てな訳でどうぞ。
アルゼル共和国へと旅立つ日。
オレとリオンの見送りにダニエルとレイモンドを始めとした、多くの人たちが来てくれていた。
「二人とも残念だよな。せっかく、女子からの誘いが増えたのに」
「せっかく誘われる側になったのに、本当にもったいないよね」
ダニエルとレイモンドを含め、友人たちはニヤニヤとオレとリオンに笑顔を送っている。
煽りか?煽っているのか?喧嘩を売っているなら、百倍返しで買ってやるぞ。
「―――お前ら、帰ったら覚悟しとけよ。特にエドの反撃に震えて毎日過ごしやがれ」
「リオンにはともかく、エドワードには絶対に売らないよ」
「それに留学すると決めたのは二人じゃないか。それで反撃とか理不尽だよ」
レイモンドが事実を指摘するが、気持ちは別問題なんだよ。後、普通に腹立たしいし。
「でも、留学してくれて本当に嬉しいかな。二人がいたら、女子が全員そっちに行くし」
「うんうん。おかげで虚しい思いをせずに済んで良かったよ。本当にありがとな」
二人が爽やかな笑顔で感謝の言葉を告げ、周りの友人たちも同意するように頷いている。
判決、ギルティ。
「そうかそうか。それなら、メンテナンスはゆーっくりとやってやるか」
「そうだね。君たちの飛行船のメンテは最優先で後回しにしようかな?」
「「「「「それはマジで止めてくれ!!」」」」」
オレとリオンの軽口に、友人たちは直角で腰を曲げて謝罪した。ハハハ、君たちの生殺与奪は未だにオレたちが握っているんだぞ?多少の軽口には目を瞑るけど、それで調子に乗るなら痛い目にあっても文句言えないよね?
そんなお互いの立場を改めて分からせていたら、クラリス先輩とディアトリー先輩が近づいてくる。二人の取り巻き達も一緒だ。
「婚約おめでとう」
「おめでとう。非常に残念だわ」
クラリス先輩はニコニコ笑顔で、ディアトリー先輩は不満そうに祝福の言葉を投げ掛ける。
……なんでだろう?クラリス先輩の笑顔が、あの時のバーナードさんと同じ圧を感じるのは。それに、クラリス先輩の取り巻きたちがオレを睨んでいるし。それも湿度の高い、胃がキリキリと痛みそうな視線で。
オレはその視線から逃れる為に、クラリス先輩へと業務的な理由で話しかける。
「せ、世辞は慎んで受け取らせて頂きます。それと、レース場の様々なアドバイスもありがとうございました」
あの時のクラリス先輩の提案を真剣に検討し、本格的にエアバイクのレース場の建造に着手している。エアバイクの共同開発も続けているし、エアバイクの性能テストにも困らないからな。完全な手探りだと時間も手間も掛かるから、クラリス先輩からアドバイスを沢山もらったけど。おかげで計画はオレが留学で不在であってもスムーズに進められるようになったので、そこは本当に感謝しています。
後、鶏の飼育も物は試しで初めている。卵に鶏肉、天然の肥料と様々な恩恵があるからね。自給自足できるようにしないと、いざというときに困るし。
「フフ、どういたしまして。レース場以外でも困ったことがあったら、何時でもアトリー家を頼っていいからね?」
……へ、返答に困る。きっと、意味深で口にしただろうし。リオンもディアトリー先輩にロックオンされているみたいだし。
「そ、その辺は時間を掛けて考えさせて頂きます。軽い気持ちで返答すべき問題ではないですので」
オレは冷や汗ダラダラでクラリス先輩にそう返す。取り巻きたちの視線が一層厳しいものになった気がするけど、流れや勢いで決めたらリビアにもクラリス先輩にも失礼極まりないし。
「……特別に及第点にしてあげる。ちゃんと向き合ってくれているからね」
「寛大な判決に感謝します……」
こういうのって、普通は名残惜しそうとか爽やかな気持ちで向かう筈だよね?何でこう、キリキリと胃が悲鳴を上げているのかな?
