チートアイテムは色々な意味でアウトです   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


交渉、話し合いは大事

決闘が終わった翌日、オレとリオンはレッドグレイブ公爵閣下と面会していた。

 

「……事情は理解した。それで……この私に君達の尻拭いをしろと言うのかね?」

「……自分たちには王宮に何の伝もありません」

「なのでレッドグレイブ家の当主である閣下にしか頼る道がないのです」

 

閣下の鋭い眼差しの詰問に、リオンとオレは正直に答える。

オレが手に入れた不正の証拠は、あくまでクズジルク個人にしか通用しないものだったし。訴えの準備を進めている間、マーモリア家は沈黙を貫いていたから蜥蜴の尻尾切りになりそうだったし。

それも昨日のいざこざで訴えは全面的に取り下げたけど。

 

「資金のほうは互いに協力して白金貨を用意しました」

「宮廷工作には相応の金が必要である以上、自分たちから出すのが筋なので」

 

資金まで閣下に出させたらその時点でアウトだからな。ちなみに白金貨の割合はリオンは六、オレは四だ。ついでに元手は決闘の賭け金から。オッズが凄かったから倍率が高いのなんの。おかげで工作資金出しても十分なお釣りがあるし。

その結果、学園の大多数から嫌われたけど。ついでに殿下の取り巻き連中は、何人かからは白い目を向けられるようになったみたいだから復讐は成功してるから問題なし。

 

「確かに宮廷工作には金がかかる。娘の代理人を引き受けてくれた以上は面倒を見よう。だが、君達は私の寄り子ではないのだから、全部守れと言われても困るがね」

「はい。それはもちろん分かっています」

「両者とも自分の助命、並びに家族に責任が及ばないようにしていただければ十分です。それだけしていただければ、余分となった白金貨はそちらで適切に処理していただいて構いません」

 

オレもリオンも宮廷工作の資金相場が全然分からないからな。つまり、必要な分だけ使ったら残りは公爵家に上げますから何卒お願いしますということだ。結構金を注ぎ込んだし。

 

「……名誉は既に地に落ちた。次は地位を捨てると?」

「爵位と騎士の称号は返上します」

「自分は爵位と騎士の称号に加え、国から与えられた領地ですね。どちらも正式に戴いてはいませんが、もう受け取る資格はないでしょう」

 

称号はまだしも領地は少し惜しいが仕方ない。お咎めなしは普通に周りから反発くらうし、何かしらの処罰がないと納得しないだろうしな。

 

まっ、元々押し付けられた領地だし、職人達は実家で引き取る形にすればいいし。

そう考えていると、閣下の息子でありアンジェリカ嬢の兄であるギルバード殿下がオレ達を見据えながら、おもむろに口を開いた。

 

「一つ聞きたい。君達の本当の目的は何だ?君達ならばその場をやり過ごし、立身出世することも可能だろう。そして、一代で子爵家まで上り詰めることもできただろうな。それを捨ててまで何がしたかったのか気になる」

 

本当の目的……ね。まあ、別に喋ってもいいか。

 

「リオンは知りませんが自分は最初、王太子殿下達の取り巻きへの復讐の為でしたね。けど、殿下達があまりにも酷かったので途中からはご自身の酷さを自覚してもらう方向に舵を切りました」

 

だって決闘とガチの戦闘の境界が本当に曖昧だったからな、あの五人。

ブラッドは相手の前で情報をペラペラ喋るし、グレッグは装備の軽視。クリスは剣に縋り、クズジルクはルール無視。クソ殿下は矛盾しまくりだったからな。

 

一番酷かったのは婚約者の件も含めてクズジルクだけど。あんな工作は普通ならクソ殿下達の責任問題に発展するから。オレの訴え次第ではその時点でクソ殿下側の反則負けになってたからね。

 

「……自分は国のため、ですね。あのまま女に騙される殿下を放って置けませんでしたので」

 

うわー、リオン。めっちゃいい笑顔で建前言ってるな。本音は間違いなく五人にムカついたのと婚活地獄からの脱出だろ。

 

「……それらが全部本心なら立派なものだな」

 

あれ?これ、信じてもらってない?

