僕の名前は桂木桂馬。6月6日11時29分35秒生まれ17歳。
身長174cm体重53キロ。得意教科、国語数学理科社会英語技術。
好きなものは女子だ。ただし女子は女子でも、僕の右斜め前方5mを歩いているような3D女子ではない!
僕が愛するのは2D女子!2D女子こそ至高!リアルなんてクソゲーだ!
さて、そんなことはさておき、現在僕の目の前には見知らぬ高校の校門がある。
そして隣にはいつもの通り.....
「神にーさま、ど、どういうことですかこれは!?」
「知るか!お前がドジしてあのボタン押したからこうなったんだろ!上司に聞け上司に!」
「す、すみませ~ん」
そう、僕たちは不本意なことに、見知らぬ高校の前で立ち尽くしている。
何故こんなことになったのか、それはほんの30分前に遡る.....
「なっつやすみぃぃ!!!!!」
と、約1000時間ある夏休みを謳歌(ゲーム三昧)するべく、意気揚々とPFPをすることはや2日、この日も僕は新作ギャルゲーをいち早くクリアするため、朝からやっていたのだが...
「神にーさま、ドクロウ室長から手紙が届きました~」
「なんだエルシィ。僕は今この子のイベントで忙しいんだ。面倒事を持ち込むな」
「そんなことは言わずにこれ、にーさま宛てに届いたんですよ」
「尚更だ。僕はそのドクロウとやらにワンクリック詐欺にかけられたんだ。絶対面倒に決まってる」
「え~じゃあじゃあ、私が見てもいいですかぁ?」
「好きにしてくれ。どんな頼まれ事でも僕はやらんぞ」
すると徐にエルシィは手紙と小包を取り出した。
って、
「手紙だけじゃないのかよ!?」
「あ、はい。何か読んでから開けるようにと言われました」
「ますます嫌な予感しかしないな...」
「えーっとじゃあ読みますね~『拝啓、エルシィのバティ殿。これまでの駆け魂狩りの功績を讃え、お礼の品を贈ります』だそうです。えっと、これですね。中身はなんでしょうか.....何ですかこれ?」
ごそごそとエルシィが小包の包装をどけると、中からボタンがでできた。
「これがお礼の品みたいですよ?」
「そんな怪しさ満点のもの、押すわけがないだろ。早くしまえ」
「えーっ押さないんですか?」
「当たり前だバカ。というかそのボタンの説明は手紙に書いてないのか?」
「えーと.....あ!裏がありました!」
「ちゃんと確認しろ!危うくまた詐欺られるところだったぞ!」
「ご、ごめんなさい。じ、じゃあ続き読みますね。『このボタンを押すと、別世界に飛ばされ、そこで3年間駆け魂狩りの任務から一時解放され、ゲームし放題となります。しかもその間元の世界では3時間しか経たないという優れものです!ただし押したら3年経つまで戻れないので注意!』だそうです」
.....3年間ゲームし放題だと!なんだその楽園は!?
ここ最近駆け魂狩りのせいで思うように消化できてないギャルゲーたちを、思う存分できるのか!
..いやしかし待て、落ち着け桂木桂馬。どうせこの室長とやら、また僕に詐欺紛いのことをしようとしているに違いない。落とし神たるもの、二度も間違ったルートを通るなど言語道断。ここは押さずに我慢するべきだ...いやしかし...
とりあえず保留だ保留!まずはこのヒロインの攻略を終わらせてからゆっくり考えねば。
「にーさま、これどうします~?うわっっっ!」
「おい!お前危な...あぁ!エルシィボタン!」
「いたた...あ!」
躓いたエルシィの下敷きになったボタンは、完全にスイッチが押されていた。
「このバグ魔!どうすんだこれ!」
「すみません!すみませ...あ、にーさまボ、ボタンが!」
「え?ちょっまっ」
ぺかーっとボタンが発光し始め、気がついたら.....
「.....ここにいたというわけだ」
辺りを見渡すと、そこら中に桜が咲き、入学の季節ですよと自己主張していた。
しかも新入生と思われる生徒たちが桂馬達を不審そうに眺めている。
「ってそんなことより!どうすんだこれ!3年だぞ3年!僕たちが逆に勾留されてどうすんだ!」
「ごめんなさいごめんなさいっ」
いやしかしあのドクロウとやらの言うことが本当なら、僕はここで駆け魂狩りや悪魔のことは忘れてゲームし放題となるんだが、まだよくわからない。そもそもゲームし放題と言いながらどこぞの高校に飛ばされるのも意味がわからない。
「あ、そういえばにーさま制服が変わってますね。私もです。あ、でも首輪と羽衣はそのままみたいです」
「え?あ、ほんとだ」
いつの間にか服装が赤のブレザーに変わっていた。これはもしかして...
