チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


ますます面倒に

自室から応接間に移動して、オレはリオンとマリエ、ティアとレリアの五人でテーブルを囲っている。レリアはティアの顔を見て露骨に顔を歪めたが、優先順位からか掴みかかることなく同席を黙認している。

ちなみにラプラスはステルスモードで姿を隠している。レリアは味方と言い切れないし、保険として隠れておきたいだろうから黙認しているけど。

そんな微妙に緊迫した雰囲気の中、レリアがリオンの隣にいるルクシオンを指差しながら口を開いた。

 

「何でチートアイテムを持っているのよ」

 

チートアイテム。それもルクシオンを指差してだから、確定だな。

 

「やっぱり転生者だったか。主人公……ノエルの双子の妹とか、完全に渦中だろ」

「は?何言ってんのよ。私が渦中なんてあり得ないわよ。《巫女》の適性だってないんだし」

「え?適性ないの?双子の妹なのに?」

 

レリアの返しにリオンが驚いたように声を上げるが、オレも内心で驚いている。マリエとティアも目を見開いているし。

いや、双子でも必ずしも同じとは限らないからな……あり得ない話でもないか。

 

「自分で確認したのか?」

「両親が言っていたのよ。私には《巫女》の適性はないって。だから、適性のある姉貴しか聖樹の《巫女》になれないのよ。それと、アンタ達もやっぱり私と同じなのね」

「前世持ち、という意味ではな。知識持ちはリオン、マリエ、ティアの三人で、オレは一切持っていない」

「それを信じろと?」

 

オレの言葉にレリアは半信半疑だ。悪魔の証明だからどうしようもないし、弁明しても言い訳にしかならない。

それより、こっちもお前に対して確認したいことがあるからな。

 

「レリア。お前がリオン達と同じく乙女ゲーとやらの知識があるなら……その知識はどこまで持っているんだ?ちゃんとバッドエンドも含めたフルコンプの知識なのか?」

「何でそんな事を聞くのよ?」

「大事な事だからだよ。現にマリエ……コイツが中途半端な知識だったせいで、俺とエドがその尻拭いをする羽目になったからな」

 

ある意味結果オーライではあるけどな。捨て駒前提だったお飾り姉妹は両者共に生存。実際は怨念が籠ったヤバい装備からリビアを遠ざけてくれたし。おバカファイブ?とっくにそっち方面では見切りをつけている。当人達は幸せそうだし、もう別にいいかと。

そのマリエの心労は相当だけど。同情は少ししかしない。完全な自業自得だし。

それに対し、レリアは忌々しそうに睨み付けていた。

 

「ピエールのイベントを潰したくせに」

「アレはアイツが喧嘩を吹っ掛けてきたからだ。しかも、ソイツは調子に乗って王国と戦争しようと画策していたしな」

 

最悪の場合、聖樹のラスボス化が戦争の最中になっていたかもしれないんだ。結果論ではあるけど、もしそうなっていたら共和国が違う形で滅びる可能性もあったんだ。さすがに言い訳みたいになるから、それは口に出して言わないけど。

だが、あのまま泣き寝入りするのは個人的にもあり得なかったが、国家としてもあり得なかったんだからな?

 

「それに、喧嘩のふっかけ方も問題だ。ユリウス……王国の王子に危害を加えようとしたんだ。それが本来はどれだけヤバいことか、さすがに理解できるだろ。例えるなら、大統領の息子や王室の子息といった国の要人への暴行と同じだ」

 

それも王国側に非があるように裏工作無しで、だからな。他の国家であれば、圧倒的に不利な要求を突き付けられるやらかしなんだ。それを力で黙らせていただけで、戦争に発展してもおかしくないんだ。

 

「あー、確かに……場合によってはテロリスト扱いになるやつだな」

「そういえば、ユリウスは王族だったわね……」

「よく個人的な問題に落とし込んだっすね。国同士で争いとか、洒落にならないっす」

 

オレの例えにリオン、マリエ、ティアは納得している。レリアは変わらず不機嫌そうな表情のままだが。

事実、今の王国はかなりゴタゴタしているんだ。そこに国際問題まで舞い込んだら、ますます情勢が面倒になる。かといって王子に危害が加えられかけた以上、黙りも国の威信に関わる。色々やらかしたとはいえ、王族の一員である事実は変わらないからな。

