チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


破滅への引き金

あれからノエルとティアから一通り、ワンコのノエルのお世話について教えてもらい、ピエールとロイクの件から早々に二人には屋敷を後にしてもらった。長居するとまた面倒なことになりかねないし。

ノエルは少し名残惜しそうにしてたけど、ティアがこちらの意図を汲んでノエルを説得してくれたので、すんなりと引き下がってくれた。

それにしても……ワンコのノエルは結構歳を取っていたんだな。ルクシオンが生体スキャンしたら、かなりの老体で寿命も近いみたいだし。ジャンは本当に、ワンコのノエルを大切にしていたんだな。

 

ワンコのノエルの世話が一通り終わった後、オレはリオンと今後の対応について話し合った。転生者疑惑のあるレリアは、最低でもピエールの件が片付くまでは接触しないことにした。アイツのせいで接触の難易度が大幅に上がってしまったし、六大貴族のエミールと付き合っているとはいえ、揉め事に巻き込まれたくないと考えるのが普通だしな。

その時、場合によってはルクシオンには寝返るフリをしてあちらの情報収集と破壊工作をすることもお願いした。その加減はリオンとルクシオンに任せて。

 

何せ、一番負担が大きいのがリオンとルクシオンだからな。リオンのメリットを大きくしないと、不満だって溜まるし。地獄の内容は今の所はボッタクリがメインだけど、得られた情報次第で変えることも考慮している。地獄を見せる方法は金だけとは限らないからね。

その全容は、マリエ達には敢えて話さないけど。おんぶに抱っこじゃなく、ある程度は率先して動いてもらう必要もあるし。そもそも、腹芸ができるかすら怪しいし。

だから……

 

「ジャンの件があるから、連中の呼び出しには絶対に応じるなよ?あの五人にもしっかり伝えておいてくれ」

「それで嘘の横暴をでっち上げられて、こっちに不利な外交問題になったら大変なことになるし」

 

マリエ経由で釘を差すだけに留めた。そもそもの留学目的が社会勉強だし、横暴への対処も社会勉強になるしな。ちゃんと成果を出したら、締め付けを緩めるようにミレーヌ様に進言するけど。

 

「そ、それは良いんだけど……あんた達から伝えた方が早いんじゃない?」

「俺かエドより、お前が言った方があの五馬鹿は頷くだろ」

「実際、あの五人はお前にピッタリくっついているし」

「そうなんだけどさぁ……将来の跡取りからヒモになっている五人に好かれても、全然嬉しくないわよ……」

 

オレとリオンの指摘に、マリエは納得しながらもどんよりとした雰囲気を放って落ち込む。そりゃ、玉の輿を狙って人生薔薇色どころか、賠償金込みの金食い虫を背負う羽目になったからな。それも五人。

 

「それに……カイルがアンタらのお情けで稼げてる日給も、あの五人は少し目を離した隙に溶かすし……返済にも回せないから、本当に最悪なのよ」

『自業自得ですね』

『自分で招いた結果であろう』

「ソコォ!余計な事は言わなくていいわよ!!」

 

……本当に賠償金のことを忘れてないか?あの五人。まさか、留学中だから大丈夫とでも思っているのか?普通は賠償金を気にしてお金の使い道を気にしないといけないのに、お金のことを一切気にせずに生活しているのか?本当に危機感が無さすぎだろ。

マリエが借金地獄で泣くのは狙い通りだけど……同情が勝ってスッキリしない。リオンの前世の妹というフィルターのせいなのか、意図せずリビアを危険な地雷から遠ざけてくれたからなのか……マリエのやらかしが結果的にプラスに働いたのが、本当に複雑だよ。

 

「どっちにしろ、共和国内での立ち位置は向こうが圧倒的に有利なんだ。どんな手で仕掛けるかも不透明だし、もしそうなったら相応の対応をしないといけなくなる」

 

実際、王子であるユリウスに危害が加わったら国際問題だしな。連中は自分のホームでしか喧嘩を売らないし、攻めても勝ち目がない今の状況じゃ、腸が煮えくり返っても我慢するしかできないからな。実際、ミレーヌ様達も反撃に難色を示していたし。

