チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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お久しぶりの投稿となります。
アニメ二期の情報、共和国編のコミカライズも始まっていますが……気長でいてくれたらと思っております。
てな訳でどうぞ。


騙し討ちなんて聞いてない

「バルトファルト家の婚約式?」

「そうだ。王国の英雄かつ将来の伯爵のお前も参加だからな」

 

親父のその言葉に、書類の処理をしていたオレは嫌な記憶を思い出して顔を顰める。

総司令官とその補佐役の解任の日。本当なら重荷から解放される筈が、あろうことかローランド陛下はオレとリオンを独断で昇進させたのだ。それも、前もって昇進は無しという形でお願いしたにも関わらずだ。活躍したとはいえ若輩者だから、昇進なしは決して不可能ではなかったのにだ。

 

リオンは降格を望んでいたが、それをやると今後の周りの出世に悪影響を及ぼしてしまう。かといって通常の報酬のみだと活躍に釣り合わない。かといって権力も与え過ぎたら、侯爵のように危険視する奴が再び現れかねないしな。

その為、五倍以上となる多額の金銭の報酬で誤魔化す事にした。一度に全部は払えないから分割で支払われる予定だったが、六人の助命に全部回したから事実上報酬はなしになったけど。

不安要素の種も不本意な形ではあったが解消され、それで終われば(一応は)結果オーライだったのに……陛下のせいで台無しとなった。政治バランス考えろ、マジで。

 

おかげでリオンは三位下の伯爵。オレは四位上の子爵、それも伯爵への格上げが約束された昇進だ。当然、相応の働きをしないといけないから、また働き詰めの人生に向かって行っている事実に涙したよ。

しかも陛下が独断で昇進させた理由が“嫌がらせ”なのだ。それもオレとリオンが自身より目立っていたからという、本当に器量が狭い理由で。

殿下をボコボコにした件もミレーヌ様と良好な関係であることも一切関係がなく、自身の見せ場を悉く奪ったことのみで昇進させたのだ。しかもパルトナー貸出の件でも、

 

『お前たちがロストアイテムを献上ではなくミレーヌに貸したせいで、大々的に見せびらかすことも出来なかったからな』

 

と、自身のかっこよさアピールをできない事に不満たらたらだった。本当にいい歳したオッサンなのに、幼稚すぎると思ったよ。マジで。

 

「そもそも何で親戚でもない家の婚約式に参加しないといけないんだよ?」

「それは英雄となった家だからだ。お前もバルトファルト伯爵も、今の王国の重要な存在だからな。盟友の家の婚約式に不参加なのは、貴族間の威信に関わるんだ。実際、いくつかの名門貴族も今回の式に参加するからな」

 

親父の説明に、オレは確かにと納得してしまう。

オレとリオンはある程度覚悟したとはいえ、不本意なまでに目立つ存在だからな。しかも共に事態を解決へと導いたから、不参加だと体裁が悪くなるのも理解はできる。納得はしないけど。

 

「それでも急な気がするんだけど」

「お前がバルトファルト伯爵と共にアルゼル共和国に留学するからだろ」

 

本当にぐうの音も出ない。急な留学でミレーヌ様たちに迷惑を掛けてしまったしな。それでも留学の認可が降りたのは、ガタガタとなった内政事情からが一番だろうけど。オレとリオンを危険視する貴族がまだ存在しているようだし、レッドグレイブ公爵も感謝はすれど、ルクシオンの存在から注視しているみたいだし。大方、リオンがロストアイテムを隠し持っていると疑っているんだろうな。正解だけど。

 

それに共和国の留学の目的が調査だからな。ルクシオンからの報告(という体で)で共和国で、不穏要素があるらしいってミレーヌ様たちに伝えたし。先の内政事情も相まって、自然に調査員を送り込めるから頷いてくれただろうし。そうでなきゃ、片方は残るように動いただろうし。

だからほとぼりが冷めるまでの意味と、探りを入れる意味でアルゼル共和国への留学を認めてくれた。内政事情だけでなく、リオンとオレの持っている力を正確に測る意味も兼ねてだろうな。リオンはともかく、オレはそこまで秘匿してないんだけどな。

 

