心を無くした男と、嘘つきな王サマ   作:朝霧=Uroboross

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はい、大変長らくお待たせ致しましたァ!!

えー、すみません。言い訳しますと、作者の個人的な都合で、プロットは出来てても書く時間がとれず、さらにはFGOのイベントまで重なってきててんやわんやだったんですゴメンナサイ。


さて、ここからは皆さんお待ちかね。未遠川怪物事件のお話になります。Zeroも中盤、終わりへと差しがかかるこの一幕。さぁ、どのように進むのか、ご覧下さい。

※途中で、かなり時間空いて続きを書いていたので、割と齟齬があるかも知れません。
間違い探しみたいなミニゲーム感覚で誤字を探して下さい。見つけた方には、特になにもありません()。





厄災の進撃

 

 

 

 ────それは、夕暮れ時に現れた。

 

 上空には、先ほどまでの晴れ間はなく、いつの間にやら暗雲が立ち込めていた。

 さらに上流側から、影のように黒い犬達が何体も現れてくる。それらは、未遠川の周りを歩いていた人々の側を次々に通過していく。その度に人々は酷い眠気に襲われ、一人、また一人と眠り転けていく。

 

 次第に、夜のように暗くなった上流から、見上げるほどの巨体を持つ存在が、その爛々とした目を輝かせる。

 

「────全ては……我らが王(・・・・)の為に……」

 

 虚ろな目をした老人が一人、川縁に立っていた──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 異常事態を感じたサーヴァント達が次々に集まってくる。真っ先に現れたのは、セイバー ──────アルトリア・ペンドラゴンと、その陣営であった。

 

「あれは────っ、『間桐 臓硯』!?行方不明になったって聞いてたのに、どうして……」

「っ、そこの老人。貴様、一体なにをするつもりだ。────いや、何を呼んだ!!」

 

 セイバーが鋭く睨み付ける。妖しげな雰囲気を纏ったその老人────間桐 臓硯は、静かに笑い声を上げる。

 そして、セイバー並びにアイリスフィールを見据えながら、その手に持つ杖を打ち鳴らす。

 

「クックック……いやなに、何も使えん奴らばかりに任せるまでもなく、儂自ら聖杯を取りに往けば良かったものと気づいただけよ。だからこそ、儂は此奴を呼び覚ました。使い魔(サーヴァント)未満だが、充分よ」

 

 臓硯の背後より、見上げる程の巨体を持つ存在が現れる。

 ────それは、まるで影のように黒く、禍々しい赫色の眼光を放っていた。更には、その巨体の周りには、アルトリアですら見覚えのある存在がたむろしている。

 

「犬……?いや、まさか──────『黒妖犬(ブラックドック)』か!」

「然りよ。付属品ではあるが、存外有用であったわ」

 

 老人が嗤う。巨体が歩み寄り、天にまで轟く遠吠えをあげる。それにつられるように、周囲の黒妖犬達も遠吠えをあげていく。

 そして、それらの視線はセイバー達へと向けられ、獰猛に牙を剥き始める。そんな中、重厚な走行音を鳴らしながら、一台の大きな戦車がセイバーの隣へと降りる。

 

「おぉ騎士王!」

「征服王……!」

 

 軽快に声をかけてきた征服王イスカンダルに対し、睨みを利かせるセイバー。その様子に慌てたようにして訂正を入れる。

 

「よせよせ、今夜ばかりは休戦だ。あんなデカブツを放っぽったままでは、おちおち殺し合いの一つもできはせんわ。さっきから、そう呼び掛けておる」

 

 当人も参ったように語る。その様子に偽りはないように見える。というよりも、最初に現れた時のように、彼自身隠し事はしない主義であることが伺える。だからこそ、多少険を和らげる。

 

「ランサーは承諾した。じきに追い付いてくるはずだ。────実を言うとキャスターの奴らにも声をかけておってな。ただまぁ、彼奴らも取り込み中らしく、遅れるとのことだそうだ」

「────。了解した。こちらも共闘に異存はない。征服王、しばしの盟だが、ともに忠を誓おう」

 

 アイリスフィールに確認を取り、征服王の申し出を受けるセイバー。その後、戦車の中からウェイバーが顔を出し、アイリスフィールに作戦の可否を問う。

 

「ともかく、速攻で倒すしかないわ。あの怪物は、見たところ周りの人達から魔力だけを吸い取っているみたいだけれど、いつその牙を剥いて暴れるか判らないわ。そうなる前に、どうにかしてここで食い止めないと」