だから、個人的な喧騒の落とし前に持っていった。互いに両成敗の手打ち、国交の見直しに発展しない域へとね。無理をしてでも報復に動く域に移行したら、絶対に面倒になるからな。

 

『何が面倒だ。半ば予想しながら待ちの姿勢だったというのに』

「予想してたなら阻止しなさいよ!アンタ、絶対に腹黒でしょ!」

 

ハーツが余計な事を言って、レリアが激怒してオレに噛み付いてきた。

いや、向こうが手を出さなかったら何もしなかったからな?それに、完全にこっちを舐め腐っていたし。

 

「腹黒は事実だが、向こうの出方なんて阻止できるか。マリエ達にも喧嘩は買うなと釘は差していたし……」

「それでもよ!アンタもチートアイテムを持っているんでしょ!?その喋る結晶も、チートアイテムの類でしょ!どうせ、ゲーム知識を利用して―――」

「そのアイテムがこの腕輪なんだが?」

 

オレはそう言って、レリアに腕輪―――ハーツの本体を見せつける。その腕輪を見た瞬間、レリアは顔を引き攣らせた。

 

「それ……三作目の爆弾アイテムじゃない」

「みたいだな。マリエが教えた事で始めて知ったが、装備した瞬間に高確率で爆死するんだろ?事実、これを外したら家一件吹き飛ぶ規模で爆発するとコイツは言っていた」

「……本当に?」

『事実だ。元々は旧人類に使わせない為の迎撃機能だ』

「……アンタに三作目のゲーム知識がないことだけは信じてやるわ。本当に知ってたら、絶対に装備しないからね」

 

予想外で限定的とはいえ、オレがゲーム知識皆無であることを信じてもらえた。どれだけこの腕輪は危険な品物だったんだよ。

いや、百回に一回の確率でしか装備できないから当然かもしれないけど。

 

「そもそも、何でお前の姉が監禁エンドに進んでいるのを放置しているんだよ?身内の情とかないのか?」

「監禁エンド?何よそれ?」

 

……監禁エンドを知らない?それってつまり!

 

「お前も半端な知識で推し進めたのかよ!?オレらのやらかしを責めているが、お前も十分やらかしてるじゃないか!!」

「はぁ!?そこの女とアンタ達が邪魔したからでしょ!?私がどれだけ苦労したか理解してる!?」

「イヤイヤ!それ以前の問題っすよ!確かにノエっちもロイクも最初は問題なかったっすけど、ロイクの方が原因で徐々に亀裂が入っていたんすよ!?あれじゃどの道破綻してたっす!」

 

レリアがオレ達が原因だと怒りを露にするも、ティアが反論するように声を上げる。

自分は全く悪くないと言いたげなレリアに、今度はマリエが指摘する。

 

「私も映像で確認したけど……あれは典型的なDV男だったわよ!あれじゃ、無理にくっ付けても主人公に暴力を振るうだけよ!リアルに束縛の強い男とか、冗談抜きでマズイって!」

「ロイクは俺様キャラなんだから、多少は仕方ないでしょ!」

「仕方ないわけあるかボケェ!DVは簡単に矯正できないのよ!」

 

マリエの言葉に妙に説得力がある気が……あ、そう言えばマリエの前世の死因は彼氏の暴力だったっけ?DV男の被害が骨身に沁みて理解しているから、ロイクの危険性も理解しているのか?

いや、それよりも……レリアの思考が完全にゲーム脳になっているのが問題だ。完全に最初の頃のリオンと、あの時のマリエと同じパターンだぞ。

 

「お前も現実とゲームを混ぜてる口か。本当にその思考はマジで止めろ。この世界の人々はゲームキャラでも何でもないんだぞ」

「うっさいわね!やらなきゃ世界崩壊で全部が滅びるのよ!?そっちこそ理解しているの!?」

「理解しているから現状を探りに来たんだよ。つか、今の聖樹がなくなった後の事もちゃんと考えていないだろ?苗木だけで共和国のエネルギーが全部賄えると、本気で考えているのか?」

「ゲームはそれでハッピーエンドだったんだから、それでいいでしょ!」

 

ああ言えばこう言う……なんてレベルじゃない。

コイツは完全に都合の良い部分しか見ていない。これじゃ、マリエの方が遥かにマシな部類だ。

マリエは治癒魔法が使えるという理由から聖女の立ち位置を狙ったが……一応は自分で解決しようとはいていたし、リオンとの情報の擦り合わせも、嘘と判断するまでは素直に聞き入れていた。ティアも前世の後輩と分かる前から、こちらの言い分にも耳を傾けてくれてはいた。

