心を無くした男と、嘘つきな王サマ 作:朝霧=Uroboross
どうも、アヴァロン難易度タカスギィ!!朝霧です。
今回は決戦前夜ということで、そこまで濃い内容ではない……と思います。
同時作業って中々むつかしいナリ……
────オベロンが、虚映の夢を見る前のこと──
──それは突如として、私の前に現れた。傍らには、どこか遠くを見ているかのようなバーサーカーのマスターを抱えて、そこに立っていた。
その男は、まるで夜の闇のように黒く、底のない穴のように胡乱な男だった。
『──コイツ、好きに使ってよ。もう用済みだからさ』
そう言って、バーサーカーのマスターを放り投げてきた。生きてはいる、意識もある程度はしっかりとあるようだ。先日、彼を回収しようとしたところ、仮面の男に邪魔をされたが、その関係者なのだろうか。
一体なにが望みなのか、そう聞くと、男は一瞬だけ面倒臭そうな顔をしたが、次見たときには薄ら笑みを浮かべて宣った。
『別に?好きに使いなよ。あぁでも、もしソイツが望んだら、せめて仇敵──確か、トキオミ?とか言う奴と会わせてやってよ。きっと、
──貴様は、何者だ。
英霊にしては禍々しく、サーヴァントにしては空虚だ。まるで、
少し悩む素振りをしたあと、先ほどと変わらぬ……いや、先ほどよりも笑みを深めた顔で名乗った。
『俺?そうだね……名乗るとするなら────
"
──目が覚める。柔らかな寝台ベッドの上から起き上がり、煩わしいほど輝く朝日を見る。小鳥が歌い鳴き、暖かな陽だまりが届いてくる。
……とまぁ、アンニュイな詩を唄ってみましたが、やめました。えぇ、やめました(ドマーン)。さっさと着替えてうちのサーヴァントを喚ぶ。
「オベロン」
「昨晩にはもう終わってるさ。仕込みは上々ってやつだね」
おっと、もう終わってたのか。流石だね、ほれぼれするよ。
オベロン──いや、
スキル『夢の終わり』
────対象一体に、究極的なまでなパワフルドーピングをかける、オベロンとしての……いや、妖精國の滅亡と人類史の崩壊を望んだ、"オベロン・ヴォーティガーン"としての切り札。
このスキルをかけられた対象は、その能力値が莫大に増加するという。ヘタなサーヴァントであれば、恐らく宝具の連続使用さえできる破格のスキル。
だがその代わりに、このスキルをかけられた時点で対象は強烈な幻覚作用に襲われ、次第に自我が消失。最後には二度と覚めぬ夢の中で、静かに息を引き取ることとなる。
「でもやっぱ……えげつないよなぁ、これ」
「なにせ僕は"
手元にある、昔にどこかで買った"遠見の水晶"をいじりながら、オベロンのスキルにあてられたカリヤを眺める。
一応カリヤクンは原作通り、言峰に愉悦のために殺された時臣クンの死体を見つけ、さらにはそこに奥さんも現れ、あわや勢い余って殺しちまいましたとさ。ちゃんちゃん。
愚かだねぇ、時臣クンもさ。せっかくカリヤクンが警告してくれたのに、それを聞き入れず母子をこの冬木市戦場から離れさせなかったんだからさ。
だから、こうなった。これはもう、時臣クンうっかりどころじゃなくて、戦犯だよ?うん。呆れて言葉も出てこないよ。
「バーサーカーの様子はどぉ?」
「今のところは静かにしてるよ。ま、夢の中でアイツに何かやってたみたいだけど」
「抵抗──だとしたら無駄なんだよなぁ」
ま、大方カリヤクンの夢を通して、怨嗟の声でもぶつけてたんだろうけど。とはいえ、オベロンのスキルが発動してしまったからには、どの道彼はもう救われない。救えない。
