺を偽りの功績で英雄として立たせるつもりか!?」
「ふざけるな!
「君たちは敗者なんだから、勝者の俺達に従えよ。それと、優しい俺達のおかげで“英雄”の肩書きが残って良かったね」
「「ぐぬぬ……!!」」
「逆に利用してやるくらいの気概を見せろや。トップが本当に大事ならな」
「「ぐぅうううううう……ッ!!」」