心を無くした男と、嘘つきな王サマ 作:朝霧=Uroboross
デッデッデデデデッ、カーン。やっべ、フライングした(焦)。朝霧です。
先にご報告。前話の桜について、中学生前だったのを、設定を直して高校前にさせて頂きました。
時間的には、事件簿より半年以上前で、グレイがロンドンに少し慣れたした後になります。
割と複雑?話の途中途中でいくつか空きがあるだろうなと思って差し込みました。てへ。
片道約15時間ほどのフライトを楽しみながら、やっと到着しましたブリテンことイギリスはロンドン。天を臨む時計塔の鐘の音が、ここが海外だと思わずにはいられない。
幸い、昼の便だったから準備も間に合ったし、なにより時差で早朝に着いたのはありがたかった。予約してあったホテルに入り、荷物をほどいていく。
「ふぅん、ここが汎人類史のブリテン──いや、今はイギリスだっけか。いいんじゃない?僕はこういうの、結構面白いと思うよ」
「ぼやいてねーで手伝いやがれ、オベロン」
そんなこんなで荷ほどきが終わり、桜ちゃんも連れていざ、ロンドン散策へレッツラゴー。等と、その間もオベロン配下の虫達に、霊脈の集積地探しをしてもらう。
ぶっちゃけ言うと、傭兵時代にもロンドンは何度か来たことがある。傭兵だからな、暗殺だの強奪だの色々依頼されてたもんだよ。だからまぁ、地理についてはある程度目処がついてる。
「あれが、『時計塔』……」
「見る分にはすごいよなぁ。ま、近寄らないのに越したことはないよ」
自作の翻訳魔術をかけて、あれこれと買い物をした休憩ついでに、橋の上からそびえて見える『時計塔』を見る。間もなく夕暮れとなる陽を背に立つソレは、周りの風景に馴染みながらも、判る者にはわかる異様な雰囲気を漂わせている。
かくいうオレも、あまりここには近寄りたくない。なにせ、オレも桜ちゃんも、"魔術の枠組みを越えた魔術"──『封印指定』モノだからな。それで厄介なことになるのは御免被る。
「さて、ちょっと早いけど夕御飯にしようか」
「はい。虚映兄さん」
フラフラと辺りを歩いていると、賑わいの多いところから少し離れた通りに、小さくもお洒落なカフェテリアを見つける。見たところ、サンドイッチを中心にしているみたいだし、空いた小腹を満たすには丁度良いな。
一緒に店内に入って、空いている席に向かい合って座る。大きくなった桜ちゃんを見ていると、ほっこりするってもんだわなぁ。
────また一人、誰かが店内に入ってくる。
「────ん?なっ、お、お前はっ!?」
「うん?」
誰かね、ワタシの和やかなティータイムを邪魔する者は。振り反ると、眉間にシワを寄せた男性が、オレの方を見て眼を見開かせていた──────。
────バカな、なぜアイツがここにいる!?よりにもよってまだ忙しいこの時期に、この顔を見ることになろうとは。というよりも、この
私がかつて参加し、"彼"と出会った極東の魔術儀式──第四次聖杯戦争の、表向きの勝利者。〈キャスター〉のサーヴァントとして、『妖精王オベロン』を召喚せしめた若き凄腕の傭兵*1。
────"嗤う大道芸"『アルレッキーノ』こと、『朝露 虚映』。
「……なぜ貴様がここにいる」
「強いて言えば旅行だけど?」
普段お気に入りにしているカフェで、私と彼は再び相見えた。驚き固まる私を、「連れだ」と言って向かい合う形にする。流石に騒ぎ立てるのも店に迷惑だからこそ、私は誘われる通りに座る。
周りに声が聞こえないように、なるべく声を抑えながら問いかける。だが……言うことにことを欠いて旅行だと?ふざけている。一体何が目的だと言うのだ。
「……信じてねぇなぁ、まぁいいけど」
「……そちらのレディは」
私が視線を向けると、彼の隣にいた少女は居住まいを直して、私に軽く座礼をしてくる。見たところ礼儀もしっかりしているようだ。そして────魔術も、天才といって良いほどのようだ。
並大抵の者には感付かれない程度の偽装はしているようだが、そもそもこれほどの偽装ができる時点で相当な腕前だ。恐らくは、彼か『妖精王』から教わったのだろう。
「おっと、こりゃ失礼。紹介しよう、こちらうちの従兄妹にして内弟子の『朝露 桜』だ」
「えっと、『朝露 桜』と言います。えっと──」
「──『ウェイバー・ベルベット』。今は『ロード・エルメロイ二世』と名乗らせてもらっている」
「は、はい。宜しくお願いします。ロード・エルメロイ二世さん」
