心を無くした男と、嘘つきな王サマ   作:朝霧=Uroboross

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ヘィヨー、カルデラーックス。朝霧です。

今回は進行上の都合、若干のはしょりがあります。 何か気に食わんなって人は、アニメ見て自己保管お願いしまっす。サーセン。






幕間⑤:妖精と謂ふ者 続

「────ダメです。ワレッタの霊は、呼び掛けに答えません」

 

 はい。どうも、朝露虚映です。なんか知らんうちに巻き込まれて、なんか知らんうちに殺人事件の関係者になりました。クソが。

 突然だが、オレはオリチャーがクソほど嫌いである。なぜなら、正しい攻略法があるというのに、なんでわざわざ無茶苦茶にしていくのかがわからん。そんでポカやらかすんだから目も当てられない。

 

「──では、犯罪捜査の原則に乗っ取れば、この死によって最大の利益を得る人物、ということになりますが。──ウィルズ・ぺラム・コドリントン?」

「────ッ」

 

 あぁそう、オレ達は蚊帳の外ってわけ。別にいいけど。その方が色々と都合がいいしね。コイツらと関わるとロクなことにならないし。

 そうしてオレを抜いて、どんどんと話が進んでいく。ロード・エルメロイ二世が推理を立てて、化野と睨み合う。その結果、捜査権を任されることとなり、オレと獅子劫がエルメロイ二世に呼ばれる。

 

「で、この後はどうすんだ?」

「協力してもらうぞ、獅子劫界離、"朝露虚映"。この件には、死霊術師(ネクロマンサー)。そしてお前の存在が必要になる」

 

「ふーん……いいけどさ、報酬(代金)を頂戴よ」

「むっ、持ち合わせはそんなにないぞ」

 

 お金じゃないんだけどなぁ。と、獅子劫の方も同じ意見だったらしく、あっちは葉巻一つ貰って受諾した。てかあれ、魔術礼装では?

 こっちは……まぁ、後払いでいいか。今のうちに、こっちでのアイツら(・・・・)の名前でも書き出しておくか。

 

 その後、エルメロイ二世から頼まれて、書庫で資料を探す。にしても、出るわ出るわ、貴重な資料がたんまりと。うんうん、興味深い。こんな時じゃなかったら、ゆっくりと読みふけっていたかったなぁ。

 

「──どうかしましたか?」

「あぁ、ちょいと懐かしくてな」

 

 ん……あぁ、妖精の物語かな?死んだ子供が妖精になる、ね。あんな残酷で酷い生き物になるなんて、その子供達が浮かばれないってものだよ。

 かつて、前世で見た妖精國の妖精達。陽気で優しく、残酷で狂気に満ちたロクでもないクソッタレ。あれと関わると、ほとほと破滅しかない。

 

「──ッ!獅子劫!!」

 

 待て待て待て!なんだそりゃ!?窓を割って入ってきたのは──まさかまさかの『黒妖犬(ブラックドッグ)』だと!?

 オレは喚んだ覚えはないし、オベロンも何の予告もなしにするわけがない。ということは……これは土地に現れた"野良"か!

 

「逃げな、お嬢ちゃんには荷がおも────っておい!」

「アッド!──第一段階、限定解除!」

 

 ヒュゥ、やるねぃ。流石はアーサー王の……いや、やめておこう。流石に野暮に過ぎる。しかしまぁ、アレを礼装に押し込めれた時点で、相当なものだな。

 談話室に戻り、さっきの件について報告する。もちろん、オベロンも一緒にな。その流れで、グレイちゃんに関しての話を聞く。

 

「──あれはアーサー王の槍、『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』だ」

「槍!?」「アーサー王の、槍……」

 

 良かったなオベロン、これでどう扱うべきかわかっただろう?ただ、アイツならわかるだろうが、妖精眼で見ても恐らく純粋な子だからな。どちらかというと、初期のアルトリア──キャスターの方に近しいかな。

