心を無くした男と、嘘つきな王サマ   作:朝霧=Uroboross

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ヤバいでござるヤバいでござる。ネタとストックが尽きてきたでござる。進捗も亀の歩みで大変マズいでござる。

そして気付いているだろうか。聖杯戦争が開幕してまだ三日目であることに。
ちょっと計算したら九日間もやってたんだね、第四次って。よくやるもんだよ、神経磨り減らない……?と、主人公の口調が移ってきた作者なのであった。あふん……(断末魔)






退場の時だよ、ご老人

 ────ふう、疲れた。あーあ、全くもって吐き気がしそう。それでもって、お腹抱えて笑い転がりたいぐらいだ。

 見たかい?彼女のあの間抜けな顔。挙げ句の果てには『なぜ』だってさ。いやいや、なぜも何も、聖杯戦争に参加しているからこそソコにいるだろう?っていう話なんだよねぇ。

 

「あ、おかえりなさい、オベロンさん」

「ただいま、桜ちゃん。ところで、マスターはどこかな?」

「カリヤおじさんといっしょ。居間にいるよ」

 

 どうやらマスターは居間にてカリヤとかいう、これまた騎士王サマとは別ベクトルのお間抜けと一緒らしい。ま、僕からしたらあんな蒙昧な善人の塊より、ただ一つに対し愚直に進む奴の方が愛せるけどねー。

 昨夕に燻っていた僕の怒りも、騎士王サマを弄んでやったことでだいぶ発散された。不完全燃焼ではあるけど、割と上機嫌な方ではあると自負するとも。

 

「やぁマスター、今戻った────って、ナニソレ」

「離せ!離さぬか!えぇい、一体儂に何をしたのだ!!」

 

 もごもごと、みっともなく足掻く"(ソレ)"。人の形をしてるからなのか、マスターの拘束術式で縛られている。

 

「おうキャスター、お疲れさん。お疲れついでなんだが、コイツもやっちゃって」

「えぇ……流石の僕でもこんなの従えたくないよ」

 

 いやいやドン引きするって。なんでこんな気色悪いの従えないといかないわけ?流石に萎える────と、普段なら言うところだけど、今回はちょっと話を聞いてみようか。

 

「んで?こんなの捕まえたってことは、何か理由でもあるんだろ?」

「ご明察。端的に言うと、バーサーカーのマスターと協力関係を築くために、目の前でソイツを殺さにゃならんのだよ」

 

 ふむ、まぁ理由としてはわかるけど、なんでまたバーサーカー?バーサーカーって確かランスロットだよね。僕らからしたら天敵じゃない?

 と思っていたのが知られたのか、マスターから詳しい説明がされた。それによると────、

 

 

 ──まずその一、バーサーカーの真名『ランスロット』は、今の姿で騎士王サマのとこに向かわせれば、間違いなく精神的に追い詰められる。

 

 その二、ランスロットの持つ宝具、『無毀なる湖光(アロンダイト)』を参考に新しい武装礼装を製造、それを僕の戦力補強に使う。

 

 その三、ランスロットの存在はセイバー以上に厄介な対アーチャー対策として最上位に位置しており、敵として倒すより味方に引き入れる方がメリットが大きい。

 

 

 ──ふむ、確かに。強いてあげるデメリットが僕の"真名"がバレないようにすることと、バーサーカーとしての消費魔力の高さぐらい。それと比べれば旨味はかなりいい。マスターもなかなかいい駒を手に入れたじゃないか。

 

「で、協力体制のための契約に、コレを殺すことが含まれている、と」

「そういうこと。ま、"本体"はとっくのとうにこっちの手中だし、どうとでもできるわな」

 

 

 うーん……"魂"がゴミ捨て場みたく汚いけど、それを抜きにみれば、『僕』が『俺』として活動する分には、補充される魔力や戦力としては充分すぎるほど、か。さらには"駒"として使うこともできるわけね。

 流石は僕のマスターといったところか。ここまで盛大に動けるとはね。

 