そんな感じでアルゼル共和国に留学が決まったので、向こうの言語の習得や、普通の手段での共和国の情報収集に滞在先の確保。更にルクシオン主導で王国代表としての見映えの良い飛行船を急ピッチで造船している。詰め込み感が凄くて疲れるけど。

ちなみに、改修中のゼクトールは王国に残していくことにしている。本当は非常時に備えて持ち込むべきなんだろうが、現時点では静観、調査だからな。過剰なリスクは今は避けるべきだし。どっちにしろ留学までに間に合いそうにないし。【グランドアーマー】と【ブーストアーマー】の製造も並行しているし。

 

事実、今分かっている情報だけでも向こうに難癖を付けられる可能性が非常に高い。下手をすれば押収という名の略奪に動きそうだしな。リオンの場合は取り返すのに苦労はしないけど、こっちはそうじゃないからな。なので、今回持ち込む鎧は既存機の改修型にしている。勿論、もしもの時の反撃の許可も取っている。舐められたら搾り取られるから、仕掛けてきたら逆に搾り取ってやるよ。

ま、そうならない事を祈らせてもらうけど。無駄に終わる可能性が高くてもね。

 

「それとお前の当日の衣装は立場上目立つものが用意される。一番目立つと思うから、変に取り乱すなよ」

「マジか」

 

主役より目立つ衣装って普通は駄目なんだけどな。

 

「そういえば誰の婚約式なんだ?」

「そこまでは聞いていない。向こうも昇進や家族関係の変化で忙しかったからな」

 

ああ、そういえばリオンの実家も昇進したんだったな。

オレの実家も今回の活躍で六位下の男爵家となったし、特にリオンの実家は正妻だったゾラは愛人の子を男爵の子と偽っていたみたいだし。

その男爵の血を引いていない長男長女もゾラ同様に勘当され、特に長男は敵前逃亡で騎士の称号も失った。

そんなクズの実家も同様に逃げていたので、見事に取り潰された。全部、自分の行いが返った結果だから同情の余地はない。不安要素ではあるが、そこは王国に頑張ってもらおう。

 

「ま、取り敢えず当日はちゃんと出席するよ。話の流れからして、リオンの兄貴だろうからな」

 

それまでに仕事を終わらせないとな。工場のこれからの方針に、エアバイクのレース場の建設計画……領地の開発計画がまだ半分くらい残ってるし。

アルゼル共和国へ留学する際の飛行船は、リオンとルクシオンにほぼ丸投げしてるから楽だけど。

 

 

――――――

 

 

「共和国の評価が典型的なお山の大将って……完全に向こうに喧嘩売ってるよね?」

『この上なく的確な評価だと思いますがね。後、相手に喧嘩を売っているのはマスターも同じではないかと』

「エドほど売ってないって!俺の平穏の為に対処しているだけだよ!!」

『自ら首を突っ込んでいる時点で説得力は皆無です。失礼、マスターの言動が矛盾だらけなのは何時ものことでしたね』

「俺の行動は常に一貫してるっつーの!……俺の船が()られる可能性は本当にあると思うか?」

『可能性であれば十分にあり得るかと。共和国は防衛においては完勝の域で負けなしですからね。絶好の機会と捉えられても不思議ではないかと』

「それを予想して事前に報復の許可を王宮から得るとか……エドは本当に腹黒い悪魔だよ」

『溜め息を吐く意味が理解できませんね。マスターもノリノリで反撃するというのに』

「愚痴くらい流せよ!」

 

 

――――――

 

 

―――夜。

 

「何とか全部終わった~。本当に書類仕事は面倒だよ」

 

オレは自室のベッドで横になり、気の抜けた声で呟く。

 

「明日の婚約式はちゃんと祝ってやらないとな」

『因みにキャプテンはどうするのだ?見合いの手紙は把握しているだろう?』

「……思い出させないでくれ」

 

だって、見合いの話は本当になりふり構わないものが大多数だったんだからな。五十代から一桁代の相手との見合い……おばさんと子供と見合いとか、前世の倫理観から本当に嫌だよ。

 

『オリヴィアと婚約し、結婚すれば解決するというのに』

「だから無理だって。結婚できれば良いなとは思うけどさ」

 