「──ふむぅ、成る程な。奴が飢えに飢えて見境無しの食事をおっ始める前にケリをつけねばならんわけだ」

 

 そうして彼らは臓硯を見やる。これらを喚び出した彼の老人は、未だ薄らとした笑みを浮かべ、その巨獣の背に佇んでいた。

 ────不意に、セイバーの直感が疼く。あの老人を見る度、そして、あの巨大なナニカを見る度に、どうしたことかセイバーにも判らず、只ヶ己の直感のみが疼く。

 

「見たところ、あの老人が主犯であろうな。だが、当の奴はあの厄介そうで尋常でないデカブツの上に乗っておるときた。さぁ、どうする」

『引き摺り下ろす。それしかあるまい』

 

 態度は変わらず、しかし、油断のない鋭い注意を巨獣から離さないイスカンダル。現に彼の言うとおり、老人こと、間桐臓硯は巨獣の上で薄気味悪い笑みを浮かべるばかり。

 そんなとき、声が響きランサーが実体化する。槍を構え、悠々とばかりな態度を見せる。

 

「ランサー、その槍の投擲で、岸から巨獣の上を狙えるか」

「モノさえ見えていればどうということはない────と、言いたいが、あれでは届く前に墜とされるだろう」

 

「なら、撹乱ぐらいでいいならやってみせるとしようか」

 

 ふと、頭上からの答え。見上げると、手のひらほどな純白の蛾が飛んでおり、そこから何かが飛び降りる。と、同時に、コミカルな演出と共にオベロンが姿を見せる。

 舞う様な着地を見せて、彼はこうのたまう。

 

「妖精王オベロン、有事につき颯爽と登場──ってね。戦う力はそれほどないけれど、気を逸らすことぐらいならできるとも」

「ならば先鋒は、私とライダーが務めよう。いいな、征服王」

 

 イスカンダルは了承するも、セイバーに対して訝しげな問いかけをする。それに対しセイバーは、己に与えられた『湖の乙女の加護』について話す。

 それに感心するイスカンダル。そして、一番槍は貰ったとばかりに戦車を駆け巡らせる。続くようにしてセイバーが川へと駆け出し、水面の、ほんの紙一重分の空間をおいて、まるで地上で走っているかのように巨獣へと向かっていく。

 

 それを見届けたオベロンは、虫や小妖精(ピクシー)達を喚び出す。それらに労るように、こう語りかける。

 

「やぁ皆。悪いんだけど、彼らの注意を惹いてほしいんだ。あぁでも、無理はしないでね?目の前で踊るだけでいいんだからさ」

 

 小妖精達は元気よく返事しているかのような動きを見せ、次々に黒妖犬達の前へと飛んでいく。セイバー達を抑えんとしていたはずの黒妖犬達は、目の前でひらひらと舞う目障りな存在に、追い払うようにして注意を逸らせてしまう。

 その不意を狙い、セイバー、並びにライダーは、周囲に蔓延る黒妖犬達を討ち払っていく。そして、ついに巨獣に対しても攻撃を加えていく。が──────

 

「くっ──(攻撃が効かない……いや、効いてはいるが、ここまで微々たるものなのか…)」

 

 今までの雑兵モドキであった"呪塊妖精(モース)"や"黒妖犬"らとは違い、この巨獣に対して有効打が与えられずにいた。攻めるに攻めきれず、どうにかもがく二人。

 そんな時、上空から幾つもの武器が巨獣に向かって飛んでくる。その武器群は巨獣の身体を貫き、突然のダメージに驚きの声を上げる。だが、少しして段々と元に戻っていき、ついには完全に修復されきってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──戦場から少し離れたビルの上──

 

 おーおーおーおー、やってらやってら。揉めてる揉めてる。貴族意識というか、魔術師的意識の高い時臣と、森羅万象を統べる王としての意識の高いギルガメッシュとじゃあ反が合わねぇよってハナシ。

 どーもー、アルレッキーノこと朝露どすー。いやぁにしても、無理矢理繋ぎ合わせてみたけど、案外上手くいくモンね。

 

 この未遠川の上流から、『黒犬公(バーゲスト)』としての能力である『魔力喰い』、それを周囲の黒妖犬共と共有させながら進撃させるという、自分でも中々無理のあるやり方だったんだがね。

 ま、もうあのご老人も必要ないし、このまま首謀者として退場してもらいましょうかね。オベロンも、いい具合でアリバイ作ってるみたいだしな。

 