 

だが、レリアは明らかに違う。

ノエルとロイクの関係が最悪なのにも関わらず、関係修復に動こうともせずに他人のせいにする。ラスボス撃破後の問題に対しても、ゲームではそれで上手くいったからと思考放棄。ノエルの双子の妹としてずっと近くで見ていた筈なのに、姉に面倒事を全部を押し付けて事実上の放置。手助けする気も感じられないし、当事者意識が皆無に近く傍観者としか自分を捉えていない。

 

「……お前は姉に全部を押し付ける気か?姉を人柱にすることに、何の後ろめたさもないのか?」

「他に方法なんてないでしょ。シナリオを壊しておきながら、よくそんな事が言えるわね」

 

……もう、オレの中ではレリアは味方にすらならない。完全な“敵”だ。

だが、これはあくまでオレの独断。完全に敵対したらノエルの件も含めてどう転ぶか分からない。レリアも世界滅亡は望んでいない以上、ここで決裂してもデメリットの方が多すぎる。

本当に、最悪だ。

 

「お、落ち着くっすよ。このままじゃ、何の解決にもならないっすから」

「ティアの言う通りだ、エド。さすがに感情的になりすぎだ」

 

ティアだけでなくリオンにまで宥められ、オレは深く息を吸って吐き出し、気持ちをリセットするように務める。このままじゃ二人の言う通り、話し合いは平行線どころか破綻待ったなしだからな。

 

「それより聖樹の苗木よ!あれは姉貴が傍にいないと直ぐに枯れてしまうのよ!?本来のタイミングより早く回収して、苗木が枯れでもしたらどう責任を取るつもりよ!?」

「え?そうなの?苗木ちゃん、ノエルの傍じゃないと枯れちゃうの?」

 

リオンはそう言って、苗木が入ったプランターをテーブルの上に置く。青々しい聖樹の苗木の姿に目を見開いているが、特段不思議なことじゃないぞ。それとリオン、お前はルクシオンからの報告を忘れてないか?

 

『それはそこの愚物が用意したプランターで解決済みだろう』

「……苗木が枯れる原因は聖樹にあるってルクシオンが報告していただろ。ノエルが傍にいないといけないのは、そのプランターがない状態での話だろ」

「あー……確かにそうっすね。《巫女》が防波堤になって、干渉を和らげているなら納得っす」

「そう……じゃあ、その聖樹の苗木をさっさと寄越しなさいよ」

 

一応、枯れる心配がないと分かったレリアは、一方的に苗木の引き渡しを要求してきた。

いや、無条件で引き渡すなんて出来るわけないだろ。

 

「……本当に状況を見ていないんだな」

「は?アンタ達が引っ掻き回したんだから、その謝罪として渡しなさいよ」

「……それをしたら、ピエールとフェーヴェル家の一件が面倒になる。彼処まで制裁しておきながら、表向きは無名の貴族が無条件で苗木を受け取ったなんてなってみろ。下手すれば、再度国際問題だ」

 

特に和解の舵を切ったラウルト家とグランジュ家の立場が悪くなる。泥沼の政争に発展したら、それこそ本末転倒だ。今回の制裁だって、権力争いに都合が良いように調整したからこそ、すんなり受け入れられたんだろうしな。

 

「唯でさえ、見下していた相手に手痛い反撃を受けたんだ。安易に無償で引き渡したら、プライドが益々傷つくことになるぞ」

「屁理屈だけは一丁前ね」

 

正論を屁理屈扱いか……確かにこっちの都合からの言い分だが、自身の失態を棚上げして要求する時点でお互い様だ。

 

「一応、留学が終わるタイミングでノエルに渡すさ。そっちの方が自然だし、《巫女》の適性があるノエルに直接渡した方が都合が良いと思うんだけど?後、今渡しても相手がいないし」

「ロイクがいるでしょ」

 

リオンがオレと間を取り持つように折衷案を告げるも、レリアは暗に突っぱねる。

そのロイクはストーカーと化して完全に脈なしなんだって。本当に何で不都合な面を頑なに見ようとしないんだ。留学期間中に解決の目処が立つか不安になってくるぞ。

 

「……って、それ!何でアンタに《守護者》の紋章が出てるのよ!?」

 

はい?

