チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


回収、処分します

『間違っていますね。すべてが』

「何だと?」

 

例の生物達がカプセルの中に閉じ込められている部屋で、如何にも研究者らしいエルフがルクシオンの言葉に眉をひそめる。

 

『この施設を管理していたのは人間で、作られたのは貴方たちエルフの方です』

「冗談にしては笑えないな。人間が我々を作ったなどと……」

『この部屋で眠っていた人工知能にアクセスしました。情報の共有を行った結果、この島は禁忌に手を出した島―――実験場です』

 

ルクシオンがそう告げた直後、別の電子音声が部屋中に響くように聞こえてくる。

 

『その通りです。この島にいるエルフたちは、ここで生み出された個体が野生化したものです』

 

その電子音声は女性寄りの声だ。その電子音声に俺は話しかける。

 

「ルクシオンとは別の人工知能か?」

『はい。長い間、スリープ状態で過ごしていました。それにしても、旧人類の遺伝子を持つ貴方に会えたことは幸福でした。我々の戦いが無意味ではなかった証ですね』

 

その電子音声は報われたように俺の質問に答える中、エルフ達は困惑したように周囲に視線を向けている。

 

「だ、誰だ!そんな嘘を言う奴は!我々エルフは人間より優れた存在だ!寿命も長く、人間より魔法の扱いに長けている!」

『長寿なのは長く戦わせる為です。魔法の扱いに長けているのも、そのようにデザインしたからです。もっとも、我々が作り出した初期のエルフよりも劣化した様子ですが』

 

あくまで淡々と告げる人工知能に対し、研究者らしいエルフは顔を怒気に染めていく。

 

「ふざけるな!そんな事実は―――」

 

そのタイミングで後ろから気配がしたので振り返ると―――そこには黒い鎧姿となったエドがいたのだった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「やっぱり種族絡みだったか」

『この男単独でこの施設を利用できるわけがないからな』

 

如何にも実験場らしき部屋で、エルフ達と相対するリオンとマリエを視界に収めてオレはそう呟く。

 

「だ、誰よアンタ!?」

 

マリエはオレだと気づいていないのか、ビビりながら威嚇してくる。

 

『まさか、忌まわしき新人類の兵器が―――』

「オレはお前と敵対するつもりはない。少なくとも、この二人の味方だ」

 

オレはこの施設の人工知能と敵対する意思はない。少なくとも、リオンに対して好意的ならオレも敵対する理由はないからな。

 

『……貴方からも旧人類の遺伝子を確認しました。今はその言葉を信じましょう』

「助かる」

 

本当に良かったよ。ここで敵認定されたら、堪ったものじゃないし。

 

「てか、そいつ村長だよな?何でぼこぼこになってんの?」

「そこにいる連中と同じだからだが?」

「オッケ。理解した」

 

本当に話が早くて助かるよ。リオン。

 

「クソッ!こうなったら―――」

 

研究者のような格好をしたエルフはそう吐き捨てると、近くにあったパネルを操作していく。

すると、カプセルの中にいた生物達が外に飛び出し、中央から競り上がるように縦に長い箱が現れる。

その棺桶のような箱の蓋が開くと―――中から目玉多数のグロテクスな姿の黒い装甲がくっついた生物がゆったりとした動作で出てきた。

 

『その人工生物は……!』

「こいつはこの遺跡にあったロストアイテムを埋め込んだ特別な個体だ!下等生物であるお前達では絶対に勝てない!」

 

施設の人工知能が忌々しさを発する中、そのエルフは得意げな表情をオレ達に向ける。

 

『まさか新人類の忌々しき兵器がこの施設にあったとは……!マスター、至急本体の使用許可を!!』

「それやったらアンジェ達も巻き添えだろうが!!」

 

その間にも、そのエルフはそのグロテクスな人工生物に命令を下す。

 

「さあやれ!そいつらを始末―――」

 

エルフが命令を下し終える前に、オレは大出力の雷魔法を発動。周りの人工生物達を黒焦げにし、魔装が埋め込まれた個体にもダメージを与える。

 

「ひやぁああああ!?」

「な―――!?」

 

