神にーさまはゲーム至上主義   作:村崎京

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感想、評価ありがとうございます。
ご指摘がありましたので、前話で桂馬が買った権利を少し弄りました。また他のところも少し修正しましたが、話の大筋には影響はないのでそのまま読んでもらっても問題ありません。


フラグ乱立(ホントにやめて)

「お疲れ様でした、真澄さん。もう帰っても結構ですよ」

 

そう言って僕の目の前に現れたのは、杖を持った女だった。...杖?足でも悪いのか?

 

「本当にこき使ってくれるわね。じゃあ帰らせてもらう...」

 

「おい!帰るなら僕のPFPを返してから帰れ!」

 

どうして平然とそのまま帰ろうとする!?

 

「あぁそうだった、忘れてた。はいこれ」

 

「そっちじゃねえよ!どうしてそこでそっちの女に渡すんだ!てかお前ら誰だ!」

 

何なんだこいつら...これだから3D女と関わると、碌なことにならないんだ!

 

「私の話を聞いてもらえばこれは返して差し上げますよ。それと私の名前は坂柳有栖です。どうぞよろしくお願いします、桂木桂馬くん」

 

坂柳?聞いたことないな。違うクラスか?てか...

 

「何で僕の名前知ってんだよ」

 

「いえ。とても興味が湧いたものですから、少し調べさせてもらいました。何せ4月末の小テストで、満点を取った者が私以外に1人いると聞きまして」

 

そういえば茶柱がAクラスにもう1人いるって言ってたな...ということはAクラスの奴か。

 

「それで、何の用だ?僕はこれから忙しいんだ」

 

「それは大変失礼しました。中間テストの勉強ですか?」

 

「違うわ!ゲームだよゲーム!分かってて言ってるだろお前!」

 

「ふふふ。ゲームがお好きなんですね。お上手なんですか?」

 

ふっ。愚問だな。

 

「僕はゲームの世界の神だ。上手かどうかなどの質問、聞くに値しない」

 

「そうですか。それではそのゲームには、アナログゲームも含まれるのですか?」

 

「ゲームと名のつくもので、僕が負けることはない」

 

あれ、ちょっと待てよ。これは良くない流れのような...

 

「では提案があるのですが、今から私とチェスをしませんか?」

 

...即効でフラグ回収してしまった。

 

「僕はさっき忙しいと言ったんだが...」

 

「『ゲーム』で、お忙しいんですよね?チェスも『ゲーム』ですから。1局だけでも、どうです?それとも、ゲームの神を自称される御方がまさか逃げるんですか?」

 

こ、こいつ...煽りがうまいねぇ!

 

「いいだろう。1局だけ付き合ってやる!ただし、1つ約束してもらおうか!」

 

「なんでしょう?」

 

「もし僕に負けたら、そのPFPを強奪したことへの賠償を要求する!簡単に言うとポイントを寄越せ!」

 

盗ったのはもう1人の方だがここは連帯責任だ。

 

「...ふふふ。面白いですね、いいでしょう。具体的にいくらですか?」

 

「お前、Aクラスだろ?そうだな、1万ポイントでどうだ?」

 

「...分かりました。では私が負けたら1万ポイント払いましょう...何してるんですか?」

 

「何って、簡単に書面作ってる」

 

覚えてないとか言って踏み倒されたら困るからな。しかし壁を使って書いてるから書きにくい。

 

「なるほどなるほど。ホントに面白い方ですねあなたは」

 

...どこがだ。今日はやけに面白いって言われるな。

坂柳がサインをし、ここではさすがにできないので場所を変えてやることになった。

 

チェスなんてギャルゲーで腐るほどやった!負けるはずがない!

 

さあ...

 

 

 

 

 

かかってきなさい!!!

 

 

 

 

 

30分後。

坂柳がチェスの道具一式を持ってきて、現在カフェのパレットとやらにいる。

しかし、ガチのチェス盤を持っているとは。こいつどんだけチェスが好きなんだ?

まあ坂柳には申し訳ないが、落とし神の名において敗北はあり得ない。あってはならない。こいつがどのくらい強いのか分からないが、ここは本気を出してでも勝たせてもらう。ポイントもほしいし。

 

「さて、それでは始めましょうか」

 

「ああ、そうしよう」

 

目の前にいる、坂柳はどことなく嬉しそうに自陣の駒を並べ始めた。

 

.....そうだった。

 

「坂柳」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「...駒、並べてくんない?」

 

「...はい?」

 

ゲームじゃ並んだ状態から始まるからなー。

 

 

坂柳が少し訝しげに駒を並べ、準備が整った。

 

さて、お手並み拝見といこうか!

 

 

 

 

 

 

 

約1時間後、

 

52手で桂馬の勝利。

 

 

あ、危なかった...

正直ギリギリだった。序盤、坂柳が舐めてたのか完勝ムードだったが、後半の巻き返しが凄かった。ただ勝ちは勝ち。これでもう付きまとわれることはないだろう。安心してゲームができる。

 

「ふふふ。これはこれは驚きましたね、ふふふ...」

 

いや怖い怖い。なんで負けてるのに笑ってるんだ。

 

「では約束通り1万ポイント払いましょう。あとこのゲーム機もお返しします」

 

お?素直に返してきたな。何はともあれよかったよかった。ポイントの補充もできたし。

 

「それにしても、これからの学校生活が楽しみになりました。それでは私はこれで、ではまた」

 

...え、ちょっと待て、もしかして何かフラグ立ったか?やめてくれよ、僕のゲームの時間だけは取らないでくれ!

