チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


魔王は滅ぼす存在

「えっ、あっ、初めましてっっ」

「こっ、こっ、こちらこそっ、カイルがお世話になっています……っ」

 

マリエがペコペコと頭を下げて挨拶し、ユメリアさんもペコペコと頭を下げて挨拶する。

互いに恐縮してるな。ぎすぎすどころかほんわかしてる。これだけ見れば、根は悪くはないんだと思えるんだけどな。だいぶやらかしているけど。

ただ、カイルは淡々とした口調で要件を言ってきた。

 

「母さん。皆さんは里にある遺跡に入りたいようです。村長の許可が必要ですから、そちらに向かいます。それでは失礼します」

「カイル。久しぶりなのにそんな他人みたいな言い方はやめ……」

「仕事中なので」

 

カイルの対応があまりにも冷たすぎる。というより、感情を殺しているような感じだ。

 

「あんまり冷たくするなよ。お袋さんだろ?」

「馴れ馴れしくしないでほしいですね。僕はマリエ様の専属使用人であって、お前と仲良くするつもりはない」

 

……本当に今日は喧嘩を売りまくるな、コイツ。全部リオンに向かっているから口出しはしないけど。

 

「おい、少し言い過ぎだぞ」

「け、喧嘩は駄目よカイル。それに何だか今日は変よ?」

「……別にいつも通りです」

 

グレッグとマリエの言葉に対してカイルはそう返すが、全然違うからな?後、リオンに八つ当たりしてないか?

 

「あの……カイル君はこの島に来てから様子がおかしくて……」

「いえ……私が悪いんです。私は醜い混ざりものですから……」

 

心配して声をかけたリビアに対し、ユメリアさんは悲しげな顔でそう答える。

混ざりもの……エルフの美醜の判断からして、魔力関係か?

ユメリアさんの言葉に引っ掛かりを覚えながらも、オレ達は村長の家へと向かうのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

村長の家に到着してから少し、オレ達は村の広場にいた。

 

「里長の言葉を伝えます。もう二度と遺跡に行ってはならぬ。このままでは、古の魔王の怒りに触れると」

 

如何にもお年寄りのお婆さんと言える杖を持ったエルフのボソボソとした呟きを、隣にお付きのエルフが周りに聞こえる声で伝えてくる。

 

「里長、魔王とは何ですか?そもそも、他の村の者達も遺跡に出入りしているじゃないですか」

「里長が何も知らないとでも?貴方達が遺跡に深く関わっていることを里長は知っています。里長は言っています。禁忌に触れてはならぬ。エルフの聖地に入ってはならぬと」

 

周囲のエルフがざわざわとする中、オレは里長と村長のやり取りを視界に収めていた。

どうも里長と村長の遺跡に対する認識が違っている。村長はエルフなら出入り自由のようだが、里長の口振りからして立ち入り自体がアウトのようだ。

 

「ちょっと!良いから私を遺跡に案内しなさいよ!私は絶対に攻略してお宝を手に入れるんだから!」

 

そんな中で借金地獄に怯えるマリエが割って入る。すると、里長は目を見開き、お付きの人にぶつぶつと何かを伝えた。

 

「あなたは聖女様でしょうか?」

「あら、分かるの?そう、私が聖女よ。分かったら……」

「遺跡に入るのは構わないそうです」

「へ!?」

「聖女が古の魔王と、魔王と相対する祖の騎士を連れてくる。それが里長がここ数ヵ月で予知した未来ですから」

 

お付きのその言葉にマリエは困惑し、周りのエルフ達もざわめいている。

 

『魔王とはユリウスのことでは?王族ですし、新人類は魔法を扱えます』

「そうは言うが、ユリウス殿下はここにはいないぞ?」

 

ルクシオンの見解をリオンはあっさりと否定する。仮に聖女がマリエとして、魔王に当たるのは……

……魔王のイメージって人類を滅ぼす存在だよな?つまり……

 

「魔王ってルクシオンのことじゃね?」

 

オレがそう呟くと、リオンとルクシオンが揃ってオレに目を向けた。

 