 

「それと、昨日のいざこざで《紋章》についても多少分かったことがある。あの力……発動すると周囲の魔素を吸い込んでいるみたいだ」

 

これはハーツの見解だけど。あの時の守護神の繋がりを把握する術の応用で周辺の魔力と魔素をサーチしてみたら、あの時の周辺の魔素が、ロイクが発動した法陣にかなりの勢いで吸収されていたそうだ。それが正しい認識かどうかは別みたいだが。

それに加えて自身の能力も底上げされているみたいだし……要はバフとデバフを同時に展開しているようなものだ。それ以外にも何かしらの力がありそうではあるが……どっちにしろ魔法戦においては圧倒的に不利に変わりはない。おそらく、鎧同士でも似たような事象が起こる筈だ。

 

「つまり……あっちは好きなだけ強化された魔法を使い放題ってことか?」

「そんなの、ゲームの設定には……」

「だからゲームをそのまま当て嵌めるな。第一、その力は国内限定だ。条件が同じなら、必然的にリソースの取り合いになるだろ」

 

仮に国外に出ても、聖樹の特性からその力は発揮されないし。外国の人間と戦うイベントがあれば、一方的なワンサイドゲームになるから実質無意味に近い。そもそも留学生が来るイベント自体がなかったそうだし。

 

「とにかく、殴り合いはこっちが不利。策が出来るまでは防御に徹して避け続けるしかない」

「一応、分かったけどさぁ……その揉め事を起こした兄貴達が言っても説得力は無いわよ。後、何で主人公と悪役令嬢が兄貴を奪い合ってんのよ?」

「いや、それは成り行き上というか、行き掛かり上というか……」

 

マリエの指摘にリオンは気まずそうに顔を逸らしているが、ノエルはまだしもルイーゼさんのリオンに対する反応が本当に分からない。ラウルト家について調べれば、何か分かるかな?

後、説得力に関しては無視させてもらう。見捨てる方が大きな面倒ごとになりかねないし。

 

「後、ラウルト家に関しても調べているが……六大貴族のトップであることしか分かっていない。七大貴族……レスピナス家は原因不明の出火で潰えたことになってたしな」

 

学院の図書館で調べた程度だが、表向きは事故ということになっていた。実際は謀略……ラウルト家がバックに付き、ピエールの実家のフェーヴェル家が実行犯なのが、知識を持つマリエからの情報だ。

ついでに言えば、攻略対象の一人であるセルジュはラウルトの養子で実子じゃないとのこと。跡取り問題の解決に他の子を養子として迎え入れて家を継がせるのも不思議じゃないが……ルイーゼさんがいるなら、婿を迎え入れればそれで良い気がするんだけどな。貴族は血の繋がりを良くも悪くも重んじるし。

 

「どっちにしろ調査は続けるしかない。そもそも、押し付け自体が問題でもあるんだしな」

「まぁ……お前ならそう言うよな」

 

オレの言葉にリオンは呆れながらも仕方ないと言いたげに肩を竦める。このままじゃ世界滅亡は勿論、ノエルもロイクに監禁されて不幸まっしぐらだしな。

一応、思い付いた手はなくもないが……その中身がスカスカだから実現可能かも分からないし。後、仮にそれをしたら共和国も黙っていないだろうし。特にこの状況を作り出した妹さんがしゃしゃり出てくるだろうしな。

 

「ハァ……本当に最悪。共和国のシナリオは瓦解同然だし、聖樹の暴走は絶対に止めなきゃ駄目になったし、日々の生活もカツカツだし」

「最後だけ関係ないだろ」

 

マリエの極貧生活は、逆ハーレムを目指した結果だろ。あの五人がリビアに寄生しなかったのは、良かったと思ってるけど。

 

 

――――――

 

 

今日の学院生活も終わり、屋敷で平和に過ごしている。ヘルトラウダもワンコのノエルの世話でポツンと一人寂しく過ごすことがなくなったし、今の所は良好だ。

 

