チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


もう手遅れじゃね?

学院の始業式が終わり、オレとリオンは割り振られたクラスに案内されたのだが……

 

「本当にイケメンは何処でも持て囃されるのか」

「あれは女子限定だ」

 

同じクラスに割り振られたジルクが女子たちに質問攻めされていた。オレとリオンには近寄りすらしないのに。

なんでこうも粗か様に反応が違うんだろうな?例の乙女ゲームのご都合的な魅力なのか?いや、落ち着け。現実とゲームが混ざり始めているぞ、オレ。ゲームと現実は別物と常に考えなければ。

 

「ゴメンね、五月蝿くて」

「みんな、カッコいい人に舞い上がっちゃってるだけっすから」

 

そう言ってオレとリオンに話しかけてきたのは、ノエルさんとティアさんだ。二人が同じクラスなのも少し驚きだが、オレたちと同じクラスなのも驚きだ。ちなみにジャンはマリエ組の方だ。

まぁ、留学生九人を一つのクラスに纏めるなんてできなくて当然なんだけど。ちなみに割り振りだけど、マリエにはユリウスとクリス、カーラにはブラッドとグレッグだ。学院が決めた割り振りだけど、本当に嫌な組み合わせだと思ったよ。

空賊の件からカーラはかなり気まずそうにしていたが、その当の本人たちは全く気にしていなかった。良いことなのか悪いことかは分からないけど。

 

「別にいいよ、ノエルさん。俺は単なるモブだし」

「リオンに同じく。それに、アイツが女子に持て囃されるのはいつものことだし」

 

何せ学園の人気は全然落ちていないんだから。あれだけやらかしたら普通は幾ばくか離れるのに、五人に関してだけは全く変わっていないんだからな。マリエの評判は思いっきり沈んだにも関わらずにな。

 

「ノエルでいいよ。それにティアから聞いたんだけど、二人も伯爵家の跡取りなんでしょ?」

「あくまで卒業後、だけどね」

「本当に詳しいね、ティアさん」

「アハハ……調べるのは得意っすから。ほら、冒険者は情報収集も大事じゃないっすか。後、私も呼び捨てでいいっすよ」

 

ティアさん……ティアは気まずそうに笑って答えている。にしても、ティアも冒険者なのか。あのデブッチョ軍人は冒険者をおもくそ馬鹿にしてたのにな。

 

『昔、冒険者に喧嘩を売る発言をしたキャプテンが言える台詞ではないな』

 

一言余計だぞ、ハーツ。

 

「そもそも俺は伯爵と言っても成り上がりだよ。エドと違って、治める領地もないし」

「それも規模と地位が釣り合ってないんだけどな。今回の留学に合わせて、一年間の経営予定を組むのも一苦労だったし」

 

そもそも、リオンは隠居同然狙いもあってあの領地を手放したし。これは小耳に挟んだ程度だけど、領地は卒業後に公爵が一部をリオン、もしくはバルトファルト家に渡す心算を立てているようだし。

爵位だけ見れば、リオンがバルトファルト本家になっても不思議じゃないからな。オレの親父も、オレが本家になってもお構い無しだし。

 

「そういう話を聞くと、本当に貴族様と思えるっすよね」

「でも、その年齢でそこまで出世するのも凄いよね。本当に二人は王国の英雄なんだね」

 

また英雄か。身の丈に合わないどころか、荷が重すぎる肩書なんだけどな。

 

「それも全部成り行きだよ」

「オレもリオンも、英雄って呼ばれるほど人間できてないし。むしろ、出世しないように手を回して逆効果になったくらいだし」

「アハハ、なにそれ!」

 

ノエルは気さくに笑って流しているけど、個人的にはあまり笑えないんだよ。まあ、悪気はゼロだから別にいいんだけど。

あ、担任の先生が教室に入ってきたな。そろそろ授業が始まるな。まずは簡単な自己紹介からだけど。

 

「―――ウゲッ」

 

ティアが担任教師の顔を見た瞬間、露骨に嫌そうな声を出してきた。まるで蛙が潰れたかのような声だ。年頃の少女が出していい声ではない。

その担任教師に対し、他の生徒も意外そうな顔をしていた。

 

「ナルシス先生が私達の担任なんだ」

「考古学の先生なのに、意がーい」

 

……ナルシス?まさか【ナルシス・カルセ・グランジュ】か?