 ……おう。まぁ、お前さんがどう思うかは勝手だけどさ。オレはアンタらのこと、嫌いじゃないよ。純粋に、ただひたすらに駆け抜けたアンタらのことはさ。

 

 ──さて、エルメロイ二世が天恵を受けたそうだからね。こちらも色々と支度をしようか────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やってきました、隠し地下室。エルメロイ二世、獅子劫、ウィルズの三人で陣をつくる。その中央に、オベロンとライネスが並ぶ。

 これから、儀式呪文が始められるのだろうな。

 

「兄上?この体調では儀式は手伝えないぞ」

「そこに立っているだけでいい」

「なら、僕が支えていよう」

 

 そして、呪文の詠唱がなされていく。つっても、オレは部外者だし、何よりやることがほとんどない。こんな急な展開じゃなければ、色々と段取り踏んでいけたんだがなぁ……。

 っと、どうやら成功したみたいだ。ライネス嬢の魔眼が反応し、その正面から何者かが浮き上がってくる。あれは……妖精か。

 

『まさか、この様な魔術を使うとは……』

『みたところ、風の氏族に似た風貌だね……』

 

 オベロンが、オレが魔術で組み上げた念話で呟いてくる。そうさな、ソールズベリーにいた風の氏族とそっくりだ。話し方からして、コーラルちゃんに近しいものを感じるね。

 エルメロイ二世の推理を端的にまとめると──、この工房は、ウィルズの妖精眼を用いて発動する、妖精生産装置────ってところか。うん、反吐が出るね。

 

「だが、なぜトレバー卿は死んだ?制御出来なくて死んだ、等という話でもないだろう」

『私が殺した』

 

 ま、だろうな。オベロンがいた妖精國とは違い、堅物……というか、しっかりとしてる彼女からすれば、相当許せないことだろうよ。そういう意味では、自業自得だったわけだ。

 

「素敵なラブロマンスですが、結局、ウィルズの妖精眼がワレッタを殺した。と、言えるのでは?」

「彼は被害者さ。君は、小さな歯車を犯人にして、法廷にでも立たせたいのかい?」

 

 ま、そういうところだな。化野の推理は、魔術師という存在の前提があればこそだ。だが、人の心はそう簡単なものじゃない。いくつもの意図が、がんじがらめになっているものだ。

 まぁ……そんな悠長なことは、思ってもいられないが。

 

「ただ……少し、手遅れだったかもね」

「ッ!走れ!!」

 

 エルメロイ二世の叫びで地下から脱出し、屋敷の玄関ホールへと出る。外では、ブラックドッグ達が溢れ出していた。……ヤバくね?

 どうやら、化野の封印が強すぎたあまり、エルメロイ二世達の儀式によって工房が活性化した、と。なんてことしてくれたんだお前らァ!?正面からなんてごめんだぞ!?

 

 あぁもう、やらなきゃダメなのね!わかったよコンチクショウッ!!

 えぇい、数が多いよ!短剣を振り回してなんとかなってるけど、いかんせん捌ききれねぇ。

 

「手作りで失礼(でっせー)!マスターッ、流石に対応しきれない!」

「わかってらぁ!だがどうにもならん!!」

 

 うざったらしいなぁもうっ。このままじゃジリ貧だぞ、これ。なにか、なにか対軍宝具並みの大火力が必要だぞ。

 マズイ、あのデカいのが動き始めやがった。あれが来たら、とうとう抑えきれないぞ。一体どうするつもりだ、エルメロイの。

 

「"Gray…Rave…Crave…Deprave……Grave…me……。…Grave……,for you…………"」

 

 使うのか、それを。そうだ、それが正解(better)だとも。だが、宝具発動ともなれば、魔力を感知できる奴らからすれば捨て置けるはずがない。

 オレ達に向かって来てきた数体が、グレイちゃんの方へと方向転換する。そりゃまぁオレでもそうするけどよ!