それに、ちゃんと責任取れるか分からないし。

 

「無責任な行動は取りたくないんだよ。好きだからこそ、傷つけたくないし」

 

恋愛結婚も立場から無理だし、こうなるなら独身貴族でいられるようにお願いしとけば良かったよ。

 

「もうこの話はいいだろ。もう寝かせ―――」

 

オレはそのまま瞳を閉じ、ぐっすりと眠るのであった。

 

 

――――――

 

 

―――本当にやられた。

 

「親父、これはどういうことだ?」

「見ての通りだ」

 

オレと同じ豪華な衣装に身を包んだリオンは、自身の父親であるバルカスさんに厳しい目を向けている。

確かにバルトファルト家の婚約式だ。間違いはない。

式の参加者もレッドグレイブ家、当主のみだがアトリー家とローズブレイド家もいる。これも間違いはない。

オレとリオンが一番目立つ衣装を着ているのも間違いではない。

だが―――奥にいる二人はベールで顔は隠れているが、間違いなくあの二人だろ!

つまり、今日神殿で行われる婚約式はオレとリオンのだったということだ。

 

「本当にやってくれたな、親父」

「嘘は何一つ言っていないぞ。本当のことも言わなかったが」

 

オレの恨み節を、親父はしれっと受け流す。これは間違いなく確信犯だろ!

 

「そもそも、お前があれこれ理由をつけて逃げるからだろ。だから、強硬手段を取らせてもらった」

 

逃げて悪かったな。真剣に考えた結果、逃げるしか思いつかなかったんだよ。

 

「そもそも、婚約式を二つ同時に行うとかどうなんだよ!?」

「そうしないとお前は勘付いて逃げるだろ。ファーレンガルド家の婚約式と言えば、お前は詳しく聞いて企みに気付いただろうからな」

 

クソ、反論できねぇ!確かに既に婚約している兄貴が婚約式をするとなれば、怪しんでいたからな!

 

「第一、ここで婚約―――」

「君の危惧している心配は無用だ。既に手は打ってあるからな」

 

ヴィンスさんのその言葉に、オレは目が点になる。

何でその事を知っているんだ?いや、まさか!?

 

「ハーツ、お前ひょっとして!?」

『ああ。キャプテンの気持ちを筒抜けにさせてもらった。ウジウジして動かないキャプテンの代わりに、周りに動いてもらった』

 

本当に、何勝手なことをしてくれたんだ。リオンの方もルクシオンと口論してるし。

そんなオレたちに、ギルバードさんがやってくる。

……目が全然笑ってねえ。笑顔なのに。

 

「リオン君にエドワード君、二人が待っている。いつまでも待たせたらいけないよ。それともリオン君、アンジェでは不満かな?」

「め、滅相もない」

 

ギルバードさんのリオンへの対応が若干厳しい。そりゃ、妹を嫁に出すんだから当然だけどさ。

 

「それと、陛下にも今回の件を相談した。そうしたら、快くこの結婚を認めてくれたよ。ついでに伝言を預かっている」

 

ギルバードさんはそう言って一枚の手紙を差し出す。オレとリオンはその手紙の内容を確認し―――互いに引っ張って真っ二つにした。

 

『ようこそ、人生の墓場へ。それから、結婚から逃げ回っているお前たちの話を聞いて、全力でそれぞれの相手と結婚する方向へ話を持っていった。泣いて感謝していいぞ。 by有能で素敵な王様』

 

―――絶対に嫌がらせだろ!!どれだけオレたちのことが嫌いなんだよ!?

この場にいない陛下に怒りを向けていると、親父たちがオレたちの背中を押してくる。

 

「さっさといけ!お前たちには勿体ないお嬢さんが結婚してくれるって言ってるんだぞ!」

「お前もバルトファルト伯爵も、いつまでもウジウジするんじゃない。見ている方が苛々してくるぞ。分かったら、覚悟を決めろ!」

 

どうしてこうも外堀を徹底的に埋めてくるんだ!婚約や結婚はまだ早いと考えているのに!

ヴィンスさんもバーナードさんの視線も痛くて怖いし……!逃げることは許さんと暗に伝わってくる!