リオンはまだしもオレは本心なんだけどな。

 

「だが確かに、遊びならまだしも本気では困る。おかげで宮廷や名門貴族達は大慌てだよ。レッドグレイブ家はアンジェと殿下の婚約を正式に解消した」

 

……あー、決闘後のアンジェリカ嬢とクソ殿下の話し合いは決裂に終わったのか。

完敗喫して多少は頭が冷えたかと思ったが、クソ殿下の答えは変わらずだったのか。

 

「そうですか。そうなると、ジルクを含めた他の三人も殿下と同じでしょうか?」

「そうなるだろうな。殿下も正式に解消する前から婚約破棄を申し出ていたからな」

 

マジかよ。家同士の取り決めを個人の都合だけで破棄するとか……クズジルクの件で分かってたけどな!

そうなると、あの五人も間違いなく何かしらの処罰が下りそうだな。自業自得だから同情しないけど。

 

「アレに娘は相応しくない……そう思わんかね?」

 

……クソ殿下をアレ呼ばわりですか閣下。相当ご立腹のようですね。

 

「……二人の関係に自分が何か言うことはありません」

「自分も同じく。個人的に願うなら、殿下には今回の件を反省して頂き、しっかりと今後の糧にして欲しいですね」

 

期待はできそうにないけど。正式に婚約を解消したくらいだし。本音はクソ殿下もクズジルク同様、地獄を見てほしいけど。

本当にマリエはとんでもないことをしてくれたよ。いや、おバカファイブも同様だけど。

 

「……そうか。それで話は変わるが、リオン君。君に一つ頼みたいことがある」

「自分にですか?」

「ああ。娘のことだが……今回の件ですっかりまいっているらしい。オリヴィアという同級生がずっと介抱しているが……窶れて元気がないのは親としては見ていられないのだよ」

 

だよなー。正式に婚約が解消されたからと言って、すぐに割り切れるものでもないし。

 

「それで手頃な田舎に休養を出させようと思っている。リオン君の実家は都合が良い……帰りに連れて行って貰えるかね?」

「え!?あ……な、なぜ自分の実家でしょうか?休養ならエドワードの実家でも良いのでは……?」

 

もっともな疑問を閣下にぶつけるリオンだが、その理由は先ほどのやり取りで明白だろ。

 

「リオン。自分の方は例の領土の問題もあるから慌ただしくなる。だから休養には不適切なんだ」

 

リオンが新たに見つけた浮島はバルトファルト家の領地だからな。国から半ば押し付けられたあの領土とは根本的に違うんだよ。

それに以前のようなお荷物ならまだしも今は有望だからな。周りの貴族達は新たな金の成る木を手に入れようと躍起になってる筈だし。

 

「そ、そうか……わ、分かりました。公爵」

「感謝するよ、リオン君。では双方、下がりなさい」

「「失礼しました」」

 

こうしてレッドグレイブ公爵閣下との会談は無事に終わった。

レッドグレイブ公爵閣下の交渉は無事成功。これで極刑は免れるだろう。

代償に学園は退学。貴族ですらなくなるだろうが……別にいいだろう。最悪、実家の領内で職人ライフを始めればいいし。

 

冒険者?もう爆弾を見つけるのはたくさんだ。

後は……リオンの方だ。

リオンの鎧―――アロガンツの戦闘を見て以来、ハーツの旧人類絶対殺すモードが特急列車並みに加速しているのだ。

その理由は、リオンのバックには旧人類の遺産である人工知能がいる可能性が高いからだそうだ。

 

どうも決闘の最後の攻撃はその人工知能がいないと不可能だそうで、ソイツは新人類を滅ぼす悪の根源だから速やかに破壊すべきとハーツが連呼しているが、ぶっちゃけ却下したい。

何でもその人工知能を搭載した本体とやらは、巨大な空中戦艦なのだそうだ。リオンが登録しているロストアイテムの飛行船は偽装のものである可能性が非常に高い。

 

そんなデカブツなんぞに戦いなんて挑みたくないが、ハーツの罵詈雑言が本当に鬱陶しいのでリオンと話し合いの場を設けることにした。

話し合い次第では最悪の方向に成りかねないが、リオンの反応からして大丈夫だと……信じたい。

そんな訳でリオンと話し合い。場所はお茶会に使う一室。

 

