心を無くした男と、嘘つきな王サマ   作:朝霧=Uroboross

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ヤバい、回を追う度に長くなっていく……。

オベロン視点からのものと、作戦会議の内容についてです。えらく長いので、あんまりいいかなって言う人はスッスッと読むのがよろしいかと……。


誤字報告ありがとうございます!書いてる時は夢中になってて気付かないので、そういうのに気付いて頂けると本当に助かります。

P.S.お気に入りとUAがグングン伸びているのに戦慄を隠せない……。オベロンすげー。






裏話:オベロン①

 

 

 ────落ちていく、堕ちていく、墜ちていく。ゆっくりと、永遠に、永久に、落ちていく。

 "堕ちた妖精(モース)"を放ち、カルデアに取り入り、モルガンを討ち、厄災達を解き放ち、あの厄介な神の死骸だって消してくれた。お膳立てはバッチリだった。実際、もうブリテンの跡は"奈落の虫(オレ)"が食らい尽くす だけだった。

 

 けど、負けた。いや、正確には目的の前半──ブリテンの崩壊はほぼ完了していた。けれど、人類史の破壊までは出来なかった。

 英霊になったアルトリアと、それを信じたカルデアのマスター ────『藤丸 立香』。ほんと、憎らしいぐらいにキラキラ輝いてて、それがもう、本当にうざったらしくて。

 

 ────あぁでも、せめて"君"に会うことができたなら。

 

 叶わないことを、鼻で嗤う。なんだ、充分に未練たっぶりじゃないか。

 空が閉じる、瞼も閉じる。空を視た、星を視た。ならもう充分だ。あとは眠るだけ。永遠に醒めない、深い深い夢に──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────それなのに。気付けばこんな場所に、またサーヴァントとして喚ばれて、思いっきりため息を吐きたくなったさ。

 聖杯戦争?やれやれ、あのカルデアのマスターみたいな奴じゃなけりゃいいんだけども。ま、そうじゃなくても騙してさっさと帰らせてもらうんだけどさ。

 

 

 けれど────俺を喚んだマスターはおかしなやつだった。

 

 

『よろしく頼むよ。"ライダー"のオベロン』

『──────』

 

 思わず閉口してしまったよ。いやぁ、今思うとあれは悪手だったねぇ。多分あれで確信を持たれたよ。一体どうしてバレたんだろうね?

 それから自己紹介してもらって、尋問まがい────っていうか、アレ確信持った聞き方だったよね。そもそも、あのお話を一体どこから知ったのやら。

 

 ぶっちゃけ言ってしまうと、俺より怪しかったよね。いやほら、普通は自分だけが知ってるはずのこと言われると怪しむものじゃない?俺だって同じことしてたから、そういうの判るからね。

 かた思えば急に「止めた」とか言う。なんなの?情緒不安定なのかな?そう思って素直にぶつけてみる。

 

 

 ────振り返って見せたその笑みを見た瞬間、俺はアイツのことがよく判った。"あぁ、コイツ同類か"ってね。

 

 

『夢で済むなら容赦なんていらないだろ?』

 

 

 俺がブリテンという島──言ってみれば、"神秘"という概念が望んだ『破滅願望』に対して、コイツは多分、人類が生み出した、人類悪とは別の『破滅願望』なんだろう。もしくは、そうあれとされたか。

 ぶっちゃけ、割と本気でお仲間なんて欲しくないし、ぶっちゃけ嫌いだからサボろうかと思ったけど、なんとなく"面白そうだ"とも思ってしまった。

 

 

「そうだな、まずは────オレがなんで未来を知っているかを教えようか」

「おや、そういうのって教えてもいいのかい?」

 

 ちょっとそれは予想外だった。確かに、なんで俺────僕のことを知っているのかは気になってたけど、えぇ?そういうのってもっとこう、引きずらない?

 

「オレがなんで知ってるかっていうと、オレの魔術属性が関わってくるんだわさ。

 

 オレの魔術属性は『風』────ってのは表向き。本当は『無』属性の『虚構魔術』っていうやつなわけ。まぁ諸々の説明は省くけど、それで作った魔術式の一つに、『星天投影鏡(ホロスコープ)』っていう、まぁ擬似的な未来視だな。それで視たってわけ」

 

 ふむふむ、成る程────うーん、嘘でもないけど本当でもない、ね。まだ何か裏があるんだろうけど、何かまでは解んないか。

 にしても、擬似的な未来視ねぇ……。

 

「それは、『千里眼』とは違うのかい?」

「全く違うな。『千里眼』はあくまで"光景を目視する"ものだ。対してこっちの『星天投影鏡』は、"未来に起こるであろうことを過去にして現実に映像投射する"ものだ。

 

 ま、簡単に言えば、直に目で視るか、映画みたいにして見るかの違いだな」

「──────」

 

 

 いやはや……正直、絶句ものだ。確かに、性能的には『千里眼』の方が優れているだろう。けれど、こっちはそれよりとんでもない。だって、言ってしまえばこれは──────

 