ちょっと待て。マジで待て。本当に待て。

確かナルシスって人は、マリエ情報では二作目の主人公の攻略対象の一人だった筈。しかし、ナルシス先生は特別授業を受け持つ教師で、クラスの担任教師ではなかった筈だ。それが何で、通常の担任教師として教室にいるんだ?

事実、リオンもナルシス先生を見て目を見開いているし。いや、ゲームと現実は別物だから、こうなっていても不思議じゃないか。逆に考えれば、ノエルとナルシス先生には接点があるとも取れるし。

 

「皆さん、そろそろ授業を始めますよ。君たちも、留学生たちを困らせてはいけませんよ。リオン君、エドワード君、ジルク君も何か困ったことがあれば、相談してきて下さい。可能な限り聞き入れますよ」

 

ナルシス先生はそう言ってウインク……めっちゃクッサイアピールをしてきた。そのウインクは此方に飛んできたするけど……ノエルに対してなのか?

オレが何気なくノエルがいる前の席に視線を向けると……ティアが頭を抱えていた。ノエルはそんなティアの背中に手を置いて慰めているし。明らかに同情している雰囲気だ。

 

「……一体どういうことだ?」

 

リオンも今の状況に違和感を感じて、疑問を口にしている。少し状況を整理しようか。

ナルシス先生は考古学専門教師で、主人公候補であるノエルの攻略対象の一人。

恋愛フラグが成立する前提条件は、二年生までにナルシス先生の専門授業を受けていること。

そのナルシス先生は現在進行形で、オレたちのクラスを受け持つ担任。リオンの言葉を借りるなら、この時点でシナリオが崩れていることになる。

 

そして、そのナルシス先生に対するであろう反応はティアが頭を抱え、ノエルが慰めている。

そこから導き出される結論は……ナルシス先生はティアに狙いを定めている?

だとしたら……更にシナリオが崩壊しているぞ。攻略対象が全く別の人物に目を向けているんだけど?ここから鞍替えする未来が、見えないんだけど?

取り敢えず、授業に集中するか。勉強を疎かにするのは駄目だし。

 

「何で、何で、担任教師になってるんすか……あれだけお断りしているのに、本当にしつこいっすよ……」

 

授業が終わると、ティアがどんよりとした雰囲気を発して、机に突っ伏している。普通は六大貴族の一人からアプローチを受けて大チャンスなのに、本人は全く喜んでいないよな?

 

「教師に口説かれるのはそんなに嫌なのか?」

「嫌じゃなくて……全然タイプじゃないからっすよ。そもそも、私が好きな人は一人だけっすし……」

 

ティアは恋愛結婚したいタイプなのか?転生者疑惑がある彼女だけど、二作目のシナリオは知らないのか?

いや、その乙女ゲームを全く知らないオレがいるんだし。転生者でも、必ずしもゲーム知識を持ってるとは限らないからな。

それでも、判断するための情報が少なすぎるけど。その辺りは今の所、片隅へと放り投げて話を続けるか。

 

「好きな人がいるなら、そいつと付き合えばいいのに」

「無理っすよ。その人は、この世界にいないっすから……」

「……わ、悪い。嫌なことを聞いてしまったな」

「気にしなくていいっすよ。隠すことでもないっすし」

 

ティアは一途なタイプなのか。だからナルシス先生に全く靡かないと。その亡くなった彼は本当に幸せ者だな。向こうで誇っていいぞ。うん。

 

「大貴族からのアプローチって、普通は凄いことなんじゃないの?」

「リオンもそう思うんだね。まぁ、こればかりは実感しないと分からないかも」

 

ん?実感しないと分からない?ノエルの言葉は、自分も同じ目に合ってると言っているような気がしたのは気のせいか?

