心を無くした男と、嘘つきな王サマ   作:朝霧=Uroboross

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お待たせしました、ついに始まります。

ちなみに作者は、これを書くにあたってFate/Zeroをもう一度見直してきました。が、不安なので見ながら書いてます。







戦線開幕

 

 

 

 

 ────他愛ない────

 

 

 

 ────地を這う虫けら如きめ────

 

 

 

 ────ぐぁっ!!?────

 

 

 

 

 

 

「「うーん、やっすい三文芝居だなぁ」」

 

 二人して同じ意見を交わしてしまう。いや、仕方ないだろこれは。アニメ見てた同時は『おぉー』とか思ってたけど、実際こうやって見ると安いにも程があるってもんだよ。

 と、自宅で、予め起動しておいた"ホロスコープ"を覗きながら、ポップコーン食べながら見させてもらってます。うめうめ、あんまし好きじゃないけど。

 

 さて、これでもうストックしてある"ホロスコープ"の起動術式はなくなったわけだ。けど、遠目の観賞はここまででいいだろう。あとは実地観戦だな。

 

「んで?一応あの台座に"虫"を張り付かせてるわけだけど、壊すの?」

「うんにゃ、当分は無視よ。本格的な戦闘は明日からだからな」

 

 ソファーの背もたれによりかかる。そんでもって背伸びをする。やれやれ、仕込まないといけないものが多くて困っちゃうね。ま、是非もナイヨネッ!

 然程じゃないけど重い腰を上げて書斎に向かう。ひょっこりとオベロンも付いてくるんだが……まぁ、いっか。

 

 この書斎は、平時はただの書斎だ。だが、ある手順で本を動かすと、机が上がり、下からオレが今まで貯蓄してきた各種『虚構魔術』の発動結晶がしまってある。

 オレの『虚構魔術』はどれだけ効率化しても、びっくりするほど時間がかかる。だから予め、一工程(シングル・アクション)で発動できるよう、起動式のみを外した全工程をこの結晶に閉じ込めてある。

 ちなみにこの結晶、貴金属系であればなんでもいいのです。市販オッケー安上がり、うーん、オイシイ。ただし強度は保証しない。

 

「んーと、"コレ"と、"コレ"と……」

「うーわ、ナニこれ。えっと────『虚式魔導砲(ホロウ・マナカノン)術式』、『魔眼屈折反射術式』、『対・千里眼術式』……いやほんとに何これ」

 

 なんかオベロンがドン引いてる感じがするけど、オレは知らん。生き残るためだったからなぁ、兎に角作りまくったんだっけ。特に"千里眼組"には目をつけられたくなかったからね。

 ちなみに『対・マーリン用対抗術式』もあるヨ。

 

 さてさて、それじゃあ引っ掻き回しにいきましょうかね。

 

「さ────It's show time.だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────夜風吹き抜けるコンテナ置き場。そこに駆け抜けるような足音がいくつか鳴り響く。そして、ふと、とある場所で止まる。

 そこには、二振りの槍を持った青年が佇んでいた。やがて、鎧姿の女騎士と青年がぶつかり合う。それを遠目に見る狙撃手が二人。そして、クレーンの上から眺める〈アサシン〉が一体。

 

 ────次いで、どこからも死角となるコンテナの陰から、ひょっこりと顔を覗かせる二人の姿。

 

「(うーん、あれが汎人類史のアルトリア?なんというか……鳥肌が立ちそうなんだけど)」

「(おう、間違いなくお前さんの反吐が出る『正義の味方』サマだよ)」

 

 こっそりと戦闘を観賞しながら、念話でコソコソ話をする虚映とオベロン。本来ならば虫を放てばいいだけの話なのだが、戦場の空気感や相手の気配を知るためにも、この戦場へと来ていた。

 しばらくして、拡声魔術でも使っているのか、恐らくはランサーのマスターのものであろう声が戦場に響く。

 

 

 ────そこのセイバーは難敵だ、速やかに始末しろ。宝具の開帳を許す────

 

 

「(遅くないか?いや、順当なんだろうね)」

「(まぁな。様子見しすぎってのは否定しないけど)」

 

 そうこうしているうちに、ランサーが宝具である『破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)』を開帳し、セイバーを追い詰めていく。

 ふと、オベロンが他所を向く。何事かと思い、目線のみを向けると、どうやら"虫"からの報告を聞いているらしかった。

 

「(〈ライダー〉が動いたってよ)」

「(そうか、ならそろそろ、一幕目の中盤ってとこかね)」

 

 視線を戻せば、セイバーはランサーの隠し種にしていたもう一つの宝具──『必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)』を避けきれず、あえなく"聖剣"を封じられてしまっていた。

 

「(あーあ、バカなの?片腕で戦えるとか、あのアルトリアとは180度違うなぁ。気持ち悪っ)」

「(本音出てんぞー、"キャスター")」

 

 今にも唾を吐き捨てそうな勢いで嫌悪感を露にするオベロンと、ケラケラとしながらも窘める虚映。

 そして、セイバーとランサーが互いににらみ合い、再びぶつかり合わんとした、その時だった。

 

 

 

『A-rrrrrrrrrァィッ!!!』

 

 

「「(いぃや、うるさっ!?)」」

 

 地に轟く落雷と共に、天を揺るがすような大声が響く。あまりの大声に二人共耳を塞ぐ。

 キンキンと耳鳴りがしながらも視線を戻せば、"ライダー"────イスカンダルが名乗り上げているところであった。彼のマスターたるウェイバーが文句を上げているが、デコピンで黙らされてしまう。

 

「「(うわカワイソー)」」

 

 

「うぬら────一つ我が軍門に下り、聖杯を余に譲る気はないか!!」

 

