てな訳でどうぞ。
―――リオンとピエールの決闘は、リオンの目論見通りに進んだ。
リオンは最初はマトモに戦うことなくピエールを散々おちょくり、頃合いを見て反撃に出た。
「ここがアロガンツの弱点なんだよね。修理も完璧じゃなかったしさ」
そんなわざとらしい台詞を吐きながら、アロガンツに一撃を入れて。
それを合図にルクシオンがアロガンツの制御を抑制して動きを大幅に鈍化。そこからピエールの
アロガンツが行動不能となり、機体から引き摺り出されたピエールは、怒りと屈辱が入り雑じった表情でリオンを睨み付けていた。
「テメェ!こんな真似してタダで済むと思っているのか!?お前の屋敷には―――」
「お前の屋敷には、何?俺の滞在先の屋敷に何かあるの?」
リオンがわざとらしくそう問い掛けると、ピエールはさすがに口にするのはマズイと理解しているのか、口をつぐむ。そんなピエールに構わず、リオンは観客席にいるユリウス達に顔を向け―――口を開く。
「グレッグ、もう変装を解いていいぞ」
「へ……?」
リオンのその言葉にピエールは意味が分からないと抜けた声を洩らす。そんなピエールの視界に、観客席で決闘を見守っていたエドワードが髪を掴み、眼鏡に手を掛ける。
そのまま髪が取れ、眼鏡が外され―――そこにいたのは、ブラッドと一緒に痛め付けて大怪我を負わせた筈のグレッグであった。
「な、なんで……!?」
「何がおかしいのかなー?グレッグが此処にいるだけで、何か不都合な事でもあるのかなー?」
狼狽し困惑するピエールに、リオンはわざとらしく問い掛ける。分かっていながら問い掛けるのだから、知っている者からすれば意地の悪い質問だ。
そんなピエールに、リオンは最後のチャンスを与える。ここまで思惑通りに進み、被害も未然に防げていた故に出た情けからだ。それが救いの手と解釈されるかは別問題だが。
「さて、ここで素直に負けを認めて、これまでの行いを心の底から詫びて土下座するなら、特別に許して上げるけど?俺は心優しい騎士だからね」
「ふ、ふざけるな!誰が三流国家の三下に頭を下げるかよ!そもそも―――」
ピエールのその返答を聞き終える前に、リオンはピエールの顔面を殴り飛ばした。前歯が何本も折れ、不様に地面を転がっていく。
「お、俺の歯がぁああああああっ!?」
「歯が折れたくらいでそんなに騒ぐなよ。治癒魔法で治療すれば、ちゃんと治るんだからさ。お前らが痛め付けてたブラッドとグレッグと同じくさ」
リオンはそう告げると、ピエールを一方的に殴っていく。ピエールがマトモに抵抗できないのは、《聖樹の誓い》による制約で《紋章》を使うことができないからだ。使った瞬間にピエールの負けが自動的に決まり、場合によっては聖樹から罰を下されるからだ。
一方的にリオンに殴られ続け、見かねた審判がリオンの勝利で決闘を強引に終わらせる。顔がパンパンに腫れたピエールは敵意と憎悪を隠すことなく、リオンを睨み付けている。
「殺してやる。お前だけは、絶対に……」
「そんな事を言う暇があるなら、早く約束を果たして貰おうか」
「や、約束だと?」
「ああ。俺は言ったよね?アロガンツとアインホルン―――その中にある物全てを、必ず俺の前に持ってきて返せと」
リオンが口元を三日月のように歪めて笑みを作ると同時に、ナルシスとルイーゼが決闘の広場に入ってくる。その二人の口から、ピエールの取り巻きとフェーヴェル家の家臣がアインホルンでフェーヴェル家の領内で暴れ回り、鎮圧に出向いた軍隊でさえ太刀打ち出来ていないのだと告げられる。
それを聞いたピエールは、一瞬で顔を青ざめる。ピエールは青ざめた表情のまま、リオンに縋り付いた。
