ダイの大団円 (take2)   作:ギアっちょ

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すっげー悩んだんですが、
「陛下」発言を一同にスルーしてもらっての
第三話キタコレw

ヨロシクです。


婚約と責任と修行

そこにはもう、キルバーンの姿はなかった。いや、跡形もなく消え去ったというべきか。

 

その横では、ツバンツヒがログナーを睨んで小声で抗議していた。

「ちょっと、ログナー!あれじゃあ、私たちまで消し飛んじゃうわよ!」

「仕方あるまい。アレくらいせねば、 奴の悪行は許せん」

「それはわかるけどさぁ〜」

そんな2人のやりとりを他所に、ソープは勇者ダイに声をかけた。

 

「さて・・・ダイ君!」

「は・・・はい!」

いきなりソープに名前を呼ばれて、背筋がピンと伸びる勇者ダイ。

 

右手と右足、左手と左足と、同じ側の手足を出しながら

緊張した顔でソープに近づいていく。

 

「大魔王バーンを倒したその『竜の騎士』の力・・・

 その根源たる『紋章』2つのうちの一つは

 元々はキミの父上のもの。それをキミに譲られたものだ。

 つまり、その『紋章』は

 ダイ君からも・・・抜き取ることが出来る。

 わかるね?」

 

周囲の仲間に動揺と驚きが走る。

まさか!いや、だが実際に・・・!

 

「レオナ姫、ココからは僕のアイデアなんだが・・・

 ダイ君から『紋章』の力を抜き、彼を普通の人間にして、

 その『紋章』をレオナ姫の『パプニカ王国』で管理するんだ。」

 

「「「!!」」」

 そんなことが?!

 

「なに、ダイ君から完全に『紋章』を取り上げよう、

 っていうワケじゃない。

 もしかしたら、何かの脅威が迫って

 再び地上の世界に危機が訪れたときには

 その『紋章』の力が必要になるだろうからね。」

 

「そして、いざというときに

 その力を使うかどうかは『パプニカ王国』が決める!

 おもしろいと思わないか? 

 

 まぁ、ダイ君が『特別でもなんでも無いただの人間』なら、

 心無いことを言うヒトもいないだろうし・・・ね?」

 

一同は顔を見合わせる。

そんな夢物語な事が可能なら、一気に『問題』は解決する。

 

「ダイ君の気持ちはどうなの・・・?」

レオナが問う。

「オレは賛成だな!

 なにせそれが出来れば、ダイはずっと・・・

 何も心配しないで、みんなと一緒に居れんだろ?!」

ポップが、そしてさらにマァムが口を開く。

「私はむしろ、今すぐにでもそうして欲しいわ。

ダイにとって、それが一番いいことだもの。」

「そうだぜ!ダイはもっと自分の幸せを考えた方がいいんだよ!!」

そして、周りに同意を求めるようにみんなの顔を見渡す。

うなずく一同。

首を横に振るものは誰もいなかった。

「決まりだな!!」

 

「じゃぁ決まりだ。

 とは言っても、僕がやるわけじゃないけど。

 彼女にお願いするよ。

 

 リンス!おいで。」

 

「はい…」

次の瞬間、ソープの後ろに黒髪の女性が現れた。

腰まで伸びた髪、若干装飾は有るが、

鎧ではなく、あくまで動きやすそうな服を身に纏った、細身の女性。

ただし、そこに女性が現れる直前まで、「そこ」に誰もいなかったし、

気配も全く無かった。

 

勇者一行のなかの何人かがそのことに

ビクッと反応したが、

それを口にするものはいない。

一行の常識の通じない力の行使も

既に「またか!」くらいの気持ちなのだろう。

 

「彼女は、メル・リンス・ウザーレ・ターマ。

 魔法の使い手としては僕以上でね。」

「リンスとお呼びください。」

お辞儀をするリンス。

「この子に任せるよ。」

「はい……。

ダイ様……少し痛むかもしれませんが、我慢して下さいね。」

ダイは一瞬躊躇ったが、覚悟を決めたようだ。

「わかりました。お願いします。」

 

顔を青白くするのはポップ。

ソープ以上の魔法の使い手?!

『あれ』よりもまだ更に上が有ったっていうのかよ?

