王都の空。
少なくない被害を出しながらも迎撃戦は王国側の勝利で終わり、捕らえた公国軍の監視と被害を受けた民間人の救助に人員を割り振り終えてから少し。
王都には徐々に飛行船が集まりつつあった。
「所々がボロボロになってるんだけど」
「そりゃ上空から三十隻も攻めてきたんだからな。むしろ被害は少ない方だぞ」
パルトナーの甲板で、実家から飛行船に乗って戻ってきたレイモンドの言葉にオレはそう返す。
迎撃戦は本来は相手の倍の戦力で挑まなければならない。それをほとんど大差ない戦力で挑んだのだから、普通なら大金星である。
「それも前もって備えていたからだろ?本当に俺達は勝てるのか?」
「勝算も秘策もなしで戦うわけないだろ。ちゃんと用意してるぞ」
リオンがそう言って視線を向ける先には、地下から浮かび上がった白く輝く飛行船がある。
王家の船改め“ヴァイス”。改名理由はルクシオンが言いにくいと判断して名前を付けたからだ。
ルクシオン曰く、白という意味合いだそうなので、ピッタリな名称だと思う。
それを考えれば、アロガンツの意味もリオンにピッタリなものだったよな。
七つの大罪……リオンにピッタリ……
そこでふと、リオンのあの時の台詞を思い出した。
『俺は確かに
まさか……アロガンツは傲慢という意味か?だとしたら、すっごい嫌味だな。カジキマグロの件といい、本当にルクシオンはこっそりとリオンを貶しているな。
「あの飛行船が秘密兵器?」
「パルトナーより小さいぞ」
「何か凄い武器でも積んでいるのか?」
友人達のヴァイスに対する評価は辛辣だな。オレも何も知らなければ、同じ評価を下していただろうな。
けど、あの船にはジョークグッズに愛し合っていると認められたリビアとアンジェ嬢が乗っているからな。その真価を存分に発揮してくれるだろうな。
個人的には複雑な気分だけど。本当に“愛”ってなんだろうな。
……あれ?そういえば愛には友愛や親愛、恋愛や博愛と様々な“愛”があるな。
「……なぁ、リオン。今気付いたんだが、あれって愛の種類を選別できるのか?」
「種類?」
「いや、愛にも恋愛や親愛といった区別があるから……」
「言われてみれば確かに……その辺りはどうなんだ?」
オレの説明でリオンも同じ疑問を抱いて、本体とのリンクが切れているルクシオン子機に問いかける。
少しの間から、意外にも答えが返ってきた。
『あれは対象の愛情の度合いを測定する装置です。種類までは選別できません』
な、なんつう適当……!今までのオレ達の悩みは何だったんだよ。ちょっと泣けてくる。
そこで、ハーツが本当に余計なことを呟いた。
『つまり、男同士でも高得点が叩き出せるということか』
お、男同士で高得点……!
「「……うぷっ」」
散々吐いたにも関わらず、それを想像してしまったオレとリオンは別の意味で吐きそうになる。
もしそうなったら、周りからホモ認定されてしまう。それは婚活よりも最悪な地獄だ。
やっぱり、あの装置は生易しいものじゃない。本当に最悪極まりない悪魔の装置だ。
「なあ、二人とも。顔色が急に悪くなったが大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫だ」
「そ、それより、補給を受けたら今後の説明を―――」
ダニエルの心配そうな言葉に、オレとリオンはその想像を必死に頭の中から叩き出しながらそう返していると、何かが王宮に向かって飛び込んだ。
壁の一部に大きな穴が空き、煙が上がっている。
「何が起きた!」
『現在確認中です』
リオンがルクシオン子機に確認を取っている間に、オレも急いでハーツに問い質した。
「ハーツ、今のが何か分かるか?」
『この反応は……まさか……!』
ハーツはあれの正体に気付いているのか、驚愕の声を洩らしている。
「おい!さっきのが何なのか分かったのか!?早く教えろ!」
『……ソウルとは違う、別の魔装の反応を感知した。おそらく、彼処に飛び込んだのは魔装を纏った人間だ』
「何だと!?」
もしそうだとしたらマズイ!
