チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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……コミカライズに追い付いちゃった。
てな訳でどうぞ。


予想外の人物

【レスピナスの洞窟】。

共和国内にあるダンジョンの一つであり、そこに今回の騒動解決の鍵となる【聖樹の苗木】が眠っている。苗木の所在に関しては死に物狂いで思い出したマリエからの情報だが。

マリエは今も危機感に駆られて頑張っているから、リオンの塩梅で締め付けを緩めることにしている。そのネタバラシは全部が終わってからだけど。

 

ちなみにオレとリオンがダンジョンに行くと報告したら、ナルシス先生は子供みたいに泣いていた。本当は自分も一緒に行きたいって泣き喚いたけど、自身の職務から泣く泣く諦めていた。その姿は本当に情けないと思ったよ、本当に。

その情けなさすぎる姿から、今回の件が終わったらダンジョンについて話すと言ったら一転して上機嫌になった。しかも信頼できる教師まで紹介してくれたので、プラマイゼロどこからプラスにはなった。趣味に傾倒しているけど、根は善人だね。ティアへの付きまといも控えてくれそうだし。

 

それで今回のダンジョン探索にはクレマン先生……オカマというかオネイというか、ちょーっと個性的な先生が同行してくれることになった。軽く会話をした限りだけど、確かに信頼できそうな人だと思ったよ。

……距離はかなーり近かったけど。ホモやゲイの疑惑があったけど、そこに関しては目を瞑っておこう。

そのダンジョンに行くのは、クレマン先生を除けばオレとリオンの二人だけ。本当はもう少し人手が欲しいところだが、屋敷の護衛もあるし万が一に備えて諦めるしかなかった。

 

事実、マリエとカーラはユリウスとジルクと一緒に有効な手段を探し回っているし。マリエとカーラが一番危機感を抱いて動いているのに、ユリウス達はよく理解してないのが残念ポイントではあるが。

グレッグとブラッドは療養中だし、使用人のカイルとヘルトラウダを連れ回すのは不自然に捉えられかねないし、守りの観点からもクリスも連れて行けない。結果、連れて行ける人間は事実上のゼロだ。

それで、クレマン先生との三人で目的のダンジョンを攻略する予定だったのだが……

 

「……何で二人も一緒なの?」

 

リオンが口にした疑問の通り、待ち合わせ場所に来たのはクレマン先生だけじゃなかった。

ノエルとティア……この二人もどういう訳か、クレマン先生と一緒に来たのだ。それも制服ではなく、ダンジョンに適した服装で。

 

「アハハ……ちょっとした切っ掛けで、お二人がダンジョンに挑むと聞いたっすから……」

「二人がこのタイミングでダンジョンに挑むってことは、何かしらの理由があるんでしょ?この前のお礼もしたいから、その手助けをしようかなって」

「……ロイクの件は大丈夫なのか?知られたら、また粘着されないか?」

「そこも大丈夫っす。表向きは、クレマン先生の特別授業ってことにしてるっすから」

 

うーん……本当に大丈夫なのか、それ?先生が一緒ならギリギリ大丈夫なのか?いや、留学以前の出来事を知らないから断定出来ないけど。

どちらにせよ、早朝に出発するようにしたのは運が良かったな。でなきゃ、人伝でロイクの耳に届くかもしれないし。

 

「……時間も惜しいし、さっさと行くか」

「そうだね。早く目的地に行こうか」

 

あんまり長引かせると面倒にもなるしな。ルクシオンもストレスが溜まるだろうし。

正直言って、ティアがどう対応するかが懸念点ではあるが……そこは話し合いで何とかするしかないか。

 

 

――――――

 

 

レリア・ベルトレは非常に焦っていた。

共和国のシナリオも含めて上手く立ち回って(いるつもりで)おり、姉の同性の友人の事以外では順調に進んでいると考えていたからだ。

事実、王国からの留学生に関しても特に意識もせず、世話役となった姉のノエルに話題として振らないくらいに情報を集めようとすらしなかった。ノエルからリオンとエドワードの名前を聞いても、モブキャラとしか認識していなかったのだから。

だが、留学生の一人であるマリエの使用人が【カイル】だと人伝に聞いたことで、レリアは嫌な予感を覚えた。それで留学生達について漸く調べ……そのフルネームを前に頭を抱えた。

 

(何で、留学生が一作目の攻略対象全員なのよ!?カイルとウェインはまだしも、この四人は名前すら出てきてないんだけど!?ただでさえ、私の邪魔をするあの女がいるのに!!)

