チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


嘘だろ、おい(二回目)

フェーヴェル家への落とし前もしっかりと付け、ピエールの取り巻き達からも治療費を含めた三人分の慰謝料も回収した。

取り巻き達は最初、ピエールが全部悪いと責任逃れをしようとしていた。それもすぐに黙らせたけど。

何せ……アインホルンでの会話を聞かせて上げたからね。王国の留学生を全員殺して、その首を王国に送り付けて戦争を起こそうとした、その音声をね。

 

これを共和国の議会と、王国の陛下達に伝えたらどうなるかなんて一目瞭然だからね。未遂で終わったとはいえ、これが公になったらますます自分達の首が締まるのは目に見えてるからね。アインホルンの暴走で心が折れていたのもあり、すぐに全額支払ってくれたよ。その巻き上げた分はジャンとマリエに渡して、この件は一先ずは解決ってね。

ピエールとフェーヴェル家に落とし前を付けた翌日、屋敷にある自室でオレとリオンはルクシオンが水やりをしている聖樹の苗木に目を向けていた。自室なら面倒な会話もできるしね。

 

「まさか、苗木が枯れる原因が聖樹にあるなんてね。本当に植物としての生態がおかしいよな」

「人工的に生み出した植物ならあり得るんじゃないか?品種改良……この場合は改造か?無理に付随させた能力なら、その弊害も出るだろうし」

 

ルクシオンがあれこれ調べて分かったことだけど、苗木は聖樹が近くにいると育たない……むしろ、積極的に枯らしているみたいなんだよな。聖樹が苗木が育つ為の養分さえ吸いとっている感じで。

このプランターの中なら聖樹も干渉できないから、苗木が枯れる心配は今の所はない。大事な植質だから、そこは安心だね。

 

「そうなると、聖樹は誰が作ったのかって話になるよな」

「新人類……にしては聖樹を作るメリットがないよな。魔素って新人類が生きるのに必要な物なんだろ?必須の栄養源を奪う植物なんて、不都合すぎるだろ」

「じゃあ、聖樹って旧人類が生み出した植物ってこと?」

『キャプテン。今すぐあの巨木を焼却処分するぞ。旧人類の遺物に存在価値なぞ欠片もないからな』

「やるか、馬鹿」

 

ハーツが聖樹を焼き払おうと提案してきたが、絶対にやらないからな?やったら共和国も含めて、共和国から魔石を買い取っている国家全てが敵に回るぞ。

 

『ならば、この苗木だけでも……!』

「だから止めろ。貴重な植質を燃やそうとするな」

『全くです。マスター達にとっての貴重な存在を安易に排除しよとするとは、本当にお前はポンコツですね』

「急に手のひらを返すよね。お前も聖樹の排除に賛成だったのに」

 

ルクシオンの手のひら返しにリオンも半分呆れているな。完全に立場が入れ替わっているし。

 

『あの時は情報不足から下した判断です。結果的にマスター達の判断は正しかったので、評価を上方へと僅かに修正しておきましょう』

「それ、ほとんど変わってないよね?」

 

どっちにせよ、聖樹のラスボス化は防がないと駄目だけどな。留学期間も一年だし、留学が終わったら王国に帰らないといけないし。

ちなみにマリエ達は元の滞在先の屋敷へと帰り、退院したジャンはワンコのノエルの傍にいる。ワンコのノエルはもうすぐ寿命を迎えるそうで、友人のノエルと世話をしていたヘルトラウダも一緒に過ごしている。

ティアはどうしたのかって?ティアは―――

 

「聖樹が旧人類の遺物っすかー……ラプっちは知っていたっすか?」

『待機命令により時代の変化も探れなかった為、存じ上げません。しかし、似たような実験が行われていた記録がありますので、その可能性は高いかと』

 

この自室に呼んで、ラプラスと一緒に話し合いに応じてもらった。情報の擦り合わせは大事だし、食い違いがあったらマリエの二の舞になるからな。

 