レリアの突然の叫びに、オレはどういう事かとレリアが指差す方へと視線を向けたら……リオンの右手の甲にピエール達とは違う、聖樹の力の証である《紋章》が浮かんでいた。

 

「な、何でっすか?《守護者》は《巫女》の推薦がないと選ばれない筈じゃ……」

「え?本当に何でなの?俺、何もしてないよね?」

 

ティアもリオンも想定外の事態に狼狽えているが、オレもこれは予想外だ。

《守護者》は《巫女》が相手を推薦して、聖樹が相応しいと判断したら力を貸すんだよな?なのに、植質として確保しているリオンに力を貸そうとするだなんて……

 

「……あ」

 

そう言えば、聖樹は人格に関係なく力を貸していたよな?思いっきり悪用していたピエールに力を貸していたくらいだし。つまり、植質として確保していてもそこは問題にはしないんじゃないのか?むしろ、丁重な扱いをされて安心するくらいじゃないか?守り手は欲しい筈だし。

その上で、安全圏を提供しつつ外敵も物理的に排除したリオンは苗木からしたら、自身を守ってくれる超優良物件じゃないのか?それで苗木の手放しを匂わせたら―――

 

『力を貸して上げるから、ちゃんと手放さずに守ってね?』

 

―――になるんじゃないのか!?

 

「しっ、失策だ……ゲーム知識に引っ張られすぎた……」

「え?失策って何?エド、頼むから説明してくれ!」

 

オレが頭を抱えてそう呟くと、リオンが説明を求めて揺さぶってくる。なので、オレは素直に行き着いた可能性をそのまま伝える。

それを聞き終えたリオンも含めた一同は……揃って頭を抱えた。

 

「本当に何てことをしてくれたのよ!?」

「兄貴たちの馬鹿!違う意味で面倒になったじゃない!」

「《守護者》って鞍替えできないっすか!?リオっちの次に自身を守ってくれそうな相手なら、ワンチャンないっすか!?」

「ルクシオン!これ、取ることが出来ないか!?」

『命に別状はありませんし、そのままでも問題はないかと。後、苗木を回収した時にはノエルも同行されておられましたよね?それも聖樹の苗木には、判断材料の一つになったのではないかと』

「……マジで?」

『その可能性は濃厚だな。タイミングが早いという指摘を除けば、イベントとやらは踏襲していると取れるのではないか?』

 

ハーツのその指摘に、オレは問い掛ける意味を込めてティアに視線を向ける。ティアは今気付いたと言いたげな表情になっていた。

 

「た、確かに……!人質発言や制裁の内容に意識が向いて忘れていたっすけど……ゲームイベントでの苗木の回収は、主人公と攻略対象の共同作業だったっす!」

「ちょっと待って!まさか、アンタと姉貴がこの前行ってたダンジョンって……!?」

「は、ハイっす……リオっち達と同行してたっす……」

「本当に何で止めなかったのよぉおおおおおっ!?」

 

まさかの事実に、レリア発狂。ゲームにおける重要イベントが外の人間で早くに回収されたから当然だけど。

図らずもマリエと同じことをやってしまったな。ピエールの排除にそれしか手がなかったとはいえ……本当にどうしよう?

 

「……新しく聖樹の苗木を探す?」

「簡単に見つかるなら苦労はしないわよ!」

 

ごもっともです。ハイ。

結局、リオンが《守護者》になってしまったせいで話し合いの続行は不可能。レリアはエミールとのデートがあるからと帰っていった。

ティアが前世の後輩だったという事実だけでもいっぱいだったのに、リオンが《守護者》に選ばれるという想定外の事態にもうキャパオーバーだよ。

 

「……本当にどうしよ?」

「留学中だからまだ時間はあるのが幸いだが……万が一の保険を使えなくしまったのが痛い……」

『本当にキャプテンは肝心なところで抜けておるな』

『全くです。マスターも気付いておられませんでしたし、本当に重要な箇所でミスをしますね』

『本当に新人類の思考力は残念だ。旧人類の要素がありながら、その恩恵が全くないからな』

 

ハーツ、ルクシオン、ラプラスの辛辣な評価がグサグサ突き刺さる。事実だから反論しようもないし。

そんな中、マリエとティアが情勢の共有をしていた。

 

