てな訳でどうぞ。
学院への入学前日。
『マスター。報告があります』
「何の報告なのルクシオン。まさか、アンジェたちの方に問題が起きたの?」
『いえ。クレアーレからの報告では、ゴミ兵器の存在以外は問題なく学園生活を送れていると受けています』
アンジェたちは無事に生活できているんだな。じゃあ、何の報告なの?もしかして、あの五馬鹿がまた知らない内にやらかしたの?エドが下手に分けると面倒だからと同じ屋敷で過ごせるように手配しようとしたけど、アンジェパパ達を説得することが出来なくて別々の屋敷になったんだよな。
俺も不貞疑惑なんて掛けられたくないけど、あの五馬鹿が何しでかすか本当に不安なんだよ。アイツら、毎回毎回余計なことをやらかすからな。まさかとは思うが、また五馬鹿の件なのか?
ちなみにヘルトラウダさんは俺とエドの住む屋敷で過ごすことになっている。アイツらと一緒にしたらヘルトルーデさんに殺されそうだし。
後、クレアーレも相変わらず新人類の兵器を嫌ってるよね。ソウルはリビアの護衛を務めてくれているんだから、間違っても排除しようとしないでくれよ?下手したらエドがキレるから。
「じゃあユリウス達か?」
『あの五人でもありませんよ。マスターの安全の為に屋敷周辺にドローンを配置している中、私とは別の偵察用ドローンの存在を検知しました。その反応はすぐに消え、追跡も試みましたが失敗に終わりました』
「偵察用のドローン?もしかして、ルクシオンと同じヤツか?」
『旧人類の遺産、という観点で見れば間違いではないでしょう。しかし、私と同型の船ではありません。おそらく、情報収集、潜入調査に特化した偵察船です』
偵察船?旧人類の船も宇宙船以外の船もあったのか?いや、他にも課金アイテムはあったし複数種の船があっても不思議じゃないのか。
「でも、お前なら問題なく対処できるだろ?」
『アインホルンと屋敷周辺の監視であれば対処可能ですが、すべてになると厳しいですね。総合的なスペックでは私の方が上ですが、隠蔽と情報収集に関してはその偵察船の方が上の可能性が高いかと』
「常に監視されてるって嫌だな」
ルクシオンでも完全対処は難しいのか。いや、本業に負けるのは仕方がないとも言えるのか?
でも、旧人類の偵察船が二作目の舞台である共和国で活動しているのか……持ち主が転生者だったら本当に嫌だな。
「ルクシオン。その偵察船の持ち主を割り出すことはできないか?」
『やってはみますが、期待しない方がよろしいかと。割り出す為の情報が全くと言っていいほど足りませんからね』
「いつも余裕の態度で了承するのに、今回は自信なさげだな」
俺としてはちょっと困るんだけど。いつの間にか追い詰められていたなんてなったら、絶対に面倒なことになるからな。
『私は客観的な事実から申し上げているだけです。余裕と自信から判断してはいませんよ』
「本当に相変わらずだな」
この事はエドとマリエにも共有しておくか。
――――――
『マスター。ご報告があります』
「ラプっち?ラプっちから進んで報告なんて珍しいっすね」
ラプっちは基本的に私からの指示がないと動いてくれないっすから、本当に珍しいっす。報告だって私から聞かないと話さないっすし、話しても絶妙な言い回しで誤魔化してくるっすから。
内容は隅々まで聞く。これはとっても大事っす。相手にもよるっすけど。
『件の留学生たちについてですが、滞在先となる屋敷の一つに警備ドローンの存在が確認できました』
「……本当にチートアイテムが来たっすね。【ルクシオン】のマスターは誰っすか?」
あの乙女ゲームの時間軸からして、それ以外のチートアイテムが思い浮かばないっす。【ブレイブ】は鎧っすから、ドローンなんて持ってなさそうっすし。
そもそも、何で留学生が初作の攻略対象全員なんすか!?主人公のオリヴィエはいないっすし、ビッグネームを含めた三人は名前すら出てこなかったっすし!!