「なぁ~、ノエルちゃん。ノエルちゃんはどう思う?俺のモテ期って本当に凄くない?王国では婚約者……留学先では俺を取り合う女子が二人もいてさ~」

「本当にワンコのノエルにデレデレだな」

「ふーん……伯爵様は学院でモテモテなのですか……そうですか……ふーん……」

 

リオンはワンコのノエルにデレデレで、そんなリオンをヘルトラウダは冷たい視線を向けていたけど。

それにしても、モテモテねぇ……

 

「リオン。そんなだらしない顔で、そんな事を口にしていいのか?アンジェ嬢が知ったら、タダじゃすまないぞ」

「だいじょーぶだって!お前がアンジェに告げ口しなきゃ済む話だし。それに、あくまでモテモテなだけで俺から手を出してないしね」

「そういう問題なのでしょうか……?」

 

リオンは大丈夫だと口にしているが、フラグにしか聞こえないんだが?ヘルトラウダも疑惑の目を向けているし。

 

「それにルクシオンだって、こんな下らないことをアンジェに報告なんてしないだろ?」

『そうですね。善処だけはしておきましょう。マスターを主人と認めたことを後悔していますが』

「どんだけ俺に対して文句があるんだよ?」

『無いと思っているのが実に心外ですね』

 

ルクシオン、完全に不機嫌になってるな。

 

『キャプテンも蚊帳の外ではないぞ。自分も、投擲物の代わりにした事を許していないぞ』

「本当に根深いな。いや、ある意味何時も通りだけど」

 

昔の戦争の関係を今なお引っ張り出しているし。互いに絶対的な敵同士だから、簡単に和解なんてできないだろうけどさ。

 

『和解だと?こんなマイナスしかない鉄屑と和解など、消滅してもあり得ん』

『全くです、エドワード。仮に初期化されたとしても、新人類はその兵器諸とも殲滅の一択です』

「殲滅に関してだけは一致するよな。お前ら」

 

相変わらずバチバチと火花を飛び散らすレベルで対峙し合うハーツとルクシオンにリオンが呆れていると、夜中にも関わらず屋敷の玄関を強く叩く音が響いた。

 

「ん?こんな時間に誰だ?」

「私が見てきます」

 

ヘルトラウダはそう言って、玄関の方へと向かう。少しして玄関が開く音が開き、直ぐにヘルトラウダが戻ってくる。その後ろに、息が絶え絶えのクリスを連れて。

……この時点でイヤーな予感がするんだけど?釘を差してすぐに問題を起こしていそうとか、本当に嫌なんだけど?

 

「バ……バルトファルト……ファーレンガルドも……すまない……!」

 

クリスはリオンに土下座すると同時に謝罪の言葉を口にした。オレとリオンにも飛び火することをやらかしたのか……

いや、予想はしてたけどさ。それがすぐに動くとか、色々な意味で嫌なんだけど?

 

「……今度は何をした?」

「じ、実は……」

 

リオンが顔を若干引き攣らせながら話を促すと、クリスは本当に申し訳なさそうに事の次第を説明した。

結論から言うと……ピエールの野郎が予想通りアインホルンを奪っていきやがった。それも、予想を越える質の悪い方法で。

ピエールはどうやら、ブラッドとグレッグの二人に因縁を付けて一方的にボコボコにしたみたいだ。その経緯は後で二人に聞くことにするけど。

 

それで二人を人質に取られたマリエ達は、二人の解放と引き換えにアインホルンの所有権を賭けた勝負を仕掛けられたそうだ。最初は国際問題を傘にして二人を解放させようとしたみたいだが、ピエールは別に構わないと二人を足蹴にして挑発。仲間意識の強いユリウスはそれで我慢の限界を迎え、ピエールの仕掛けた勝負を受けてしまったそうだ。

で、その時に『聖樹に誓え』とピエールが言い、ユリウスがルールも聞かずに『受けてやる』と返したことで、負けを認めるしかない勝負を受け入れる羽目になったのが一番の問題だった。

 