「何でルクシオンが魔王になるんだよ?」

「いやだって、新人類抹殺を考えているだろ?定義としては一番合ってるだろ」

 

この面子の中じゃ、ルクシオンしか当てはまらないし。ハーツは使用者がいないと暴れられないし。

 

『私が魔王ですか。その発想はなかったですね』

『機械が魔王とは……世も末だな』

『新人類が蔓延っている時点で世も末です』

 

また互いに睨み合ってるよ。本当に飽きないな。

しかしそうなると……相対する祖の騎士は誰なんだろうな。魔王がルクシオンとしたら……まさかハーツか?

いやいや、さすがにないか。

 

「審判の時が来ました。古の魔王が傲り高ぶる我々を裁く時が来たのです!この方達の邪魔をすることは許しません。全ての者は、心静かにその時を待つようにと……里長が仰せです」

 

そう言って、里長達は村を出ていくのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

許可が降りたオレ達は、さっそく遺跡の調査に乗り出した。

 

「……何もないな」

 

リオンのその言葉通り、遺跡の中は木の根や蔦が壁や天井を這い回っているだけでめぼしいものはない。

だが……

 

『キャプテン。どうやらこの遺跡の近くに魔装が全部あるようだ』

(場所は?)

『反応は下の方にある』

 

例の魔装の反応が、この遺跡に入ってから近くなっているのだ。

魔装の反応が下の方にあるとなると……この遺跡には下への移動手段が存在している筈。まさかこの遺跡の下の土の中に埋まっているとは思えないし、地下空間があると考えるのが自然だ。

 

「凄いですエドさん!これ!他の遺跡でも発見されている古代遺物ですよ!」

 

そんなオレの考えに露知らず、リビアは目を輝かせて既に壊れて用をなさない装置の端末に目を輝かせている。

……本当に反応に困る。前世持ち、それもシステム関係でパソコンと毎日にらめっこしていたオレとしては。

 

「宝はないのか。まぁ、遺跡を見れただけでも話のネタになるが……」

「エルフの遺跡と聞いたので期待したのですが……何もありませんね」

 

アンジェ嬢は宝がないことに嘆いていた。ジルクも同様だ。

 

「そう簡単に財宝のある遺跡が見つかるかよ。こういう空振りもあるから楽しいのさ」

「何その前向き思考」

 

グレッグは外れであったことに諦めたような表情でそう呟く。リオンはそんなグレッグに呆れていたが。

正直、ここで引くのは得策じゃない。もし制御コアがない魔装だったら、かなり危険だ。使用者の精神も魔力も汚染して、最終的には取り込む形で死に至らしめるのだからな。

 

そんな制御不可能な危険な品物を、放置するわけにはいかない。

そんな中、ヘルトルーデも何もないことに落胆していた。

 

「お前も宝を期待していたのか?」

「そうよ。悪い?」

 

ヘルトルーデは素直にそう答える。

 

「別に悪くないさ。意外とは思ったが」

「公国も元は王国の領地よ。冒険者に憧れを持つのは貴方達と同じなのよ」

 

……やっぱり反乱防止の為に今の状況になったのかね?

 

「もしかして、今回着いてきたのは冒険したかったからなのか?」

「……そうよ。立場があるから、滅多にない機会だったのよ」

 

ヘルトルーデはそう言って、視線をオレから逸らす。

これだけ見れば、年相応なんだよな。

 

「もう嫌。こんなのってないわ」

「大丈夫ですよ。また新しく探して、今度は殿下達も一緒にみんなで冒険しましょう」

 

ジルクが落ち込んでいるマリエを慰めているが、微妙にずれてるからな?