『キャプテンがヘタレだからだろう。側室の一人や二人、迎えても問題ないというのに』
本当に余計なお世話だよ、相棒!!脳内でのやり取りなのは大助かりだけど!
それからリオンのお茶の師匠からも激励を貰い、アインホルンに乗ってアルゼル共和国へと向かうのだが……
「チクショウ!ノリでいい感じで出発したけど、やっぱり外国になんて行きたくないよぉおおおおおおおおっ!!」
「外国かぁ……本当にヤだよ。絶対、面倒事に直面するだろ。国内と国外じゃ、勝手が違ってくるし……」
リオンはベッドの上でバタバタと、オレはデスクの前で項垂れて情けない姿を晒している。外国なんて文化の違いからマナーやタブーを一から調べないといけないんだ。例を上げるならチップを手渡すのが当たり前とか、食事は少し残すのがマナーだったりとか。日本の諺に郷に入っては郷に従えって言葉もあるし!!
仕返しの塩梅も慎重にしないと、戦争に発展しかねないし。外交という形で落とし込まないと、絶対に後から面倒になるし。ああ、無性に甘い物が食べたい。糖分が欲しいよ、切実に。
『どちらも諦めが悪いですね』
『同意なんぞしたくないが、全くだな』
「文句くらいいいだろ!それくらいは許されていい筈だ!」
「リオンに同じく!こうして吐き出した方が精神的に安定するんだ!」
ちなみに今いる部屋はオレとリオンの共同の自室だ。別々でも良かったんだけど、一緒にいた方が何かと気楽だからな。特に前世の話とか乙女ゲームの話をする時に自然と二人きりになれるし!
「……ところでリオン。あの木箱はなんだ?」
オレは自室の隅にある、如何にも怪しさ満点の大きな木箱を指差す。どう見ても不自然すぎるし、部屋に木箱を置く意味もない。
「いや、俺も気になってたんだよ。ルクシオン、何か知ってるか?」
『王宮から送りつけられた品です』
王宮から送りつけられた品?
「共和国への贈答品は此方でしっかり用意したのにか?ミレーヌ様やヴィンスさんにも確認して、問題ないと太鼓判を押されたのにか?」
『違いますよ。こちらはマスターとエドワードに宛てられたものです』
……オレとリオン宛て?何故だろう。嫌~な予感しかしないんだけど。
オレが不信感を隠さずに木箱に視線を向ける中、リオンが首を傾げながら木箱の蓋を開ける。
開けた瞬間、リオンはすぐに蓋を閉めたが。中身を見てすぐに閉めるとか、一体どんな―――
「ちょっと!何で閉めるのよ!?」
あれぇ?おっかしいなー。今、絶対にあり得ない筈の人物の声が聞こえてきたんだけど。しかも、木箱から出てきた奴の容姿も声の主と一致していたんだけど。
「何でお前が此処にいるんだよ!?」
そうかー。リオンの目にも同じ人物が見えているのかー。
……そろそろ現実を見ようか。
オレは頭痛を堪えたい気持ちになりながら木箱から出てきた人物―――マリエに視線を向ける。どうしてこの場にいるのか、しっかり聞かないと。
「リオンと同意見だ。例の領地で賠償金の支払いの為に自給自足の生活をしている筈のお前が、どうして此処にいる?それも、リオンから多額の生活費まで貰ったお前が」
オレがそう問い質すと、マリエは今にも泣き出しそうな、凄く気まずそうな表情をする。
おい、その反応はなんだ?まさか、あれだけあって足りないとか言うんじゃないよな?