「……つまり、一番のチートアイテムはまだ手付かずってこと?」

「ハイっす。その一番のチートアイテム……【イデアル】はノエっちに回収させようと思っていたっすけど、ラプっちのヤバさから止めたっす」

『イデアルという固有名称の軍艦のデータはないが、待機命令を受けた補給船のデータは存在している。マスターの意向から接触できないため、確認だけでなく私の計画も進められていない。本当にこの女を私のマスターにしたのは失敗だった』

 

本当に旧人類の人工知能は新人類抹殺の思考が強いな。確かにこれじゃ回収を躊躇うわ。

 

「でも、まだマシな部類じゃないか?こうやってすぐに白状しているし」

「さすがにデリカシーがないっすよ、先輩。爆弾を装備して常に爆死と隣り合わせっすけど」

 

さすがに無神経すぎたか。

 

「というか、リオン。そろそろ出掛ける準備をしないといけないんじゃないか?議長代理のお誘い……ラウルト家との食事にさ」

「そう言えばそうだった。服装は……学院の制服にしとくか」

 

本当にそれでいいのか。いや、私服で訪問するのは論外だし、お偉いさんと会合する予定なんてなかったから、着飾った服は元から持ってきていないし。

 

「けど、本当にラウルト家のリオンへの対応が謎だよな。ルイーゼさんだけでなく、その父親まで……」

「本当にそうっすよね……ラプっち。ラウルト家の調査はどうなっているっすか?」

『本命の調査は進展していません。徹底して秘匿されているようですから』

 

ティアのやつ、ラウルト家の調査をラプラスに頼んでいたのか。たぶん、最初のコンタクトの直ぐなんだろうな。

 

『ただ、ラウルト家当主のアルベルクは、ノエルとレリアがレスピナス家の遺児であることを把握しています。実の娘のルイーゼも同じくです』

「知ってて放置しているんすか?実行犯のフェーヴェル家はどうなんすか?」

『フェーヴェル家は二人の存在を把握していません。それは他の四家も同じようです』

 

……ラウルト家以外は把握していない?それは少し、おかしくないか?

仮にも《巫女》を選出する一族……その娘達の行方を探るのが普通じゃないか?保護すれば、権力争いで有利に立てる筈だし。

 

「確か、設定だと婚約破棄による逆恨みだったんだよな?」

「ハイっす。あくまで設定上っすけど、レスピナス家は騙し打ちで《加護無し》になったっす。《巫女》も《守護者》も資格を失ったことで、滅ぼされたと書かれていたっす。しかも《加護無し》は当人だけでなく、その子孫にも適用されるっすから、主人公もその影響で今の聖樹から加護を得られないっす」

 

ティアのその説明で、《加護無し》のリスクの大きさに納得がいった。

当人だけでなく子孫も《加護無し》になる……それは聖樹の恩恵を得ている人間からしたら、確実な“外れ”になる。貴族出身でも《加護無し》に冷たいのも当然だ。下手したら、平民より下の扱いすらあり得る。

 

「だから娘達は放置しているのか……?いや、苗木で《巫女》に返り咲くなら、その危険性に気付いていない筈がないよな……?」

 

それに、聖樹は《守護者》と《巫女》の存在は欲している筈だよな?なのに、何で“代わり”を見繕わないんだ?百歩譲って《巫女》は無理でも、《守護者》は苗木の件があるから選べる気がするんだが。

……駄目だ。全然情報が足りない。

 

「謎が多すぎる……ラウルト家に一体何があるんだ……?」

 

本当に分からない事が多すぎて、嫌になるよ。何もしなかったら、破滅間違いなしだしだからやらなきゃ駄目だけどさ。

 

 

 




「あんたも課金アイテムを持ってたのね……」
「マリっちは回収しようとしなかったんすか?」
「課金アイテムの回収場所なんて知らないから無理よ。初作は兄貴に全クリ押し付けてたんだし」
「三作目の課金アイテム、【ファクト】と【ジャスティス】は?」
「……確かにそんな名前の課金アイテムもあったわね。課金する余裕なんてもうなかったし、名前しか記憶に残ってないわよ」
『ちなみにファクトはマスター情報によると私達と同じ宇宙船。ジャスティスは私のデータに忌々しい新人類の上位魔装として記録されています。上位魔装のブレイブにも手を出したくらいですから、本当にお金の無駄遣いです』
「ゲームの説明文にはそこまで書かれてないから無理っすよ」
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