マリエの悲鳴とエルフが絶句するのを他所に、オレはその個体から発せられる魔装の反応が強い箇所へと腕を突っ込む。

グチュグチュして気持ち悪い感触に不快感を覚えながらも、オレは魔装の欠片をその個体から引き剥がした。

 

『思考能力にバグが起きた生体コアと魔装の一部を埋め込んでいたか。だから不完全ながらも制御下に置けたのか』

 

個体から取り出した魔装の欠片は黄色い目玉単体と赤い目玉をギョロめかせた小さな破片だ。……結構見た目がグロいな。

これが正規の魔装なら……精神衛生上、少しよろしくないな。バイオ○ザードだよ。

 

『さあ、回収だ』

 

ハーツはそう宣言すると、手に収まっていた魔装の欠片を魔素に変えて腕輪の中へと取り込んだ。

 

「ちょっ!?おい!!」

 

勝手に魔装の欠片を取り込んだことにオレが狼狽えていると、ハーツはどこか満足げで言葉を発した。

 

『これで自分は今まで以上の活躍ができるぞ。良かったな、キャプテン』

「良くねぇよ!今すぐ吐き出せ!」

『そんな機能はない』

 

そんなグダグダ感を醸しながらも。

オレ達は、降参したエルフ達を全員拘束した。

 

『我々が敗北したのは理解しました。そうなると、この施設は自爆する必要がありますね』

「お前ら本当に自爆が好きだな。ルクシオンと同じ反応じゃないか」

 

施設の自爆発言に、リオンが呆れている。

 

『本来は、新人類に対抗する為に用意された研究施設でした。その役目が果たせない今となっては、残す方が危険です』

 

確かにこの施設は既に悪用されている。今後も同じような人間が現れない保証がない以上、破壊する方が得策か。

そうなると……

 

「まだこの施設にはもう一つ、魔装があるだろ?それはどうするんだ?」

『……自爆では処分できないので、ルクシオンに引き渡します。アレの存在は、非常に不愉快なので』

 

めっちゃ怨念が籠ってるな。ルクシオンに引き渡す辺り、魔装持ちのオレの手に渡したくないのは明白だな。

 

「それでいいよ。こいつが勝手に回収した分から見て、それも欠損状態なんだろ?」

『何故だキャプテン!?自分をさらに―――』

 

取り敢えず、勝手に回収した腕輪は壁に叩きつけて黙らせる。下手したら、敵判定されてアウトだったんだからな?

実際、壁から出てきた幾つものガトリングガンを向けられてるし。

 

『はい。あれは状態に関係なく世界の害悪ですが』

 

本当に君たちは新人類の兵器が嫌いだよね。敵対してたから仕方ないけどさ。

 

『あれを私に押し付けられるのは非常に不本意ですが、こいつにこれ以上回収されるよりは百倍マシですね』

 

ルクシオンもかなり不機嫌ながらも、不承不承で承諾した。

 

『ルクシオン。貴方に私の持つデータを全て渡します。それと―――これを受け取りなさい。移民船である貴方には必要になります』

『これは喜んで頂きましょう。これで私は今まで以上に活躍できますね』

 

床から出てきた立方体がいくつもくっついた何かに、ルクシオンは先程と打って変わって上機嫌だ。

 

「ルクシオン。これは何なんだ?」

『非常に価値のある物ですよ』

 

ルクシオンのその言葉に、マリエが食いついた。

 

「財宝!」

『はい。私達にとっては貴重な物ですが、この世界では光る置物程度ですがね』

「……本当に最悪。ゲームと違うとは思ったけど、ここまで違うと本当に泣けてくるわよ」

 

……本当にマリエが憐れだな。同情はしないけど。

 

「そういえばリオン。確認は取れたのか?」

「取れたよ。全部、エドの予想通りだった」

 

マジでマリエは半端な知識しか持ってなかったのか。こちらの話を素直に信じた辺り、まだマシかもしれないが。

 

「他には何がある?」

『研究所にそんな期待をされても困りますが……警備用の武器くらいしかありませんよ』

「なら、それを融通してくれないか?今回の冒険の功績として誤魔化しに使えるからな」

 

何せ、遺跡を独断で破壊する上に魔装の欠片も処分するのだ。何かしらの成果があったと報告しないと、後々の面倒になるからな。

 