「アロガンツを出せ!すぐに俺が出る!」
『補給と整備中です。しばらくお待ちください』
リオンも事態のヤバさを把握してルクシオン子機に指示を出すも、融通が利かない対応で歯ぎしりする。
「ならオレが向かう!すぐにゼクトールで―――」
『それも無理だキャプテン。デーモンアーマーのゼクトールに異常がないか、パーツを分割して確認している最中だろう』
そうだった。テストも無しのぶっつけ本番だったから、異常を来していないか調査していたんだった。万全を期すための行為が、こんな形で裏目に出るなんて。
その事実に、オレは悔しげに歯ぎしりするのだった。
――――――
王宮に飛び込んだ黒い鎧は、その大きさを小さくすると宝物庫の扉を力任せに抉じ開けた。
「ォォォ……」
黒い鎧は獣のような呻き声を上げながら、うねうねと関節部から伸びるように出てきた触手で魔笛とアダマンティスの双剣を握りしめる。
「アィ……ボゥ……」
掠れるような声を洩らしつつ、黒い鎧は右手で飾られてあったアダマンティスの大剣を持ち上げる。
そのタイミングで、王国の騎士達が扉の前に立ちはだかった。
「何者だ!」
「武器を捨て投降―――」
その瞬間、扉の前にいた騎士達は身体を真っ二つに両断された。
「ガァアアアアアアアアアアアッ!!」
大剣を力任せに横に振るった黒い鎧は憎悪が籠った咆哮を上げ、無数の炎弾を放つ。
放たれた炎弾は部屋のあちこちに着弾し、黒い鎧が空けた穴から入ってきた鎧にも命中する。
『ば、化け物―――』
鎧に乗っていた者の言葉は最後まで紡がれることなく、縦一文字に両断されて一瞬で亡き者にされる。
その異常事態に騎士と兵士達が駆けつけるも、それは犠牲者を増やすだけの結果となる。
「ァァァァァァ……!」
黒い鎧は唸り声を上げながら、駆けつけた王国の騎士と兵士達を大剣と魔法で葬っていく。
「な、何だコイツは!?」
「早く始末しろ!」
その光景に騎士と兵士達は恐怖を抱きながらも攻撃を仕掛けるも、どれも見えない何かに守られているように弾かれて終わるだけ。逆に黒い鎧からの攻撃で犠牲者が増えるだけである。
「……!ヒメ……サマ……」
黒い鎧は突如攻撃を止めてそう呟くと、そのまま猛烈な勢いで壁に激突して宝物庫から立ち去る。
本来の通路を無視した強引な進行を続ける黒い鎧は、そのまま目的の部屋へと突き破るように入った。
「キャッ!?」
そんな声が聞こえた方へと黒い鎧は兜に覆われた顔を向けると、そこには無事な姿のヘルトルーデがいた。
「な、何……?」
ヘルトルーデはいくつもの目玉を覗かせている黒い鎧に困惑する中、黒い鎧は大きさを変えると同時にヘルトルーデを優しく左手で掴み上げる。
そして、ヘルトルーデを守るように抱えるとそのまま王宮を飛び出した。
飛び出した先には数多くの鎧が待ち構えていたが、右手の大剣と無造作に放った魔法によって容易く王国の鎧を破壊してその場から逃げていく。
「バンデル、なの……?」
「…………」
ヘルトルーデのその言葉に、黒い鎧―――バンデルは何一つ言葉を返さなかった。
――――――
魔装を使った何者かに、ヘルトルーデと魔笛、アダマンティス製の武器を奪われてしまった。
「まさか単騎かつ数分で彼処までやってのけるとは……」