物語も終盤、これより決戦の時。今夜と明日で全てのケリがつく。……あぁ、楽しみだ、愉しいとも。たのしくてしょうがない。よもや、オベロンを召喚した時はどうなるかと思ったが、ここまでくれば出し惜しみはナシだ。
──かつて夢見た
ついには人を棄て、嘆きを棄て、救済を棄てた彼の側には、あまねく全てを喰らい呑む『奈落の虫』。
希望は無く、絶望はすでに彼方へと。己は人を嗤うモノ、傍らには人を蔑むモノ。ならば、最早やるべきことはただ一つ。
語り明かそう、空虚な物語を。笑い明かそう、愚か者たちの末路を。それは、決して誰にも知られることなく、誰にも想われることのなかった者達が歩む世界。
──
その夜、物語は終わりに向けて動きだす────。
狂った泉の騎士は、雷鳴轟く大王に化け、はや貴き騎士の王が守りし聖杯の乙女を簒奪する。なれども、その眼は輝ける剣の王へと、一時も外れることなし。その眼に映るは救済か、復讐か。
数多の蟲をはらみしやつれた男は、叶わぬ夢を想いながら、長らくの仇敵の屍を背負い、かつての愛しき者の亡骸を抱いて、彼らの形見を憂う。己が見ている世界が全て、夢の中の一幕であるとも知らずに。
かつて正義を願った者達は、片や、友も師も、そして妻や仲間も、何もかも全てを失い、その喪に服す暇も無く戦場へ臨む。叶えられることのない、叶うはずもない願いを抱きながら。
片や、星の内海より託された剣に誓いし想い、それは最早届かぬものと知りながら、愚かしくも踊る騎士の乙女。簒奪されし器を取り戻すべく、そして故国復活のため、今一度、盲目に落ちたその剣を掲げる。
雷霆を纏う大王は、騎士の王が持ちたる盲執を憂い、光の奔流と相対する。戦車を失い、己もまた並々ならぬ身でありながらも、金色の王と相見えるべく、未だ若き己が主を乗せて愛馬を駆けらせる。
未だ未熟たる軍師は、己が手に刻まれし紅き印を用いて、自らが王の勝利を願う。未熟であるが故に離別を望むも、王は彼を伴にし、彼もまた友として、戦場へと駆けていく。
万有を謳う金色の王は、覇道を進む王を鉄橋にて待ち構える。その眼に映るは、慈悲なく、そして己こそが唯一の王であるという自負のみ。その笑みが浮かぶは、己が認めたる相手が、自らの前に立ちし時。
笑う黄金と共に歩む、悦びに溺れし聖職者は、蟲に喰われ夢に墜ちた愚者を連れて、簒奪した乙女をエサに、正義を謳う殺戮者を招き寄せる
そして──────
過去であり未来であるその國にて、醜悪にして堕落せし妖精達を嗤い、そして唾棄すべきと嫌悪せし"奈落の虫"は、世界に再び黄昏の時を迎えんと、その食指を伸ばす。その身に宿せし"童話の中の王子様"は、その仮面を破り"卑王"となる。
かつて、救いを求めても、誰からも見向きもされず、砕けた自由を弄ぶ道化師は、異なる世界にて蘇ったその命を以てして、この世界に生ける全てを嗤う。死したる心に浮かぶ笑みは、最早嘲るのみと知り得るからこそ、彼は己の愚と共に、人々を嗤い続ける。
──決戦の時は近い。最後に
────くるくるくるくる、まわる"
いきつく先は、"
"
さぁ、一緒に"
彼女は出ません。セリフの引用だけです。出ませんよ?(圧)
あと、目を離してる間にUAが爆上がりしてて戦慄したんデスケド……。オベロン熱も冷めた頃合いかと思ったら、案外そうでもないなぁ。
感想は何時でもお待ちしてます。返信は遅いと思いますが、できる限り返していきます。
あとついでに評価もあると嬉しいなぁ……(小声)