「……武器を貰っても嬉しくないんだけど」

「王国への献上分以外は全部マリエに譲る。旧人類の武器なら、そこそこの価値がある筈だからな」

「本当に!?それなら全部頂戴!!」

 

本当に現金な奴だと、落胆からすぐに元気になったマリエを見てオレは思うのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

遺跡から離れた場所。

そこでオレ達は遺跡の人工知能から融通してもらった武器の仕分けをしていた。

 

「あの遺跡にはこのようなものが眠ってたのか……」

「これは銃……でしょうか?それにしてはいくつも銃身がありますね」

 

何十丁ものガトリングガンにアンジェ嬢は目を輝かせ、リビアは興味深げに観察している。今の技術じゃガトリングガンは作れないからな。

 

あの人工知能から融通してもらった武器はガトリングガンだけでなく、機関銃にレーザー銃……とにかくSFチックな武器が多数だった。元は警備システム用の武器なので、どれも連射性が高い。というか、ミニガンらしき重火器まであるし。本当に過剰搭載が好きだよな。

 

「……本当に価値があるのかしら?」

「これらは全部、今の技術力では再現不可能でしょう。解析、研究に回せれば相応の見返りが手に入りますよ」

「そうなのか?ジルク」

「ええ。ロストアイテムの解析、研究は王国でも行われていますからね。そういった施設に売れば、相応の金額が手に入る筈です」

「やった!これで借金生活から抜け出せる!!」

 

ジルクの言葉でマリエは目を輝かせる。

 

「念のために言っておくが、全部は独占できないからな。幾つかは王国に献上しないと、不平不満が出てくるからな」

 

実際、親衛隊に向けられる視線はかなり厳しいものだし。全部独占すれば、オレとリオンの立場が危うくなる。

だから、マリエ八、王国二の割合で今回得た物は差し出さなければならない。その辺りはリオンも了承済みだ。

 

『あの人工知能!私を騙しましたね!?これほど大きいとは聞いてませんよ!!』

「お前は本当に落ち着け!!」

 

そんな中、魔装の左腕の前で怒り心頭で興奮するルクシオンはリオンに宥められていた。

オレもまさか最後の一つがここまで大きいものだったのは予想外だった。これはパルトナーに一度載せてからじゃないと処分できないぞ。途中でルクシオン本体を使わないと、火力不足の可能性もある。

 

『さあ、キャプテン!これも自分に回収させろ!更なるパワーアップを―――』

「いや、これは予定通りルクシオンに処分させる」

『だから何故だキャプテン!?』

 

ハーツは信じられないと叫ぶが、ルクシオンの暴走が本当に酷いからな。全部回収したら、間違いなく大暴走を起こす。しかも此方は勝手に二つも回収したんだ。今後の関係維持の為にも、これはルクシオンに処分させるさ。

 

「本当にこれを処分するつもりなの?」

 

そんな中で、ヘルトルーデがオレに話しかけてくる。まさか、これが欲しいのか?

どっちにしろ、オレの答えは決まっている。

 

「当然だ。これは制御パーツがなければ()()に制御できない、人喰い鎧だからな」

「これは凄く貴重―――」

「貴重じゃない。制御パーツを失った危険極まりない兵器だ。静かに飾るだけならともかく、利用すれば敵味方関係なく暴れるようになるからな」

 

実際、生体コアがなければ精神汚染されるとハーツも言ってたしな。しかも、休眠から抜け出すと近くにいる人間に取りついて乗っ取るみたいだし。そんな物騒極まりない物を献上するわけにはいかないし、ルクシオンを宥める意味でも処分した方が安全だ。

 

「何を根拠に―――」

「情報源はこいつ」

 

オレはそう言ってハーツを指差す。

 

『どう伝わっているかは知らんが、こんな壊れた兵器を正常と判断してるなら実に不愉快だ』

「…………」

 

ハーツのその言葉に、ヘルトルーデは考え込むような仕草をする。

 

「それはそうと、村長がここまで顔を腫らしているのに拘束を解かない理由はどういう理由だ?それに、このエルフ達は遺跡のどこにいた?」

 

