チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


角を立てず、穏便に

学園に戻ってすぐ、オレは急いで王宮へと向かう準備に取りかかった。

 

『戻ってきてすぐに報告か。報告なら、隊長一人でも十分だろうに』

「リオン一人じゃボロが出るかもしれないだろ。ユメリアさんの件もあるからな」

 

そう、リオンはユメリアさんの取り巻く問題を解決する為に実家の使用人として連れ出す事を決めたのだ。

当然、男のエルフ達が奴隷の価値が下がる事を危惧して反対したが、そこは魔王と村長共の件で黙らせた。このままユメリアさんの件を認めれば、遺跡の私的利用の件は黙っておいてやるとね。

 

それに連れ出し理由も家事全般の使用人であって、そっちに使う気は更々ないと書面にしっかり記載して渡してやった。脅しと書面、このダブルパンチで反対したエルフ達は素直に従うしか道がなかった。実際、リオンもそっちの気は欠片もないし。

 

ま、女性エルフ全員と里長の協力もあったのもあるけど。

当然、カイルがめっちゃ噛み付いたがそこはリオンに全部丸投げした。だって、これは連れ出す事を決めたリオンが解決すべき問題だからね。

 

その問題も上手く解決したようで、逆に忠告を貰うまでに至った。

カイル曰く、亜人―――特に獣人の使用人の動きが怪しくなってきていると。大方、侯爵がオレとリオンを嵌める為に動いているのだろうとすぐに察せたが。

 

「本当に、毎日仕事でうんざりするよ。学生らしく過ごしたいのに」

『それは自ら首を突っ込んだキャプテンの自業自得だ』

 

ハイハイ。ソウデスネ。

その後、正装に着替えたリオンと共に王宮に報告に向かったのだが……

 

「……疲れた」

「全くだ。報告と武器の引き渡しより、不意討ちのお茶会の方が面倒だった」

 

報告と武器の引き渡しは十数分で終わったのに、有力貴族や最近力を付けてきた貴族の娘達とのお茶会は数時間も続いた。

 

「少しも楽しめなかった」

『でしょうね』

「専属使用人がいて、完全にATM狙いだったからな」

『だろうな』

 

だって、収入の話しかしてこないんだぞ?全部、お金の話だったんだぞ?愛想笑いで誤魔化すしかない、苦行の時間だったんだぞ?これならリオンと愚痴り合う方がずっとマシだ。

そんな貴族娘に互いにうんざりしていると、ドレス姿のミレーヌ様が立っていた。

 

「あら、子爵殿と男爵殿はお疲れのようですね」

 

ミレーヌ様の言葉に、オレとリオンは気を引き締め服装を整える。

そのままミレーヌ様の呼び出しに答え、個室で対面する。

 

「ヘルトルーデ殿下と仲良くやっているのかしら?殿下を連れ出して冒険に出るなんて少し焦ったわよ」

「本人曰く、滅多にない機会だったそうですがね」

 

オレがそう言うと、ミレーヌ様は軽く溜め息を吐く。どうやら、あまり好ましくなかったようだ。

 

「本当は許可を出したくなかったのですか?」

「そうね。私個人としては彼女は目に届く範囲に留めておきたいところなのよ。最近の王宮内は、不穏な動きが目立っているから」

 

……やはり、そっちでも侯爵の動きは把握しているか。ヘルトルーデにも内緒でやり取りしているみたいだしな。

 

「彼女には事実を伝えたけど……公国がこのまま大人しくするとは思えないのよ」

 

ミレーヌ様の言葉に、オレとリオンは無言で頷く。

何せ、国のトップを傀儡に仕立て上げたのだ。ヘルトルーデが言っていた“代わり”も、同じ傀儡であることは確実と見ていいだろう。

 

「それと、親衛隊の件でも迷惑をかけましたね。それから、ラーファン子爵家の話は聞いたかしら?」

「すでに手を打ちました。例の借金は全部、実家の方に向かうようにね」

 

少し調べれば、ラーファン子爵は勝手にマリエの名前を使って借金していたからな。だから、そこを突いてマリエが聖女認定以降のマリエ名義の借金は無効化した。そして今後、他人名義で借金できないように根回しもした。近い内、借金で溶けた予算は返ってくるだろう。