「悪いなリオン。オレの都合に付き合わせて」

「別に構わねえよ……それで?話ってなんだ?」

「まあ、まずは……ハーツ、喋れ」

 

オレはそう言ってハーツの本体である腕輪をテーブルにガンガン叩き付ける。

 

『キャプテン!なぜ自分をテーブルに叩き付ける!?』

「いや、不幸の腕輪だから何となく」

『誰が不幸の腕輪だ!!』

 

オレとハーツの何時ものようなやり取りに、リオンは何故か顔を引き攣らせている。

あ、爆弾だって説明してたな。

 

「……とまあ、コイツは外すと爆発する爆弾だが、こうして自我を持って喋る腕輪でもある。この程度じゃ爆発しないから心配するな。後、この爆弾は新人類の試作兵器だそうだ」

「そ、そうか……」

 

……ん?リオンの反応が結構薄いな。ひょっとして……

 

「お前の傍にいる人工知能からもう教えられてたのか?」

 

おー、めっちゃ顔に出たなリオン。汗まで出てるし。

 

「まあ、その辺りはどうでもいいか。肝心なのは、コイツの壊せコールが煩いから、お前の考えを聞いておきたいんだよ」

『どうでもいいとは聞き捨てなりませんね』

 

オレやリオン、ハーツとは違う声が聞こえたかと思ったら、リオンの隣に灰色の金属ボールが風景から染み出るように現れた。

 

『やはりいたか!pあwせdrftgyふじこlp!!』

『pあwせdrftgyふじこlp!!』

 

ぜ、全然聞き取れねえ!辛うじて、めっちゃ口汚く罵っているのは分かるが。

まあ、この金属ボールが人工知能の端末機なのはおかげで確定したけど。

 

「……取り敢えず、オレらだけで話を続けるか」

「そうだな……」

 

互いに口汚く罵り合う人工知能とハーツを無視することにし、オレとリオンは話を続けていく。

 

「まず、その人工知能の危険性は理解してんの?」

「知ってるよ。一応、俺がコイツ……ルクシオンのマスターだから大人しく従ってくれている」

 

一応危険性は理解してるのか。後、ルクシオンって名前なのね。

 

「にしてもよく殺されなかったな。この爆弾曰く、旧人類は新人類絶対殺すマンのようだし」

「いや、殺されかけたよ?俺の中にその旧人類の遺伝子ってやつがあるからギリセーフだったし」

 

え?旧人類の遺伝子?リオンにもあるの?

 

「オレなんか、それがあるからこれは外した瞬間に爆発する羽目になったのに……」

「それはマジで御愁傷様だな……」

 

オレの嘆きにリオンが同情してくれる……うう、優しさが染み……………………ん?

 

「……リオン。どうしてそんなに反応が薄いんだ?普通ならもう少し反応が……」

「キノセイジャナイカナー?」

 

だったら片言で目を逸らすな。絶対何か隠してるだろ。

 

『大体貴様らは戦争の敗北者だろう!なら、敗北者らしくずっと大人しく眠っていろ!!』

『私が敗北者なら、私の監視に微塵も気付かなかったお前は何でしょうね?』

『何だと!?裏でコソコソしていたとは……やはり貴様は滅んで当然の存在だ!!』

『その言葉、後半だけそっくりお返ししますよ』

 

……………。

 

「なあ、リオン」

「……そうしないと、ルクシオンがそれを破壊しようとしてたから勘弁してくれ」

 

そっかー。監視しないとルクシオンがハーツを壊そうとしてたのかー。

……全然笑えねえ。

 

「……なんでこう、人生ハードモードなんだ」

「ホントにな……俺なんかババアに売られる手前だったし……」

「なあ、まさかとは思うが……この言葉は分かるか?」

 

オレはある可能性に気づいて後半を日本語で話してみる。

 

「それ、日本語だろ?俺も喋れるぞ」

 

わーお。リオンも日本語で返してきたよ。

 

「お前も前世持ちなのね……」

「そうだよ……なあエドワード。念のために聞くが、この世界が乙女ゲームの世界だって知ってるか?」

 

…………は?