リオンの側に来ていたアンジェ嬢が拘束されたエルフ達を見てそう聞いてくる。

 

「この連中はその遺跡を私利私欲で利用していたんだ。だから―――」

 

その瞬間、地面が揺れる。アンジェ嬢はよろけたが、咄嗟にリオンが支えたので問題はない。

遺跡の全容は話せないが、悪用していた程度なら話しても問題はない。一番の問題は、この件をどう片付けるかだが。

 

「……ん?」

 

不意に空の上に(うっす)らと飛行船のような何かが見える。あれはまさか―――

 

『私を騙した報いを受けてもらいます!―――害悪共々消えなさい!!』

 

やっぱりルクシオン本体か!!

その瞬間、光の柱が遺跡に降り注いだ。ついでに例の魔装にも。

 

「村長……あの光は……それに空も……」

「まさか、あれが里長が言っていた魔王の怒りなのか……?」

 

ルクシオン本体の攻撃に、拘束されている村長達はガタガタと震えている。

……やっぱり、ルクシオンが魔王じゃね?

 

「こ、古代の鎧のパーツがぁあああ!?」

 

ヘルトルーデは、塵も残らずに消えた魔装の一部にショックを受け、その場に崩れ落ちるのであった。

 

 

 

――――――

 

 

 

里に戻ると、村にいたエルフ達は許しを請うように膝をついて祈っていた。

 

「魔王様、どうかお許しください」

「我々の島をどうか見逃してください」

「だから言ったんだ!村長達が遺跡を荒らすから!」

 

ここからでもルクシオンの攻撃が見えていたようで、全員すっかりビビってる。そんな彼らをカイルは馬鹿にしたように見ていたが。

 

「何か雰囲気違うな」

「遺跡が崩壊したので恨まれると思っていましたが、どうやら大丈夫みたいですね」

 

武器が入ったコンテナを運んでいたグレッグとジルクはそう呟く。

この分なら、脅しのカードは使わずに済むな。もっと有効に使いたいからな。

オレがそう考えていると、里長がオレ達に近づいてくる。

捕らえたエルフ達を見て何かを呟くと、お付きのエルフが代弁した。

 

「この者たちの扱いについて話がしたいそうです。出来れば、代表者である貴方たちには里長の屋敷に来て欲しいと」

 

確かに説明は必要だな。そうなると、隊長のリオンが妥当かな?

 

「なら、俺とエドが説明するよ。いいよな?」

 

しれっと巻き込まれてしまったが、オレは仕方ないと肩を竦める。

 

「はい。それと、聖女と黒髪の女性。そちらのお二人もご一緒と里長は仰ってます」

 

どうやら里長はマリエにヘルトルーデ、リビアとアンジェ嬢にも来て欲しいようだ。

 

「なら、お前らだけで話してこいよ。俺達は今回得たロストアイテムを運ぶからさ」

「数も多いですからね」

 

遺跡の人工知能から融通してもらった武器は結構な量だからな。実際、持ってきたコンテナ以外にもまだあるし。

そんな感じで武器の運搬をグレッグとジルクに任せ、オレ達は里長の屋敷で話し合いをする。

 

「里長が皆様にお礼を申しておられます。古の魔王の怒りがこの程度で済んだのは、祖の騎士と共にいる貴方がたのおかげだと」

 

―――だから祖の騎士って誰なんだよ。

オレが正体不明の騎士に疑問を感じていると、リビアが里長に話しかける。

 

「あ、あの!話は変わりますけど、混ざりものってなんですか?ユメリアさんが自分のことをそう言っていて、カイル君も様子がおかしいですし、どういう意味でしょうか?」

「人の専属使用人に口出ししないでよ」

「で、でも、放っておけませんよ」

 

マリエがリビアに嫌な顔をした後、お付きのエルフがその理由を話していく。

エルフ達は魔力を“色”として捉えることができ、希に複数の色が混じりあった魔力を持つ者が“混ざりもの”だと。

その混ざりものの使う魔法は強力かつ特殊で、ユメリアさんもその例に洩れなかったと。

 

ユメリアさんはその魔法で旅芸人の真似事をしていたが、その際に人間の男性との間に子供を授かってしまったと。

その子供―――ハーフエルフがカイルであることも、お付きのエルフは教えてくれた。

 