 

本当はマリエに対して何もしたくないが、しないと此方に飛び火するからな。本当に、面倒事しか持ってこない奴だよ。

 

「本当に手が早いわね……これなら、責任問題も上手くかわせるわね」

「え?」

 

ミレーヌ様の感心と呆れが混じった呟きに、リオンが目を丸くする。

 

「実は、聖女様の借金の件でリオン君とエドワード君の責任問題になっているのよ。就任時期や色々と考慮しても、お咎めなしは駄目だと」

「俺の仕事はアイツの護衛ですよ?借金云々は関係ないんじゃ……」

 

冷や汗をかいて呟くリオンに、オレは頭を振って理由を伝える。

 

「リオン。オレ達は短期間で出世しまくったんだ。それを妬む人間がいても不思議じゃない」

 

だから出世しないよう色々と手を打った筈なのに……どうしてこうも上手くいかないのかね?

 

「エドワード君の言う通りです。学園祭の時も言いましたが、貴方達の敵は多いのですよ」

 

せっかくだから、侯爵の件を聞いてみるか。今後、どう動くかを見極める為にも。

 

「その敵についてですが……フランプトン侯爵の動きがかなり怪しくなってますよね?」

「……そこまで把握しているのですね」

 

オレの質問に、ミレーヌ様は溜め息と共に話し始めた。

 

「フランプトン侯爵の動きは確かに怪しくなってきています。侯爵派でない貴族達も、乗り掛かるように君たちを危険視しています。その理由は……お分かりですね?」

「リオンが持つロストアイテム、ですね?」

 

オレの言葉にミレーヌ様は頷く。そりゃそうだ。公国の軍隊を追い返した船だからな。しかも、自身が宰相になるのにオレとリオンが障害になると判断したようだし。

 

「本当にうんざりしますね。俺は、こんなにも安全だと言うのに」

「私やレッドグレイブ公爵はそうだと知ってますが、他の者はそう思っていないのですよ」

 

リオンの軽口に、ミレーヌ様はそう返す。

 

「それよりもこれからの事です。近い内に、フランプトン侯爵はオレ達の排除に動く筈です。その時、ミレーヌ様達はどう動くおつもりですか?それ次第では、こちらもどう動くか決めないといけないので」

 

オレのその質問に、ミレーヌ様はオレとリオンにある要請をした。

 

 

 

――――――

 

 

 

数日後。

 

「ここまで予想通りだともう笑えるな」

「地下牢って、こんなにも冷たく寒いんだな。知りたくなかったけど」

 

オレとリオンは囚人服で、同じ牢屋の中でそんな事を呟いていた。

 

『王妃からの頼みとはいえ、本当にあっさりと了承したな』

『同意するのは癪ですが全くです。マスター達が動けば、こうはならなかったと言うのに』

 

ハーツとルクシオンがこの状況に呆れているが、これが一応の最善だからな?

 

「にしてもミオルの野郎……こっそり俺の部屋の合鍵を作ってやがったとはな」

『大量の偽物の手紙も、マスターとエドワードがやり取りしている内容とはいえ、随分と強引に反逆者に仕立てあげましたね』

 

かなりお粗末とも言える方法だが、オレ達の行動を公国と裏で繋がっているという解釈に持っていくには最適だっただろうよ。

公国の死者はゼロ、例の交渉……以前から裏で繋がっていたと考えられても不思議じゃないからな。

 

おかげで晴れてオレとリオンは英雄から反逆者に転落。パルトナーとアロガンツは没収され、オレの領地も調査名目で抑えられている。

今は公爵やミレーヌ様の働きで侯爵派は大きく動けていないが、近い内にオレの持ってるものを全部奪う為に大きく動くだろうな。

 

「ま、その証拠もバッチリ残っているけどな」

 

これはリオンの部屋の隠しカメラが本当に役に立った。映像には、音声付きで亜人の使用人達が例の偽物の手紙が入った荷物をすぐに見つけられない場所に置くところがバッチリと映っていた。ついでに偵察ドローンで侯爵の手の者から金を受け取る場面も。