 

「リオン、これからどうする?このまま引き上げるか?ついてきた村長も迷惑そうにしているぞ」

 

アンジェ嬢がリオンにそう進言する。

確かにアンジェ嬢の言う通り、ついてきた村長はどこか見下したような目でオレ達を見張っている。

 

「もう十分では?この遺跡に見るべきところはありませんよ」

 

……エルフ達はこの遺跡の地下空間の存在に気づいていないのか?それとも……

 

「諦めるわけにはいかないのよ!こうしている間にも借金が増えているんだから!!」

 

マリエはそう叫び、一人で遺跡の奥へと走っていってしまった。

 

「一人で勝手に動きやがって……俺が行くから、エドはみんなと一緒にここにいてくれ。すぐに戻る」

 

リオンの隊長命令にオレは意図を察してすぐに頷く。

―――これで、マリエに釘を差しに行けるのだから。

オレが頷いたことを確認したリオンは、すぐにマリエの後を追うのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ない。ないわ!地下への入り口がない!」

 

マリエを追いかけて少しして、すぐにランンタを床に置いて何かを探しているマリエを見つけた。

そんなマリエの背後から、俺はライフルを構える。

 

「ようやく一人になってくれたな。これで、お前とゆっくり話ができる」

 

俺がそう言うと、マリエはガタガタ震えながら護身用の拳銃に手を伸ばそうとする。

 

「動くな。動けば撃つ」

「わ、私を殺したらあんたは大罪人よ!私は聖女よ!」

「リビアから聖女の地位を奪った偽物、がつくけどな」

 

さあ、一つずつ答えてもらうぞ。冬休み中の推測を確かめる意味でもな。

 

「一つずつ質問するから答えろ。お前は転生者か?」

「そうよ。前世持ちって意味ならね。あんたも同じみたいだけど」

 

あんたも……か。どうやらマリエはエドが俺達と同じ転生者であることに気づいていないみたいだな。

 

「この世界が“あの”乙女ゲームの世界だと知っているよな?」

「それが何よ?」

 

否定しない。やはり、マリエは乙女ゲームのことを知っている。

次が、肝心要の質問だ。

 

「なら、お前はちゃんとプレイしたのか?自分の力で、ちゃんと隅々までやったのか?」

「は?いきなり何言ってるのよ?それがどう―――」

「いいから答えろ。答えないと撃つぞ」

 

俺が少し脅して回答を求めると、マリエは少しビビりながらも答えた。

 

「や、やってないわよ。あんな激ムズの戦闘パートのせいで―――」

「マジでふざけんなよお前!?エドの推測通り、本当に半端な知識しか持ってなかったのかよ!!」

 

本当にエドの推測が大当たりだったことに、俺はマリエの言葉を遮るように叫んでしまう。自身が聖女になったということは、間違いなくリビア自身の力を知らない。知っていれば、こんな暴挙には出られないからな。

 

「半端な知識って何よ!?それとあのメガネのモブも転生者なわけ!?」

「そうだよ!俺やお前と違って、ゲームの知識は微塵も持ってないけどな!」

「はぁ!?ゲーム知識がないのにあんなに上手く立ち回れているの!?不公平よ!」

 

エドも転生者だと知ったマリエは憤慨しているが、今はそれは後回しだ。

 

「いいか?よく聞けよ。リビアの力は―――」

 

まずはリビアの力が聖女の力だけではないことを教えようとした瞬間、俺達が立っていた床が揺れと共に抜け落ちた。

 

「なっ!」

「きゃぁぁぁ!」

 

 

 

――――――

 

 

 

……遅いな。

 

「二人とも落ち着け。リオンに任せておけば大丈夫だ」

 

アンジェ嬢はそう言って、落ち着かない様子のグレッグとジルクを宥める。

 

「だから不安なのです。マリエさんと二人きりですよ。間違いがないと言えますか?」

「それだけはないから安心しろ。アイツのマリエ嫌いは骨の髄まで染み込んでいるからな」

 

ジルクの言葉に対し、オレは真顔で断言してやった。

そもそも半端な知識しか持っていない疑惑のあるマリエのせいで状況が悪化したんだ。どう転んでもお前達が想像するような展開にはならない。

 

「だが副隊長。いくら何でも遅くないか?」

「……駄々でも捏ねているんじゃないのか?何か見つけて帰るまで、絶対に帰らないと泣き叫んでそうだし」

 