「た、頼む。俺に少しだけ時間をくれ。必ず返すから。お前の前に持って来て返すから!頼むから俺に時間をくれ!!」
「それが人に物を頼む態度か?第一、もう俺には関係ないね。最後のチャンス―――本気で謝罪して悔い改めていたら、俺が納得して許していたんだからさ」
リオンがそう告げた直後、ピエールの足下に赤く輝く法陣が展開される。それを理解したピエールは、恥も外聞もなくリオンに懇願していく。
「お願いします!もう二度とこんな真似をしないから!何でもするから!お願いだから許して下さい!《加護無し》だけは、《加護無し》だけは嫌だぁああああああああああっ!!」
ピエールはリオンの言葉―――『俺が納得すれば特別に許してやる』という言葉から、リオンの許しを得ようと必死に頭を下げる。恥も外聞もなく土下座をして、リオンからの許しを得ようとするピエール。その魂胆を、当のリオンからは見抜かれていた。
「それ、《加護無し》になるのが嫌で頭を下げているだけだろ?せっかくの慈悲を自分から蹴っておきながら、力を喪うのが怖いから謝るとか……本当に面が厚いね。試しに聞くけど、お前の何が悪かったかちゃんと理解してる?」
「そ、それは……お前の船を奪ったこと、ですか……?」
「他には?」
「他?他って……」
「それが答えだろ。だから―――そのまま《加護無し》になれ」
リオンが無慈悲に告げると同時に、地面から生えた木の根がピエールの身体に巻き付いていく。木の根に縛られて動けなくなったピエールの右手に、今度は蔦が絡み付いていく。
「嫌だ嫌だ嫌だぁあああああああああっ!!俺が悪かったから!二度と敵対しないから!頼むから許してくれぇええええええええっ!!」
みっともなくピエールは泣き叫ぶも、彼に与えられる結果は変わらない。
そのままピエールは《加護無し》となり……後にフェーヴェル家にも重い枷が嵌められる事となった。
――――――
リオンとピエールの決闘も予定通り……ピエールにとっての最悪な結果に終わり、アインホルンの暴走(演技)もリオンによって鎮められた後。
オレはリオンとルクシオンと共に、次の段階へと移行している。そう、ピエールの実家、フェーヴェル家への制裁のな。
ルクシオンがアインホルンで暴れている中、どさくさに紛れて宝玉もかなりの数を回収していたからな。事前に被害を与えるのはフェーヴェル家の息が掛かった……賄賂等で癒着していた連中だけで、残りは必要最低限で済ませるように提案はした。強制でもないからそこはリオンとルクシオンに丸投げしたけどな。
「本当によくこれだけ回収したな。これはこれで面倒になるぞ」
「別にいいだろ?手元にあればお得だし、これの有効な使い方はお前に丸投げすれば問題ないし」
「本当に物は言い様だな」
確かにあった方が何かと使えるけどさ。向こうのヘイトがかなり高まるけど。
六大貴族との交渉前にリオンとあれこれ決めてから議会議事堂―――聖樹神殿と呼ばれる高い塔の会議室へと赴く。そこには六大貴族の当主達―――制裁の対象のフェーヴェル家当主のランベールもいる。その半数が敵意マックスだったけど。
「それで?俺達を呼び出した理由を聞いてもいいかな?」
リオンが聖樹の苗木を片手にそう問い掛けると、ランベールが怒りを隠そうともせずに叫んだ。
「よくそんな態度を取れるな!?貴様の船のせいで、フェーヴェル家の領地に何れ程の被害が出たと思っている!王国に抗議してやる!」
「王国への抗議ですか。そちらはこちらの抗議を一蹴したと記憶していますが?ああ、フェーヴェル家だけで対処できるとか考えてでもいたんですかね?負けなしだから、奪い取っても力で捩じ伏せられると」