 

レリアにとって、ノエルと一緒にいるティアは疫病神でしかない。彼女のせいで、ロイクとノエルの仲が進展しないのだから。一度、喧嘩腰でティアに接触したが……ノエルが間に割って入ったせいで失敗。以降はすれ違う程度で話し合いすら出来なくなっている。

そんな状況だからこそ、レリアは四人―――特にリオンとエドワードに接触しようとしたが、その二人は不登校。ノエルもティアと一緒に特別授業に行くと聞いていたこともあり、急いで滞在先の屋敷に向かったのだが……

 

「い、いないですって!?」

「はい。リオン様もエドワード様も、朝から早くお出かけになられています」

 

彼らが滞在している屋敷の玄関前で、犬の世話をしていた黒髪の使用人の少女からの言葉に、レリアは愕然としていた。件の二人がいないだけでなく、対応した少女にも驚きもあって焦燥に駆られている。

 

(何でヘルトラウダが……三作目の敵キャラがこの屋敷にいるのよ!?しかも、すぐ近くで《剣豪》が目を光らせているし!本当に何がどうなっているのよ!?)

 

彼女は【ラーダ】と名乗り、髪は短く眼鏡も掛けているが、転生者であるレリアはマジマジと見つめたことで、ラーダの正体がヘルトラウダであることに気付けたのだ。その驚愕は意地で表に出さなかったが。

レリアはノエルとの会話でラーダのことは聞いていたが……それがヘルトラウダだと予想なんて出来る筈がない。予想外にも程があると頭を抱えたくなる。

それでもレリアは優先順位を考え、ヘルトラウダの事は隅に置いて二人について聞いたのだが……結果はご覧の通りである。

 

「どこに行ったのよ!?」

「申し訳ありませんが、それはお答えできません。リオン様もエドワード様も、此度の騒動の対応に奔走されておりますので」

 

レリアは問い詰めるも、ヘルトラウダは毅然とした態度で答えられないと返す。ヘルトラウダも詳しく聞いていないのもあるが、下手に情報を与えるのも得策ではないと判断しているからだ。

その返答を聞いたレリアは、益々焦っていく。

 

(マズイマズイマズイ……!ただでさえ予定が狂い始めているのに、此処でピエールに何かあったらシナリオが滅茶苦茶になっちゃうじゃない!そう言えば、留学生がダンジョンに挑むって話が出ていた気が……!)

 

何としてもシナリオ通りに進め、世界滅亡エンドを回避したいレリアはヘルトラウダに食い下がる。

 

「それじゃ困るんだけど!?その二人に用があるんだから!行き先に心当たりとかないの!?」

「……何故お二方に固執しておられるのですか?一体何が目的なのです?」

「うっ、それは……」

 

完全に警戒されていることに、レリアは答えられずに口ごもる。ダンジョンについて聞いても、答えてくれるかすら怪しくなっている。

結局、レリアは二人の居場所を把握できないまま、屋敷を後にするしかなかった。

 

(本当に予想外にも程があるわよ……!姉貴も何処かのダンジョンに行っちゃうし!!)

 

 

――――――

 

 

……まさか、相乗りで移動する羽目になるなんてな。

 

「も、申し訳ないっす。私もノエっちも、エアバイクの運転に慣れていないっすから……」

 

後ろで座っているティアが申し訳なさそうに謝っているが、そこは仕方ないと割り切っている。エアバイクの操縦なんて、授業くらいでしか乗る機会がないし。金銭の余裕はあまりなさそうな二人なら特に。

それでノエルはリオンの背中でしがみついているが……デレッてしてないな。普通はこう、背中から伝わるアレが……

あ、そう言えばリオンが前に感触が伝わらないとか何とか言っていたような……ルクシオン製の防具限定で。

オレ?背中にハンマーやらリュックやらを背負っているから、壁があって無意味ですけど?ダンジョン攻略に必要な物も多いし。

 

「ちなみにっすけど……何処のダンジョンに向かってるんすか?」

「【レスピナスの洞窟】」

 