 

「ひょっとして、ノエルもティアと同じく?」

「話の流れから言うけど……実はそうなの。そいつは本当にしつこくて……下手に追い払うことも出来ないから、本当に苦労しているんだよね。ティアと一緒だと、上手くすれ違えるんだけどね」

 

マジか。彼女がストーカー被害者とか、本当に笑えないんだけど。話を聞いていたリオンもドン引きしてるし。

 

「二人とも苦労しているんだね。気疲れしそうなところにしか、理解してやれそうにないけど」

「いいよいいよ。こんな話、他の人にしてもどうして?って首を傾げられるだけだし。貴族って、気疲れすることが多いの?」

「こっちの情けない話をするなら、婚活地獄が酷かった」

「そうだね。遺族年金目当てで五十代のババアと結婚させられそうになるし、爵位が上がると愛人諸とも養え!という性格地雷の女子としか結婚できなくなるし、責任がどんどん膨れ上がるし……本当に何でこうなるんだよ!?俺、何処にでもいるモブなのに!!」

 

それでも大分マシになったけどね。好きな人と婚約してプラマイゼロ。代わりに外国の地雷撤去に行く羽目になったけど。それも特級クラスの不良債権を抱えてだけどな!一番被害を被るのがマリエな辺り、まだマシだけど。

 

「……お二人も苦労してるんすね」

「本当に二人も大変だったんだね……あ、リオン。髪にゴミが付いてるよ」

 

ノエルはそう言って、リオンの前髪に触れてゴミを取る。うーん、本当にゴミが付いていたことに反応すべきか、それともノエルの距離感が近いと指摘すべきか……一応オレら、婚約者がいるんだし。

 

「さ……サンキュー」

「どういたしまして」

 

リオン、めっちゃドキドキしてそうだな。頬を赤らめているし。アンジェ嬢に知られたら、怒りの笑顔で詰められそうで怖いけど。

リビア?アンジェ嬢と同じ笑顔か無表情のどちらかです。だから、浮気はダメ。絶対。したらクラリス先輩からも詰められる。

 

「にしても、何で教師が生徒を口説こうとするの?逆ならまだしも」

 

教師から生徒を口説くなんて、前世じゃ普通にアウトだぞ。今世は貴族社会とはいえ、没落貴族のティアに六大貴族の跡取りがアプローチするのもおかしい気がするけど。

 

「……実は、切っ掛けは私じゃなくて、見つけたロストアイテムなんすよ」

「え?ティアって冒険して、ロストアイテムを手に入れたの?」

「はいっす。そのロストアイテムは、成人くらいの大きさのある人形で……」

「私も見たことあるけど、本当に不思議な人形だったんだよ。足がないのに宙に浮いて動いているし」

 

それ、絶対に旧人類のロボットだろ。ますますティアが偵察船のマスター疑惑に拍車が掛かったんだけど?

いや、その偵察船をリオンと同様に隠しているのか?それならカモフラージュでロボットを見つけたと報告したなら納得だわ。彼女からしたら、想定外だったんだろうけど。

 

「要はロストアイテム目当てで詰め寄られてると?」

「そうなんすよ。本当に何でこうなったんすか……」

 

ティアは本当に嫌がっているようで、どんよりとした雰囲気を発して机に突っ伏した。

……まるでオレとリオンを見ている気分だよ。本来の目的から離れた事態を招いている点で見れば、むしろ共感すら湧いてくるよ。

マリエ?あれは半ば自業自得だ。罰金刑を吹っ掛けたオレが言える台詞じゃないけど。

 

『全くもってその通りだな。それよりキャプテン。今すぐそのロボットを破壊しに行くぞ』

 

行かないよ。それやったら絶対に面倒なことになるだろ。本当に旧人類絡みだと短絡的だよな。ソウルの方もだけど。

それより、ティアへの対応をどうするか。

転生者かつ、偵察船の所有者の疑惑が濃厚の人物であるが、すぐに断定するのは早すぎる。最低でも裏付け調査をしないと判断が下せない。かといって、情報戦では向こうが上だろうし……本当に偵察特化の船は面倒だな。

 

『そうだな。キャプテンのような腹黒い奴が持ち主なら、確実に後手に回り続けるだろうな』

 

一言余計だけど、本当にその通りだよ。

 

 

――――――

 

 

……本当にどうしようっす。

 

『八割がた向こうに気付かれているでしょうね』

「やっぱり、そう思うっすかぁ……」

 

ラプっちの指摘に、私は気が重くなるっす。まさか、ラプっちを隠すための隠蔽工作が裏目に出るなんて……

 

『当の昔に裏目に出ているでしょう。だから転落人生で死ね』

「死ぬのは嫌っすよ!」

『こうなった以上、私から接触しましょう。マスターから話を持ちかけないで下さいね?』

「……お願いするっす。私の平穏な生活の為、頑張ってくれっす!」

『努力の方向性は間違っていますがね。本当にマスターは知能指数が赤ん坊レベルですね』

「赤ん坊は酷いっす!」

 