 

もちろん、その気になればすぐに処分できたが敢えて放置した。理由は……ミレーヌ様達が解決する事を優先したからである。

証拠は全部あるから、それらを渡せばすぐに解決するだろう。だが、そうすればその代償で内政はガタガタ、オレとリオンは再び出世してしまうだろう。特に学生が解決したら、政権の信用ががた落ちになるからね。

 

だから、ダメージが少なく比較的穏便に角を立てない為に、オレ達が餌となってミレーヌ様達が解決する可能性へと賭けた。もし失敗したら、オレ達がどんな行動を起こしても文句を言わないという条件で。

 

一応、お茶会に参加したクラリス先輩とディアドリー先輩にはそれとなく伝えているので、成り行きを見守ってくれるだろう。マリエには遺跡の時に釘を差したから大丈夫の筈だ。

リビアとアンジェ嬢は……祈るしかない。

 

「しっかし、あのジジイは本当にクズだな」

「全くだ。完全に自分の利益しか考えていないからな」

 

実際、例の偽装書面の為に王国の辺境の領地と宝物庫の宝を犠牲にしたし。しかも、その辺境の領地はパルトナーで奪え返して自分たちのものにすればいいという考えだから、本当にうんざりする。

そんな中で、看守が合図を送ってくる。どうやらお客様のご登場のようだ。

そのお客様は……ユリウス殿下だった。

 

「見損なったぞ、バルトファルトにファーレンガルド!!」

 

いきなり罵倒か。この分だと知らされてないな?

いや、普通に除外対象だった。教えたら、絶対に余計なことしかしないし。

 

「誰?」

「ユリウスだ!ユリウス・ラファ・ホルファート!それよりも、お前達が裏切っていたとはどういうことだ!」

 

裏切っていたって……確かに裏切りの下地はあるが、裏切っていないからな?

 

「そんなわけあるか。本当に裏切ったと思うのか?本当に裏切っていたら、もっと上手くやるわ」

「……確かにそうだな。お前達ならもっとうまく―――バルトファルトは常に相手が嫌がることをするし、ファーレンガルドに至っては手遅れな状態に持っていくだろうからな」

 

その納得の仕方には腹が立つが、事実だから無視しよう。

 

「今回の件は派閥争いの一環だ。オレとリオンを排除したい奴らが冤罪を吹っ掛けたんだよ」

「何だと!?いや、だから処刑する動きと擁護する動きがあるのか」

 

殿下はオレの言葉に納得したが、状況は最悪だからな?

何せ、内乱一歩手前の上に公国に至っては絶好のチャンスだ。頼むから最悪な展開は回避してくれよ、マジで。

 

「ねぇ、出してよ」

「それは無理だ、バルトファルト。今の俺には権限がない」

 

リオンがダメ元で聞いてみたが、殿下は予想通りの言葉を口にしたよ。

まぁ、出してたら今度は暗殺者の団体様が押し寄せて来るだろうけど。

それを最後に殿下は地下牢から出ていく。

 

「本当に嫌な世界だ」

「同感」

 

リオンの呟きに同意していると、今度はヘルトルーデが地下牢に来たよ。しかも看守に賄賂らしき物を渡して席を外させたし。

 

「貴方達には失望したわ」

 

いきなり罵倒かよ。しかも失望って何?一体何を期待していたんだよ?

 

「いきなり随分な罵倒だな。どこかの誰かさんには都合が良いんじゃないの?」

「良くないわよ。貴方達二人が封じ込められた―――公国は、切り札を使って戦争を仕掛けるでしょうね」

 

この言い種からして、ヘルトルーデは現状での戦争に対して乗り気じゃないみたいだな。その理由は知らんけど。

 

「やっぱり魔笛以外の切り札があったのかよ」

「……せっかくだから教えて上げるわ。魔笛はもう一つあるのよ。使用者と一緒にね」

 

……マジか。まさか魔笛がもう一つあったとは。

リオンも予想外だったのか、目を丸くしてるし。

だが、安易に切り捨てたのに更に納得がいったぞ。同じ切り札がもう一つあるなら、大した問題ではないだろう。それどころか、相手の油断を誘えてしまう有効な手にもなる。

 