 

 

 

 

*

 

*

 

 

 

 

翌日、朝。

 

「にーさま、どうして昨日電話に出なかったんですか?私ずっとかけてたのに~」

 

昨日の夜、クラスの話し合いの内容を、にーさまに教えるために電話をかけたのですが、全然出てくれませんでした。

 

「え、かけてたか?」

 

「かけてましたよ~あ、さてはゲームしてて気付きませんでしたね?」

 

「ああー昨日の夜はずっとやってたからなー。何かあったのか?」

 

「あ、はい。えーっと、昨日のクラスの話し合いで、とりあえずポイントの増減の詳細が分からないので、授業態度を改めることと、中間テストに向けて、平田さんが勉強会を開くことを検討してるみたいです」

 

「なるほどねー。エルシィはどうするんだ?その勉強会」

 

「いえいえ私はにーさまに教えてもらいますよ~じゃないと、にーさまにあげたポイントが無駄になってしまいます!」

 

「まあ、そう言うと思ったよ」

 

他の人は分からないかもしれませんが、なんとなくにーさまの機嫌がとてもいいような気がします。やっぱり新しいゲームを買えたからでしょうか?

 

「まあ多分『退学』ってのは、ゲームオーバーのようなものだろうからな。そんなことになったらギャルゲーマーの恥だ。お前に退学されるのも困るから、定期テストの勉強は見てやるよ」

 

「え、ほんとですか!?やったー!!」

 

やっぱり今日のにーさまは機嫌がいいです!さすがゲームの力です。

 

「ただ、大人数は面倒臭い。最高でも2人だな」

 

「それは大丈夫ですよ~今のところ波瑠加さんだけですから~」

 

「ああ、あいつか...」

 

にーさまと波瑠加さんがまともに会話したことはほとんどありません。ちょっと心配ですけど...まあ大丈夫でしょう!

 

「あとエルシィ、僕が『ゲームをする権利』を買ったこと周りの奴に言うなよ」

 

「え、何でですか?」

 

「また変な奴に目をつけられるのも面倒臭いからな」

 

「また?にーさまもう誰かに目をつけられたんですか?」

 

「いや昨日ちょっとな...とりあえず言うなよ、分かったな!」

 

「わ、分かりました~」

 

変な方に目をつけられたにしては、機嫌が良いような気がしますけど...まあ悪いより全然良いですね!

 

 

 

 

 

 

 

大変なことがあった昨日でしたが、授業に関してはあまり変わることはなく、いつも通り1時間目が終わりました...が、1時間目が終わって休み時間。茶柱先生の授業の前のことです。

昨日あれ程のことがあったのにも関わらず、平然とゲームを続けているにーさまに遂に我慢できなくなったのか、1人の生徒がにーさまの席にやって来ました。

 

「おい、桂木!」

 

幸村さんでした。昨日人一倍狼狽えていた方です。

 

「おい、聞いてるのか?」

 

「...何だ?僕は今忙しい」

 

「ゲームを止めてくれ。お前がずっとゲームをしてるせいでクラスポイントが下がる一方だ。何も授業中までやることないだろ」

 

皆さん同じことを考えていたのか、この会話を聞いているようです。どうするんですかにーさま~。

 

「...クラスポイントのことなら問題ない。僕がゲームをしてもポイントは引かれなくなった」

 

「はあ?何だそれ、そんな都合の良いことがあるわけがないだろ!」

 

「信じられないなら茶柱にでも聞いてくれ。もうすぐやって来るぞ」

 

そうにーさまが言い終えると同時に、茶柱先生がやって来ました。

 

「何だ?少々騒がしいな。どうした?」

 

「先生!桂木がゲームをやってもポイントが引かれなくなったと言うんですが本当ですか!?」

 

「ああその話か。昨日から桂木がゲームをするのはクラスポイントの減点対象に入らなくなった。だから全員安心して良いぞ」

 

その言葉にクラスの皆さんがどよめきました。私も知らなかったら、とっても驚いてたことでしょう。

 

「ど、どうしてですか?」

 

「それはプライバシーの問題もあるから詳しくは言えないが、何もお前たちが絶対にできない方法でやったわけではない。とりあえず座れ、授業が始まるぞ」

 

茶柱先生はそう言って幸村さんを宥め、いつも通り授業を始めました。ふぅ。ホントに心臓に悪いです。

 

 

その後、休み時間毎に幸村さんから執拗に詰問されていたにーさまでしたが、のらりくらりと回避し続け、結局幸村さんは諦めたみたいです。

そして、放課後になったんですが、勉強会の約束があるのににーさまがいません。一体どこに行ってしまったんでしょう?

 

 

 

*

 

*

 

 

 

 

「くそっ。今日はあのメガネの奴のせいで進みが遅いなやっぱり」

 

今僕はこの学校の穴場である、屋上に続く階段の踊り場にいる。ここならさすがに誰にも邪魔されずにゲームが出来るはずさ!さぁ今日の遅れを取り戻す!

 

 

カツカツカツ...

 

 

ん、誰か来たか?珍しいな。まあそんなことはどうでもいい。ここまで上がってくんなよ。

 

「あーキモいキモイキモイキモい気色悪い!!!何でこの私があんな気持ち悪い奴らに話合わせなきゃいけないのよ!あぁー腹立つ死ねば良いのに」

 

何だ?女か。うるさいな。大声大会なら他所でしてくれ。

 

「それに何なのよあいつらこっちが少し良い顔したら調子にのりやがってホントにキモいうざい死ね!!」

 

「おい!!うるさいぞ!ここ反響するんだよ静かにしてくれ」

 

そう言うと女は滅茶苦茶驚いたようで、目を見開いた後、こちらを睨み付けてきた...はぁ。昨日から一体何なんだ全く...




今回桂馬は坂柳に勝ちましたが、多分七香編同様、何回かやったら負けます。
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