オレがそう言ってやると、半分は痛いところを付かれたように顔を歪ませる。ランベールはこちらを睨んだままで、ラウルト家の当主とグランジュ家の当主は沈黙を貫いている。ナルシス先生経由で中立を決めているらしいグランジュ家当主はまだしも、議長……正確には議長代理のラウルト家当主も沈黙しているのは意外かな?これなら、例の落とし所に持っていけそうだな。
「けど、本当に王国に抗議していいの?身内同士のいざこざにしといた方が、都合が良いと思うんだけど?」
「ふざけるな!我が領地が貴様の船のせいで被害を被ったんだぞ!こんな真似をして唯で済むと思っているのか!?」
リオンの小馬鹿にする物言いにランベールが顔を真っ赤にして噛み付いているが、国際問題にした時の危険性を全く理解していないな。なので、オレが丁寧に説明してやる。
「別に国に抗議してもらって構いませんよ?こちらは貴方の子息がユリウス殿下に危害を加えた件を引き合いに出しますし……同時にそちらの軍隊が、アインホルン一隻に良いようにやられた事実も露見しますがね」
「そうだね。それに、アインホルンはパルトナーの再現も兼ねた船だからね。色々と度外視すれば……量産も不可能じゃないよ?」
そう。今回の件を国際問題にすると、共和国の軍隊が一隻の飛行船に負けたという事実まで周辺国に知られることになる。そうなれば、侵略してくる国が出てくる可能性が高い。いくら防衛に強い共和国でも、戦争の被害が皆無とはならない。
そのリスクを考えれば、身内同士の争いという形にした方がよっぽど安全なのだ。その事実に気付いた四家の当主達は苦い顔でオレとリオンを睨み付けている。そんな風に睨んでも、対応は変わらないよ?
「まあ、この場はあくまで個人への賠償の交渉ですがね。ですから国に対して―――」
「待ちたまえ。本当に個人の賠償を国に請求するつもりなのか?」
このタイミングでグランジュ家当主が口を挟むか。いいタイミングだね。
「そうですが、何か問題でも?」
「国に請求するのであれば、国家同士で話し合うのが筋ではないのか?それに個人の賠償であれば、フェーヴェル家のみに請求するのが筋だと、私は思うのだが?」
「貴様っ!」
ランベールがグランジュ家当主を睨み付けるが、本人は気にも止めずにオレとリオンの顔色を窺っている。ラウルト家当主は沈黙を貫いたままだが、他の三家は問題を小さくできそうな事に賛成の雰囲気を放ち始めている。
なら、ここで折れた事にするか。ちょっと予定と違うけど。
「そうですね……そちらの言い分にも一理ありますから、今回はフーヴェル家だけに請求することにしましょう。リオンもそれでいいか?」
「そうだね。国同士の交渉は別になるけど……そこのオッサンに今回の不始末を請求させてもらおうかな。アンタの息子には、大分世話になったからね。迷惑料に口止め料……その他諸々を含めた金銭の請求でね!」
リオンはそう言って、こちらの提示する金額が書かれた一枚の紙を突き出す。その金額はルクシオン調査でフェーヴェル家だけでは厳しく、国であれば問題ない絶妙な加減の金額が書かれている。
その金額を見たランベールは、乱暴に机を叩いて立ち上がった。
「これ程の金額がフェーヴェル家だけで払えるわけがないだろう!貴様達はフェーヴェル家を潰すつもりか!?」
「でしたら、他の五家に泣きついたらいいでしょう?六大貴族から五大貴族になるのは避けたいでしょうし、素直に頭を下げれば援助してくれるのではないかと思いますよ?確実に、大きな貸しとなりますけどね」
これが実害が出る前の落とし前。単独では払いきれない額を請求し、国に手助けして支払わせるという回りくどい仕返しだ。賠償を肩代わりしてもらったという事実はそれだけで屈辱だし、大きな貸しとなってその後の立ち位置にも大きく響く。例の襲撃者達から証拠付で得た情報と合わせればね。