……色々と合点がいったな。まあ、人の家庭の事情にこれ以上突っ込むのもヤボだな。方法はないこともないが。

この話をリオンが切り上げると、里長は今回のお礼に占いの結果を教えてくれた。

マリエは―――

 

「聖女様は、不思議な運命の下にいるそうです。そして、運命の相手ともすれ違い、すでに袂は分かれています。それから、背負ったものからは逃げられません。貴女に待つのは過酷な人生で、すべてを手に入れるか、すべてを失うかのどちらかのようです」

「やり直し!やり直しを要求するわ!」

 

ヘルトルーデは―――

 

「黒髪の貴女には、いずれ大きな困難が襲いかかります。ですが、運命の人の選択次第ではその困難は砕かれ、貴女の選択次第ではその方と共に歩むことができるでしょう」

「そう……気にかけておくわ」

 

リビアとアンジェ嬢は―――

 

「お二方には、古の魔王と祖の騎士を従える勇者が守っているように見えるようです。貴女たちの運命は複雑に絡み合い、本来あるべき道から外れているようです。複雑すぎてよく見えませんが、お二人の近くには勇者の加護が見えるそうです」

「勇者か」

「勇者ってもしかして―――」

 

リビアはオレを、アンジェ嬢はリオンをチラ見している。

 

「いや、俺じゃないよ」

「右に同じく」

 

さすがにオレとリオンが勇者なわけがないだろ。どっちも性格悪いし。

 

「当たり前じゃない」

「自意識過剰ね」

 

マリエとヘルトルーデがはっきり否定してきて微妙にイラッと来たが、無視する。

そして、オレとリオンは―――

 

「貴方たちの未来は、見通せないと里長が仰ってます。先のお二人以上に運命が複雑に絡み合い、全く見通せないそうです」

「何、その不穏な響き」

「全く嬉しくない」

 

男同士の運命が複雑に絡み合うとか、一種の罰ゲームじゃないだろうか?

 

「ですが、優しき貴方たちは、過酷な道を歩―――大き―――」

 

……里長さん?その不穏なワードは何?

 

「あ、あの?里長?もう少しちゃんと占って……」

 

リオンもその占いに不穏な空気を感じて占いのやり直しを要求するも、里長は黙ったままだ。

 

「……里長?」

「その、里長はお疲れのようで……眠ってしまわれました」

 

その瞬間、オレとリオンは立ち上がって里長の肩を掴んだ。

 

「待って!お願いだから目を開けて!」

「里長さん!?不穏な言葉だけ残して眠らないでくれ!頼むから!」

 

占いのやり直しを要求するオレとリオンを、リビアとアンジェ嬢が里長から引き離した。

 

「リオン、いい加減にしないか」

「エドさん。お年寄りは大事にしないと『めっ!』ですよ!」

 

確かにそうだが、この結果は嫌だ。

だって、オレの平穏が遠退いてしまうから!!

 

「いい気味ね」

「本当ね。同情しそうになるわ」

 

そこぉ!絶対に楽しんでいるだろ!!顔がめっちゃ笑ってるし!!

 

『占いなど信じないのではないのですか?マスター』

『キャプテンもそんなに取り乱すな。自分の格が下がる』

『お前の格はすでにマイナスですよ』

『貴様は格すら存在しないだろ』

『マスター。占いを覆したいなら、この腕輪を粉微塵にしましょう』

『キャプテン。この赤目を潰して平穏を手に入れるぞ』

「「それ逆効果!!」」

 

やっぱりこの腕輪は不幸を呼ぶ腕輪だ!

オレが過酷な道を歩くのは、絶対にお前のせいだ!!

 

 

 




「…………」
「もの凄く落ち込んでるな……どれだけアレが欲しかったんだよ」
『あんなものを欲しがるなんて、本当にどうしようもないですね』
「やはり王国の人間はどうしようもないわ……アレの価値を理解してないなんて……」
「オレから言わせれば、アレの危険性を理解していない方がどうしようもないと思うんだが」
『危険性を教えられてこれだからな。キャプテンのその意見には同感だな』
「うるさい!!」
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