《聖樹の誓い》―――聖樹が干渉した勝負は絶対となり、破れば無事ではすまないその制約で、マリエたちは身内の殺し合いを強要させられそうになったとのこと。そんな理不尽なルールを課された挙げ句、放棄すれば聖樹からの罰で全員が殺される状況に陥ったことで、ユリウスはマリエの命を最優先して敗北を認めたとのこと。

その結果、アインホルンは奪われてピエールのものになったと。それも力づくで取り返そうとすれば、聖樹の罰で殺されかねないというオマケ付きで。

 

マリエの奴……明らかに面倒で危険なものを忘れていたよな?それを知っていたなら、真っ先に思い出して欲しかったよ。しかもこの場合、アインホルンの中にあるオレの鎧まで奪われているよな?おそらく、アインホルンの積み荷としてカウントされているぞ。

……ゼクトールを盗られなかっただけ、まだマシか?いや、最悪には代わりないんだけど。

けど……ピエールの野郎は此方の予想の斜め上でやってくれたな。それに《聖樹の誓い》……ひょっとしたら利用できるかもしれないな。

一応、ピエールの奴と対面して話をするか。無駄だろうけど。

 

 

――――――

 

 

や……ヤバいヤバいヤバい!

私は今、兄貴達が滞在している屋敷の、それも目の前で仁王立ちしている兄貴の自室で正座している。

あれからクリスに連れて来られた兄貴とエドワードは、兄貴の船を奪ったピエールと対面した。その結果は平行線どころか、ルクシオンまで向こうに付くという最悪の結果になっちゃった。

船だけじゃなくルクシオンまで……このままだと私は兄貴達に殺される!

 

「……弁明はあるか?」

「ありましぇん!本当にすいましぇんでした!!」

 

私は兄貴に向かって土下座する。許してくれるとは思えないけど、火に油を注ぐ真似だけは絶対に避けないと!!

だって……今の兄貴は明らかに激怒してるんだもん!!兄貴は面倒臭がり屋だけど、一度本気でキレたら容赦が一切ないのよ!?人だって殺してるから躊躇いもなくなってるし……しかもある意味兄貴以上にヤバい悪魔も一緒だし!!

去年からの決闘、学園祭、空賊、公国、戦争……そのどれもであの悪魔に喧嘩を売った人間のほとんどが地獄に叩き落とされている。私だって、六千万の賠償金の支払いを背負わされたし……それが譲歩と温情による、比較的緩い罰であることも理解している。期日だって設けられてないし、遅延金などの追加の支払いもないし。

 

そんなある意味形だけの罰でも……今回のやらかしで締め付けが強くなる可能性が確信レベルで高いのよ!あんなに釘を差しておきながら、すぐに問題を起こした私達をあの悪魔が許す姿が全然浮かばないのよ!絶対、毎月の決まった支払いが追加される!!

私は土下座したままガタガタ震えていると、部屋の扉が開く音が聞こえる。顔を上げて確認したいけど……下手に上げたら兄貴達の不興を買う。とにかく今は、態度で示して少しでも心象を良くしないと!

 

「エド。そっちの聴取は終わったか?」

「ああ。脳筋とナルシストが奴の呼び出しに応じたのは、マリエの為だったそうだ。『あのちっこい女を慰み者にしてやろうか?』と挑発されて、マリエを守るために応じたんだと」

 

グレッグにブラッド……私の為にああなっただなんて……そんな事情じゃ、責められないじゃない……

 

「……マジで糞だな」

「あの二人に関しては……今回に関しては大目に見ることにした。重要なことを忘れていた件に関しては別だが」

 

ヒィイイイイイッ!?もしかしたらワンチャン許してくれるかな?と思ったけど、全然許してくれる気配じゃない!あ、いや、こんなヤバい情報を忘れていた私が全面的に悪いんだけど!

 

「……マリエ。お前はグレッグとブラッドの治療をしてやれ」

「それから、今日から此方の屋敷で生活しろ。ピエールの件が片付くまでは、学院もお休みだ」

「ハイィイイイイイッ!!」

 

私は一目散に逃げるように兄貴の自室を後にする。

こうなったら……私の方でも動いて何とかしないと!このまま何もしなかったら、兄貴に殺されるぅうううううううっ!!仮に殺されなくても、あの悪魔に地獄に落とされちゃうぅううううううううっ!!