 

「ぐぅっ!?」「くっ──!」

 

「気にするな!お前さんのやりたいようにやれ!」

「そうだとも!得意ではないが、塵払いぐらいやってみせるさ!」

 

 間に合わなかった分を、獅子劫とオベロンが身を呈してかばい、片翼に迫る分を排除していく。そして、極光が天を突き、一番デカイのが動き出す。

 だが、それよりも1コンマ早く、アレは発動するだろうよ。

 

「──古き神秘よ、死に絶えよ。甘き謎よ、尽く無に帰れ」

『擬似人格停止。魔力の収集率、規定値を突破。封印礼装、第二段階限定解除を開始』

 

「聖槍、抜錨──────!!

 

 

 

 

 

 

 

 

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』!!」

 

 

 

 ────これが、本当の『聖槍』。モルガンの魔術によるものではなく、正真正銘、本当の"世界を繋ぎ止める楔"か──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女が放った"聖槍"の光で、人工妖精達はいなくなった。けれど、"門"は未だ消えていない。

 ロード・エルメロイ二世先生が言うには、術式は完全であり、簡単には消すことができないと。皆が対策を考えてくれている。けれど、たった一つだけ、ここからでも術式を解体する手がある。

 

「──行くんだね」

「えぇ、行きます。妖精王殿」

 

 そして僕は、ロード・エルメロイ二世先生からの静止を背に、彼女の元へと歩み寄っていく。

 そして、昨晩のことを思い出す──────。

 

 

 

『──やぁ、ウィルズ君』

『貴方は…!妖精王殿!?』

 

『あぁ、そうだとも。君が惚れた妖精達の王さまさ。まぁ、お飾りだけどね。……君の考えていることは分かるよ』

『……そうですか、やはり…』

 

『いつか、それは甘い夢だと知るかもしれない。そうしなければ良かったと思うかもしれない。それでも、君は行くのかい?』

『……えぇ、それがきっと。一番いい選択で、何より僕が望んでいることですから────』

 

 

 ──ありがとう、彼方より来たる妖精の王よ。僕の言葉を聞いてくれて、僕の想いを聴いてくれて。これが、例え魅入られていたとしても、僕は何一つ、悔いはない。

 そうして僕は、彼女と共に門の奥へと進んでいく。これで、僕の謎は解体された。

 

 ────ありがとう、ロード・エルメロイ二世。僕の謎を解体してくれて──────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一件落着し、皆思い思いに帰っていった。虚映達は、ロード・エルメロイ二世達とは別の列車に乗って、ロンドンへと帰る。その最中の車内にて────、

 

「今回は珍しく黙りが多かったな、オベロン」

「まぁ、ね。今回は、思うところは多かったから」

 

 ──妖精絡みの事件、その妖精に惚れた人間、騎士王の写し身、現代に甦った"最果ての槍"──それこそ、挙げればキリがないだろう。

 だが、それらは最早"終わった"こと。だからこそ、彼らは荷物の中から、一通の『黒塗りの手紙』を取り出す。

 

「それはそれとして、さ────これ、どうするつもり?」

「まぁ………いくしかないだろうよ。はぁ、計画建て(プランニング)しないとな。クク……最後の最後に面白くなりそうだ」

 

 悪魔は笑みを深める。その瞳孔の奥に秘めたるものをぶつけんと。

 嗤う道化師と有り得ざる妖精王は、その手に持つ"心臓無き者"からの挑戦状に、ただ薄く笑うのみであった。

 

 

 

 






いつの間にか送られてきていたお手紙。送られてきたのは、桜ちゃんが帰った後だとか。

これで魔眼収集列車に参加確定致しましたー。ドンドンパフパフ。ただ、ストックが無いので、更新遅れたりするかもしれませんが、木永に待ってて頂けると幸いです。


感想・評価、まってまーす。

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