だが、これは《聖樹の誓い》を知ってから前座になった。ルクシオンの調査でも不可能ではないと太鼓判を押された次の要求が、オレにとっての本命だ。
「でも、俺は心が広いからね。ある条件を呑んでくれるなら……半分以上減額してやるよ」
「……条件、だと?」
「ああ。この条件を聖樹への誓いを使って、ね。呑んでくれたらアインホルンの中にあって俺の物になった宝玉も半分は無償で返してあげるよ」
リオンがそう言って、請求書とは別の用紙を突き出す。その内容をランベールはマジマジと見つめ……再び机を乱暴に叩いた。
「ふ、ふざけるな!こんな理不尽な条件を誓えるわけがないだろう!!」
ランベールがそう叫び、他の当主達も内容を確認して深く頷いている。その用紙に書かれた内容は、以下の通りだ。
一.六大貴族はバルトファルト家とファーレンガルド家、並びその関係者に二度と敵対行動を取らない。同時に危害も加えず、干渉もしない。
二.誓いによって得た力は他者を害する為に一切使うことなく、侵略者に対する本国の防衛のみに使う。これは一の誓いよりも優先される。
三.上記二つの誓いを破る、もしくは破棄しようとした場合、その代償は誓いをした本人のみに留まらず、六大貴族の人間全てに履行される。
四.これらの誓いの有効期限は、誓いをした当人が死亡するまでとする。
その内容を見た他の当主達も一斉に難色に表情を染める。これは明らかに共和国側にとって都合の悪い誓いだからな。
この内容を誓ってしまうと、今後は国を脅かす侵略者にしか手出し出来なくなるからな。もちろん、これがそのままそっくり適応するつもりはない。これはあくまで、政治的なバランスを保つ為のパフォーマンスだ。
最初からフェーヴェル家のみにしたら、裏で手を結んでいたと疑われるし今後の交渉も難しくなる。それに、グランジュ家の執り成しで損害を抑えたという旨味もなくなるからな。少なくとも標的以外には損はさせないよ?
ちなみにオレの家も含めたのは、人様の技術を盗もうとした報いだ。その辺は、過去の被害から敏感だからね。指摘されてもそれを引き合いに出して黙らせるつもりだ。
「ああ、この内容のままでしたら個人的なやり取りを逸脱しますね。元々は国に要求する条件でしたから、修正せずに見せてしまいました」
「本当にゴメンねー?対象は六大貴族じゃなくて、フェーヴェル家だけにするから勘弁してね」
わざとらしく失敗アピールしてやると、ランベール以外は戦慄したように顔を引き攣らせていた。一番の被害者はもう茹でタコだ。
何せ、この条件を呑めばフェーヴェル家は王国に手出し出来なくなるだけでなく、共和国内でも大きく活動を制限されてしまう。下手をすれば下の貴族達に引き摺り下ろされないからね。
無論、手加減なんかしないけど。
「誓いが嫌なら、最初に提示した金額の支払いだね。宝玉も買い取りという形で半分を返すことになるよ?」
「宝玉の金額は……どこぞの貴族の子息が横流ししていた金額よりは良心的な額にしましょうか。ちゃんと比較できるように」
オレがそっちの後ろ暗い取引の証拠も掴んでいるぞと臭わせると、ランベールはますます屈辱に顔を歪ませていく。本当に色々と喋ってくれたからね。簡単に切られないように弱味の証拠も取っていたから、こうして有効に活用できるし。
「どうするの?多額の賠償金か誓い……どっちにするか早く決めてよ。俺達も忙しいからさ」
「このまま黙りを貫くようでしたら……全部を王国へと正直に報告しますよ。そうなったら、ますますそちらが損をしますよ?」
まさに究極の二択。いや、三択かな?どう転んでもフェーヴェル家の損失が約束された状況で、他の五家はどう対応するのかな?