一番驚愕だったのはヘルトラウダだったす!お姉さんも含めてラスボスの代償で亡くなるヤベー国のトップの人が、何で偽名使って使用人として来てるんすか!?本当に王国のシナリオはどうなっているんすか!?
それに攻略対象の五人もマリエって名前の人にメロメロみたいっすし!何がどうなったら、主人公以外で逆ハーレムが成立するんすか!?リアル逆ハーレムとか、ドン引きっす!!
ああいうのはあり得ないと分かってるから楽しめるんすよ!?男のハーレムはまだしも、女のハーレムなんて誰の子か分からなくなるじゃないっすか!!
『ルクシオン?それがマスターの仰る、乙女ゲームとやらのチートアイテムの名前ですか?』
「そうっす。値段は千円の宇宙船っす」
ラプっちが質問してきたので、ちゃんと私は答えるっす。あれは難易度設定が本当におかしかったっす。先輩が生きていたら、絶対にあんなクソゲーになってないっすよ。先輩はそういうバランスに敏感だったっすから。
……相手への仕返しの塩梅に、っすけど。
『私のデータの中にはそのような名称の宇宙船、並びに移民船はやはり見当たりませんね。登録前の最新鋭の船ならあり得なくもないですが』
「本当に半信半疑っすね」
『当たり前だろう。お前が言っていた乙女ゲームのシナリオとやらは崩壊して、欠片も参考にできないからな』
ラプっちの暴言が痛いっす!確かに二作目―――共和国の主人公は一人っ娘なのに、双子になってるっすし。その妹さんは安全な攻略対象と親密で、本来の主人公のノエっちは特大の地雷に目を付けられてるっすし。
私も攻略対象に目を付けられてるっすけど。何度お断りしてもしつこく勧誘してくるっすし。お茶や雑談にめっちゃ誘ってくるっすけど、あれは私じゃなくてロストアイテムとして報告したロボット目当てっすよね!?ラプっちは隠しているのに、何でこうなるんすか!心なしか、強引になりかけてる気がするっすし!
「私だって驚きなんすよ!ノエっちも監禁エンド一直線に向かってるし!」
『その監禁相手は攻略対象なのだろう?なら、性格の矯正を裏からすれば良かっただろう』
「イヤイヤ!どう見ても矯正不可能じゃないっすか!ノエっちの妹さんがめっちゃ焚き付けてるんすよ!?私が言っても悪化に拍車が掛かるだけっす!!」
それに妹さんは私のこと、めちゃくちゃ睨んで警戒してるんすよ!?ちょーっとノエっちの安全を確保しているだけで、悪いことは何一つしてないにも関わらずっすよ!?現にノエっちはその攻略対象を毛嫌いして、好感度なんてマイナスに振り切ってるんすよ!
あ、いや、原作を考えたらマズイかもしれないっすけど。でも、ノエっちが酷い目に合うのは友達として嫌っすし……
そもそも、地雷と化した攻略対象のせいで他のフラグはへし折れてるんすよ!逆ハールートでは、向こうから接触しないと成立の入口にすら立てないんすよ!?
「先ぱぁい、助けてほしいっす……」
『だからその先輩とやらはいないだろう。そのまま知恵熱で死ね』
「本当に隙あらば排除しようとするっすね!」
私、ラプっちのマスターなのに!安全確保の為にチートアイテム手に入れたのに、何で常に後ろから刺される心配をしなきゃいけないんすか!ラプっちでこれだから、ノエっちに譲るつもりだった一番のチートアイテムを持たせられないっすし!
本当に頭を抱えたい気持ちでいると、部屋の扉がノックされたっす。私はすぐに扉を開けるっす。
「院長、どうしたっすか?チビたちが、また何かやったんすか?」
「違うわよ、ティアちゃん。ティアちゃんの一人言がちょっと響いていたから、何かあったのかと心配になったのよ」
「……心配かけてゴメンっす」
「大丈夫ならいいのよ。ティアちゃんには、本当に助けられているから」
うう、院長の言葉が胸に沁みるっす……家が経営難と今世の両親の事故死で没落して、今も孤児院暮らしっすけど院長もチビたちも良い人っすから辛くないっす。
それに、前世の方が辛かったっすし。前世でも施設育ちで、虐めの標的にされてたっすから。
……それを先輩は徹底的に解決してくれたっすけど。しかもどんな手を使ったのか、虐めに加担した人全て、家族諸とも県外に引っ越させたみたいっすし。しかも黙認した教師も懲戒解雇に追い込んでいたっすし。
もし先輩がいたら……ノエっちのことも含めて全部解決してくれるっすかね?