オレが特に隠す意味もないので答えた瞬間、ティアは言葉を失ったように息を呑んだ。その反応、やっぱり知っていたか。シナリオ面ではかなり重要なダンジョンみたいだし。

 

「悪いが目を瞑ってもらうぞ。それしか打開の手がないからな。後、そっちにもちゃんと配慮する」

 

オレはそれだけ言って運転に集中する。そもそもノエルの攻略対象は全滅しているし、このタイミングで回収しても本当に今更でしかないのだ。現時点ではあるが、最終的には共和国に譲渡する予定だけど。

二作目の問題が留学中に解決できなかったら、聖樹の苗木はいざと言う時の保険になる。それを取り上げて世界滅亡は、オレとしても嫌だし。リオンもそこは同じ考えだしな。

 

だから、あくまで留学中における此方の交渉カードとして苗木は手元に置いておく。でなきゃ、第二、第三のピエールの予防すら出来ないし。

マリエ情報では主人公が《巫女》……共和国の重要な役割になったら発言力がかなり高くなるそうだが、そこまで気にしていたらキリがない。今優先すべきは障害の完全破壊だし、その辺は後で考えるとしよう。

 

『キャプテンなら、予防線なしでも相手を叩き潰すだろうに』

 

確かに予防線や保険なしでもやるけど、あった方がずっと楽なの。適度に楽をしないと精神的に疲れが溜まるんだから、楽できる時は楽をしたいんだよ。

ハーツの呆れに内々で返しつつ、オレたちは目的地へと到着する。かつての七大貴族……レスピナス家の名を冠する洞窟を前に、オレとリオンは手早く装備の確認をしていく。

 

「お前は相変わらず、ハンマーを使うんだな」

「当たり前だろ。剣はからっきしだし、弾だって安く無いんだからな」

 

事実、鎧での剣撃は武器頼りだし。チェーンソーモドキとヒートブレードモドキで、武器が斬ってくれるようにしてるだけだし。

装備はハンマーだけでなく、ショットガンに爆弾……後はチェーンソーモドキ。携帯サイズで小型だけど、動かし方は鎧の物と同じだから使用には問題ない。チェーンソーモドキを見てノエルとクレマン先生は首を傾げ、ティアは苦笑いしたが。

 

「それも持ってきていたのかよ」

「木の根は爆破するより伐った方が早いだろ」

 

リオンが携帯サイズのチェーンソーモドキに呆れていたが、マリエ情報では木の根が通路を塞いでいるみたいだしな。

何にせよ、善は急げってね。

ちなみに構成はオレが先頭。後ろにリオン。その後ろにノエルにティア、殿はクレマン先生だ。

 

「ダンジョンは本来、大人数で挑むのだけどね。王国の冒険者は少数精鋭なのかしら?」

「そこは認識の違いですかね。共和国が調査のおこぼれなら、王国は財宝で一発逆転狙いなので」

 

クレマン先生の疑問に、オレはそう答える。共和国の冒険者は研究者寄りだ。財宝より調査を優先しているみたいだし、財宝探しより魔石の採掘に注力しているしな。

 

「そうだな。そうしなきゃ……俺は五十のババアに遺族年金目当てで売られるところだったし」

「オレはやりたいことの為に、かな。実家の借金が莫大だったし」

 

おかげで面倒事が山のように押し寄せてきたけどね!

 

「それを聞くと、ティアと似たような理由なんだね」

「お前も一発逆転を狙ってたの?」

「一発逆転というより……お世話になっている人達のタメっすね。孤児院のお世話になってるっすから、その手助けをしたくて……」

 

リオンの疑問に、ティアは困ったように笑みを浮かべながら答える。

ティアが所持しているであろうロストアイテム……ラプラスを手に入れたのは、そういう事情背景があったからか。

……なんか、オレの理由だけが俗物感満載だな。リオンも自分のことだけでなく、実の弟のことも心配していたし。

 

「孤児院か……気分が悪くなるだろうが、経営は大丈夫なのか?支援なんて、そう期待できないだろ?」

「確かに支援は最低限っすけど……ダンジョンで魔石を採掘してるっすから、食べるものには困ってないっす」

 

うーん、ティアもティアで苦労していそうだな。

 