そんな重苦しくなった空気の中で、グランジュ家の当主が口を開いた。
「……ランベール。彼等の提示した条件を聖樹を介して誓いたまえ」
「!?ふ、ふざけるな!こんな理不尽な条件を―――」
「確かに……この条件は履行に務めれば問題はない。傷を最小限に抑えられる」
ランベールは拒絶しようとしたが、ドルイユ家の当主も賛同したことで、バリエル家とプレヴァン家の当主二人も頷いて同意している。本当は屈辱ではあるが、その負債を一家だけに背負わされるならまだマシと思ったかもな。
さて、ここでトドメと行くか。
「ここでどちらかを取るのであれば、宝玉を一個だけ王国に献上させてもらいます。今回の騒動に対する、共和国からの誠意あるお詫びの品として」
「俺もエドもそれなりの立場だからね。陛下と王妃様に口添えして、国同士の交渉は対話による解決にしてもらうよう、口添えもしますよ。残りの宝玉は……今後の対応次第では無償でお返ししますよ」
「……なら、こちらからも条件を提示させてもらう。誓いをした場合の賠償金を半分ではなく、十分の一にしてくれないか?その額ならフェーヴェル家だけで支払うことができるからね」
「アルベルクッ!」
ラウルト家当主―――アルベルクさんの交換条件にランベールは怒鳴り声を上げるが、もうお前には決定権はない。あるのはどんな形で今回の責任を取るかだけだ。
「え?本当にそれでいいの?」
「ああ。君達が良ければだが」
「そうだね。今、この場で誓うならそっちの条件を呑もうかな」
リオンが意外そうに声を上げているが、オレも同じ気持ちだ。ナルシス先生が最悪を回避しようとしていたから、てっきり誓いの内容を弛くするよう提案すると思ったんだけどな。
そうなったら、これまでの無礼を引き合いに出して黙らせる予定だったんだが……アルベルクさんにとっても都合が良かったのか?マリエ達の滞在先の屋敷―――そこにトラブル防止で設置していたドローンの監視映像もお蔵入りしそうだし。
「なら、決まりだな。ランベール、彼等が提示した条件を聖樹を介して誓いたまえ」
「レイシス、貴様まで!このような事が―――」
「なら、フェーヴェル家だけで彼等への賠償金を払いたまえ。この件に関して、ドルイユ家は援助しない」
「!?」
「バリエル家も同じくだ。泣いて縋ろうと、一ディアも出さない」
「プレヴァン家もだ。今回の責任……フェーヴェル家だけで取りたまえ。貴様が始めたことだからな」
完全に見捨てられる形となったランベールは、多額の賠償額と理不尽な誓いが記載された紙を交互に見つめる。やがて観念したのか、絞り出すように声を上げる。
「ち……誓いの方を、受け入れる……!この金額は、フェーヴェル家だけでは、支払えない……!」
「そうですか。では、聖樹に誓って下さい」
オレが事務的にそう告げると、ランベールは言葉を詰まらせながらも、オレとリオンが提示した条件を口に出して告げていく。
そして―――
「い、以上の誓い、を……せ……聖樹、へと……誓……う……」
ランベールが最後にそう締め括ると、足下に法陣が展開され光を放つ。直ぐに光が収まり、法陣も消えると……ランベールはその場で四つん這いとなり、泣き崩れた。
「な、何で……何で、こんな……こと、に……」
ランベールがそのまま子供のように泣き叫んだが、同情なんてしない。今までのツケが回ってきただけで、オレはそれを利用したに過ぎないからな。
それに本人が気付いているかは知らないが……ランベールが死ねば、この誓いは直ぐに効力を無くす。つまり、ランベールはこれから一族の暗殺に怯えて過ごすことになる。権力争いから強制離脱させられた挙げ句、暗殺との隣り合わせ……軽い手出しで最悪の負債を一生背負う結果となった。
恨むなら……借り物の力で傲り昂った己自身を恨むんだな。コイツにそんな殊勝な態度は望めないけど。
「レイシス。一連の流れからだが……彼等と裏で繋がっていたのか?」
「……それは貴様もではないか?アルベルク。あの男……リオンを食事に誘ったことも含めてな」
「…………」
「あまり肩入れするなよ?……私も言えたことでもないがな」
「レイシス?」
「些末な独り言だ。せいぜい、その席が奪われないよう、気を付けるんだな」