未来に起こりうることを多人数で見れるってわけだ。

 

 そんなの、ぶっ壊れにも程がある。それでよく"抑止"に目を付けられていないな、と思ったけど、よくよく思い返したら言ってたじゃん。──『虚構魔術』って。

 "虚構"。つまり、"存在しないものを象る"ということ。ならそこから推測して大体のことを理解する。

 

「ふんふん……。つまり、"抑止"とかにバレたら間違いなく目を付けられるけど、その『虚構魔術』のお蔭で誤魔化している、と」

「全く、お前さんほんと流石だよ。こちとら全く説明してないんだがな」

 

 おいおい、今回の僕のマスターほんとぶっ壊れすぎだろ。流石の僕でもひきつった顔になるぞ。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、まだまだ会議は終わらない。

 

「まぁ、言うて発動までにバカみたいに時間かかるし、消費魔力もバカにならんしでー、ってまぁ、それは『虚構魔術』全般になんだが。

 

 そういうわけだから、『星天投影鏡』で見た未来────"オベロンが参戦しなかった場合の未来"でのストーリーから考えて動こうと思う」

「ちなみにだけど、僕じゃなかったら本来誰になってたのさ?」

「『ジル・ド・レェ』」

 

 えーっと?────うわ、興味本位で聖杯から情報覗かなきゃ(聞かなきゃ)良かったよ。なにこいつ、ほんと、人間の醜いところを浮き彫りにしたような奴じゃん。

 ほんと、人間ってこういうやつを生み出しては消そうとする。醜い上に吐き気がしそうだ。

 おっと、話に戻らないとね。

 

「ごめんごめん、続けて?」

「おう──────アレで視た通りなら、参加するマスターはオレを除いて六人。

 

 

 

 まず、〈ライダー〉イスカンダル。マスターはウェイバー・ベルベット。

 マケドニアの征服王だな。コイツは余程のことがない限り相手にする必要はない。敢えて狙うなら、マスターが未熟なのを狙って見誤った判断を誘うのが有効と考える。

 

 

 

 次に、〈ランサー〉ディルムッド・オディナ。マスターはケイネス・エルメロイ・アーチボルト。

 コイツはぶっちゃけそこまで脅威じゃない。強いていうなら宝具にさえ気を付ければいい。マスターも水銀を操ってきはするが、『戦争』を貴族の嗜みか何かと勘違いしてるド阿呆だな。無視だ無視。

 

 

 んでもって〈バーサーカー〉ランスロット。マスターは間桐 雁夜」

「は?いや待て待て。え?アレってバーサーカーになっちゃったの?」

 

 静かに頷かれる。うへぇ、どんだけ執念貯まってんだよ。はぁ……"アイツ"から"最優の騎士"とか言われといてソレとか、笑い話にもならないね。ま、他所から聞いた話なんだけどね。

 妖精國の"ランスロット"──いや、『メリュジーヌ』はあれを元にしてるっていう話だったけど、そんなことになってたんだねぇ。これだから人間は。

 

「コイツはお前さんの"本当の真名"を明かさない限りわからんだろうけど、コイツ自身は場合によってステータスの隠蔽やら変身やらしてくるから、嵌められないようにしないとな」

「何時から聖杯戦争はなんでもアリ大会になったのさ……」

 

 いやほんと、聖杯戦争ってそんなトンチキなものだっけ?なんだかよくわからなくなってきたなぁ……。

 あれ?もしかして、あいつの居たこの汎人類史って、相当メチャクチャだったりする?えぇ……。

 

「おーい、放心してるとこ悪いんだが、ここからが本題だぞー」

「あ、あぁうん、大丈夫だとも」

 

 危ない危ない、まだ話は終わってないのにのんびりするところだったよ。まぁ、のんびりしてても勝てるだろうけどね。流石にアルトリアとか出てきたら気まずいのはあるけど。

 

「さて、ここからが本題というより、要注意陣営だな。こいつらがキーマンセルに成り得る、てか成る。

 

 

 一人目、〈アサシン〉百貌のハサン。マスターは言峰綺礼。

 サーヴァントの方は単純にワラワラと出てくるアリみたいなもんだけど、厄介なのはマスターの方だ。端的に言うと性根の腐った聖職者。アイツ相手に近接戦闘はご法度だな。

 

 

 二人目、〈アーチャー〉ギルガメッシュ。マスターは遠坂時臣。

 こっちはマスターも強くはあるが、より警戒すべきはサーヴァントの方だ。

 世界最古の王、"英雄王"とも称されるギルガメッシュは無尽蔵とも言える宝具をこれでもかと撃ってくる。しかも『千里眼』持ちときた。コイツに関しては"関わらない"or"即・撤退"だ。

 

 こいつらは互いに手を組んではいるが、ギルガメッシュの影響で言峰が裏切る。ま、残念ながらそれが何時か詳しいところは解らんがな」

 