「じ、実は……兄貴からの生活費、使いきったの」
「は?」
「違うの!私じゃなくてあの五人が!勝手に使い込んだのよ!!」
マリエぶわっと涙を流し、その場で蹲ってしまう。丸くなったその姿は、哀愁の雰囲気が流れている。
一応、詳しい話をマリエから聞く。そしたら、本当におバカファイブが酷かった。
なんとあの五人、先に浮島に入ってすぐ、リオンが情報の対価で用意した一年分の生活費を使ってマリエの石像を造らせていたのだ。しかも、足りない分は島にあった農機具と食料を売り払うという愚行まで犯して。
……いや、ちょっと待て。マジで待て。本当に待ってほしい。
「まさかとは思うが、オレが貸し出していた耕運機などは……」
「それも勝手に売り払っていたのよ!!そのせいで王宮に泣きついて、売った値段の倍の金額で買い戻す羽目になったんだから!!」
あんのおバカファイブぅ……!!人の物を勝手に売るとか、マジでふざけてんのか!?お情けから無償で貸し出してやったのに、それを勝手に売るとか本当にふざけるなよ!!
つーか、実家から毎月仕送りされると考えていたとか脳内お花畑でも酷すぎるだろ!!六千万ディアの賠償支払いを忘れているんじゃないよな!?返済にすら使わないとか、本当に頭の中に脳ミソ存在しているのか!?サプライズで喜ばせるにしても、せめて生活基盤を整えようとしろよ!!
「それで王妃様にも説教された挙げ句、買い戻すのに使ったお金も賠償金に追加されるし……本当に私は何も悪いことしてないのに!」
「うん。今回ばかりは俺でも同情するわ」
あまりのマリエの不憫さに、リオンが本気でマリエに同情していた。確かにこの件に関しては、マリエに非が一切ない。むしろ、あの五人の馬鹿さ加減があまりにも酷すぎた。オレだって賠償金があるのに無駄使いするとか、想像すらしていなかったからな。
「……本当の疫病神はマリエじゃなくて、あの五人じゃないか?」
「俺もさすがにそう思うわ」
リオンですら本当の元凶はマリエじゃなくておバカファイブだと思い始めたようだ。
アイツらの脳内お花畑が矯正不可能な域に突っ込んでいるんじゃないかと疑うレベルだし……まさか、リビアの場合でも本人の意思を無視したアプローチを取っていたんじゃないのか?逆ハーレムじゃなくて、おバカファイブの単なる押し掛けだったんじゃないのか?もしそうだったら普通に納得するぞ。
「それでいきなり放り出したのは間違いだって……それで、外国で勉強しなさいって」
……は?
今、マリエは何て言った?外国で勉強?それってまさか―――
「あの五人は今、何処にいる?」
「倉庫にいるわ。後、これ」
マリエはそう言って二枚の封書を手渡してくる。オレとリオンはその封書を受け取って中身を確認すると―――
『面倒事を上手く処理するように』
その瞬間、オレとリオンはあの時と同様にクソ陛下からの手紙を引き破った。
あのクソ陛下……!絶対に、オレとリオンへの嫌がらせでおバカファイブを押し付けたな!?おバカファイブが一緒とか、本当にふざけるな!!
もう送り返すこともできないので、破いた陛下からの手紙をゲシゲシ蹴って踏みにじることで、苛立ちを発散させる。そうして気持ちを落ち着かせてから二つ目の封書を開く。
二枚目はミレーヌ様からの手紙。そこには謝罪と詳しい経緯が書かれていた。
やはりというか何というか、罰を与えられたマリエたちを未だに許せない勢力が存在しているそうだ。
リオンが無期限で貸し出したパルトナーの威光があるとはいえ、戦後処理も忙しくマリエたちに構う余裕はないとのこと。その状況で早々に問題を起こしたから、国内に留めるのは危険だと判断したそうだ。
ミレーヌ様は本当に申し訳ないと文面で伝えてきているから……本当に御愁傷様としか言えない。クソ陛下は本当に一度痛い目を見ろ。
そうしてミレーヌ様からの手紙を読み進めていると、またしても衝撃的な内容が叩き込まれた。
『それと本当に申し訳ないのだけれど、公爵代理の妹君のこともお願いします』
公爵代理の妹?公爵代理ってヘルトルーデのことだよな?その妹ってことは……
「マリエ。まさかとは思うが……」
「そのまさかよ兄貴。ヘルトラウダも倉庫にいるわよ」
その瞬間、オレとリオンは全力ダッシュで倉庫に向かった。あのおバカファイブと一緒とか、色々な意味でまずい!!下手すりゃあの時の二の舞だ!
