心を無くした男と、嘘つきな王サマ 作:朝霧=Uroboross
えー、皆々様、大変お久しゅうございます。この場を借りて、ご挨拶申し上げまする。
リアル事情で就活からややブラック気味な仕事量(量以外はホワイトなのでご心配なく)など、大変混み合った云々がありまして、遅れに遅れて申し訳ない。
ということもありまして、作風がやや変わったように感じてしまうかもですが、消えた遺作で終わらせたくないので、最後まで走りたいと思います。よろしければとうか、最後までお付き合い下さいまし。
おわりのはじまり
────それは、誰にも望まれずに産まれた。
きっかけは、ささいなことだった。男女の軽い触れ合い、たった一度の過ちから産まれた、望まれないもの。
疎まれ、蔑まれ、己の腹から生まれた
それが周囲にバレて通報され、
しばらくして学校へ通い、他者と関わるようになっても、周りはまるで腫れ物のように扱い、誰一人として彼の側には近寄らないのでした。そんなものが、果たして正しく社会へと溶け込めるのでしょうか。
やがて、正しい社会の中に居場所を見失った
どうせいつか消えてしまう、どうでもいい存在のことなんて。
皆みんな、どうでもいいのです。
──────だから、嘘と虚構で塗りたくりましょう。見て見ぬふりをしてきたモノに、その命を刈り取られるその時まで────
「1つ目の親は、事故だった。あれは本当に偶然で、周りの白い目に耐えきれず夜逃げしたら、たまたま通りかかったトラックにはねられたんだと」
「2つ目の親は、なんなんだろうね。結局は偽善で、オレが他と違って混じれないと分かると、腫れ物みたいにしてきたンだわ。ま、出た後にめでたいことがあったらしいし、それからは知らないね」
「3つ目がこっちの親。ま、典型的な魔術師だったよ。無から有を創ることで根源を形容する、なんて無茶しようとしてたけどサ」
「それがどうなったって?……さぁてね。姿がないってことは、まぁそういうことなんだよ」
命乞いするかのようにみっともなく、ただ喚き散らすだけのズダ袋に、道化師は冷たく告白する。過ぎたことだとつまらなそうに、他人事のように宣うその手元では、歪な形の短剣を弄ぶ。
────おかしい、有り得ない。こんなはずでは──
男の脳内では、その言葉ばかりが反芻していた。
聖杯戦争において、栄えある時計塔から選出された、文字通り選ばれた
それが気付けば、己がサーヴァントには契約を切られた上に工房まで焼かれた。幸い、九死に一生を得て命からがら逃げ遂せたと思えば、今度はこれだ。
「────どうしてこんなことに、とか思ってるでしょ」
「いやサ?キミがあのキャスターと契約できないのは知ってたんだよ。相性最悪だしネ」
「けど、本来なら死んでもおかしくないのに、キミは生き延びた。それはダメだよ。ちゃんと死んでくれないと、お話がパァだ」
恐ろしいほどの理不尽。猿轡を噛まされ簀巻きにされた男────アトラム・ガリアスタは戦慄する。
魔術は使用不能、抵抗は無意味、会話は不可、文字通りの詰み。次第に、身体が震える。
「────やぁ、マスター。こっちは終わったけど、ソレとうするんだい?またあの時みたいにする気かな?」
「んー…いや、コレは使わないよ。粗大ゴミの方がまだマシって感じ」
せせら笑うような悪魔達の会話が、遠く聴こえる。
呼吸が上手くできない、身体が怖気づいて────あぁけれど、気付いてしまった。己の胸から生える、その凶器に。
「ぅ、ぉぇ……?」
「サヨウナラ、そしておやすみなさい、アトラム・ガリアスタ君。キミの犠牲は、この世界にとって必要で必然だった。よく眠りたまえ」
その後行方不明となるが、現場の状況として死亡と推定される。
日は真上に差し掛かり、生徒たちでガヤガヤと賑わう校舎。原の空き具合が気になり、授業への興味がまばらになりがちな時間帯。
「ほらお前たち、昼メシが気になるのはわかるがちゃんと聴けー」
「はーい、すいませーん」
教師と生徒の間柄でありながらも、気安い笑い声が響く教室。板書には小難しい文字の羅列から、噛み砕かれて簡略化された解説が書き連なっている。
「お、丁度いいな。んじゃ、今日はここまでってことで。課題は忘れんなよー」
板書の端まで書いたとこりで、午前最後のチャイムが鳴らされる。
騒がしく席を立ち、思い思いに友人たちと語り合いながら、中には学食へ駆けていく者、空腹に耐えきれず弁当を広げる者など、多種多様に笑っている。
「ねぇねぇ
「あっ、ずるいぞ!こっちが先だったのにー!」
「やめんさい君たち。そもそも先生は別で弁当あるし、片付けもあるんだから君たちで行ってきなさい」
ブーイングを受けながらも、呆れたように返す。その返答を聞いて拗ねたように、けれど答えが分かっていたかのように生徒たちは出ていく。
その最中、一人の生徒が迷いなく隣へと歩いてくる。
「先生、俺も片付け手伝うよ」
「おー
「気にしないで下さいよ、これも好きでやってるんです」
────穂群原のブラウニーこと、『衛宮 士郎』。いずれ来たる運命の中核。されども、今はまだ見守るべき子供の一人。
彼が板書を消し、牧島は教材を片付ける。その後、「あとやっとくんで、お昼行って下さいよ」と宣う彼を後にして、教員室へと戻る。
「むっふふー。相変わらずモテモテですなぁ、牧島先生?」
「はは、ご冗談を。思春期の距離感ってヤツですよ、藤村先生」
どこか、虎を思わせる空気をまとう教師──藤村 大河と途中で合流する。茶々をいれながらも他愛ない話をしながら、時として生徒に挨拶したり、注意したりして廊下を歩いていく。
やがて日は落ち、誰もいなくなった学校から出る。
帰路に着く最中、浮かべていた優しげな笑みは酷薄なものへと変わり、穏やかであったはずの空気が冷たくなっていく。
「おかえりなさい、
「はい、ただいま桜ちゃん。なんか変わったことあった?」
「いいえ。────あぁでも、マスターの反応は何人か。もう始まっているんですか?」
「んーん、本番はまだよ。ま、でも準備するに越したことはないよネェ」
そう宣う彼の視線の先には、目隠しをした背の高い女性。そして、真っ黒なツギハギのマントに身を隠したナニカ。
だが、その正体こそ、第四次聖杯戦争の勝者かつ第五次におけるイレギュラー枠の参加者。本来ならば、ギルガメッシュが担っていたはずの例外枠。
──道化師モドキの死神、『朝露 虚映』。
今、伽藍堂の悪魔が再び動き出す──────
以上、今回はリハビリを含めてここまでとします。
ガリアスタ氏にはどの道絶望してもらいます。なんて顔してるんだい、ステキだね。
基本的にはUBWのルートで行きつつ、HFを断片的に混ぜていくのが面白いかなと組んでおります。
近いうちにまた更新いたしますので、気長にお待ち頂けると幸いです。
あ、地球大統領は天井でした(血涙)。
おかしい…超高速でイドまで進めたのに…(月は実装時にやった組です)