完全な針の筵にオレとリオンは観念したように一歩踏み出し、絨毯の上を歩くと拍手がおきる。

兄貴は爽やかな笑顔で、アリサは呆れたような表現で拍手している。お袋は嬉しさから泣いてるし……前世の両親の顔が浮かんでしまったよ。親孝行もロクに出来なかったし、心にグサグサ突き刺さるよ。うん。

待っていた二人の前に到着すると、リオンの前にいるアンジェ嬢が小声で話しかけてきた。

 

「騙し討ちして悪かったな」

「ここまでしなくてもいいじゃないか」

「お前がはぐらかすからだろ」

 

リオンもリオンではぐらかしていたのか。オレも人のことは言えないけど。

 

「どうしてこうまでして、一緒にいたいんだよ。オレは腹黒のヘタレだぞ?」

「決まってますよ―――エドさんのことが、大好きだからです」

 

オレの疑問に笑顔で言い切るリビアが眩しく感じるよ。

そんなオレの手を、リビアが両手で握り締める。

 

「だから、絶対に放しません。何度逃げようと、必ず捕まえますから」

 

……リビアって軽いヤンデレだったのか?ちょっと怖いし、逃げれる気がしないよ。

 

「もう勝手にしろよ、今回は逃げないからさ」

「―――はい!」

 

ベールに包まれても、満面の笑みを浮かべているのが分かる。

本当は学生としてもっと気楽に行きたかったが、もう仕方ないよな。

見事にしてやられたが―――悪くないと思っていた。

 

 

――――――

 

 

『無事に婚約できてよかったな』

「言いたいことはそれだけか、魔石コンビ」

『某は狙い打ちで音声通信をしただけだ。オリヴィア殿の不安を解消してやったら、トントン拍子で話は進んだがな』

 

ハーツもソウルも、本当にしてやってくれたよ。

確かにリビアと婚約できたのは嬉しいし、危惧していた問題も既に対処されていたけどさ……

 

「婚約しても、婚活は終わらないとか泣けるんだけど」

『キャプテンは救国の英雄だからな』

『頭領が望むなら、ハーレムも不可能ではないぞ』

「ハーレムなんて嫌に決まってるだろ!それぞれの顔色を伺わないといけなくなるんだから!!」

 

それに不安要素の解決も、かなりの力技だったし!過去の貴族の遠戚だったとか、普通はあり得ないんだぞ!?むしろ、粗探しの格好の的になるだろ!

 

『今の頭領に喧嘩を売る貴族はおらぬぞ』

『キャプテンに喧嘩を売れば、あの手この手で破滅させられるのが火を見るより明らかだからな。むしろここで恩を売った方がいいと判断した貴族が大多数だったぞ』

『事実、二人を足蹴にした連中の実家が敬遠されるよう、各方面に根回ししたであろう。公爵家にも直接の謝罪があり、正式に公表されて家の面目も多少は回復したそうだからな』

 

……確かにリビアとアンジェ嬢を足蹴にした連中に報いは受けてもらったけど。自身の浅ましさを後悔させる為に家をおもクソ巻き込ませてもらったけど。流通を優先的に後回しされるように根回しして、領地経営に悪影響を与えたけど。それで敵が増えるどころか減るのはおかしいと思う。

 

「そもそも、リビアをレッドグレイヴ家の遠戚にするとか力技すぎる」

 

それも架空の血筋だし。そこにアトリー家も混ぜた無茶ぶりだし。本当にそれで解決したのだから、冗談抜きでそれでいいのかと本気で思ったよ。

 

『力技であるが、無理のない設定であろう』

『養子の案もあったが、それだと養子先に揉めるから棄却になった。内政状況が不安定な中での最善だと某は思うのだが?』

 

確かにそうだけどさ。オレを積極的に取り込もうと、恩を売ろうと考えたんだろうけどさ。絶対、二家が折衷案として足並み揃えて動いたんだろうけどさ。それでリビアがオレの正妻で通せたんだから、素直に感謝すべきなんだけどさ。

それでも、婚約式が終わった後のバーナードさんの言葉が怖くて素直に喜べないんだよ。

 

『私の娘との婚約も、前向きに検討してくれていいのだよ?今の君なら側室も認められるからね』

 