 ふむふむ。英雄王、ね。如何にもな奴が出てきたもんだね、いやほんと。口には出さない(・・・・・・・)けど、僕はそういうの大嫌いなんだよね。

 わざわざ関わる必要もないし、放置放置っと。やれやれ、中々面倒臭いメンツばかりで困るね────

 

「三人目、〈セイバー〉アルトリア・ペンドラゴン。マスターは衛宮切嗣」

「──────は?」

 

 は?いや、流石に"は?"ってなるだろそれは。何?ウワサしてたら出てきましたっていうのか?勘弁してくれよ……。なんで汎人類史に来てまでアイツと顔会わせないといけないんだ。

 セイバー、ね。汎人類史側とは言え、やっぱり面倒臭いな。別人とは分かってるけど、顔は絶対そっくりだろ。"アルトリア"なんて名前なんだし。

 

「目下のところ、こちらの最大の脅威は〈アーチャー〉と〈セイバー〉の陣営だ。特にセイバーには、お前さんの本当の名前を知られた時が一番マズイ。

 ただ、脅威度はギルガメッシュの方が高いな。理由としては、セイバー ──アルトリア側はマスターとの不和と、奴自身の身勝手な理想・夢想のせいで軽度の弱体化がかかってる」

「あ、そうなんだ。まぁどうでもいいけど。それで?僕は何をすればいいのさ?」

 

 作戦は聞いた、さっさと切り上げよう。────全く。理想を抱いて逝くのはどこのアルトリアも同じなのかい?ほんっと────気持ち悪いね(羨ましいね)

 

「そう急かさんな。まずオベロンには間桐邸に行き、そこにある、とある"蔵"の中を掌握してもらいたい」

「"蔵"ぁ?なんでまた」

 

 "蔵"だなんて、また遠回りな。────って思ったけど、蔵っていうぐらいだから、何かしらの聖遺物でも保管してあるのかな?

 今のマスターの魔力量だと、良くて"オベロン"のままだ。"■■■■■■■■"になるにはあまりにも足りな過ぎる。それに、カルデアと戦ったときよりも遥かに弱体化してるからね。なるべく早めに戦力増強を────

 

「ただの蔵じゃないぞ?その名も"虫蔵"さ」

「はははは、早速死にたいのかな?僕のマスターは。あぁ、寧ろ殺されたいのかなぁ?」

 

 いい笑顔で言い切りやがって、腹立つなコイツ。俺が人間も、妖精も、虫も、何もかも気持ち悪くて大嫌いなのぐらい"ホロスコープ"で知ってるだろうに。

 割と本気で殺してやろうかな、と"槍"を出そうと思ったけど、慌てた様子で待ったをかけられる。

 

「待て待て待てっ、ちゃんと理由があるんだって。

 

 

 ────オベロン、お前さんは『奈落の虫』だ。言ってみれば、虫の死骸やら何やらで象られた"穴"だ。なら、少しでも触媒が多いほど助かるってものだろう?それに、あそこの虫のほとんどには魔力がそれなりにある。戦力にも糧にもなると思ったわけだ」

「ふぅん……。一応考えてはいるみたいだね。いいとも、掌握すればいいんだろう?」

 

 

 

 

 

 

 ────と、ひと悶着あったのも数時間前。会議中に見せてもらった地図を頼りに間桐邸にたどり着きました、っと。

 あー………なるほど。これは酷いね、吐き気がする。僕が嫌いなタイプだな。一番反応がでかいのがいるけど、後でいいや。さっさっと"虫蔵"?だったっけ。掌握してしまおうか。

 

 

 

 ──────あのさぁ……僕こういうのほんっと嫌いなんだけど。うじゃうじゃと有象無象に蠢く虫達の中に放り棄てられた裸の少女。まるで、あの時の僕みたいじゃん。

 

 ──あぁほんと、反吐が出る────

 

 気付けば少女を助けてしまってるし。って、心臓に虫?いいや、そこ退いてくれる?あ、あとついでに"それ"にへばりついてるヤツも取ってきてくれる?

 うーん、別にどうでもいいんだけど、助けちゃったし……まぁ、マスターに任せればいいか。僕は預り知らないことだし。後なんか喚いてる"虫"がいるけど、放置でいいよね。長居してると鳥肌立ちそうだよ。

 

 

 ──さ、行こうか、ブランカ。今度の僕らは、どんな結末を迎えるんだろうね。最初の目的である、汎人類史の崩壊か。はたまた、カルデアの奴らみたいに、誰かを助ける"英雄"になるのか。

 願わくば、今度は巧い具合に事を進めたいものだね────

 

 

 

 

 





オベロンってこんな感じで合ってる?解釈違い大丈夫?
割と手探りでオベロンを書いてるので、解釈違いがあったら申し訳ない……。でも変えるつもりはない(ガラスのハート)。

ちなみに、表現としては、
『僕』→オベロン時の平時。
『ボク』→小馬鹿にする時。
『俺』→"■■■■■■■■"時。
と、しています。



ちょっと有名な方から評価貰って浮き足立ってまーす。
感想と評価をクダサーイ。でも鋭すぎるのは止めてクダサーイ(震)。


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