チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


平等な条約はない

バンデルを抱えたゼクトールが飛行船の甲板の上へと降り立つと、そのまま屈んでバンデルを甲板の上へと寝かせる。

そのバンデルのもとへ、ヘルトルーデが慌てたように駆け寄る。

 

「バンデル!」

「姫様……」

 

ヘルトルーデの姿を見たバンデルは安堵したように微笑みを浮かべる。

そのすぐ後ろからは、ヘルトラウダと彼女の身体を支えるクロウが歩み寄っている。

 

「クロウ……それにラウダ様も……よくぞ、ご無事で……」

 

クロウだけでなく、守護神を呼び出したヘルトラウダも無事であることにバンデルは更に安堵する。

そして、申し訳なさそうに口を開いた。

 

「申し訳、ありません……私が不甲斐ないばかりに……」

 

幸か不幸か、バンデルにはある程度記憶が残っていた。薬を盛られ、重鎮達に利用されていたことも。王国に戦争を仕掛け、ヘルトラウダが魔笛を使って守護神を呼び出したことも。

そんな自身の不甲斐なさを謝罪するバンデルを、クロウが首を振って否定する。

 

「それは違います!師匠(せんせい)は……叔父上は、姫様達の為に動こうとしたじゃないですか!むしろ、何も出来なかった俺が不甲斐ないです!!」

「叔父上、か……懐かしい響きだな……」

 

クロウに叔父上と呼ばれたバンデルは、懐かしげに笑みを浮かべて過去に思いを馳せる。

クロウは亡き妻の妹の子……二十年前の侵略の際にクロウの父は命を落とし、母親である妹もクロウを産んだ数年後に病気で他界した。

 

『お義兄様。クロウのことをお願いします。お義兄様なら、安心して託せるから』

『しかし、俺はお前の姉を……娘も……』

『姉さんのことを今でも想ってくれているお義兄様だからこそ、私と夫の子を任せられるの』

 

そんな微笑みを向けられたバンデルは、複雑な思いで彼女の願いを受け入れた。

 

『おじうえ……ボクをつりょくして。つりょくなって、おじうえやミンニャをまみょりたいんだ』

『……鍛えれば、叔父と甥の関係ではいられない。それでもいいなら、俺がお前を強くしてやる』

『わかったよ、せんちぇー』

 

幼き頃のクロウの願い。その日からバンデルとクロウの関係は叔父と甥ではなく、師匠と弟子の関係となった。

そんなバンデルに、ヘルトルーデが左手を握り締めて話しかける。

 

「クロウの言う通りよ。貴方は公国が誇れる立派な騎士よ。だから―――死なないで!!」

「大丈夫ですよ、姫様……ラウダ様もおられ、騎士も側におられます。老いぼれは、来るべき時が来ただけです……」

「嫌よ!ラウダも無事で、あなたも戻ってきてくれたのに……!」

 

ヘルトルーデだけでなく、ヘルトラウダもクロウも涙を浮かべてバンデルの手を握ってくる。

 

「お願いです。生きてください、叔父上。俺には……俺たちにはまだ、叔父上が必要なのです!!」

「お姉様とクロウの言う通りよ。あなたは、これからも私たちに必要な存在なのです!」

 

ここまで強く想われ、慕われていることにバンデルは幸福を感じていく。

 

(ああ……そうか。俺の哀しみは……とうに癒えていたのだな……)

 

だからあの時、復讐を捨てて反逆の汚名を被ってでも姉妹を守ろうとしたのだとバンデルは気付く。

 

(ありがとう……姫様、ラウダ様、クロウ……そして、王国の若き騎士たちよ……)

 

バンデルは心の中でお礼を告げ、静かに瞳を閉じた。

 

 

 

――――――

 

 

 

魔装を解除したオレは、オーバードライブの反動で動けなくなっていた。

 

「やっぱりこれはマジで怠い」

『負担を完全度外視しているからな。長時間使えば、最悪の場合は死ぬからな』

 

第三の超大型も倒されたことで、今度こそ戦争が終わったオレはポツリと呟く。

 

「……もっとうまくやれたかな?」

『高望みだな』

「人間はより良い結果を求めるものなんだよ」

 

分かってはいても、どうしても考えてしまうんだよ。

特に、穏やかな笑みを浮かべて死んだ黒騎士のジジイの前で泣き崩れる三人の姿を見るとな。

本当は敵で同情の余地はない筈なのに……やはり前世で培ったモラルが根強いんだな。

 