「じゃあ、リオン達はダンジョンの財宝で何とかしようとしているの?それで上手くいくの?」

「そーだね。お目当ての財宝で何とかしようとしているのは合っているよ。それが何処にあるか分からないから、総当たりになりそうだけど」

 

ノエルの質問にリオンは嘘を交えて答える。このダンジョンに目的の品があるんだけど、本来は断言できない情報だからな。深堀されると答えられないし、しらみ潰しに探して一発で探し当てたという体で動くしかない。

 

「エド、そろそろモンスターと遭遇するぞ」

 

スマホ型の端末を確認しながら告げたリオンにオレは頷きつつ、背中に背負っていたハンマーを正面に構える。

 

(ハーツ、服の下に魔装を一部展開。運用は身体能力強化のみで頼む)

『了解だ、キャプテン』

 

バレない程度に魔装を展開し、自身の身体能力を底上げする。強化された両腕でハンマーを振りかぶり……飛び出てきた人間サイズのムカデの頭部を叩き潰した。

 

「次!」

 

黒い霧―――魔素に還っていくモンスターに目もくれず、次々と現れたモンスター達に向かってハンマーを振るっていく。ハンマーに殴り飛ばされたモンスターは壁に激突、その場に倒れているところを剣を抜いたノエルとティアがしっかりトドメを刺してくれる。リオンもライフルでモンスターを撃ち抜くか刀モドキで応戦し、クレマン先生も剣で抜けてきたモンスターを斬り捨てている。

少ししてモンスターの襲撃が止み、オレは一息吐いてから構えを解いた。

 

「うわ―……王国の冒険者って、結構肉体的なんすね」

「うん……本当に二人は強いね」

 

オレとリオンの実力に、ティアとノエルはそう呟く。クレマン先生も二人に同意してか、ウンウンと頷いている。

 

「まあ、さすがに此くらいは」

「ダンジョンに潜って、魔石を採掘して稼がないとお茶会も開けないからね。やらないと女子から露骨にイビられるし」

「さすがに今は違うけど……あれは本当に辛かったよな。本命の時間潰しだったり、招待状を受け取りながら来なかったり」

 

あの頃の女子のお茶会は本当に酷かったからな。リビアとアンジェ嬢、クラリス先輩とディアトリー先輩とのお茶会は例外だけど。

そんなオレとリオンのどんよりとした空気に……三人は何とも言えない、複雑な表情をしていた。

 

「その……本当に苦労していたのね……」

「そ、そんなに酷かったんだ……」

「だ、大丈夫っすよ!その内、良いことがあると思うっす!」

 

三人からの同情が心に沁みるなぁ。共和国も共和国で、外の人間に対して末期だけど。

そんな空気を払拭するように、オレ達は探索を再開。とは言っても、目的地は決まっているけどね。

道中のモンスターを撃退しつつ、奥へ奥へと進んでいく中でクレマン先生がオレとリオンに話し掛ける。

 

「二人とも。ナルシスきゅんから話は聞いているんだけど……本当に聖樹の苗木を手に入れるつもりなの?」

 

クレマン先生のその問いかけにノエルは目を見開き、ティアはジ~ッと複雑そうな視線をする。それに対し、オレとリオンは肯定の意味を込めて肩を竦める。

 

「ええ。それしか、向こうが話し合いの席に出てきませんからね」

「事実、今回の件に対して王国側が説明を求めていますが、彼方は何も反応なし。むしろ、何か問題でもあるのかという態度だと窺ってますしね」

 

ホント、体裁すら投げ捨てているよな。こういうのは形だけでも話し合いの席を設けると言うのに。それをしないどころか、あからさまに挑発して黙らせようとしたくらいだし。

しかも、ピエール達は自慢してからずっと、アインホルンで好き勝手しているみたいだし。しかもご丁寧にオレの鎧を下ろして引き渡したみたいだしな。絶対、解体して技術を盗むつもりだろ。

 

「そんな事情がありますから、所有権に関しては諦めて下さい」

「今の所、苗木ちゃんを王国へ持ち帰ろうとは考えてませんよ。アイツらの対応次第では、持ち帰るかもしれないけどね!」

「……本当にどうにかなると、君たちは思っているかしら?気持ちは分からなくもないけど……六大貴族に喧嘩を売るのは、無謀としか言えないわよ?」

 