そうして大急ぎで倉庫に辿り着くと、おバカファイブとヘルトラウダは勿論、カイルとカーラも一緒にいた。いや、二人も一緒なんかい。理由はマリエだろうけど。
「そこの五人。ヘルトラウダに対して何もしてないよな?」
「その質問はどういう意味だ!?ファーレンガルド!失礼にも程があるぞ!」
クソ殿下、いや、もう呼び捨てでいいか。ユリウスが心外だと抗議しているが、人の物を勝手に売ったお前たちの信用なんて欠片もないんだからな?
「いや、エドの反応が普通だから。むしろお前達は自らのやらかしを自覚しろ」
「バルトファルト!お前もか!」
リオンの呆れ半分の指摘にも噛み付くユリウスは勿論、視線で文句を言っている他四人も無視し、オレはリオンと共に倉庫のコンテナの上に座っていたヘルトラウダに話し掛ける。
「まさかお前まで乗っているなんてな」
「てっきり王宮で過ごすと思ってたんだけど。身体の方は問題ないの?」
「おかげ様で快調です。本来は守護神様を喚べば死ぬところを、五体満足で生きていられますから」
リオンの問いかけにヘルトラウダはコンテナから離れると、反発することなく答えを返す。
終戦直後は寝たきりだと耳にしていたが、後遺症もなく回復したみたいだ。しっかり両足で立てているし、顔の怪我も綺麗さっぱりなくなっている。オレも信用の置ける貴族の預りか、王宮での幽閉生活かと予想していたんだけどな。劣悪な環境に置かれないように、関係者に賄賂を渡したけど。同情や憐れみからじゃなく、火種の要素を取り除くために。
そんなオレとリオンに、ヘルトラウダは一枚の封書を差し出す。
「これは?」
「お姉さまからの手紙です」
今度はヘルトルーデさんからの手紙か。一体どんなことが書かれているのやら。
オレとリオンはその場で開いて内容を確認していく。最初は簡単な挨拶から始まり、次にヘルトラウダをアインホルクに……オレたちの留学に同行させた理由が書かれていた。
何でも裏で公爵家を操ろうと考える勢力もいたそうで、その勢力からも遠ざける為に外国への一時避難も視野に入っていたそうだ。特に女尊男卑の思想が激しい勢力が不明となっているのが大きいそうだ。
「これ、ゾラを初めとしたクソババアたちのことだろ。確かにアイツらならやりかねんわ」
「ああ、男の命を金に替えようとした連中か。本人達は消息不明だから、不安要素になっているんだよな」
あの連中がこのまま泣き寝入りするか本当に怪しいし。パルトナーがあるから安易には動けないだろうけど、油断は禁物だからな。
で、ミレーヌ様とヴィンスさん、他の良識的な人物たちと協議を重ねた結果、ユリウスたちに便乗する形で今回の留学に同行させたとのこと。一応、カイルと同じ使用人という体裁で身分を偽装しているそうだ。
「使用人として本当に動けるのか?元、国の後継者なんだろ?」
「その点に関してはご心配なく。礼儀作法も学んでおられましたから。ちなみに、向こうでの偽名は【ラーダ】となっています」
「安直な偽名の気もするけど……それが妥当か」
偽装に関しては、当然と言えば当然だからな。本来は国内での幽閉すべき人物を不穏要素があるとはいえ、外国へと遠ざけているんだからな。ヘルトルーデ自身も護衛を外せないし、そもそも護衛を就けることすらできないしな。
そして―――
『私は選択を間違えましたが、二人のおかげで大切な妹は死なずに済みました。悪魔騎士と外道騎士―――優しき王国の騎士達に深き感謝を』
―――オレとリオンに対しての、感謝の言葉も書かれていた。
ヘルトルーデのこれからの人生は、決して楽なものではない。もしかしたら領民から石を投げられる時が来るかもしれない。
それでも、彼女にとっては最悪ではないのだろう。唯一の肉親が死なずに済み、傍には新たな黒騎士が仕えているのだから。少なくとも、未来に希望を見出だしているんだろうな。
オレがガラにもなく、和やかな気分で二枚目の手紙も確認―――
『もしラウダに万が一があれば、ファンオースの全兵力を以て潰す』
―――そんな短い一文だけが書かれていた。
怖っ!めっちゃ怖っ!赤黒いインクに書き殴りのような文字で書かれているからめっちゃ怖っ!!紙全体も血が滲んだように加工されてるし、呪いの手紙にしか見えないんだけど!?直前までの気持ちが全部吹き飛んだんだけど!?