「この戦争で大勢殺したし……死んだら転生じゃなくて地獄へ行くだろうな」

『この程度で地獄に行くなら、過去の戦争の旧人類は全員地獄行きだな』

「新人類だって同罪だろ」

『知らん』

 

こういう会話してると、気が紛れて助かるよ。

 

「ヴァイス、沈んでしまったな」

『あれは沈んだままの方がいいだろう。広範囲の無差別精神攻撃は敵味方問わずに脅威だ。もし引き上げて修理すれば、オリヴィアとアンジェリカの命が危なくなるぞ』

 

確かにあれは凶悪だった。王国の切り札となり、秘匿されていたのも納得だ。

あれが今後も存在すれば、所有者となった二人には暗殺の危険が常に付きまとうことになる。

二人のことを考えれば、ヴァイスはもう二度と使えないと思わせるべきだ。

 

「そうなると、王国の内情がさらに不安定になるな。絶対、反乱因子が出てくるだろうし」

『反乱因子か……改革の反動というやつか』

 

だって旨い汁が吸えなくなるからね。絶対に女尊男卑でおいしい思いをしていた奴は絶対に反発するだろうし。

 

「もういっそ、パルトナーを切り札にさせるか?あれは修理可能だし」

『あのボールが了承するとは思えんがな』

 

あれはリオンとルクシオンのものだからな。二人がノーなら別に構わないよ。

 

 

 

――――――

 

 

 

王宮に戻ると、慌ただしく色々と決まっていく。

公国とは、各地で他の国が攻めていることもあって一先ずは和平を結ぶこととなった。

先ず、公国という国は消滅し、ファンオース公爵家として王国の傘下に入ることになった。

同時に、ファンオース公爵家にとって厳しい条約が結ばれることとなった。

 

「本当に不平等な条約だよね」

「公平にしたら、王国の人間の不満が沸き起こるからな。それに他の国に舐められてしまうしな」

 

王宮に戻り、条約内容の書面を見て溜め息を吐くリオンに、ベッドの上でオレはそう返す。

オーバードライブの反動でしばらく身体を動かすのが億劫になっているからな。

 

「賠償金はもちろん、保有戦力の制限に監視役の派遣。さらには要請があれば戦力を出さないといけないとか……」

「そこは仕方ないだろ。過去の行動を考えればな―――実際は裏取引でそこまで痛手じゃないけどな」

 

オレがそう言うと、リオンは呆れたような視線を飛ばしてきた。

 

「本当にお前は悪魔だよ。公国の膿をおもくそ排除しやがったんだからな」

「ヘルトルーデもノリノリだったけどな」

 

オレは親父たちの許可ももらい、過去のファーレンガルド家の賠償の支払いの代わりにある要求をした。

その要求の一つは歴史認識。公国―――公爵領に過去の自分たちの蛮行をしっかりと公表させることだ。

 

そもそもの原因がその蛮行が誤魔化された事だからな。同じことが起きないよう、しっかりとヘルトルーデに公表してもらった。

それだけでは当然信じないので、もう一つ公表する事も伝えてやった。

 

その公表内容は―――公国の主戦派の愚行だ。

主戦派達は国の為に動いていた先代国王達を自分たちの利益の為だけに暗殺し、ヘルトルーデとヘルトラウダには自分たちの都合の良いことしか教えずに良いように利用していたこと。

 

それに気付き、阻止しようとした()()黒騎士のバンデルを薬漬けにして自分たちの道具に仕立て上げたこと。

そして、真実を知ったヘルトルーデを切り捨て、未遂に終わったとはいえヘルトラウダを私利私欲の生け贄にしたことを大々的に公表した。

 

当然、主戦派は否定したが、新たな黒騎士となったクロウの厳しい追及と生存したヘルトラウダの証言。そして、ヘルトルーデの音信不通が仕組まれたものであると明かされたことで無意味となった。

 

結果、真実を知った公国民の怒りは全部主戦派達に向き、首謀者だった家臣達は全員処刑。関係者も爵位の取り上げや家の取り潰しと厳しい処分を受けた。

当然、財産も取り上げられたのでそれらは全部賠償金へと回された。その為、復興の資金は十分に残る結果となった。

 