『あれも制御コアがない、破損した正規品だ。ネームド持ちではないが、性能自体は高いものだったのだろう』
改めて正規の魔装の厄介さを痛感させられたオレは苦々しい気分となる。
あの魔装が暴れ回ったおかげで、被害が一気に広がってしまった。特に無造作に放った魔法は市街地にも襲いかかったので、救助の人員を再度調整しなければならなくなった。
そんなオレの横では、リオンが腕を組んで何かを考えていた。
「リオン、何を考えているんだ?」
「いや。大したことじゃないんだが……あのコウモリのような翼と爬虫類のような尻尾を持った黒い鎧を、どこかで見たような気がしてな……」
「またゲーム知識関連か?」
オレが藪から棒にそう言った瞬間、リオンは思い出したように手を叩いた。
「あ、それだ。課金アイテムにあれとよく似たデザインのやつがあったんだ。アロガンツ単体でも厳しかったから、追加で更に買ったんだ。確か……七百円辺りで」
魔装も課金アイテムにあったのかよ。しかもルクシオンより安いな。
『その魔装の名称は?』
おいハーツ。露骨に食いつくな。
「ちょっとそこまで思い出せてないんだよなぁ……ルクシオンやアロガンツと同じく名前があったのは確かなんだが……」
リオンが云々唸っていると、互いの家族が駆け寄って来る。前世絡みはここで中断だな。
「リオン。お前がこの艦隊を率いると聞いてないぞ」
「エドもだ。何がどうなったら司令官の補佐になるんだ?」
リオンの親父とオレの親父がそう聞いてくる。
そりゃそうだ。その辺りの話は省いていたからな。
「逆転勝利の為に必要だったからだ」
「半分くらいはノリと勢いだけどね」
オレとリオンがそう答えると、親父も兄貴たちも呆れた表情で溜め息を吐いた。
「ノリと勢いって……普通はなれないんだぞ」
「それにこの船も数もだ。二百は越えていそうだぞ?」
越えてるよ。契約と脅し、ツテで総勢三百くらいは集ったからな。
「それで?どうやって公国軍に勝つんだ?」
「遠目に見たけど、あんな馬鹿デカイモンスターを本当に倒せるのか?」
そこはヴァイス頼みだ。発揮する前にやらなきゃいけないことがあるけど。
「俺は勝てない戦いはしない主義なんだよ」
「勝算はちゃんとあるから心配するな」
「アンジェリカ様とオリヴィアちゃんが乗っているあの船か?」
「お前たち……二人を戦場に出すのか?さすがにそれは駄目だろ」
リオンの親父さんが反対し、オレの親父も頷いて同意している。
「どうしてもあの二人が必要になる」
「護衛の艦隊も用意している。意地でも守り抜くさ」
オレとリオンの言葉に、親父達は納得しないまでも一先ずは呑み込んだ様子だ。
「絶対に守れよ」
「彼女達が死んだら、意味がないだろ?」
「「分かってるよ」」
兄貴達の言葉にそう返すと、聖女装備を引っ提げさせられたマリエが割って入った。
「待って。何で私があの船に乗るのよ」
マリエがそう言って指さすのは、ウチの高速船。単純なスピードだけならパルトナーを越えている船だ。
「ウチの船が真っ先にあのモンスターに突撃するからだ。ちゃんとすぐにヴァイスに降ろすから心配するな」
「それのどこが心配するなよ!下手したら死ぬじゃない!」
マリエが文句を言っているが、少しでも処刑回避の為にやってるんだぞ?