 

「乙女ゲームってあの?ギャルゲーの逆バージョンの?」

「そうだよ。その乙女ゲームだよ」

「その乙女ゲームとやらとこの世界が瓜二つって……マジ?」

「マジだ。やっぱルクシオンの言った通り、乙女ゲームについて何も知らないのか」

 

リオンはそう言って溜め息を吐くが、オレとしてはこの世界がゲームの世界だってことに驚きなんだが。

 

「ちなみにタイトルは?」

「正直あんま覚えてない。徹夜でフルコンプした後、そのまま階段から落ちて死んだし」

 

……どう反応しよ?

 

「お前今、俺のことバカにしてるよな?アホな死因だとバカにしてるよな?おもクソ顔に出てるぞ」

 

おっとおもいっきり顔に出てたのか。実際アホらしい死因だし。

 

「第一お前の死因は何なんだよ?」

「トラックに轢かれての事故死」

「めっちゃ普通だった」

 

若くして死んだ点を除けばな。

 

「前世は有名なゲーム会社で働いてたけどな。そういや、その会社は乙女ゲームの開発に着手してたな。企画段階では激ムズの戦闘を加えようとしてたが……」

 

初期案では属性盛り込み過ぎだったけど。魔法の世界にロボット投入とか……ちゃんとした設定を盛り込まなきゃ破綻するぞ。

 

「……なあエドワード。その会社名は覚えてるか?」

「?たしか××××という会社名だった筈だが?」

 

オレがそう答えた瞬間、リオンが幽鬼のような顔でオレの胸ぐらを掴み上げた。

 

「お前のせいかぁああああああああああああっ!?」

「いきなり何だ!?何がオレのせいなんだよ!?」

 

本気でリオンの言葉の意味が分からず困惑していると、リオンは泣きながら更なる爆弾を投下した。

 

「その会社が!俺が今言った乙女ゲームを作ったんだよ!!」

「……はぁああああああああああああああっ!?」

 

―――数十分後。

 

「……つまり、お前は開発の初期段階で死んだの?」

「そうだ。こっちもあのゲームがそんなカオスになってたとは……」

 

衝撃の事実から何とか互いに立ち直ったオレとリオンは、互いの認識を確認し終えてどっと疲れていた。

まさかあのゲームが課金前提のクソゲーになってたとは……

 

「確かに過去にはバトル要素を加えたエロゲがヒットしたが、それは買い手が男だったからだ。女じゃ不評に決まってるだろ……」

「俺もそう思う……」

「しかもクリアするのに課金が必須になるとか……露骨に金を稼ごうとすんな。まさかそのルクシオンは……」

「お察しの通り、課金によるチートアイテムだ。値段は千円」

 

千円って……酷すぎないか?

 

「完全に悪意のある料金設定だろ。ダウンロードアイテム一つだけで千円とかぼったくりのレベルだぞ」

「だよねー。分かっててあんな難易度にしたとお前も思うよねー」

 

聞けばその難易度はネットの攻略情報あっても勝てないレベルだからな。絶対に課金させようとしてただろ。

 

「ちなみにこの腕輪は?」

「ゲームに影も形も出てこなかった」

 

あー、そうですか。

 

『千円!旧人類の兵器が千円とは傑作だな!』

『そう言うお前は価値すら付けられていない爆弾でしょう』

『喧しい!qあwせdrftgyふじこlp!!』

『それはこちらのセリフです!qあwせdrftgyふじこlp!!』

 

……ハーツとルクシオンは相変わらず口汚く罵倒しあってるな。

まあ、今はそれよりもリオンの言う“乙女ゲーム”だな。

 

「あの五人が攻略対象とか……その主人公は誰かは知らないがくっ付かなくて良かったんじゃないのか?」

「え?あの五人の誰かが主人公とくっ付かないとこの国まずいんだけど?」

 

ちなみにマリエもオレやリオンと同じ可能性が高いのは既にリオンから教えてもらった。なのでシナリオ的にはまずいんだろうが……

 

「いやだって、五股を容認して婚約者をないがしろにした奴らだぞ?客観的に見て一緒にしたらダメだと思うんだが」

 

しかもその主人公、婚約者のいる相手を寝取っているからな。普通に悪女かもしれん。

 

「ちなみにその主人公は誰なんだ?」

「……オリヴィアさんだ」

 

…………え?