そんな大粛清を行ったから、どっちにしろ国家としては存続できないので、王国傘下に入る方がよっぽど安全なのだ。

戦力の方は公国の飛行船と鎧の現時点での製造技術を公開することで、十分な戦力の保有を認めてもらえることが出来た。自らのアドバンテージを捨て去ったから、数に勝る王国であれば対処可能と判断できるからね。

 

監視役はフィールド家とマーモリア家がメインとなって派遣するように手回しした。この二家中心なら、王国を裏切らないし多少の融通が通せるからね。

戦力の要請は精鋭の黒騎士部隊は領地の防衛に残れるようにするのが精一杯だったが、これ以上はどうしようもない。

 

「二人の処遇はどうなるんだろうな」

「王宮は公爵代行となったヘルトルーデを王族の人間と婚姻させたいそうだが……白紙になるだろうよ。むしろ慎重に行わないと反感を買いかねないからな」

 

何せ、ヘルトルーデが今回の件を公表する際にこう宣言したからな。

 

『私は例えどんなに時間をかけようと、再び王国から独立してファンオース公国を復活させる。敵扱いによる認定ではなく、真の誇りを掲げた対等な国として。それが、国を想っていた亡き父上と母上の願いでもあると信じて』

 

この宣言もあって、公爵領の人間の王国憎悪は一先ず落ち着き、良い意味で張り合おうという風潮に向かい始めているからな。

それに水を差す真似は、民の感情を悪い意味で刺激する。なので、下手に婚姻は結べないのである。

 

「ヘルトラウダの方は……まだ処遇を決めかねているみたいだな。ヘルトルーデとミレーヌ様が色々と話し合っているみたいだが」

 

最終的には信用できる貴族の預かりになりそうだけど。

 

「加えて公爵領の壊れた鎧と飛行船も賠償金代わりに全部頂いたしな。おかげで元は十分に取れたよ」

 

それらも修理したら、半分以上は王国に献上する予定だし。王国にはこれから頑張ってほしいからね。

 

「ところでリオン。パルトナーの件はどうするんだ?」

「正直、悩んでいるんだよね。このまま使用不可能と思わせた方が、俺にとって都合が良いんだけど……」

 

確かに使えない状態と思わせた方が、リオンの平穏の為には都合が良いだろうな。

けど……その平穏が破られる可能性の方が高いんだよな。マリエのあの時明かした情報からの推測だけど。

 

「お前の望む平穏はおそらくまだ来ない……というか、確実に厄介ごとが出てくるぞ」

「厄介ごと?ラスボス倒したのに?」

 

またゲーム脳か……。いや、それも関係あるけど。

 

「リオン。あの時マリエは言っただろ。あの二体は()()()()()()()()だって」

「そういえば、確かにそう言って―――え?」

 

そこでリオンもその可能性に至ったのか、汗をダラダラと流し始めていく。

 

「なあ、エド。まさか……」

「そのまさかだ。初作と三作の中間―――二作目の問題が残っている可能性が高い」

「あんなに頑張ったのに、まだ問題が残ってるとか嘘だろ!?」

 

リオンは頭を抱え、今にも泣き出しそうな表情でそう叫ぶ。

オレだって本当は嫌だよ。もうあんな面倒ごとに関わりたくない。

けど、放置は論外なのは今回の件で痛感したんだからな。しかもゲーム展開もアウトの可能性ありというオマケ付きでな。

 

「その辺りはマリエから吐か―――聞き出す必要があるが、最悪の場合、またルクシオン本体を使う羽目になるかもしれないだろ」

 

そうなれば、王国はルクシオンを合法的に手に入れようとするだろう。今回のような謀略ではなく、婚姻という手で。

確か王族には娘もいた筈だからな。もしそうなれば、次期国王候補となって気が休まらなくなるぞ。

 

『エドワードのその推測が現実になる可能性は、限りなく高いと判断します。いっそのこと、この世界を新人類の兵器ごと滅ぼせば解決するのでは?』

『随分と短絡的な人工知能だな。やはり、旧人類の兵器は悪辣だな』

『悪辣なのはそちらです』

『くぁwせdrftgyふじこlp!!』

『くぁwせdrftgyふじこlp!!』

 

また罵詈雑言の罵り合い……って!?端末と碧い結晶体が激しく暴れてるんだけど!?