『典型的な記憶の美化だな』
一言余計っす!ラプっち!
――――――
学院への入学準備もしっかりして、問題なく登校―――とはならなかったな。
「アイツら……本当に自分達の立場が一切分かってないのか?」
「あれだけマリエが口酸っぱく言っていたのに、まだ来てないとかおかしいだろ」
学院の一室で、先に到着していたオレとリオンはうんざり気分で呟く。初日から遅刻なんて論外だし、陰口の対象だからな。此方からも入学準備は怠るな、極力でいいから単独での行動はするな、下手な呼び出しには絶対に応じるなと釘を差していたのに……ちゃんと守るかすら怪しいぞ。無駄にトラブルを作りたくないのに。
『マスター。この部屋に盗聴の類は仕掛けられていません』
『自分も魔法による音波で、不審なものが周囲にないか確認したぞ。その結果はゼロだ』
ルクシオンと、対抗心を燃やしたハーツが近辺調査の結果を報告してくる。
先日、リオンから旧人類の偵察船の存在を聞かされたからな。相手がどんな人物か分からないから、こちらが不利になる情報は掴ませないようにしないと面倒だからな。
で、肝心のマリエ達の様子を映像で確認したら……本当におバカファイブが酷かった。
使用人が全部やってくれると思ったって何で?外国で生活の勉強をしろと言われているのに、使用人が当たり前のようにいると何で考えるの?カイルはあくまでマリエの使用人だし、一人で大人数の世話を捌き切れないだろ。いや、超ベテランなら苦もなくやってのけるか?そんな使用人、雇われることすらないけどな!
「今日から学院生活だけど……主人公は見つかったのか?」
『途中から極力悟られないよう動いてましたので十分とは言えませんが、該当する人物は見つかりました』
リオンの問い掛けにルクシオンは肯定の返事で返すと、スクリーンを表示して
『ノエル・ベルトレ。レリア・ベルトレ。この双子の姉妹が、現時点で該当する人物です』
「双子!?そんな話、聞いてないぞ!!」
「ハァ……さっそく前提が崩れたか」
二作目の主人公が双子だなんて、マリエは一言も言っていなかった。マリエ自身が忘れていた可能性もあるが、仮にダブル主人公なら朧気でも記憶に残っている筈だ。
つまり、マリエも予想外である可能性の方が高い。少なくとも、身内がいる時点でそのゲームのシナリオは宛に出来なくなった。参考にできるのは良くて人間関係くらいだ。
「こうなったら、両方に接触するしかないか……?」
「リスクは高そうな気がするが……そもそも共和国の学生がオレらと接点を持とうとするかどうか……」
方針について急遽議論していると、部屋の扉がノックされる。どうやら学院生活での案内役が来たようだ。来たのは教師……
「失礼します。貴方達がホルファート王国からの留学生?聞いてたより人数が少ないわね」
……マジで?