まあ、共和国の国内でのアドバンテージを考えたらそう思うのも当然か。それに聖樹は信仰の対象だし、その苗木も同じく非常に大切で重要な存在だしな。

それでもやるけど。リオンもやられたらやり返す主義だし、オレもやられたら百倍で返す主義だからな。

 

「そこもご心配なく。苗木を賭けた決闘を仕掛ければ、向こうは相手を晒し者にする為に乗るでしょうから」

「決闘の時は一応条件は付けるけど……どうせ自分が優位に立てるように細工するのは見えてるしね。その上でボコったら……実に気分が良いと思わないか?」

 

どうせ騙し討ちでアインホルンを奪ったピエールのことだ。裏で色々手を回して此方が不利になるように勝負を進めるに決まっている。だから相手の手を全部読んで……徹底的に叩き潰す。

その内の一手に関しては……ヘルトラウダにならないように注意しとかないとな。カイルとカーラに悪いことをしてしまうが……安直だがお金で解決させてもらうか。金で解決するようで悪いけどね。

 

「……本当に何処までやるつもりなの?」

「フェーヴェル家に全責任が向かう形まで、ですよ。一応、あの担任にも計画の一部を話していますし」

「その辺りは全部エドがやってくれるから、俺は楽だね。あの先生も意外と話が通じたしね」

「……え?本当にっすか?」

 

オレとリオンのその言葉に、ティアは半信半疑だ。そりゃ、追っかけられているから当然の反応だけど。

 

「オレも警戒して会話に挑んだけど……あの先生、自身の趣味優先でティアに話し掛けていただけだったんだよ」

「実際、趣味が前のめり過ぎて逆効果になってる自覚を持っていたし……俺とエドが付き合うことで、控えるよう約束も取り付けたしね」

「…………」

 

オレとリオンの説明に、ティアは無言。そのままゆら~……っと少し距離を取ると、前触れもなく何かを掴むように両手を掲げた。

 

「ラプっち!!知っててわざと教えなかったっすね!?付きまとわれる私の反応を見て、ずっと楽しんでいたっすね!?」

 

ティアはそう叫びながら、何も掴んでいない筈の両手をブンブン振っている。ずっとからかわれ続けたショックから気が動転してるとはいえ……迂闊にも程があるんじゃないか?単にオレ達の前なら大丈夫とでも思っているのか?

 

「……ティア?急に掴んでいるフリをしてどうしたの?」

「……ハッ!?」

 

ノエルの指摘を受けティアは我に返ったのか、顔から冷や汗がダラダラと噴き出ている。視線を泳がせていた彼女であったが、すぐに観念したのか悄気たように両手を胸元へと下ろした。

 

「……ラプっち。迷彩を解いて姿を見せてほしいっす」

 

ティアのその言葉で、彼女の両手の間からルクシオンと同様の端末―――紫色のレンズが特徴のラプラスが姿を現す。ラプラスを初めて見たノエルとクレマン先生は驚いていたが、オレとリオンは既に会っているのでノーリアクションだ。

 

『初めまして。私はラプラス。そこのマヌケ過ぎるマスターに振り回されている、憐れなロストアイテムです』

「え?ロストアイテム!?ティアが見つけたロストアイテムは、あの人形だけじゃなかったの!?」

「えっと、その……実は……」

 

ノエルの詰問にティアはしどろもどろになりながらも説明しようと口を開くが……それより先に碧色の結晶体がラプラスに体当たりして、ティアの手から吹き飛ばした。

 

『やっと姿を現したか!今すぐスクラップにしてくれようぞ!』

『調子に乗るなよ、汚物風情が』

 

ハーツとラプラスは互いに敵意を隠すことなく、体当たりの応酬を繰り広げ始めた。

……本当に旧人類と新人類の兵器は仲が悪いな。何時ものことだけど。

 

 

 




「木の根が邪魔して先に進めないね……」
「魔法でも吹き飛ばせないし、仕方ないわ。ここは迂回―――」

ヴィイイイイイイイインッ!

「え?え?」
「伐ってる……?伐っているの……?」
「アハハ……(本当にチェーンソーだったっす)」
「本当に便利だね、それ。おかげで楽に進めるけど」
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