 

『ソウルによって新たに得たこの端末で、貴様を吹き飛ばしてやる!』

『そのような魔石モドキの身体で、私を吹き飛ばせると思うな!』

「「止めんかお前ら!!」」

 

オレは自由に動ける身体を得たハーツを、リオンはルクシオンを掴み、強引に大人しくさせる。

こんなとこで暴れたら、迷惑だろうが!!

 

『放せキャプテン!!今日こそは、この鉄屑にどちらが上か思い知らせる必要があるのだ!』

『どちらが上かなど、とっくに分かっているでしょう!マスター!この廃棄物の認識を矯正する為、殲滅の許可を今すぐ私に!!』

「「だから落ち着け!!」」

 

さっきまでの重苦しい空気が相棒達によって見事に明後日へと飛んでしまった。

 

 

 

――――――

 

 

 

「本当にどうしよ。ようやく俺のモブライフが始まると思ってたのに……」

『別に無視しても問題ないと思いますがね。エドワードに全部丸投げすればいいのですから』

 

自室に戻った俺の嘆きに、ルクシオンがそう意見してくるが頷くことはできない。

だって、今回の件でそこかしこにヤバい地雷があるって分かったからな。ゲーム展開通りに進めてもアウトとか、本当にこの世界は酷すぎるよ。

それに、二作目のラスボスもあの三体同様に厄介な可能性もあるからな。

 

そういった面倒ごとの後も考えての先手打ちのパルトナー献上……確かにメリットもあるけど、王宮に渡して本当に大丈夫なのか不安もあるし……うーん……

あ、良いこと思い付いた。

 

「ルクシオン。パルトナーをミレーヌ様に貸すのはどうだ?ミレーヌ様に媚びも売れて一石二鳥だと思うんだけど」

『マスターにしては珍しく妙案ですね。貸すだけなら何時でも回収できますし、表向きは献上という事にすれば周りの反感も抑えられるでしょう』

「珍しくは余計だ」

 

ルクシオンの微妙な誉め言葉に顔を顰めながら言葉を返すのだった。

 

 

 

――――――

 

 

 

……本当に何でこいつらは余計な事しかしないのかな?

 

「お前ら、本当に馬鹿だろ」

 

リオンもオレと同様にうんざりした表情で牢屋にいる連中に向けてそう言葉を吐く。

 

「本当にあなた達には呆れたわよ」

「まったくだ。俺が言えたことではないが……何故自分から面倒なことにするのだ?」

 

オレとリオンの後ろにいる、公爵代理のヘルトルーデと護衛のクロウも呆れ果てたように呟いている。

そんなオレ達に牢屋に入れられた六人の内の一人―――マリエが鉄格子にすがりつき、助けを求めた。

 

「私頑張ったのよ。お願いだから助けてよ」

「……お前らの罪状って分かっているの?」

 

リオンが痛みを堪えるようにそう聞くと、牢屋の中の殿下は堂々とした態度でこう言った。

 

「恥じるつもりは全くない」

「少しは恥じろ!条約結んだ後にお前がヘルトルーデを襲撃してどうすんだ!それで王宮は恥をかいた上に、逆に面倒になったんだぞ!」

 

殿下の全く悪びれていない態度にオレはそう叫ぶ。

実際、ミレーヌ様と秘密裏の会談―――パルトナーの無期限の貸出の際に、息子を助けてくれとオレとリオンに土下座して頼んできたんだぞ!

そこから芋づる式にマリエ達のやらかしが判明して頭を抱える羽目になったんだからな!

 

「だが、あのままでは俺が彼女の家に婿入り―――」

「しねぇよ!あれこれ手を回して婚約云々は十年くらい先伸ばしにしたんだよ!婚約と騒いでたのは一部の貴族だけだ!!」

 

おかげで条約が見直され、オレとリオンの裏工作がほぼパーになったんだぞ!!

十年もあれば、一定の信用が得られ監視の目も柔らぐだろうから最終的には流れる算段だったのに。

当然、婿入りの件は完全に白紙。代わりに派遣される監視役が増え、保有戦力の透明化の徹底と再度バランス調整がされる羽目となった。

 

「……もしかして、何もしなくても大丈夫だった?」

「もしかしてもなくても、本当に何もしなくても良かったんだ。神殿の件も含めてな」

 

マリエの疑問に、オレはコメカミに筋を入れながらそう答える。

残りの四人―――四馬鹿も聖女のアイテムを回収するだけだった神殿の関係者を叩き出した挙げ句、そのまま神殿に乗り込んで一暴れしたんだからな。

 

「俺達はマリエを守っただけだ」

「短剣を隠し持っていたから、正当防衛だ」

「全員叩き出した時点でやり過ぎだ!しかも殴り込みまでしたから、向こうは意地になって全員処刑すると言い出す始末になったんだぞ!?」

 

それも、マリエの今回の功績とフランプトン元侯爵の裏取引の件で黙らせた直後でだぞ!