「じゃ、前置き無しで話をしようか。例の乙女ゲー……その知識は何処まであるんだ?」

「一応、三作目までの知識はあるっす。初作と二作はコンプして、三作目はコンプ前に死んだっす」

「初作もコンプしたのね。あれって課金が前提じゃないと無理なのに」

 

リオンがそう呟くと、ティアは同意するように激しく首を縦に振る。本当に初作は課金前提だと思い知らされるよ。

 

「そうっすよね!ルクシオン、アロガンツ、ブレイブ……高価な課金アイテムを使って漸くっすよ!二作目は安価な課金アイテムでもコンプ可能だったっすのに……全体のゲームバランスが本当におかしいっすよ!」

 

……耳が痛いなぁ。初作の初期開発の段階で死んだから、本当にどうしようもなかったけど。ティアの叫びにリオンもウンウン頷いているくらいだし、どれだけ初作の難易度は異常だったんだ。

 

「ちなみにそっちの知識はどうなんすか?」

「俺は初作のフルコンプの知識だけ。エドに至っては皆無だ。今回の留学も三作の知識を持っているマリエからの情報だ。穴もあってうろ覚え程度だけど」

「そうだったんすかー……だからノエっちが主人公かどうか判断できなかったんすね」

 

こっちの把握している情報も聞き、ティアは得心がいったように声を洩らす。本来存在しない双子の妹―――レリアの存在もあるから、余計に納得がいったんだろうな。

 

「でも……どうして王国側のシナリオがメチャクチャになっているんすか?初作の攻略対象全員がマリエさんに惚れ込んでいるっすし、三作目の敵キャラだったヘルトラウダも一緒なんすよ?知識のないエドワードさんならまだしも、他のお二人はシナリオ通りに進めようと考えたんじゃないっすか?」

 

やっぱりそこを突かれるか。普通に考えればゲーム展開通りに進めれば安全だと考えるからな。

そんなティアの当然の指摘に、リオンがうんざりしたような表情で答えた。

 

「そこでマリエがやらかしたんだよ。中途半端にしか知識がなかったから、自分が主人公に成り代わって逆ハーレムを数ヵ月で完成させたんだよ」

「マ、マジっすか……」

 

リオンが明かしたマリエのやらかしに、ティアは顔を引き攣らせている。ティアもコンプしたのなら、聖女の成り代わりは実質不可能だって知っているだろうしな。

 

『つまり、マリエはゲーム知識を活かして五人を堕とし、優雅な人生を送ろうと計画したのですか。見た限り、失敗しているようですが』

「正解。それで五人は名門の跡取りからヒモにジョブチェンジだ」

「しかもマリエの本性を知っても離れないくらい、入れ込んでいるからね」

 

本当にラプラスの言う通り、マリエの計画は失敗しているからな。その原因の一端はオレとリオンにあるけど。

 

「本当にやっちゃってるっすね。それでよくお二人は排除しなかったすね。ピエールのように」

「やらかしのタイミングもあってな。その後でアイツが前世の妹なのも知って、今の関係になっている」

「ちなみに罰金刑も課してる。総額六千万ディア」

「おおう……色々衝撃っす」

 

そりゃそうだよな。一番の原因となったマリエがリオンの前世の妹だって知ったら、反応に困るよな。

 

「そこでこの腕輪が三作目のアイテムなのも知った。外せば爆発確定だから、もう外せないし」

「あー……よく爆発せずに済んだっすね。それ、本当に確率が逆じゃないかと言いたいくらい、爆発してゲームオーバーになったっすから……」

「そんなに爆発したの?」

「百回目でようやく成功したくらいっす」

 

確率百分の一……本当にクソアイテムだったんだな。

 

『本当に欠陥兵器ですね。新人類の兵器なので当然ですが』

『その点はルクシオンと同意ですね。新人類を爆殺する点に関してだけは評価しますが』

『その欠陥兵器に敗北した貴様らは、それ以下だな』

 

二対一の構図で相棒達が小競り合いをしているが、無視。これが平常運転だから、そろそろ諦めている。やりすぎたら止めるけど。

 