従兄妹、か。直接の血の繋がりがないにしても、彼と同じ魔術の気配を感じる。もしこの子を『魔術協会』に入れたとすれば、どれほどの鬼才になるか────いや、止めておこう。
ただでさえあの問題児共にすら手を焼いているというのに、これ以上の面倒──いや、厄介事は扱いきれん。"第四次聖杯戦争の勝者の身内"という、厄介事はな。
「ははぁ……あのチンチクリンが、こうも渋柿になるたぁね」
「お前にチンチクリンと言われる筋合いはない!……んんっ。ところで、貴様のサーヴァントはどうした」
そうだ。あの童話の中から出てきたかのような、伝承科でも伝説扱いされていた存在──〈キャスター〉、『妖精王オベロン』がいないのだ。
いや、聖杯戦争が終わったのだから、いないのは当然と言える。だが、彼の『妖精王』がそう易々と居なくなるわけがない。そう、予感がしていた。
「──
「そうか……ん?まさか受肉したのか!?」
驚く私に対して、呆けた顔をして頷く。正気なのか……〈
クソ、聞き出したいことがあまりにも多すぎる。だが、問い質そうにも場所が悪い。今はまだ人が多く、加えて魔術になんら関係のない者もいる。"
「色々聞きたいって顔だな。いいぜ?教えても。特に桜ちゃんは聞いておくべきだからな。──あぁ、周りは気にしなさんな。普通の会話にしか聞こえないさ」
「色々聞きたいことが増えたが……聞かせてもらおう。────あの聖杯戦争で、どうなったかを」
────それから私は様々なことを聞かされた。彼の地に喚ばれしサーヴァント達の真名と、各マスター達。そして、その最後も。
聞けば聞くほど驚くばかりだった。たが、納得も多かった。聞けば、彼のセイバーのマスターは、彼と同等以上に有名な『魔術師殺し』──『衛宮 切嗣』とのこと。ならば、あの情け容赦のないやり方も納得する。
ましてや、あの遠坂家と教会が通じ合っていたという話は驚くしかなかった。やはり、あの時〈アサシン〉が〈アーチャー〉に倒されたのは、通じ合っていたからこその欺瞞だったというわけだ。
「────んで、これが一番大事なこと。
────聖杯は汚染されている」
「なんだとっ」
聖杯が汚染されているだと!?一体、どういうことだというのか。説明を端的にまとめると────"アインツベルンがやらかした"、ということの様だ。
頭の痛い話だ。御三家の内、ホムンクルス技術で名高いアインツベルン家が苦し紛れに行ったことが、巡り巡って自らの首を締めることになろうとは。
「だからこそ、オレからアンタに、最初で最後の忠告だ。……アンタはもう、聖杯戦争には参加するな」
「……だとしても、私にはやるべきことがある」
そうだ、例え聖杯が汚染されていたとしても、私にはやるべきことが、やらなくてはならないことがある。それをどうにかしなくては、私はどうすることもできない。
聖杯が欲しいわけではない。かといって、欲しくないわけでもない。しかし、そんなことよりも、私は────。
「……そうかい。ならオレは何にも言わねーさ。────さて、気を取り直して、食後のティータイムとしようや。頼んだ紅茶が冷めちまう」
「あぁ、そうだな」「は、はい…」
そうして、聖杯戦争の話は打ち切られることとなった。最後に彼が、私の言葉を聞いて悲しそうな顔を浮かべたのが気になった。だが、そこまで聞くのは野暮というものだろう。
それに、聞きたいことも充分に聞けた。話し込んだとは言え、陽が落ちきる前に済んだのは、彼がそれだけ話上手だということか。
一心地着き、彼の従兄妹だという彼女からの質問に答えていく。出てくるものは魔術についてから学業についてなど、勤勉な態度であった。
しばらくして、人もまばらになった頃。店に誰かが入ってくる。現代風の衣装を着た、彼の『妖精王』本人には驚いたものだ。またいずれ会談の場を設けるという言葉をもらい、彼らと解散する。流石にトラブルにならずに済んだのは僥倖だったな。
「――師匠、迎えに……あれ?誰かと居たんですか?」
「いや、もう済んだ。出迎え感謝する、グレイ」
……そう。例え、汚染された聖杯であっても、もう一度お前に会えるのならば、僕は────
エルメロイ二世先生の話し方あってるかな?割と手探りです。 本格的に事件簿に介入していくのは後になります。
いつも誤字報告ありがとうございます。てかもう間違い探し的なミニゲームなのでは?あと感想・評価もまってまーす。