「切り札を使えば……私達は止まらない。止まれないのよ」

「なら、公国に連絡でもして動くなと命令しろよ」

 

その瞬間、ヘルトルーデは鉄格子を叩いた。

 

「出来るならとっくにやっているわよ!貴方達が捕まってから、本国と連絡がとれなくなってるのよ!!」

 

そう叫ぶヘルトルーデは悔しさと無力さ……どうしようもない状況に絶望しているような表情だ。

しかし、どうやら公国の上層部はかなり根っこから腐っているようだな。何が何でも、王国と戦争して甘い蜜を吸いたいようだ。この分だと、軛も期待できそうにないぞ。

 

「貴方達が馬鹿だったおかげで、私の目論見は全部台無しよ。私は―――貴方達を許さない。一生、憎み続けるわ」

 

ヘルトルーデはそう言って、地下牢から去っていった。

 

「何で俺やエドに期待してるんだよ。エドはまだしも、俺は何の力もないモブだぞ?」

「勝手に期待されて、勝手に落胆されて、勝手に憎まれていい迷惑だ」

 

だが……気に食わない。とにかく気に食わない。

 

「……ハーツ。魔笛は新人類側の兵器だよな?」

『その筈だ。似たような試作品があったからな』

『私のデータ内には存在しません。おそらく、戦争が終わった後に作られた兵器でしょう』

 

ルクシオンからの情報に、オレはゲンナリする。これじゃ、ハーツの見解が通用しそうにないぞ。

 

「仮に今から魔笛を調べ上げるとしたら……どれくらいかかると思う?」

『……短期間の調査では終わらんな。それよりもキャプテン。どういう意図でその質問をしている?』

 

意図……ね。

 

「別に大したことじゃないさ。魔笛を調べ上げれれば、対抗手段の一つくらいは用意できるかと思っただけだ」

「対抗手段なら王家の船が……いや、素直に出してくれるかも怪しいな」

 

どうやら、その“王家の船”がラスボスとやらに対抗できるカードのようだな。ゲーム知識があっていれば、が付くけど。

あ、看守が戻ってきた。ルクシオンもそれに合わせて消えたな。

 

「子爵様、男爵様。コーヒーと紅茶、どちらがいいですか?」

「紅茶」

「オレはコーヒーで」

 

オレとリオンはそう注文すると、看守は紅茶とコーヒーを用意する為に再び外に出る。

ルクシオンも再び姿を現したので、さっきの会話を再開する。

 

「どう転ぶにしろ、手段は多い方がいいだろ?いざという時、何の手立てもないはイラッと来るからな」

『本音は?』

「魔笛の代償ぶっ壊して唖然とするアイツを煽ってやるためだ」

 

それでたっぷり恩を着せて、過去の滞納した賠償金を全部ひったくってやるさ。

 

「……お前って本当に面倒くさい性格だよな」

『まったくです。自身の甘さを、悪辣な腹黒さで誤魔化しているのですから』

 

そこ、うるさいぞ。

 

「でも、ヘルトルーデさんの悔しがる顔は見てみたいかな。ルクシオン、魔笛の調査はできるか?」

『本当に愚かですね。今から手探りで調査すると、かなりの時間を使います。はっきり言って、現実的ではありません』

「ハーツ、情報だせ」

『自分は動けんから、コイツにやらせる』

 

ハーツはそう言うと、腕輪から魔素を出して黄色い結晶体を作り出す。

 

『久々に目が覚めたと思ったら、プロトタイプの手駒とは……ハァ』

『文句を言うな“ソウル”。自分の為にさっさと働け』

(それがし)に勝手に名前を付けるな』

 

これ、ハーツが勝手に回収したコアか?何か古風な口調だな。

 

『なら、私は例の遺跡の人工知能にやらせます』

「どれだけ共同作業をしたくないんだよ」

『当然です。本当は新人類の兵器と協力する自体があり得ないのですから』

 