「でも、これからどうするんすか?ピエールが完全に失脚したっすから、もうピエール絡みのイベントは起きないっすよ?シナリオがまた崩壊してるっすよ」

「もうとっくに崩壊しているから今更だ」

「エドの言う通りだね。あのままピエールを野放しにしていたら、王国と共和国の戦争に発展しかけてたし。そっちの方が遥かに問題じゃないか?」

「うわぁ……生粋の糞キャラは、本当に根っからの糞っすね」

 

ティアがピエールの計画を知り、嫌悪感を隠さずに呟く。あんな性格が終わってる糞野郎でも、聖樹は力を貸しているからな。人格とか一切考慮せず、自身の利益第一みたいだし。自然界ではそれが普通なんだろうけど。

 

「個人的な疑問なんだが、お前は何処から介入し始めたんだ?ノエルと友人関係になっているし」

「あー……実は、ノエっちとロイクとの関係にヒビが入り始めた辺りからっす。最初は私も、双子になっているのもあって、静観してたっすけど……」

 

静観か。そう言えば、リオンも最初は静観しようとしていたんだっけ?オレがリビアをお茶会に誘ったのが切っ掛けで、どんどん介入するようになったけど。

 

「その場で二人のやり取りも聞いちゃって……それでつい、口出ししちゃったんすよね。ノエっちの言葉にもちゃんと耳を傾けるようにお願いしたくらいっすけど……」

『そのお節介にロイクは逆上し、独占欲が悪化しましたがね』

 

これは……微妙なラインだな。結果だけ見ればティアもやらかしたと言えなくもないけど、二人の間を取り持とうとしただけだし。いや、これがやらかしならオレとリオンも十分やらかしているか。

結論、無罪!異論は認めない!

そんなオレのアホらしい考えを他所に、リオンが質問する。

 

「マジか……その時点で他の攻略対象に変えさせようと思わなかったの?」

「ロイクと最初に関係を持った時点で困難っすよ。普通でさえ監禁エンドの確率が高いっすのに、あの状態で他の男性と親密になったら確定になるっすよ……ジャンっちが基本無視されているのは、平民だからからっすし」

「本当に地雷過ぎるだろ」

 

これじゃ確かに恋愛フラグが全滅するわ。ノエルの身を優先するなら、下手に攻略対象との縁を繋げようとするのは危険と判断するわ。

 

『最初から積極的に介入すれば、まだマシな状況になったと思いますがね。ノエルの気持ちを優先して放置した結果、このような面倒な状況に陥ったのですから』

「それはそうっすけどぉ……そんな道具みたいな真似は嫌だったっすし……」

 

ラプラスの人情ゼロの指摘に、ティアは落ち込みながらも無理だと呟く。何、この善人ちゃんは?普通に良い子過ぎるんだけど?

 

「でも、どうするんだ?今のままじゃ、アイツはノエルにしつこく粘着するぞ?」

『粘着という表現は適切ではありません。あれは固執の域です。ノエル用に通常の首輪を購入したのですから』

「首輪……完全にアウトだろ。普通にバッドエンドの未来しか見えないんだけど?」

 

首輪って……絵面を想像しただけでアウトだろ。リオンも顔を被って項垂れているし。

 

『更に付け加えますと、マスターとノエルも首輪を手に探し回っていたロイクを目撃しています』

「そうなんすよ……それを見てノエっちは完全に引いていたっす。完全に脈なしっすよ」

 

うん。普通にオレでもないと判断するわ。典型的なドMじゃないと悦ばないだろ。

 

「もういっそ、リスクを覚悟で他の攻略対象と接点を持たせた方がいいんじゃないか?聖樹がラスボスになったら、世界終了なんだし」

「そうなんすけど……あの先生とのフラグも消えてますし、ユーグ先輩はルイーゼ先輩との婚約が決まっているっすし……それで隠しキャラのフェルナンさんも自然消滅……セルジュに至っては接点そのものがないっす……」

 

フェルナン……ああ、先日会ったドルイユ家の当主か。あの人も攻略対象なんかい。ティアの口振りからして、隠しシナリオみたいだけど。どっちにしろもう無理だけど。

 

「エミールは?ノエルの妹と交際しているからもう対象外だけどさ」

 

リオンがそう聞くと、ティアは何故か気まずそうな表情で視線を逸らしている。

何、その反応?凄く不安なんだけど?