 ──間桐家という三大勢力の一角を落とし、更には契約で傀儡化。加えて、騎士王サマ達を"俺"がモースで陽動し、マスターは間桐家を陥落、計画の進行を円滑に、と。

 これだけ聞くと末恐ろしいね。一応間桐家については、聖杯からの知識としては知っているさ。長生きしては魂も腐って醜くなった愚か者──それが僕の評価だった。けれど、その老獪でもある相手を、このたった一晩で陥落させた。

 

「マスターは"勝ちたい"のかい?」

「"勝たない"っつってんだろ。まぁ、"負ける"つもりもないがな」

 

 いやいや、これもうマスターが勝っちゃうんじゃないの?だってここまでやって、更には"アレ"も残ってる。事実上アレに勝てるのは、あの騎士王サマぐらいだけど、当の騎士王サマは拠り所のない弱った蝶のようだし。

 

「油断すんなよ?ここからは上手いこと勝ちつつ、上手いこと負けなきゃならん」

「勿論だとも。いやぁ、マスターが恐ろし過ぎて、僕はどうにかなってしまいそうだよ」

 

 ──猿芝居しやがって。そんなマスターのぼやきが聴こえたような気がしたけど、気のせい気のせい。こんなに計画がうまくいくのはブリテン以来だなぁ。

 

 あーぁ、ブリテンの時にマスターが居てくれれば、俺の計画も上手くいったのかもなぁ……ま、ないだろうけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────信じられなかった。何がと言われると、目の前で行われていることが、だ。

『間桐臓硯』という存在は、この500年近く、この世界に生き続ける正真正銘の化け物だ────いや、だった。

 それがどうしたことか、今の今まで名前も知らなかったような相手にいい様に転がされて、しかも桜ちゃんに埋め込まれていたはずの延命用の蟲は、彼の持つビンの中で弄ばれていた。

 

 あの時は、まさしく電光石火だった。

 

 

 ────あの契約の後、あろうことか、彼はそのまま間桐の屋敷まで直行したのだ。あの時は、何の対策もしていないのか、間桐臓硯を知らないのかと思い、今は止めるように言っていた。けれど、彼は笑みを浮かべて諭すように言った。

 

『大丈夫ですよ。あの老人は、私には勝てませんので』

 

 そして、盛大に屋敷の玄関に飛び入り、あの臓硯を屋敷中に響くほどの大声で呼んだのだ。勿論、奴は来た。訝しげにする奴を余所目に、彼は懐からあのビンを取り出した。

 

『初めまして臓硯殿。それともゾォルケン殿、とでも言いましょうか?まぁ、どうでもいいですけど。────こちら、なんだと思います?』

『──き、貴様!?どうやってソレを──!?』

 

 驚き固まる臓硯。それを狙っていたかのように、彼の影から何かが飛び出してくる。

 

『────やれ』

『ぐぉおぁぁあ!?こ、これは──!"黒妖犬(ブラックドック)"じゃと!?』

 

 それは、真っ黒な"犬"だった。ソレらは何体もの塊となって臓硯に牙を突き立て、食い荒らし、無残に引き裂いていく。何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も────

 

『うーん、死なないですねぇ。予想の範疇ですが』

『き、貴様は……何者なのだ……』

 

 俺は呆然と立つことしかできなかった。俺達が恐れた臓硯という魔物が、"道化師(アルレッキーノ)"と名乗った目の前の彼にずたぼろにされている。

 ────いや、ずたぼろなんて生易しいものじゃない。あれは、"実験体"を見る目だ。あろうことか、彼は臓硯で『実験』しているのだ。

 

『とりあえず縛りあげて回収しましょう、えぇそうしましょう。────"纏わり付け(バインド)"』

『ご、がっ──────』

 

 彼がそう唱えた途端、噛みついていた犬達が臓硯に纏わりついて拘束する。逃げることさえできず、真っ黒な塊になってしまう。

 