 

なんとなく事情を察したメルルは苦笑する。

恐らく、ソープは「自分だってなんでも出来るわけではない」とでも言いたいのだろうが

あれだけの凄まじい力を見せられた後では、もう手遅れなんですけど・・・

 

リンスは、つかつかと前に進み、

両の掌を上に向けて開いて、ダイに示す。

「さ、貴方の手を出してください。」

 

「はい。」

ダイが恐る恐る両手を広げて、前に出すと、

リンスはその手に自分の手を重ねる。

「ちょっとくすぐったいですよ?」

「えっ?」

その言葉と同時に、重ねた手を中心に光が走り、ダイの中に吸い込まれていく。

数秒の後、光は収まった。

リンスが手を離すと、ダイは胸元を押さえながらしゃがみこむ。

「ぐっ!」

「ダイ君!大丈夫!?」

「うん・・・

 

 でも、なんとなく自分の中にあった『なにか』が無くなったような・・・

 ちょっと不思議な感じだ。」

心配するレオナに、

自分の両手の甲を代わる代わる見つめながら立ち上がったダイは返事をした。

 

リンスがゆっくり自分の手を広げると、その掌の中には

大きな丸い宝石が嵌った指輪が2つ握られていた。

「出来ました。完成です。」

 

右手に握られた指輪には赤い宝石。

左手に握られた指輪には青い宝石。

そして、その宝石のなかには、それぞれ『紋章』が一つずつ輝いている。

「ソープ様、こちらを。」

「うん、ありがとう。」

リンスはソープに2つの指輪を手渡すと、静かにソープの後ろに下がった。

 

「この指輪には、それぞれ『紋章』が封じられている。

 赤いほうが父上から譲られたもの、

 青いほうがもとからダイ君に宿っていたものだ。

 『紋章』の力を開放するには、

 まず、青い方一つをダイ君の指に嵌めた上で、もうひとりが

 もう1個の、赤い指輪を・・・こう・・・合わせればいい。

 『紋章』の力は、ダイ君の体に戻るだろう。」

ソープが、両手の拳を突き合わせるジェスチャーをする。

 

「ちなみに、

 同じことをダイ君以外がやっても何も起きないよ?

 そもそも、それはダイ君専用だからね。」

「え~!! それ使ったら僕もメッチャ強くなれると思ったのに!!」

チウが残念そうな声を出すと、周りでドッと笑いが起きた。

 

「で、この指輪を・・・」

ソープは指輪を1個ずつダイとレオナに握らせる。

青い指輪はダイに、そして赤い指輪はレオナに・・・

「王女を守る騎士がいて、

 騎士の力は、王女のものだ。

 そして、二人の手にはおそろいの指輪が。

 ・・・あとは、『わかる』ね?」

 

「「え!?」」

二人が互いの顔を見て、直後に顔を赤くする。

 

「あーあ、これで二人とも完全に婚約成立ですね~。」

メルルがニコニコしながら言うと、他の面々も口笛を吹き始める。

「おめでとうございます!お姫様!王子様!」

ポップまで囃し立てている。

「ひゅーひゅー!!」

「お似合いだぜ~」

「結婚式はこのまま、ココで始めればいいの?」

みんながそれに続く。

「な、な、な・・・」

「えっ・・・と・・・」

二人は真っ赤になって、お互いの顔を見れない。

 

「さて、勇者ダイとやら・・・」

そんな空気を全く読まずに、ログナーが割って入る。

 

「特別な力を失い、ただの人間になったわけだが・・・

 まずは周りを見ろ。仲間たちを見ろ。

 

 誰も皆、生まれついての特別な力などない。

 それぞれ、日々の鍛錬や戦を乗り越えて強くなった者たちだ。

 『紋章』がないからといって、仲間に遅れを取っているようでは

 『勇者』の名が泣くとは思わんか?!

 

 いいか、勇者よ! お前はこれからもっと強くなれ!必ずだ!

 その『紋章』の力に頼らずとも、全てを守れるほどにな。」

 

「はいっ!!」

ダイは力強く返事をした。

「よし、その意気だ。」

 

そう言って、一瞬満足げにうなずいたかと思ったが、

すぐにログナーはそっぽを向いて一同に背を向けた。

 

「陛下!

 そろそろ 出発のお時間かと」

ログナーがソープに告げる。

「え~?!もうそんな時間・・・?」

若干不満そうなツバンツヒ。

 

「それでは、僕はもう失礼するよ。

 君たちの世界のこれからの繁栄を祈る。

 じゃあね~!!」

 

「ちょ、ちょっとまって!

 まだ何もお礼をしてない!」

慌てるダイに対して、

「いやいや、十分に楽しませて貰ったよ。

 それに、これはあくまで僕の『貸し』だ。

 いつか返してくれればそれでいいさ。

 

 それでは皆さん、縁があればまた会いましょう!」

 

「『ルーラ(瞬間移動呪文)』!!」

そう言ってソープがパチン!と指を鳴らすと、

ソープ達4人の姿は一瞬でかき消え、

後には、呆然とした面々と、

キラキラ光りながら消えていく光の粒だけが残った。

 

「行っちゃったわねぇ・・・」

「そうだね~」

「なんだかなぁ・・・」

 

残された一行は、しばらくボーっとしていたが、

ただ一人、ポップは、ポップだけは

「今の・・・絶対に

 普通の、ただの『ルーラ(瞬間移動呪文)』じゃねぇよな・・・」

と、ボソリと呟いた。




とりあえず投稿。
暫定かもですね。

書き換え、修正するかもだし、
まるっと消すかもな第三話です。

工事中。

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