グレッグの疑問に対してオレは誤魔化して伝えたが、マジであり得そうだと考えてしまう。実際、それを聞いたリビアもあり得そうだと言いたげな感じで苦笑いしてるし。

 

「マリエさんはそんな女性ではありませんよ」

「本気でそう言ってるなら、マジで目の検査を受けてこい」

 

オレのジルクへのツッコミに、アンジェ嬢がウンウンと頷いている。

 

「あの、エドさん。リオンさんはどうしてライフルを持っていったのでしょうか?」

 

……あ、どうしよ。話し合いを円滑に進めるための脅しの為に持っていったなんて、言えない。

オレのその反応が悪かったのか、リビア達は一斉に顔を青くした。

 

「マリエ!」

「マリエさん!」

 

ジルクとグレッグは焦ったように遺跡へと入っていく。

 

「ま、待て!いくらアイツでもそこまでしないぞ!」

「そうですよ!やっても脅すくらいです!」

 

リビアとアンジェ嬢も、慌てて二人を追いかけていく。

 

「ああ、くそ!」

 

その光景にオレは悪態を付くと、急いで四人の後を追いかけていく。

遺跡の奥に辿り着くと、リビア達は先ほどまでなかった穴を覗いていた。

 

「この穴は?」

「私達が来た時にはすでにあったんです。それに奥から発砲音らしき音も……」

 

確かに穴の奥から発砲音らしき音が聞こえてくる。

 

「なら、オレが行く。この中で一番対処ができるからな」

 

オレはそう言って、リビア達の返答を待たずに穴の中へと飛び込んだ。

 

「ハーツ。魔装を手足に展開だ」

『了解だ。キャプテン』

 

魔装を手足に展開したオレは、風魔法によるクッションで難なく着地する。

 

「リオン達の居場所は?」

『離れているが、走れば合流できる距離だ』

 

なら、さっさと合流するか。

 

 

 

――――――

 

 

 

地下空間に落ちて、謎の生命体を撃退した俺はマリエと共に歩いていた。

 

「治癒魔法を使ったわりには歩くのが遅いな」

「怪我を治してもしばらく痛むのよ!もっとゆっくり歩きなさいよね」

 

これだから偽物は。リビアなら痛みも消せるのに。

それより、話の続きだ。情報の共有は、本当に大事だからな。

 

「……さっきの続きだが、リビアの力は聖女の力だけじゃない。ラスボスを倒すには、リビア自身の持つ力が必要不可欠なんだ。それはどのルートでも同じだ」

「何よそれ?そのラスボスは聖女の祈りで解決するんでしょ?」

「全然違う。それは聖女としての力だけじゃなく、リビア自身の力も合わさった祈りだ。人の心に声を届ける力が、ラスボスを倒すにはどうしても必要なんだ」

 

俺がそう言い切ると、マリエは顔をひくつかせ始めた。

 

「……嘘でしょ?」

「嘘じゃない。俺は課金アイテムを使ってあのゲームをフルコンプしたんだ。だから、ラスボスのこともリビアの力のことも知っているんだ。お前は途中で放り出して知らなかったみたいだけどな」

 

むしろ、半端な知識で逆ハーレムを完成させた事に驚きだわ。おかげで致命的なミスの尻拭いをする羽目になったけどな。

そううんざりしていると、マリエはポロポロと涙を流し始めた。

 

「何でこう、上手くいかないのよ……私はただ、幸せになりたいだけなのに……」

「今さら実は偽物でした、は無理だからな?かなり面倒な事態になっているから、逆に状況が悪化するだけだぞ?」

 

これはエドの見解だけどな。下手にマリエを排除したら、王国内部がガタガタになって戦争を仕掛ける格好の機会になるって。ルクシオンも同じ見解を示したしな。

だから、マリエには偽物でも聖女として矢面に立ってもなわなければならない。俺としては非常に不本意だが、それ以外の妙案も浮かばないしな。

 

『面倒な事態にしたのはマスターとエドワードも同じですがね。マリエへの警戒を緩めたことで、この状況を招いたのですから』

「……あんたも人のこと、言えないじゃん」

 