 

 

――――――

 

 

マリエが逃げるように部屋から立ち去った後、オレとリオンは疲れたように溜め息を吐く。ある意味予想通りではあったが、外れてほしかったよ。本当に。

 

「本当にさぁ……モブの俺が何で面倒なことばかりに巻き込まれるの?」

「毎回面倒ごとになるのは同意だが……相手のモラルが低すぎだろ」

 

つーか、フェーヴェル家。愚息の暴走を止める気があるのか?自分から喧嘩を売って国際問題を起こすとか、本当に思考レベルがお山の大将だな。裏工作なしの暴力を盾にした横暴なんて、暴力が通用しなくなった時点で終わりだぞ。こっちとしては大助かりだけど。

 

「一応、王国にも報告して抗議してもらうが……絶対突っぱねるだろうな」

「突っぱねると分かってるのにやるの?」

「あくまで“正式に抗議した”という事実が必要なだけだ。相手側の非を大きくする為にな。それと―――」

 

オレは昨日判明した事実から、フェーヴェル家に対する地獄への片道キップの手段をリオンへと話す。実際に出来るかはまだ不明だけど、成功すればフェーヴェル家のプライドはズタズタだ。

それが無理なら他にも負債を払ってもらうけど。どう転がろうと問題ない形に落とし込んでね。

 

「……それ、本当に出来るの?確かにそれが出来たら、凄くスッキリしそうだけど」

「そこは今後の情報収集次第だ。無理なら、最初の搾り取りにするだけだしな」

 

その前に、オレらに喧嘩を売ったピエールを盤面に引き摺り出さないといけないけどな。今のままじゃ勝負の場にすら現れないし。

 

「向こうがアインホルンを賭けてでも欲しいもの……聖樹が自然に落とすことでしか手に入れられない【宝玉】か、件の【聖樹の苗木】くらいだが……今回の力づくの件を考慮したら、苗木一択だろうな」

「本当に苗木を手に入れるの?そりゃ、宝玉はいつ落ちるか分からないから時間が掛かりそうだけど」

「宝玉は時間以外にも問題がある。宝玉は聖樹から自然に落ちた時点で、その所有権は聖樹から離れている。つまり、そこから力づくの奪い合いになっても本当は問題にならないんだ。貴族同士の取り合いにならないのは、得より損が大きいだけ。ましてや《加護無し》のオレ達じゃ、手に入れてすぐに力づくで奪われるぞ」

「あー、確かに言われてみればその通りだわ。苗木の方は……同じ聖樹だから力づくで奪えないのか?」

「マリエ情報では苗木が強奪される要素はなかったみたいだからな。あくまでそれを宛にすればだが」

 

どっちにしろ向こうが力づくでは不可能かつ、喉から手が出るほど欲しい物じゃないと乗ってこないんだ。先ずはそれを手に入れてからじゃないと、地獄への招待状を受け取ってくれないからな。

 

「先ずは、苗木の情報からだ。その辺りは……ストーカー予備軍に聞く以外ないんだけどな」

「本当にな……ロイクと同じ面倒な相手じゃないといいんだけど……」

 

こんな面倒な手順で進めないのがネックになるな。でも、知りすぎの下地を誤魔化す為には今はこうするしかないし。

何にせよ……ピエールとフェーヴェル家は精々今を楽しんでおけ。残りの人生が地獄になるように舗装しておくから……な。

 

 

 




「私達も動いて何とかしないと……人生が詰む!!」
「お嬢様?前に下手に動いて悲惨な目にあった事を忘れたんですか?」
「忘れてないわよカイル!むしろ、覚えているからこそやらないとマズイのよ!あの悪魔は絶対、賠償金の定期的な支払いを付けてくるんだから!!」
「た、確かに……!あの人なら、それくらいはやりかねませんよ……!それどころか、更なる罰の追加も……」
「その通りよカーラ!だから、真っ当な手段で貢献してゴマをするのよ!!」
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