「もしかして学園もののゲームの舞台にいるのか...?」
そうだとすれば、3年間ゲームし放題というのはつまり...
「入学から卒業までの3年ってことかよ!!」
あのドクロウとやら、また詐欺紛いのことしやがったな!くそったれ!
「え、神にーさまこの学校に入学するんですか?」
「するというか、僕の予想が正しければもう入学してる。多分お前も」
「えぇ!?」
近くを見ると、クラス分け表らしき貼り紙があったので確認すると、案の定2人の名前がしっかりある。2人ともDクラスのようだ。
「Dクラスだな、2人とも」
「えぇ~いつの間に入学してたんですか私たち」
多分お前がボタン押した瞬間だ。
「とりあえずここで議論しても埒が明かん。まずDクラスに行くぞ」
これがゲームなら、どんなゲームでもチュートリアルがあるもんだ!!
*
*
私と神にーさまがDクラスの教室に行くと、ほとんどの人が既に登校していました。
私と神にーさまの席は隣どうしみたいです。すごく安心しました。
神にーさまは落ち着きを取り戻したのか、それとも開き直ったのか、もう既にゲームに没頭しています。そんな神にーさまを物珍しそうに眺めているクラスの人もいますが、話しかけてくる人はいないようです。
しばらく席に座っていると、綺麗な女性が入ってきて、席に着くように促しました。
茶柱先生というそうです。二階堂先生と同じくらい美人です。
茶柱先生は簡単に自己紹介をした後、Sシステムというものの説明を始めましたが、難しくてよくわかりませんでした。
ただどうやら月に10万円ほど貰えるみたいです!私、お金持ちになりました!
ちなみにこの説明中も神にーさまはずっとゲームをしていました。説明聞いてたんでしょうか.....?
先生の説明が終わった後、入学式まで時間があるみたいです。さて何をしましょうか...
「みんなちょっといいかな?」
誰でしょう?前の方で1人の男子生徒が立ち上がっています。
どうやら自己紹介をするみたいです。
皆さん前の方から自己紹介をしていきます。先程の男子生徒は平田洋介さんと言うみたいですね。優しそうな方です。
その後も順々に自己紹介が進んでいきます。そういえば神にーさまちゃんと自己紹介するんでしょうか...?
「それじゃあ次...そこのゲームしてる人~」
平田さんが呼んでいます。にーさまちゃんと答えてください!
「.....」
「に、にーさま、呼ばれてますよ」
「.....今僕は忙しい。話し掛けるな」
「え?」
あ~大変です!どうしましょう!
「すすすすみません!代わりに私が紹介します!この人は桂木桂馬、私の兄です!そして私が妹のエルシィです。よろしくお願いします!!」
「え、あ、あぁよろしく...」
にーさま、入学早々敵をつくらないでください~
その後もにーさまは何事もなかったようにゲームを続けていました。途中でちょっと厳つい方が退席したりしましたが、無事自己紹介は終わりました。疲れました...
「にーさま待ってくださいよ~!」
「何だエルシィ。早く寮に帰るぞ」
「え、寮ですか?」
「お前ちゃんと資料読んでなかったのか?これから寮生活だぞ」
「えーっほんとですかそれ!?というか神にーさま、資料読んでたんですか?」
「マルチタスクは落とし神の必須スキルだ」
「.....そういえば6個同時にゲームしてましたね。そ、それよりにーさま何で帰っちゃったんですか?カラオケ誘われてましたよ?」
自己紹介でやらかしたにーさまでも、平田さんは誘ってくれていました。
「そんなリアルの奴らの馴れ合いなんぞに行くか。そんなんに行くより帰ってゲームだ。あ、それとエルシィ」
「なんですか?」
「多分だがチュートリアルはまだ終わってない。これから長くて1ヶ月、無駄遣いするな。少なくとも5万は残せ。わかったな」
「え、わ、わかりました!...ってチュートリアル?これやっぱりゲームなんですか!?」
「まだわからんが多分そういう世界だな。だが少なくともギャルゲーではない。ギャルゲーならあそこまで細かい学校のルールはあまり設定しない。まあとりあえず様子見だ」
「わっわかりました~」
「エルシィ女子寮はそっちじゃないぞ!」
「えっ?あ、すみませ~ん」
にーさまは男子寮に帰っていきました。これからどうなってしまうんでしょうか?心配です。
それに一番心配なのは.....
にーさま一人暮らしできるのかな?
多少強引に連れてきましたが、そこは目を瞑ってくださいお願いします。