『すみませんね、どうやら今すぐは難しいようです。一度持ち帰っても宜しいですかね?』

『あ、あぁ………』

 

 俺はもう、頷くしかなかった。全てがあっという間で、俺が抱いていた願いも、恐怖も、何もかもが一気に崩れ落ちた思いだった。

 人智を超えた、とはまさにああいうことなのだろう。俺は彼に連れられていく間、ずっと腕の震えが止まらなかったよ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──お爺様が、いえ、お爺様"だった"ものがオベロンさんに運ばれて、地下へとつれていかれました。出会ったとき、そして、"アソコ"へ入れられたとき、あんなにこわかった人なのに、"お兄さん"がなんにもできなくしちゃいました。

 

「ん?桜ちゃん、どしたの」

「あの…今日も『魔術』をおしえてくれますか…?」

「いいよぅ。んじゃあ今日はねぇ────」

 

 お兄さんは、やさしい人です。やさしくなんてないよって言うけれど、とってもやさしいです。オベロンさんも、ぼくはウソつきだからって言うけれど、二人とも、いっしょにいると、とってもあったかいです。

 そこにいるだけで、お日さまにてらされているような────こういうのを、『夢見ごこち』って言うんですよね。なんだかとっても、むねがポカポカします。

 

「あの、お兄さん」

「はいはいお兄さんですよー。どした?」

 

 なんでこうして話してるだけで、むねがポカポカするでしょう。わからないことがあったらきいてね、とお兄さんは言いました。だから、きいてみますね。

 

「あの、わたし、お兄さんと話していると、むねがポカポカして──────お兄さん!?」

「シロウ、ゴメン……いや、ほんまに……」

 

 と、とつぜんあたまを机にぶつけちゃいました。いたそうです、だいじょうぶかな…。だれかにあやまってるみたいだけど、だれなんだろう。

 

「うーんとね?桜ちゃん、それは『安心』っていうんだよ」

「『安心』…?」

 

 安心……そっか、わたし、お兄さんたちに『安心』してたんだ。

 お兄さんにあたまをなでられる。むねのポカポカがもっとあたたかくなる。あぁ、お兄さんといっしょなら、安心するなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────それは、本当のことなのかね」

「はい。どうやら昨晩のことらしく」

 

 ────バーサーカーのマスター、間桐雁夜の姿が見えなくなった。彼のサーヴァント、アサシンからの報告らしい。そこは大した問題ではない。雁夜は……敵に回った時から既に道は違えている。

 だが、それよりも問題なのが、『間桐臓硯の行方不明』だ。我ら御三家の中でも、500年程は生き続ける老獪が、この聖杯戦争の最中だというのに行方不明になったという。まず間違いなく"何か"があったのだ。

 

「アサシンから、他に報告は上がっていないかね、綺礼」

「いえ、どうやらアサシンも感知できなかったようです」

 

 サーヴァントであり、なおかつ隠密行動に長けているアサシンですら見逃すとは……。いよいよもって何かが起こっているのだろう。

 今回の聖杯戦争は何かがおかしい────そう思わずにはいられなかったが、我々はもう、今回に賭けるしかないのだ。

 

「間桐臓硯の行方について、至急調査を進めるよう、指示を出しておきなさい」

「畏まりました」

 

 何だ……一体なにがこの水面下で蠢いている?アーチャー ────ギルガメッシュ王を喚べたことは最高級の結果に近い。だが、何か、不安が拭えない。

 何か大事なことが抜け落ちているかのような、そんな言いようのない不安感にかられてしまう。

 

 

 ────一体、どうなっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 







オベロン強化計画、よーいドン!

そしてあっという間にグルグル巻きにされる臓硯おじいちゃん。まぁ老いちゃってるし、多少はね?

そして全国の士郎×桜ファンの皆さん。大変申し訳ございませんが、流れ的にヒロインが桜ちゃんになりました、
後悔はしていないが反省はしている。だが謝る気はさらさらないッ!(ファンから滅多刺しにされそう……)

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