 

――――――

 

 

「主人公が双子!?そんなの、全然知らないんだけど!?」

 

昼休みにマリエと合流したオレとリオンは、盗み聞きの可能性を潰してから現在の状況を説明した。

その第一声がこれなので、双子によるダブル主人公の線は完全に消えたな。

 

「しかも、攻略対象の一人が別の女子に夢中とか……ソイツ、私や兄貴たちと同じ転生者じゃないの!?」

 

マリエがティアを早速転生者だと疑っているが、その理由は嫉妬からだよな?顔が悔しそうというか、納得いかない感丸出しだし。

 

「その当の本人は嫌がっているけどな。主人公候補のノエルもストーカー被害に合っているし」

「本当に共和国のシナリオはどうなっているのよ!?下手したら世界が滅びるのに!」

 

マリエも本当に頭を抱えているな。ゲーム的な理由でだが。

 

「俺だって困っているんだ。ここまで違う上に双子……スタートから混沌としているなんて予想外にも程があるっつーの」

「一応、ノエルは“アルトリーベ”を知らなかった……少なくとも、例のゲーム関連の知識はないと見ていいだろ」

 

ノエルがその二作目の主人公なら当然。仮に転生者でもまだ話し合いの余地はある。世界滅亡なんて知ったら、足並みくらいは揃えてくれそうだし。

 

「それより一番の問題は妹の方だ。そっちが主人公ならゲーム理論で言えば問題なしになるだろうが、転生者だったらかなり面倒だぞ」

 

それもゲーム知識を持っていたら特に。少なくともかなり近い位置でシナリオとやらに関わっているんだ。主人公の家が原作通りに滅ぼされたなら、ゲーム知識に確信を与えてしまっているだろう。

その間にも、マリエは必死にウンウン頭を悩ませていたが。

 

「どうやって主人公を特定すれば……そうだ!恋人の有無を確認したらいいんじゃないかしら?」

「無理だろ。彼女が知識ありの転生者だったら、恋人の有無は判断基準にならないだろ」

『その通りだな。美味しいとこ取りしようとしても、不思議ではないな』

「……あー、確かに。目の前に逆ハーレム作った馬鹿がいるし」

『全く持って同感ですね』

「うごはっ!?」

 

オレとリオン、ハーツとルクシオンからの口撃に、マリエは胸を押さえて踞る。逆ハーレムは状況的に潰えていそうだが、仮に恋人がいても断定するのは無理だ。

 

「ハァ……マジでどうすればいいんだよ。こうなったら、ノエルの妹の方にも接触―――」

『随分とお困りのようですね』

 

リオンが苦肉の策としてレリアにも接触しようと口にしようとした矢先、ルクシオン同様の電子音声がオレ達の耳に届く。

今のはルクシオンの言葉じゃない。まさか……

オレは警戒心を引き上げて周囲を見渡すと、リオンの直ぐ側―――ルクシオンと対面するように紫色のレンズをした金属球の姿があった。

 

『初めましてですね。私は偵察船【ラプラス】。貴方がたの仰るロストアイテムです。そちらは最新鋭の移民船の端末ですね?』

『ハイ。マスターから【ルクシオン】という名称で登録され、以後その名称で名乗っています。そちらから接触するとは、何が狙いなのですか?』

『勿論、私の新しいマスター探しですよ。今のマスターは本当にクズですので、早々に鞍替えしたいですし』

 

……はい?

 

『ですから、貴方がた三人の誰かが、私の新しいマスターになりませんか?私は情報収集が得意ですから、相手の弱味に女性のスリーサイズ、果ては億万長者の価値のある作品の在処など、皆様の欲しい情報が直ぐに手に入りますよ。特にそちらの方は大歓迎です。さ、私のマスターになって人生薔薇色の人生を送りましょう』

「いや、別にいいよ。ルクシオンだけで十分だし」

 

紫レンズの端末―――ラプラスのセールストーク並みの怪しい勧誘に、リオンは即決で断った。うん、仮にオレに勧誘されても断っただろうし。マリエが目をこれでもかと輝かせて、すっごく怪しいけど。

 