ちなみに聖女装備は神殿から無理矢理預かった。権威失墜を臭わせてな。
その際、聖女装備で嫌な事が判明したんだけどな。
『キャプテン。この装備一式には精神に多大な悪影響を及ぼす効果があるみたいだぞ。マリエには微塵も効いていないみたいだが』
勝手に聖女装備を調べたらしいハーツの発言に、オレとリオンは目が点になったよ。
だって、“聖”なのに精神に多大な悪影響を及ぼすとか、完全に呪いの装備じゃん。
『……マジで?』
『マジだ』
『そんな隠し効果、ゲームの設定にはなかったぞ』
『魔力の残滓からして、怨念の類いだ。過去に装備した者が、強い憎悪を籠めたことでそのような効果が宿ったと推測できるな』
『怨念や憎悪って……本当に昔、何があったんだよ?』
リオン曰く、リビアと五馬鹿の祖先は冒険者パーティーだったそうだが……五馬鹿の祖先はマジで何をやらかしたんだと思ったよ。
ひょっとして、管理がガバガバだったのはこの怨念云々が原因なんじゃないか?ヤバいのは別々にするのが一番だし。
そんなわけで。
意図せずリビアを助けていたマリエにオレは複雑な感情を抱きながらも、先陣の壁役として採用した。
しっかり働かないと、神殿組を黙らせられないからな。
「文句を言うな。しっかりこき使ってやるから、聖女パワーをアピールして盾役として働け」
「本当に最低ね!」
オレ達のやり取りに、親父達はどこか引いたような表情でオレとリオンを見ている。
ちなみにマリエには聖女装備のヤバい事実は伝えていない。全部終わったら伝えるけど。
「マリエ、心配するな」
そんな声と共に、パルトナーの甲板に緑、青、赤、紫の鎧四機が降り立つ。緑以外はオレが割引価格で売った鎧のカスタマイズ型で、緑はライフルだけがウチの工房製だ。
その鎧から、殿下を除いた四馬鹿が鎧から降りてマリエのもとに集まった。
「このグレッグ・フォウ・セバーグが、お前を守ってやる」
「私も当然マリエを守る。この命を賭けて」
グレッグは自信満々に腕を掲げ、クリスは眼鏡を外して微笑みをマリエに向ける。
「僕たちがいる限り、大丈夫だ」
「マリエさん、今度は私達が側にいて貴女を守ります。もう、一人にはさせません」
ブラッドは前髪をかきあげてポーズを決め、頭が若干腫れているように見えるジルクはマリエに手を差し伸べる。
「み、みんな……」
四馬鹿が側にいてくれるという事実にマリエが涙ぐんでると、パルトナーの艦橋の上に一機の鎧が舞い降りる。
「私も参加させてもらおう!」
青いマントを風に揺らし、白く輝く鎧。それを見た瞬間、オレは帰れと思った。
「帰って」
リオンもうんざりしたような表情で同じ感想を呟く中、その鎧の胸部装甲が開いてパイロットが飛び降りてくる。
ピッチリなパイロットスーツに、仮面とマントも着けた変態はどう見てもバカ殿下でした。てか、その装備と鎧、どこから持ってきた。
「彼は何者ですか?」
乳兄弟のジルクが本気で驚いているが、空気を読んだだけだよな?リオンも信じられない表情をしてるが、フリなんだよな?
「仮面野郎、いったい何をしに来た!」
え?グレッグ?マジで気付いてないの?よく見れば、四馬鹿は本気で驚いた顔で警戒してるよ。親父達は展開についていけずに唖然としてるけど。
「マリエ、下がれ」
クリスは剣を抜き、ブラッドが両手に炎を出現させる。ジルクも拳銃を構え、グレッグも拳を鳴らして完全に臨戦態勢だ。
お前ら、本気で気付いていないのかよ!あの変態はユリウス殿下だぞ!いつも近くにいるお前らが気付かないのは何でなんだよ!?