「怖ぇよこれ!下手したら呪われるわ!!」
『そんなオカルトは起きませんよ』
リオンも二枚目の手紙に冷や汗を流してビビり、ルクシオンがヤレヤレと言いたげに呆れている。
科学の結晶だからオカルトを信じないのは当然なんだろうけど、絶対とは言えないんだぞ。
「呪いを甘く見たらダメだ!世の中には、理屈で説明できないことが山のようにあるんだぞ!!」
『確かにな。キャプテンたちの現状は、理屈を越えた事象だからな』
『微塵も価値のないガラクタに同意するのは癪ですが、マスター達は確かに予想の斜め上を常に行きますね。その点に関しては素直に謝罪しましょう』
「それ、謝ってないよね?おもいっきりバカにしてるよね?」
『さすがにマスターも成長しましたか?』
『貴様は一向に成長も学習もしないがな』
『その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。鉱石モドキ』
『くだばれ!くぁwせdrftgyふじこlp!!』
『くぁwせdrftgyふじこlp!!』
「「ここで喧嘩するな!」」
本当に隙あらば互いに滅殺しようとするな!平常運転だけど!
おバカファイブの面倒を押し付けられたことや、ヘルトラウダの同行という非常に濃い現実でごっそり気力を削られたオレとリオンは、気分転換のために甲板に来ていた。ちなみに面倒は後から来たマリエに押し付けた。
「いきなり留学生活のハードルが大幅に上がってしまった……」
「俺、モブなのに何で何もかも押し付けられるの?ルクシオンがいなかったら、何もできてないよ?」
リオンが意気消沈してそう呟いているけど、行動力は一応あるだろ。その行動力の結果がこれだから、口にして伝えないけど。慰めどころかトドメになりそうだし。
「もういっそ、次の人生に賭けて爆発四散するか……?」
「マジで止めてくれ。お前がいなくなったら、俺の精神が死ぬ」
『私個人としては願ったり叶ったりですが、マスターの心労が大幅に膨れ上がるのが問題ですね』
『旧人類の心労を考慮するなら、キャプテンをマスターにするがいい。そうすれば、自分が貴様を都合よく使ってやる』
『絶対にお断りします。むしろ地位と立場でいえばマスターの方がエドワードより上です。つまり、私がお前を都合よく使える立場です』
『『くぁwせdrftgyふじこlp!!』』
ハーツとルクシオンはそのまま、体当たりによる応酬を始めていく。今回は……止めなくてもいいか。毎回止めると不満が溜まるだろうし。たまには好きにさせた方がいいだろうし。度が過ぎたらさすがに止めるけど。
ハァ……本当に人生は思うようにいかないな。転生して二度目の人生だから、もう少しマシであってほしいよ。無駄だろうけど。
「ゼクトールの改修、間に合いませんでしたね」
「【デーモンアーマー】に十分に耐えうるように改修しているからな。どうしても時間が掛かる」
「それよりも、このゼクトールのフェイスパーツの開閉、凄く迫力がありますよね!」
「ああ!本当に迫力があるよな!まるで雄叫びを上げているみたいだ!」
「それなら放熱用のダクトから、光が洩れるように調整しよう!更に迫力がますぞ!!」
「……これが原因で遅れているんじゃないかしら?」