 

「じ、実は……プレイしたユーザー達の考察なんすけど……エミールもロイクに匹敵する独占欲の強いキャラじゃないかと掲示板で話題になっていたんす……」

 

……は?エミールも地雷?安牌と言われているらしいエミールが、ロイクに匹敵する地雷?

 

『マスター情報では、エミールのルートだと今まで登場していた人物が次第に出なくなっていたそうです。その事から、エミールが裏から排除しているのではないかと憶測が飛び交ったそうです』

「ふ、不穏過ぎる……」

 

まさかの情報にリオンも表情を引き攣らせている。

あくまでゲームの中だからイコールとはならない筈……だけど、ゲーム知識があっても隠れた地雷を踏み抜いている可能性があるからな。本当に共和国もシナリオ通りに進めたらヤバいだろ。

 

「やっぱり、シナリオ通りに進めるのは危険じゃないか?聖女装備とやらも、怨念が籠った呪いの装備だったし」

「え?呪いの装備?私それ、初耳なんすけど!?」

 

そりゃ驚くよな。リオンだけでなく、実際に手にしたマリエも知らなかった事実だからな。

 

『マスター。彼等は嘘をついている可能性がありますよ』

「それ、本当っすか?ラプっちが嘘を教えているんじゃないっすよね?」

『チッ。無駄に鋭いマスターだ』

「しれっと嘘を教えるなっす!機械なのに嘘をついたっすよ!コイツ!」

『私は偵察船ですので、偽情報を掴ませるのも仕事です』

 

本当にラプラスは隙あらば関係にヒビを入れようとするな。あっさり白状するから、コントに成り下がっているけど。

 

「とにかく、そんな事情もあるから留学という形で探りに来たんだ。当初はオレとリオンだけだったが、あの五人がやらかして国内に置けなくなったから押し付けられる形で、アイツらも留学になった」

 

オレは一度眼鏡を外してレンズを拭く。面倒事を解決して、更に面倒事が舞い込むとか罰ゲームみたいで嫌だよ。

ん?急にオレの顔をガン見してどうしたんだ?ティア。

 

「……エドワードさんって、前世では眼鏡を掛けていたっすか?」

「?イヤ、前世で眼鏡は着けてなかったぞ?」

 

急に何でそんな事を聞いてきたんだ?リオンも意味が分からず、首を傾げているし。

 

「……死因はトラックに跳ねられての事故死じゃないっすか?それも、乙女ゲーを作ったゲーム会社の社員で」

 

何でそんなにピンポイントで当てられるんだ?いや、ラプラスに探らせたのか?

 

「本当によく調べたな。こっちでは口にしてない筈なのに」

「違うっすよ。私が前から知っているだけっす」

 

……前から知っている?それって前世絡みで―――前世?

オレはまさかと思って眼鏡をかけ直し、ティアの顔をまじまじと見つめる。

丸ぶちの眼鏡を掛けてはいないが……コイツ、前世の後輩じゃないか!?

イヤイヤ。そんな訳がない。こんな偶然というか……そんな事があり得るのか!?

 

「その反応……やっぱり先輩っすよね!?学生時代、私を虐めた生徒達を家族ごと県外に引っ越しさせて軒並み排除した、あの悪魔の先輩っすよね!」

「本当にお前かよ後輩ぃいいいいいいいいいいっ!?」

 

ティアの前世が、あの時のオレの後輩かよ!?眼鏡を掛けてなかったから気付かなかったわ!

って、急に抱きつくな!前世でもそうだったけど、本当にスキンシップが激しいな!?

