彼女を作りたい 作:入力速度を考慮して
一番になりたい。
そんな想いが生まれたのはいつのことだったか。
何ら特別な家庭ではなく、一般家庭で親の愛情をたっぷりと浴び育った。
幼馴染を始め友人にも恵まれていたし何一つ不満なんてない。
ただ負けることだけは好きになれなかっただけだ。
日本で一番、世界で一番なんて言わない。
周りの誰にも負けたくない。目が届く範囲では絶対でありたかった。
そのために努力し、頂点に立ち続けてきた。その過程に苦痛はなく充足感に満ちていた。
だが一つだけ気に食わないのがある。
なんで周りの奴らには彼女が出来て僕には出来ないんですか???
学校で一番運動出来るんだが?団体競技をほぼ個人で全国大会まで連れていったんだが??
なんなら勉強も出来るし勢い余って高校範囲修めちゃったよ?
顔だって街で芸能関係者にスカウトされるくらいにはいいはず。
なのになんで告白されないんですか?
マジで中学生になってからの周りの色気づき度合いが凄まじい。
調子にのんなよ俺のがお前らより何もかも上だからな?だから視界に映る範囲でイチャつくのやめてください。
こんな風に内心でマウント取って心の安寧を保ってるが、だけど悲しいかな。
どんなにスペックが良いと自画自賛したところで、思春期真っ只中において、自分から女の子に喋りかけるなんて出来やしません。
もし話しかけてマイナスイメージ持たれたら生きていけんし。男子同士だとバカ騒ぎ出来るんだがなあ……
彼女が望むものなら何にだってなるし将来性なら自信ありです。
自分からは無理ですが告白されれば誰だって快諾するし死ぬまで愛し続けられると思います。誰か拾ってください。
何故こんなにも思春期を拗らせてしまったのか。これはもう散体するしかないか……?
そんな風に悩める中学3年時、幼馴染がとある高校を薦めてくれた。
曰く、全寮制かつ3年間外部と遮断されるため年頃の男女にはもってこいの場所。ついでに進学率もめちゃめちゃ良い。
もうそんなの聞いちゃったら行くしかないよね!
勝ったなガハハ!風呂入ってくるわ。
待ってて俺の青春生活!!
◆◇◆◇◆◇
「ひより」
愛しい人の声に、文字を追っていた視線をあげると予想通りの顔に微笑む。
女子たちの間で密かに作られたランキングにおいて、イケメンの部1位に輝いたその人は少し疲れているようであった。
「遅くなった。帰るぞ」
「お疲れ様です。またクラスの方で何かあったのですか?」
「まあちょっとな……坂柳を負かしたのは失敗だったかもしれない」
負けるのは嫌いな彼がそんな事を言ってるのを可笑しく思いつつ帰路に着く。
頭1つ分以上の身長差があるにもかかわらず、隣を歩く彼の歩幅は小さい。小さな頃から自分の歩みに合わせてくれるその優しさが心を暖める。
「
「Cクラスがちょっかいをかけてくるぐらいでしょうか」
「龍園も懲りないな」
透きとおるような蒼い瞳を細め、呆れたように苦笑する姿すらそこらの女子を魅了するだろう。
だから
「一之瀬には悪いことをしたからな。元気でやってるなら良かった」
「帆波ちゃんはむしろスッキリしたって感じですよ」
「ならよかったよ」
「それより今日のお夕飯はどうしますか?」
「0円の食材次第だな」
「ではスーパーに急ぎましょう」
この全寮制の学校に来た。これ以上目移りさせない為に。
彼が異性に興味を持ち、かつ上手く接することが出来ないことを知っている。
そんな彼が同級生に大変人気であることも知っている。
そもそも小学生の頃より私が動いてなければ手遅れだったかもしれない。
小学校から中学まで9年間も顔見知りだった異性と話せないのだ。
たった3年間の付き合いになるこの学校の者は難しいだろう。
(クラスが別れてしまったのはしょうがないです。だけど)
——最後に勝つのは私です
誰にも、渡さない。
椎名ひより Bクラス
学力:A-
知性:A-
判断力:B
身体能力:D-
協調性:B-
主人公くん盗られないために小中と頑張って行動してたのが結果的に協調性とか上がった
このひよりちゃんは主人公に関することには政治力バリバリです