 そんな大声量が、虚映達が潜むコンテナ裏まで聴こえてくる。聖杯戦争の仕組みやどういう代物なのか、前世の知識で知っている虚映はもちろん、オベロンもまた、そんな阿呆の極みのようなイスカンダルの台詞に────苦しそうに口元を抑えていた。

 

「(わらうのはいいけど、バラすなよ。ここでバレるとかナイからな)」

「(わ、かってる、けどっ────バカみたいで、っ)」

 

 その間に、イスカンダルとセイバー・ランサーの会話、というよりも、戦闘を中断されたことへの怒りが叩きつけられている。

 そして、それをさらりと流したイスカンダルは、高らかに腕を広げては声を荒げて叫ぶ。

 

 

「────そうとも、他にもおるだろうが!!闇に紛れて覗き見してる連中は!!己が胸に誇りを抱く英霊ならば!今、ここに!その姿を現すが良い!!なおも顔見せを怖じる様な臆病者は!

 

 

 ──征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!!」

 

 

「(出る?僕は嫌だよ?)」

「(こっちも願い下げじゃい。べーってしてやりてぇ)」

 

 顔をしかめて不動のまま見続ける。すると、T字路となっているコンテナ通りの街灯に、金色の光を放ちながら、一体のサーヴァントが現れる。

 ──それは人ならざる神の如き輝き。紅い双眸を、不機嫌そうに見開いて、その口を開く。

 

「──(オレ)を差し置いて王を称する不埒者が、一夜に二匹(・・)も湧くとはな」

 

 サーヴァント──ギルガメッシュ。古代メソポタミヤ王朝における人類最古の英雄王。その眼には、万象見通す『千里眼』を持つという。

 しかし、その『眼』には、虚映達の姿は映っていなかった。故に、ギルガメッシュはこの戦場に立つ前、己の眼に見通せぬものがあることに苛立ちを抱いていた。

 

 その原因は何を隠そう、虚映の術式によるものである。今晩持ってきた、というよりも、この術式を完成させたその時から使い続けている術式──『対・千里眼不可視化術式』である。

 これにより、虚映、並びにオベロンは『千里眼』による認識がされることがない。

 

 ──つまるところ、『アヴァロン・ル・フェ』において、マーリンがオベロンを認識できなかった原理と同じであり、それこそが、オベロンの持つ『対人理』スキル、その魔術式化としての完成形である──。

 

 

「──我が拝謁の栄に佳くして尚、この面貌を見知らぬと申すのなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すら────ないッ!!」

 

「(よく見ておけキャスター。あれが英雄王ギルガメッシュの主要宝具────『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』だ)」

 

 

 ギルガメッシュの背後より、金色な波紋が浮かび上がる。そこから、神話級に匹敵するであろう、"神秘"を宿した武器が、その先端を覗かせる。

 

 間もなく撃たれる────その瞬間、彼らの視線の端に、黒く蠢くものが現れる。目視では、辛うじて人型であるとわかるが、それ以外──ステータスなどといったものが全く見えない。

 

「(──で、あれがランスロット、ね。随分と酷い姿になっちゃってまぁ……。僕はあっちの方が好きだけどね)」

 

『Uuuuaaaaa………』

「────誰の赦しを得て我を見ている。狂犬めが。せめて散り様で我を興じさせてみせよ、雑種」

 

 "神秘"を秘めた武具が、波紋より発射される。そして────ランスロットに向けて、炸裂する。

 だが、当のランスロットは全くもって無事であり、それどころか、ギルガメッシュの放った武具を手に取り佇んでいた。

 イスカンダルの称賛を余所に、怒りに顔を歪ませるギルガメッシュ。その怒りと共に、黄金の波紋を幾重にも展開する。波紋から放たれる無尽蔵の"宝具"達。その全てをランスロットは弾き、打ち返し、叩き落とす。

 

 ────それこそがまさに、"無窮の武錬"。

 

「──痴れ者が。天に仰ぎ見るべきこの我を、同じ大地に立たせるなど────万死に値する!!」

 

 加速する戦況を見つつ、オベロンと虚映は戦力分析を積み重ねていく。

 特に虚映の脳内では、膨大なほどのトライ&エラー、そして、分析結果によるサーヴァントの性質・性格を踏まえた作戦が立てられていた。

 

「(あのギルガメッシュは最も傲慢だった頃。だからこそ、倒すのならば戦争が終わる前にケリを着ける。しかしこの後(・・・)にギルガメッシュは必須……アルトリアは聖剣が封じられている為、戦力が激減。それらを踏まえた作戦は……しかし、ランスロットのマスターがカリヤだとして、その目的・利用価値は────)」

「(…………)」

 

 

 それから戦況は進み、ギルガメッシュがマスター ──遠坂時臣の令呪によっては撤退し、その場はお開きのような雰囲気となる。

 それを感じ取った虚映達もまた、撤退の用意をする。

 

「(──さて、戻るぞキャスター。こちらも仕掛けを動かさにゃならん)」

「(はいはい。"アレ"だろう?どこで仕掛けるのか見物にさせてもらうよ。──────まぁ、"■■■■■(アレ)"を模造するって、相当物好きなんだろうけどさ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……むぅ?」

 

 

 

 






さてさて始まりました聖杯戦争。
虚映達は一体何を企んでいるのか、仕掛けである"■■■■■"とは一体なんなのか、そして最後に唸った人物とは一体────

ちなみに念話は"思念による会話"なため、オベロンの特性である"口に出すと意味がねじ曲がる"効果は発生しないものと見て下さい。
まぁ、本音でも皮肉ってねじ曲がる意味のときがあるのがあのオベロンなわけですが。



続きはまた更新するその時まで、候ご期待。

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