紛いなりにも、聖女(呪)装備に認められていたからな。偽物発言は事前説明もなしに戦場へ引っ張り出した上に、大勢の兵士の死に責任を感じて口走ったことだという体に持っていったのに。

 

それに万が一に備えて神殿の手が及んでいない、護衛の騎士もすぐ側に付けさせていたのに。なのにこの四馬鹿は現場に駆け付けて、本当に余計な事を仕出かしてくれた。

 

「お前ら、本当に何で余計な事しかしないの?俺達に何か恨みでもあるの?どうして状況をどんどん悪い方に持っていこうとするの?」

 

心底うんざりしているリオンと苛立ちが募っているオレに、ヘルトルーデとクロウが同情の視線を向けてきた。

 

「……本当に貴方たちには同情するわ。せっかく良い感じでまとまりかけていたのに、台無しになったのだから」

「お前たちの苦労が目に浮かぶぞ。むしろ、良く見限らなかったな」

「いっそのこと、ファンオース家に仕えない?今、信用のおける人間を探しているところなのよ。うちに来るなら、公爵の地位も用意できるわよ」

「「興味ない」」

 

公爵の地位なんて、本当にいらない。ヘルトルーデの視線がオレに向いているが知らん。

オレとリオンがそう返すと、ヘルトルーデはショボくれた。

クロウは何か物言いたげな表情をしているが、無視だ無視。

 

「将来を期待されていた五人をタブらかした希代の魔性の女―――お前、そんな風に言われてるぞ」

「え、そうなの?」

 

リオンに魔性の女呼ばわりされたにも関わらず、マリエは照れた表情をする。

本当に状況を理解していないマリエの態度に、オレは苛立ちを発散するように床を踏みつけた。

 

「それで全責任がお前に向いているんだよ!お前たちの実家は激怒して縁切り宣言してるし、王宮の役人たちも怒り心頭だし!特に神殿が全員処刑と息巻いて、神殿以外の奴らも同調する流れになったんだ!特にマリエは絶対処刑すると一致してるんだぞ!!」

 

オレがそう叫ぶと、ビビっていたマリエは顔を青くして懇願した。

 

「お願い助けて!」

「助けようとしたんだよ!実際、全部が上手く行ってたのに……お前らが全部台無しにしたんだろうが!」

「本当に助かる気はあるのか?何で、状況を自分から悪い方へと持っていくんだよ?」

 

オレはわりと恨みを籠めてそう呟くと、マリエは涙目で訴えかけた。

 

「違うの!私たちも何とかしようとしたのよ。そしたら、こんなことになったの」

「最悪だよ!せめて、もっと考えてから動いてくれよ!!」

 

マリエの弁明にリオンはもう涙目で叫ぶ。

もう、本音を言えば助けたくはない。ここまでやらかした相手を助けようという気力は本来は湧かないんだからな。

だが、マリエが持っている可能性がある二作目の情報は絶対に必要だ。それに、ミレーヌ様にも頼まれた以上、助けないという選択肢はすでになくなっているしな。

 

「……ミレーヌ様にも頼まれたからな。出来うる限りの協力はする」

 

リオンはマリエに背を向けた状態でそう告げたので、オレも同意するように頷く。

そしたら、マリエは笑顔となった。絶対に助かると確信したからだな。

……今後の為にも、マリエたちには罰を与えておくか。形だけでもな。

オレは処刑の撤回と同時に、戒めの為の罰も与えることを決めるのだった。

 

 

 




「ゼクトールのメインエンジンがかなりダメになってるな」
「原因は超出力による熱暴走だが……全体を見直さないといけないな」
「熱を外へと排出する機構の組み込みは当然として……冷却装置も加えるか?」
「強引に冷気で冷やすのか?それをやったら、寿命が縮みそうなんだよな」
「そうなると熱を外へと排出するしかないが……どこをいじる?」
「頭部はどうです?」
「「「「採用!!」」」」
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