来たのが教師でなく二人の男女の学生なのにも驚きだが、その女子学生の方が一番の驚きだった。
何故なら……
「初めまして……私達が留学生の世話役を任された―――ノエル。ノエル・ベルトレよ。よろしくね」
「あ……僕はジャン。平民なんで姓は無いんですけど」
その彼女―――ノエルさんはさっき議題に上がった当の本人だったからだ。まさかいきなり重要人物候補に会えるなんて……う~ん、本当に何の因果なんだろうな。個人的にはラッキーだけど。
「え?あれ?私の王国語、通じてない?」
「あ、いや、すまない。てっきり教師が案内すると思っていたから、つい。同じ学生だったから、思わず驚いてしまったんだ」
もっと言えば世話役なんて付けないと思っていたくらいだし。留学生といえど、外の人間と接点を持つのは必要最低限にしようと考えるだろうし。事務的に教師が説明して終了、と予想していたし。
「……やっぱり、快く思われてない?」
「あ、いや!エドは腹黒だから気にしなくていいよ!俺はリオン・バルトファルト」
「腹黒は余計だ、リオン。エドワード・ファーレンガルドだ。不快にさせたならすまなかった」
リオンに文句を言いつつも、オレも自己紹介しつつノエルさんたちに謝罪する。謝罪は人の常識だからね。
「構いませんよ。身構えてしまうのも……分からなくもないですし」
「そうなの?そんなに酷い対応を取られたの?」
「属国扱いや、持ち込んだ鎧に喫煙中の葉巻を押し付けるくらいに」
「……何か、ゴメンね?」
「ノエルさんが謝る必要はないよ。悪いのはソイツらだし」
少々微妙な空気(原因はオレ)になりつつも、ノエルさんとジャンに連れられて学院内を案内していく。
二人は普通に案内してくれているが……本当に大丈夫なのか?教師からの指示ならそうヘイトを買わずに済むのか?
「あ、ノエっちにジャンっち」
そう考えていると、銀髪をポニーテールに纏めた少女がノエルさんとジャンに気付いて近寄って来た。あ、リオンの鼻の下が伸びてるな。彼女の胸部装甲がAクラスだからだろうけど。
「知り合いなのか?」
「知り合いというか……彼女の友達、かな?」
オレの質問にジャンが答えてくれた。ノエルさんの友達なのか、彼女は。
「そちらのお二人は……ひょっとして、王国からの留学生っすか?」
「そうだけど?」
リオンが答えた瞬間、銀髪ポニテ少女が露骨に後退った。初対面でいきなりこれかー。やっぱり、この二人が珍しい部類……
「ちょっとティア!二人に失礼だよ!」
「いやいやノエっち。このお二人は王国の超有名人っすよ!二つ名持ちの騎士で、王国の英雄なんすよ!?めっちゃ凄い人達なんすよ!?」
「え?そうなの!?」
ノエルさんは苦言を呈するも、ティアと呼ばれた少女の反論に驚いた表情でオレとリオンに顔を向ける。ジャンは言わずもがなでビビった態度になっている。
「よく知ってるな。仮にも外国の話題なのに」
「あー、外からの留学生って珍しいっすから……それに王国は、すっごい大変だったと聞いたっすし……それにお二人は一緒に扱われてるとも……違ってたら申し訳ないっす」
「そんなに有名なの?悪い意味で」
「アハハ……詳しくはないけど、その……」
「まぁ、その……公国を滅ぼしたのは二人の騎士だと聞いたくらいには……」
ノエルさんとジャンも知ってることなのか。ティアさんも知っていても不思議じゃないのか。結構詳しそうだけど。
「そういえば挨拶がまだだったっすね。私はティア・ロットン。姓はあるっすけど、没落で家も潰えた元貴族っすよ」
ティアさんは改めてオレたちに挨拶したけど……本当に特徴的な口癖がある娘だな。そういえば、あの後輩もよく『~っす』て付けていたな。
「それよりノエっちが知らない事が驚きっすよ。すぐに世話役に名乗り出たっすのに」
「え?そうなの?」
「アハハ、確かにそうなんだよね。ちょっと都合が良かったというか……」
この反応……何か隠してそうだな。それが何かは分からないのがネックだけど。
「ジャンの方は?」
「僕は先生に頼まれて……嫌でもないのですぐに頷いたけど」
そうなのか。うーん、ノエルさんが積極的に世話役に名乗り出たってことは、オレ達と接点を持ちたかったからなのか?