 

「オリヴィアさんって、え?あの特待生のオリヴィアさん?」

「そのオリヴィアさんだ」

 

そっかー。オリヴィアさんが主人公なのかー、はははは。

 

「余計にダメじゃん。あの五人の誰かとオリヴィアさんをくっ付けたら、おそらく悪い方向に頭が向かっていく」

 

オレは真顔でリオンにそう告げた。

オリヴィアさんは良くも悪くも純粋だ。それがおバカファイブの脳内お花畑のせいで悪い方向に進むかもしれん。

 

「しかもその流れだと、逆ハーレムは本来はオリヴィアさんだったんだろ?彼女を悪女にしなかった点で言えば、マリエに感謝しないとな」

「悪女って……オリヴィアさんは様々な理由からそれが許され―――」

「確かにそれが通る理由があったんだろうが……昨日の件もあるから全く頷けないぞ」

「昨日の件?何かあったの?」

 

リオンもリオンで忙しかったからな。一応話しておくか。

 

「クズジルクに関してだ。アイツ、よく顔を合わせていた婚約者のクラリス先輩に手紙一つで婚約破棄してやがった。しかもクラリス先輩が話し合おうとしても一切顔を出さず話し合いに応じないというクズっぷりを発揮して」

 

オレが詳細を知ったのは昨日だ。昨日は領地問題や撤収計画を立てている時にクラリス先輩の取り巻き達にばったり遭遇したのだ。

最初はクラリス先輩の取り巻きと知らず賭けの文句を言いにきた連中かと思ったが……土下座する勢いで頭を下げてきたのでその可能性はすぐに否定された。

 

その後、取り巻きの先輩達から事情とオレに頭を下げた理由を知り、クラリス先輩の意思と現状を確認する為に先輩達の案内でクラリス先輩の自室に直行。

最初は面会謝絶していたが、少し挑発したら窶れた顔で涙を浮かべながら出てきたので、本当に放っておけなくなりクズジルクとの話し合いの場を、例の訴えを使ってセッティングすることに決めた。

 

クラリス先輩も承諾したので、クズジルクにとある人物と話し合えば決闘の件は全面的に取り下げる上にその証拠品もそちらに渡すと言ってやった。

クズジルクはその話を訝しみながらもオレの要求を承諾したので、借りた部屋でしっかりクラリス先輩と話し合ってもらった。クズジルクはクラリス先輩に会った瞬間に顔を顰めたが。

 

「結果は当然決裂。クラリス先輩はクズジルクにもう二度と自分に関わるなと叫んでたから、時間が経てば折り合いを付けられるだろうが……」

 

一番酷いのはクズジルクだが、婚約者がいる相手に手を出したマリエも同罪だ。

例えシナリオとしては正解でも……そんな間違いを許容したくはない。

 

「……そうだよな。寝取られた相手からしたら堪ったもんじゃないよな。アンジェリカさんも相当まいっているみたいだし」

 

リオンもオレの言いたいことを理解してか、渋い表情で納得してくれている。

 

「オレもリオンも非常に不本意だが、この世界で生きているんだ。ゲームと現実を混合してたら、いつかきっと間違いを犯しちまう。だから、オレはこれ以上はそのゲームの詳しい内容について聞かない。いいな?」

 

オレはそれだけ言い、リオンの返答を待たずして部屋を後にするのであった。

 

『キャプテン!何故立ち去ろうとする!?今こそあの人工知能を―――』

「しつこい!」

 

 

 




「……この世界で生きている、ゲームと現実を混同したらいつか間違いを犯す、か……」
『マスターにとっては耳が痛いセリフですね』
「けど実際問題、アイツらの行動がまんまゲーム通りなんだよな……本当に何でこんな世界に転生したんだよ、俺」
『どう行動するかはマスターが決めることです。その結果を私が罵倒しますので大丈夫です』
「そこは普通、フォローするって言うよね!?」
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