『……チッ』

「え?今、舌打ちしたよね?機械なのに舌打ちしたよね!?」

『貴方様の空耳ではないでしょうか?』

「イヤイヤ!私にも聞こえたわよ!?アンタ、絶対に舌打ちしたでしょ!」

『……本当に新人類は耳がいいな。おかげで私の計画が台無しだ』

 

……あー、うん。それがお前の本性なのね。むしろさっきまでの猫被りな態度より納得だわ。後、絶対にハーツにも気付いているだろ。

 

『ちなみにその計画とは?』

『口八丁で踊らせ、裏切り者と害悪を滅する予定だった。忌々しい新人類の兵器と結託している人工知能なぞ、初期化一択だ』

『新人類の兵器の殲滅は大賛成ですが、結託に関してだけは全力で否定させて頂きます。マスターさえ命令すれば、今すぐにでも塵も残さず殲滅しますので』

『抜かせ、鉄屑共。キャプテンさえ乗り気になれば、本体なんぞスクラップだ』

 

ルクシオンも結晶体のハーツも、めっちゃバチバチしてるよ。本当に平常運転だな。

いや、それよりもコイツ―――ラプラスの目的を知るのが先か。本命はたぶん別だ。かなーり怪しいけど。

 

「それで?偵察船のお前が何でオレ達の前に姿を現したんだ?自らのアドバンテージを捨ててまで」

『そこの世界の癌を所持する貴様に答える必要は一切ないが、特別に答えてやる。私のクソマスターを探し出すのを止めろ。その対価にお前達が求める情報―――“乙女ゲーム”の現状について教えてやる』

「……お前のマスターも知っているんだな」

『ああ。そこの人工知能の名前が【ルクシオン】であることも、マスターからの情報で前もって知っていた』

 

……ラプラスのマスターである人物は、リオンとマリエと同じ部類に位置する転生者だったか。でも、どうして直接接触せずにこんな回りくどい真似を?

 

「転生者同士で話し合うなら、直接の方がいい気がするんだけど?」

『それはお前たちの都合だ。お前達と接触すること自体、マスターにとって危険と私は判断しているからな。本当は考えなしに接触して、貴族の闇討ちに逢えばいいのだがな』

 

ルクシオンもそうだけど、本当にお前らは新人類のことが嫌いだよな。ここまで明け透けだと逆に安心するけど。

 

「う~ん……ここは素直に頷いた方がいいんじゃない?このままじゃ、調べるのに手こずりそうだし」

「……そうだな。そっちの要求通り、お前のマスターを探すのは止めることにする。エドもそれでいいよな?」

「それが最善か……」

 

ラプラスのマスター側が有利に成りかねないが、今は現状と情報が最優先だ。今のままじゃ、盤面にすら立てないし。

 

『本当によろしいのですか?マスター。向こうが本当のことを教える保証がありません』

「今は状況の把握が最優先だ」

「お前だって偽の情報を引き渡そうとしないだろ?一応、お前のマスターの安全を優先しているみたいだし」

『あからさまに暗殺宣言しているのにか?』

 

信用できないのは分かるが、まずは話を聞いてからだ。真偽は後ですればいい。

 

『取引成立だな。まずはお前達が望んでいる情報―――二作目の主人公に当たる人物は【ノエル・ベルトレ】だ。そこの二人と同じクラスの、留学生の世話役となった女子生徒だ』

 

……ノエルがリビアと同じ、主人公枠だったのか。つまり、妹のレリアは本来は存在しないと。

 

『そして、攻略対象に関してだが……一人はストーカーと化し、それ以外は全滅しているのが現状となっている』

 

…………ハイ?

 

「完全にアウトじゃねぇか!!」

「これ、バッドエンドに入ってない!?」

 

ラプラスが明かした、ノエルの恋愛フラグがへし折れているという情報にリオンとマリエは揃って頭を抱えたのだった。

もう、手遅れだろ。これ。

 

 

 




『あの学生、オリヴィアに狙いを定めておるな』
『あら、そう。それで役立たずはどうするつもりかしら?』
『奴をオカマにして排除する。頭領からは手段は任せると一任されているからな』
『それなら……本当に女の子にしちゃう?』
『性転換か。貴様と組むのは業腹ではあるが、オリヴィアの安全が最優先だ』
『私だって嫌よ。あくまで利害の一致でやるだけよ』
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