 

「先輩!また会えて嬉しいっす!結婚して下さいっす!!」

「いきなり何言ってるんだ、お前は!?」

「ドストレートに伝えないと、先輩は気付かないからっすよ!あれだけアプローチしたのに、全然気づかなかったんすから!」

「だから何の話だ!?」

 

そんなオレとティアを、リオン達は呆れたように見つめていた。

 

「……エドの鈍感ぶりは前世からだったのか。マジで爆発しろ」

「だから何の話なんだよ!?」

『本当にエドワードは鈍感ですね』

『全くだ。この小娘がキャプテンに惚れ込んでいるのは明らかだと言うのに』

『芝居の様子がありませんね。マスターの度々口にしていた先輩が実在していたとは驚きです』

 

……はい!?

 

「え?お前、オレに惚れ込んでたの?冗談でもなくマジで?」

「マジっすよ。女の子は普通、好きな相手にしか密着しないっすよ?」

 

ティアはそう言って膨れっ面でオレを可愛らしく睨んでくる。

前世絡みで判明したまさかの事実に驚いたが……その想いには答えられないな。オレ、もう婚約しているし。

 

「悪いが、オレには婚約者がいるんだ。だから、次の恋で頑張ってくれ」

「婚約者!?それは政略結婚すか!?それとも、恋愛結婚っすか!?」

「恋愛の方だね」

「マジっすか!こんな鈍感な先輩のハートを射抜いたのは、一体誰なんすか!?」

『オリヴィアだ』

「まさかの初作の主人公!?」

 

ハーツがあっさりとリビアだと告げたことで、ティアがショート寸前のようにフラフラとなっている。嘘じゃないから責められないし、暫く時間を置くしか……

 

「どっちが口説いたんすか!?主人公!?先輩!?」

『オリヴィアからだ。真正面から堂々と告白してな』

「やっぱり主人公からっすかぁ!!こんな鈍感でヘタレな先輩が、自分から告白するなんてあり得ないっすからねぇ!先輩から告白されるのを待っていたら、事故死でいなくちゃったんすから!!」

「ヘタレで悪かったな、後輩」

 

これからの話し合いの筈なのに、何でオレの前世絡みの恋愛話になるの?哀しいことに、オレに止める権利がなさそうだし。

そんなティアは、リオンに詳しく聞こうと話を振っていく。

 

「リオンさん、彼女は側室っすか?」

「リビアはエドの正妻だよ。エドがヘタレていたから、周りが裏工作して名門貴族の遠戚という設定でくっ付けた」

「だからヘタレ言うな」

 

ヘタレ具合はお前も負けてないだろ、リオン。アンジェ嬢との婚約でもオレと同じく逃げていたんだからな。

 

「なら、側室でもオーケーっす!第二夫人でも全然構わないっす!」

「ちなみにエドはもう一人言い寄られて、返答は保留してる」

「じゃあ第三夫人っす!側室は何人いても問題ないっすから!」

『簡単に妥協しますね。本当に惰弱なマスターです』

 

ラプラスが何となく呆れたように呟いているけど、オレとしては困るんだけど?リビアとクラリス先輩から怒りで詰め寄られそうで。

 

『安心しろ。キャプテンが尻に敷かれるのは決定事項だ』

「どこに安心要素があるんだ、ポンコツ」

 

本当にオレに対して辛辣だな、お前は。

本当にどうやって収拾を付けようかと悩んでいると……部屋の扉がノックされた。

 

「失礼します。マリエ様と、この前訪問された方―――ノエル様の妹であるレリア様が面会を希望なされていますが……」

 

……ここでレリアが来たか。理由は、お察しだな。

 

「……分かった。二人をすぐに通してくれ」

「分かりました」

 

ヘルトラウダはそう言って、二人を呼びにその場を後にする。これが吉と出るか、凶と出るか……吉であってほしいよ。切実に。

 

 

 




「それにしても、よく覚えているよね。十年以上前の記憶で、うろ覚えになってもおかしくないのに」
「この後輩、記憶力は抜群だったからな。だからテスト範囲の丸暗記でテストは高得点」
「さすがに前世の名前は覚え出せないっすけどね。ちなみに今も筆記テストは十位圏内っす」
「何、そのリアルチート」
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