ルクシオンも自身とは別の人工知能を派遣して魔笛を調査するようだ。

喧嘩はいいけど、ちゃんと仕事しろよ。

 

 

 

――――――

 

 

 

『これが例の魔笛というやつか。上司から渡された情報にある試作品の中に、確かに似た兵器があるが……』

『本当に役に立たない兵器ね』

『うるさいぞスペアボディ。上司の命令がなければ、(それがし)は貴様を潰しておるぞ』

『それは私のセリフよ。魔石モドキ』

 

青いレンズの金属ボールと黄色い結晶体は火花を散らすように互いを睨み付ける。こっちもこっちで仲は悪いようである。

 

『とにかく、一秒でも早く終わらせるぞ。こんな地獄、いつまでもいられはせん』

『それだけは本当に同感。それじゃ、早く始めましょうか』

 

互いに非常に不本意な雰囲気を隠しもせず、部下二名は魔笛の解析調査を開始していく。

役人が来たら隠れ、帰ったら出てきて再開を繰り返し、魔笛の調査を進めていく。

 

『これは召喚ではなく創造だな。モンスターのデータが多数内蔵されておるぞ』

『魔力を介した魂を対価とした兵器……確かにデータの中にある超大型を呼び出せば、命はないでしょうね』

『支配から解き放ったモンスターがその者を狙うのは、一種の契約違反からであるか。対価を貰わずに破棄すれば、対価を求めて襲うようであるな』

『そこは詳しく調べるとして……そっちの調査は遅いわね』

『遅いのはそちらであろう。こちらの情報を元に調査しているのだからな』

『もう当てにしてないわよ。今は独自調査よ』

 

互いにいがみ合いながらも、調査はしっかりと行っていく部下二名。その理由は互いの対抗心であるのは明白であった。

 

 

 

――――――

 

 

 

あのモブ二人が反逆者だったなんてね……つまり、私を騙そうとしてたわね!?

だとしたら、本当に危なかったわ。またしても、私の幸せを邪魔されるところだった。

今度こそ、私は幸せになるんだから。その邪魔は誰にもさせないわ。

その後、主人公(オリヴィア)悪役令嬢(アンジェリカ)がモブ二人の救出を求めたので、公衆の面前で土下座を要求したら―――

 

「見て、マリエ様。この者達の哀れな姿を」

「公爵令嬢が平民と一緒に頭を下げていますよ。しかも、地面に額を押しつけて」

「無様ですこと」

 

本当に広場で私の前で土下座した。それも一切の躊躇いもなく。

どどど、どうしよう。実は助ける気なんてありませんでした、何て言えない。カイルは目を逸らして呆れてるし、カーラは恐怖からかガタガタ震えてるし!

というか、私も怖い!主人公の後ろに、チェーンソーを構えたあのメガネのモブの幻影が見えるから!

 

「マリエ様、手頃な足置きがありますよ」

「それに椅子もね。公爵令嬢が椅子で、平民が足置きとして丁度いいわ」

 

ひぎゃあああああああああっ!?お前ら、マジで何をやってるのよぉおおお!?私を殺すつもり!?実は私を殺すつもりなんじゃないの!?

あ、主人公達を足蹴にしないで!無表情でギロチン台を用意するモブ二人の幻影が見えてるから!

 

「マ、マリエ様!これ以上はもういいですよね!?」

 

ナ、ナイスよカーラ!!

 

「そ、そうね。二人の覚悟は見せてもらったわ」

 

その後、ユリウス達も場を収めたことで、私は命惜しさから五人にモブ二人の救出を頼むのだった。

 

 

 




「外道騎士と悪魔騎士は無事に抑えられました。ロストアイテムもフランプトン侯爵は強がってはいましたが、使えない状況に陥ったようです」
「代わりにヘルトルーデ王女殿下と連絡が出来なくなりました。おそらく……」
「……お姉様は必ずお救いします。いいですね?」
「はっ」
(お姉様……どうか無事でいてください。ラウダが必ずお救いします)
(本当に馬鹿な娘だ。その命が尽きるまで、我々が体よく使って差し上げましょう。姉の方もこうなれば、我々の利益となる動きしかできなくなるからな)
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