完全にロックオンしているよな?目が若干血走っているように見えたし、声にも圧が感じられて、能面に近い表情も相まって、獲物に狙いを定めた捕食者だったよな?クラリス先輩とオレをくっ付けようと、頭の中で色々画策しているよな?少しずつ、確実に外堀を埋めて来ているよな?うう、本当に貴族社会はツラい。

 

「婚約してすぐ留学だし……単身赴任する夫ってこんな気持ちなのかね?」

『知らん』

『オリヴィア殿の護衛は某が果たそう。旧人類の愚物が近くにおるからな』

「……せめて折り合いくらいは着けてくれよ?」

 

言うだけ無駄だろうけど、一応は釘を差しておく。向こうもクレアーレをアンジェ嬢の護衛に残すだろうし、リビアとアンジェ嬢を狙う輩が今後出ないとも限らないし。

この先のことを色々と考えていると、扉がコンコンとノックされる。

 

「開いてるからどーぞ」

 

オレは気が抜けた声で入っていいと告げると、リビアが部屋に入ってくる。

―――白のネグリジェ姿で。

 

「ぬぅおああああああっ!?」

「エドさん?急に叫んでどうしたんです?」

 

リビアがキョトンと首を傾げているが、オレの心臓はバクバクと音を鳴らしている。完全に予想外で刺激が強い!精神年齢はオッサンでも、彼女いない歴=年齢だったから色々とキツい!

 

「いや、だって、夜でその、女性の寝間着姿は」

『相変わらずヘタレなキャプテンだな』

「ヘタレでも心理的ハードルは高いんだよ!」

 

せめて普通のパジャマで来てほしかった!いや、それはそれでリビアに失礼なんだけど!

 

「そそそ、それよりリビアは何で急に!?オレ、何か知らない内にやらかしたのか!?」

「確かにそうですね。エドさん、何の前触れもなく急に留学を決めちゃいましたし」

「そ、それについては……本当にすみません。色々と複雑な事情からで……」

 

リビアの指摘にオレは本当に申し訳なくなるも、世界滅亡の可能性を無視するわけにはいかないんだ。リオンに全部押し付けるのも筋が通らないし、したくもない。

それで今のオレに出来ることは、リビアに頭を下げることだけ。かなり情けない姿だけど、今さら残るなんて出来ないし。

 

「ですから、色々とお話ししましょう?忙しくて、ゆっくりと話せなかったので」

「……ハイ」

 

雰囲気的に普通に話そうといった感じだった。内心の気まずさはMAXだけど。あっちの可能性はゼロで安心はしたけど。

……ちょっとだけ、本当にちょっとだけ惜しかったけど。

 

「ずっとお礼を言いたかったんです。エドさんと学園で出会ってから、色々なことがありました。沢山、助けてくれました」

「……オレだけじゃないよ。ハーツにリオン、ルクシオンのおかげでもあるし」

 

むしろリオンとルクシオンがいなかったら、最悪な結末になっていただろうな。呪いの聖女装備や傀儡に仕立てられていたトップ、共和国に存在する世界を滅ぼすラスボスと、破滅フラグが地雷源の如くそこかしこに存在していたし。

 

「それでもですよ。だから―――絶対に帰ってきて下さいね?」

 

リビアはそう言ってオレの隣に座ると、オレの手を優しく握る。その手の温もりを感じながら、夜遅くまでこれまでの学園の思い出を語り合った。

……流れで突入しなかったのには、安心九割と残念一割の気持ちで複雑だったけど。

 

 

 




「……何で王国からの留学生がビッグネームなんすか」
『国内情勢の都合からでしょう。今の王国は内政がガタガタのようですからね。王国の若き英雄が二人とも来るのは予想外でしたが』
「外道騎士、悪魔騎士……どちらもゲームに存在しない人たちっすよ」
『でしたら、マスターと同じ転生者の可能性がありますね。不安でしたら、私が彼らの弱味を握って社会的な孤立を招きましょうか?』
「止めるっす!特にこの悪魔騎士って人には絶対に喧嘩を売っちゃ駄目っす!!悪魔は百倍返しで反撃するのがお約束っすから!!」
『そんなお約束は存在しない。やはりこのダメマスターは頭が本当に残念だな』
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