そんな中で、痛い変装をしたバカ殿下がオレ達の前に飛び降り―――名を名乗った。
「私が何者か気になるようだな。そうだな―――『仮面の騎士』とでも呼んでもらおう」
……もう、本当に酷い。思わず泣きそうになったよ。
「仮面の騎士?」
「そうだ。君たちの心意気に感動し―――な、何をする!?二人とも、放さないか!」
オレとリオンは仮面の騎士と名乗ったバカ殿下の両脇に腕をかけ、バカ殿下の抗議を無視して全員から引き離して物陰へと連行する。
物陰に隠れて三人となったところで、オレとリオンは示し合わせたように仮面へと手を伸ばす。それをバカ殿下は両手で仮面を押さえて守ろうとする。
「何しに来た、殿下」
「ち、違う!私はユリウス殿下などという高貴なお方ではない」
「いいから帰れ。不審者はさっさと帰れ」
「待つんだファーレンガルド男爵!今は少しでも戦力が欲しい時ではないのか!」
戦力が欲しいかだって?十分に集まっているから大丈夫だ。
アトリー家もローズブレイド家も戦力としての飛行船を出してくれたし、寄子候補のウェイン家も少し無理して出してくれたしな。
「不審者はいらん」
「そうだね。身元不明の怪しい奴は論外だよね。だから、帰れ」
「ま、待ってくれ!」
バカ殿下はそう言うと、自分から仮面を外してオレとリオンに素顔を晒した。
「俺は、ユリウスだ」
「いや、知ってるから。気付いていたから」
「どっちにしろ帰れ。そもそも、その装備とあの鎧は何処から調達した?」
王国管理の鎧は全部出払ってるし、予備機も残っていない。そもそも、あんな伊達かかった鎧の存在は書類にはなかったぞ。
「……どうしても言わないと駄目か?」
「さっさと言え」
「……父上の隠し部屋を調べたら見つけたんだ。これでオレも戦えると思って無断で借りてきた」
まさかの出所にオレは頭を抱えたくなった。リオンも顔を覆って項垂れてる始末だ。
あのいい格好しいの陛下め……!さては有事の際にはバカ殿下と同じように、変装して参加しようとしていたな!?
ここで殿下を無理に追い返しても、次は本来の持ち主である陛下が出てくる可能性が浮上したせいで、安易に追い返すことが出来なくなった。
殿下と陛下、どっちが出てきたらマズイかは断然陛下の方だからだ。国のトップが死んだら、斬首確定だからな!
こうなった以上、予定を変更するしかないので殿下から少し離れて、小声でリオンと話し合う。
「リオン、五馬鹿はマリエと一緒にヴァイスに乗せる。あの装備の出所からしてそうした方がずっとマシだ」
「そうだね。責任の度合いならまだアイツの方がマシだし、一番守りを厚くしてあるヴァイスに乗せた方がマシだよね」
リオンも出所からマズイと判断してオレの意見に賛成してくれたので、次はバカ殿下の説得だ。
「こうなった以上は仕方ない。お前にも働いてもらうぞ」
「今回の作戦の要であるヴァイス―――王家の船の護衛にな」
「あの船の護衛にか?ここは先鋒に配置すべきじゃないのか?」
本当に阿呆な事を宣ったコイツの顔をぶん殴りたくなったが、我慢して話を続ける。
「馬鹿を言うな。敵だって馬鹿じゃないんだ。守りを一番固めている船があれば、警戒してそこを狙いに来るだろうが」
「それにあの船にはマリエも乗せる。力を発揮する前後で敵が一番に狙うだろうから、死に物狂いで守れ」
こう言えば、殿下も素直に下がるだろう。一番守りが厚いから不要ではと気付かれたら面倒だけど。
「―――了解した。任せてもらおうか」
バカ殿下は仮面をかぶり直し、キザったらしい笑みを浮かべて了承した。
……本当に殿下が馬鹿で助かった。
マリエの処刑回避は……共にヴァイスで活躍した事にしよう。ちょっと強引だが、二人にも口裏を合わせるようにお願いしとかないとな。
「ところで、勢いで飛び降りたが、どこから上れば鎧の所までいけるだろうか?」
あまりにも間抜けすぎる殿下の言葉に、オレとリオンは揃って溜め息を吐いた。
「クラリスさん。恥を忍んで頼みがあります。ファーレンガルド君が売った鎧を貸してくれないでしょうか?」
「……既に鎧はあるでしょ。それに、例の決戦に全部回しているから一機も余ってないわよ」
「それは承知の上でお願いしています。今のままでは、マリエさんを守れないのです」
「……今あるもので必死に頑張りなさい」
「ですから……」
ガンッ!
「しつこいわよ!」
※その後、呆れ半分、諦め半分で武器だけ貸しました。