ルクシオンの指摘で、マリエが泣くのを止めて俺を責めるように見やがる。

 

「うっせぇ!とにかく、お前はマジで肚括って動けよな!?もし戦争になったら、下手したら王国が負けるんだからな!?」

 

魔笛もヘルトルーデさんも王国で管理されているが、同等の“切り札”がある可能性があるからな。この先の展開が本当に不明になっているから、予断は許されない状況なんだ。

だから、非常に業腹だがマリエにも協力してもらう。ここまで事態を悪化させた責任を取らせる意味でもな。

 

『マスター。私の疑問の一つが解消されましたよ』

 

ルクシオンが唐突にそう言った瞬間、辺りが急に明るくなるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「こいつはモンスターじゃないよな?」

『そんな訳がないだろう。魔素で構成されているモンスターは、倒されれば魔素となるんだからな』

 

とにかく不気味な人型の生物の死体に、オレは思考を巡らせる。

村に着く前に浮上したエルフ誕生の可能性……この遺跡の不気味な生物の死体……

 

「……旧人類の生物改造の実験施設か」

『そう見ていいだろう。新人類の施設にしてはおかしいからな』

 

しかし、そうなるとこの生物はどうやって生まれたのか……旧人類と新人類の戦争は遥か昔……当時の実験生物は生きていられない筈だ。

……いるな。この施設を利用し、現在進行形で動かしている存在が。それに該当する人物……否、種族は限られている。

そう考えていると、背後から気配を感じる。オレは振り返ると……そこにはライフルをオレに向けて構えた村長がいた。

 

「ここでオレを殺そうってか?」

「今は殺しはしない。人工生物たちにやられたように見せないといけないからな」

 

村長のその言葉にやっぱりかとオレは肩を竦める。村長が頑として何もないと言っていたのは、この地下施設の存在を隠し通す為だとしたら納得がいく。

こうなるとあの里長の予知もバカにならないな。生物の創造は普通に禁忌だし、遺跡にも深く関わってるし。

本当に、嫌な推測ばかりが当たるよ。

ただ……相手が悪かったな。

 

(ハーツ。魔装を完全展開だ)

『了解だ。キャプテン』

 

オレはマリエに対しての鬱憤張らしも兼ねて、魔装を完全展開する。

ほぼ一瞬で黒の鎧姿となったオレに村長の顔は驚愕に染まる。

 

「な、なんだその姿は!?」

 

村長は取り乱したようにライフルを連射するも、放たれた銃弾は固い音と共に弾かれるだけで傷一つ付かない。

 

「下等な人間風情が!」

 

村長は今度は魔法を放ってくるが、当然効かない。魔法を受けても平然と歩み寄ってくるオレの姿に、村長の顔は次第に引き攣り、後退りしていく。

そんな村長に対し、オレは拳を鳴らすように手を組む。

 

「先にそっちが攻撃してきたんだ。殴られても……文句は言えないよな?」

 

オレはそう言って、村長を一方的にボコりまくる。

十秒か三十秒か、顔面をパンパンに腫らした村長は呻き声を上げて気を失った。

 

「いやー、スッキリした。マリエの鬱憤が晴らせて清々したわ」

『完全な八つ当たりだな』

 

ハーツの呆れをオレは無視し、気絶した村長の首根っこを掴んでリオンとの合流を目指すのであった。

 

 

 




「それじゃ、また明日!」
「また明日っす!…………」
『すっかり仲良くなりましたね。関わるつもりはなかったのでは?』
「だって、ノエっちが監禁エンドに向かってるんすよ?それを無視する度胸はないっす」
『だから私に周辺警備の命令を?』
「収集、偵察はラプっちの得意分野っすよね?なら、周辺警備もお手のものっすよね」
『その得意分野を、マスターはスイーツ情報関連に使ってますがね。だから、このまま糖尿病となって死ね』
「私、十六歳!糖尿病になるにはまだ早いっすよ!」
『そういえばそうでしたね。中身は中年のおばさんですから、すっかり忘れてました』
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