『(マスター、この後は?)』

『(戦闘機が二機来る。内一機は落とせ。片方はバサスロ出勤でギル集中。補正は微量で良し)』

『(りょーかい)』

 

 そんなこんやしてるうちに、キマシタワー。んと…"F-15"だっけ?あれ。そこまで現代兵器に詳しいわけじゃねぇからなんとも言えんが。

 どれどれ……?ダメージを受けたバーゲストはー、上空を睨んでギルガメッシュを捕捉ぅ。そして足元から鎖をこれでもかと向かわせるも?運悪く(・・・)一般通過しちまった哀れな戦闘機に当たって墜落。そしてンンン、ゴチソウサマーッ、っと。

 

『(うわ、何あの変態軌道。キモッ)』

「『ゥハハハハ」(いいじゃん最っ高。ああいうのロマンだわぁほんと)』

 

 出た出た、バサスロの通常の戦闘機にはできないクソ変態軌道。しかもミサイルが鋭角軌道からの無限追尾とかエグすぎるわぁ。あれは空対空戦闘(ドッグファイト)したくねぇなぁ。

 つって、それ以上に変態的な軌道するギルガメッシュのヴィマーナよ。ハハッ、やっぱ直に空気に触れた観賞はたまんねぇなぁオイ。

 

 

 ────ん?おいおいおい………余計なことしないでくれよな……──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遠坂……時臣……ッ!」

「………間桐、か」

 

 ────伝えねば、伝えねば。このままではマズイ、このままでは危ない。葵さんも、凛ちゃんも。そして────"アイツ"と一緒にいる、桜ちゃんも。

 ダメだ、戦ってはダメなんだ。お前が死んでしまってはダメなんだ。桜ちゃんを、臓硯に養子に出したことは許せない。けど、それ以上に、お前が死ぬのは、俺がここで死ぬ以上にダメなんだよ。

 

「──逃げろ、ッ。葵さんを連れて、冬木市から、逃げろ!」

「──何を、言っている?」

 

 頼む、届いてくれ。俺はもう、永くないんだ。俺にはもう、伝えられることが少なすぎる。

 なぜなら────アイツらの作戦を、俺はつい、聞いてしまった。そして、見つかってしまった。逃げてきたが、多分もう見つかっている。だからもう、俺は助からない。

 

「お前が、桜ちゃんを臓硯に養子に出したのは許せない。けど、頼む。逃げてくれ──────葵さんを、凛ちゃんを、助けられるのは、お前だけなんだ」

「────雁夜、何が──」

 

 

「ガッ、アアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 苦しい!痛い、イタイ!なんだ、これは。なんだ、この痛みは。背中から──蜂?蜂、だと……まさか。いや、そんな早くに?嘘だ。まだ、まだなにも伝えられていないというのに。

 不味い、不味いマズいマズいマズイマズイイタイイタイ────ッ!

 

「時臣ッ!キャスターは偽物(・・・・・・・・)だ!!あれは、サーヴァントじゃない!」

「なんだと……?どういうことだ、説明を──」

 

 したい、けど、もうそんな時間がない。身体が勝手に動かされる。関節一つ持ち上げる度に、自分の筋肉から細胞の一つ一つが悲鳴を上げる。

 血が胃の中を逆流して、吐血する。けど、勝手な動きは止まらない。

 

「逃げろ時臣!俺はもう、俺の意思で動けない!桜ちゃんを助けて逃げ──ガアアアアアアアアッ!!

『(おいおい、白ける真似すんなよ。せっかく助かった命を無駄にするとか、本当にアンタは使えないなぁ)』

 

 身体の何もかもが上書きされていくような、そんな不快感と共に、アイツの声が脳に直接送られてくる。

 頼む……逃げろ、逃げるんだ時臣………このままだと、葵さんも、凛ちゃんも。皆、みんな……──────

 

「みンナを……まもレ……とキおみ……」

「雁夜ッ!」

 

 あぁ……ひさびさに、お前に名前をいわれた気がするよ……。わるい、時臣………もう、いしき、が……────────。

 

 






うっかりうっかり、アンケート終わらせるのを忘れてたでござ候。
結果は、僅差でしたが『バゲ子生贄路線』でいこうと思います。お前ら人間じゃねぇ!(ネタフリ)

雁夜さんはこれからどうなんでしょうねぇ、楽しみですねぇ、救われるといいですねぇ(愉悦)。


更新については、これからも遅れることが多々あると思われるので、どうか長い目で見てくださると助かります。
なるべく早く更新できるようにはしますので、ハイ……。


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