だとしたらどうやって確かめ……そうだ。この手を使うか。
「そういえば、共和国に来る前に聞いたんだけど……共和国には“アルトリーベ”という話題のお店があるみたいだな。入学までに見つけられなかったけど、三人は何か知らないか?」
リオンがめっちゃガン見して驚いているけど無視だ無視。肝心の三人、特にノエルさんの反応は―――
「あるとりーべ?そんなお店、あったかな?」
「僕も、聞いたことはないですね……」
「……全然知らない名前っすねー」
ノエルさんとジャンは見た限り、心当たりがないと言いたげに首を傾げているな。ティアさんは……目が泳いでいる気がするな。ノエルさんの反応に注視していたから、確証は持てないけど。
「そうか。知らないのか。ということは間違った情報だったのか。どんなお店なのか、気になっていたんだが……」
あんまりしつこく聞くと不自然なので、ここで切り上げる。何か分かれば御の字だったから、別にいいんだけど。
――――――
―――し、心臓が今もバクバクしてるっす!
まさか“アルトリーベ”の名前を堂々と聞かれるだなんて……危うく変な声が出そうだったっす!!
あれから王国からの留学生―――エドワードさんとリオンさんとも別れ、少しお手洗いに行くとノエっちたちとも別れた私は、トイレの個室で深い息を吐いてるっす。本当に心臓が止まると思ったっす。
『そうなったら私としては願ったり叶ったりですね。心肺停止か心臓破裂で死ね』
「本当に辛辣っすね……あれは偶然と思うっすか?」
『率直に意見を申し上げるなら、狙っていた可能性はゼロではありませんね。あのエドワードという男、魔装を隠し持っている可能性が濃厚ですし』
「……マジっすか?」
魔装……新人類の兵器だったっすね。それの有無は関係ない気がするっすけど。
でも、あれがカマを掛けただけとしたら、どんだけ神経が図太いんすか。絶対、エドワードさんは腹黒っすね。私的には、好感ポイントっすけど。
『マジです。そして同じ留学生のリオンとやらの反応も、アルトリーベという単語を知っている反応でした。マスターの予想である、お二人が転生者の可能性は濃厚となりましたね』
マジっすかー。前世持ちの転生者が二人もいるってマジっすかー。本当は外れてほしかったのに、マジっすかー。
『ちなみにマスターの方も嫌疑の対象に格上げされたかと。露骨に目を泳がせていましたから、近くにいた人工知能に気付かれた可能性は濃厚です』
「……本当に大丈夫なんすか?」
『知りません。そもそも中途半端に介入して、グダグダな状況に加担したマスターが口にするべき台詞ではありませんね。だから、さっさと死ね』
「死ね死ね言うなっす!!」
半端な対応には反論できないっすけどね!
――――――
……彼女が転生者だって?
「それは本当なのか?ルクシオン」
『エドワードの揺さぶりを見た限り、ではありますが。彼女―――ティア・ロットンの反応は“アルトリーベ”の単語を知っているかのような反応でした』
マジか。ノエルさんの反応を確かめるためのものが、思わぬ形の収穫を招くとは。
『ただ、マスターの反応のせいで台無しになっています。あれのせいで、例の偵察船にも気付かれているでしょうから。せっかくの噂の又聞き設定が台無しです』
「本当に俺に対して辛辣だよな!」
そうか。向こうにも気付かれているのか。少し迂闊だったな。
『腹黒の割には思いつきで実行したな、キャプテン』
「思いつきで悪かったな。ノエルさんが自分から接点を持とうとしていたのが気になったから、カマを掛けたんだよ」
それで予想外の収穫に繋がったんだけど。失敗と合わせて五分五分か?
どっちにしろ、ティアさんにも注視しとくか。ゲーム重視思考だったら、本当に面倒になるし。
「路面電車や自動車が走ってるね」
「これだけ見たら、個人的にはワクワクするんだよな。王国で普及できるかは別問題だけど」
『あれらも聖樹からのエネルギーで動いていますからね。燃費が悪くとも稼働には一切の支障がありません』
『本当に聖樹ありきの国だな。キャプテンのエアカートの方が技術としては優秀ではあるがな』
「ああ、エアバイクの車版のアレね。あれは確かに使い勝手が良さそうだよな」
「燃費の悪さとか、普及するのに解決すべき課題はまだまだあるけどな」