信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
黒いR-1型ザクⅡがザク・バズーカを撃つ。
1機目の黒いザクがスラスター全開で強引に軌道を変更し、俺から見て上方向に行き過ぎる。それと同時に2機目のザクⅡが、これもザク・バズーカを撃った。俺はそれもAMBAC機動で
爆炎が広がる。ザク・バズーカの破片が機体にぶつかり、その音が
奴らはその機動で大きく弧を描くと、再度俺の機体に向かい3機1直線に並ぶとスラスターを全開で突っ込んで来る。今度は3機ともバズーカを捨て、ヒートホークを機体の右手に抜き放っていた。さっきの戦法のバリエーション、白兵戦バージョンと言うところか。
だがな、先程はザニー改とR-1型ザクⅡの機動力、スピード差がありすぎて、僚機が俺を上手く支援できなかったが……。今度はそうはいかん。先頭のザクがヒートホークを振り被り、振り下ろして来る。3機で一撃ずつ斬撃を見舞う気か。
「そこだぁ!!」
俺は気合いを込める意味もあり、わざと声に出して叫ぶ。俺のザニー改が左手に装備しているシールドの、その先端部のクローが敵機の右肩関節にめり込み、それを千切り取った。ヒートホークを持ったザクの右腕が、くるくると回転しつつ明後日の方角へ飛び去り消えて行く。
高機動型の黒いザクⅡは、急激な重量バランスの崩れと衝撃、ダメージにより錐もみ状態の回転に
そこに俺の思念により照準情報を受け取った、エミリア少尉機、クラーク機、グレース機が120mm低反動キャノンを撃つ。錐もみ状態からの機位回復に全力を上げていた状態では、シールドでそれを受ける事などできはしない。先頭の黒いR-1型ザクⅡは、一瞬で爆散、火球と化した。
一方の俺は、踊りかかって来る2機目の斬撃を、機体を半身にして回避させると、そのまま敵の懐に入る。そしてその敵機の右手首をザニー改に掴ませると、ジュードーの要領でぐるんと2機目の黒いザクⅡを投げ飛ばした。その先には、3機目のR-1型ザクⅡがいる。
だが3機目は信じ難い反応で、ヒートホークを投げ捨てると2機目をやんわりと受け止めた。そしてバーニアやスラスターを
俺たちは120mm低反動キャノンを射撃し、命中はしたのだがそれでも致命傷にはならなかった模様だ。やはりこう言う時はビーム兵器が欲しい。いや、敵に追いつける機動力があるなら、それも欲しいが。
そしてチベ級重巡洋艦が、トラヴィス小隊のジム(E)型と、そしてボール部隊によって爆散した事で、この戦闘は終了した。
スクリーンの向こうでリード中尉が愚痴る。
『やれやれだな。根拠地ザザザ変更せねばならん』
「申し訳ありません。敵を2機、逃がしてしまいましたので……」
『うむ、ああいや。ザニーとでは機体性能がザッ違い過ぎた。そこまで気にすザザッな、オダ中尉』
ラグランジュ1ポイントにあるサイド5暗礁宙域と、敵の勢力下にある月は比較的近い。逃がしたR-1型ザクⅡ2機も、パイロットの
それにより、連邦軍の通商破壊部隊がサイド5暗礁宙域の、この辺りに陣取っている事は、バレたと見た方が良い。この辺りは敵の航路からも近く、丁度良い潜伏場所だったのだが。
『ちなみに例のザザッソドン級巡航艇の投降者はどうなザザッのだね?』
「ソドン級巡航艇は何度も被弾してもう駄目だったので、サラミス級キプロスに乗員を収容したとの事です。我々とキプロス艦隊がルナ2に帰還する際に、いっしょに連れて行きます」
『そうかザザザッ』
実のところ、俺も収容された投降者たちの事は気になっていたんだ。というか、俺だけじゃ無く第3の面々と、ネルソンの面々の全員が。投降者たちの中に2人の子供がいた、という噂は既に聞いている。
(子供2人が、ニュータイプ能力の持ち主だったんだろうな……)
(間違いなく、そうですね。でも、その子供たち、どうしてジオンから……)
(それは分からないわね。ただわたしたちは、ジオンを捨てて来た人間まで恨まない様にしないとね)
(ちょっと難しいけどなあ……。理屈ではわかるが)
俺、グレース、エミリア少尉、クラークが思念で話している間、ウェイド艦長がリード中尉と打ち合わせを続けている。拠点になる隠れ場所は、リード中尉たちの艦隊で捜索して決定するので、俺たちは予定から遅れている事もあり出立してもいいとの事だ。
ウェイド艦長はリード中尉との通信を終えると、サラミス級キプロスのダックワース艦長に連絡を入れている。そして間もなく、俺たちはルナ2基地への帰還の途に就くのだった。
ルナ2基地に帰還した俺たちには、3日間の完全休養が与えられた。流石に1ヶ月以上にわたる長期任務を成功裏に終わらせたのだ。
だがそれは、あくまで命令による完全休養であり、休暇ではない。休暇だったら俺としては、技術資料とか技術論文とか書いたり、あるいは俺たちの小隊に配備されたRGM-79(E)を徹底的にいじり倒すとか、そう言う事をしたかったんだが。現実は、そう言うのは一切許されず、身体を
そして3日間の完全休養が明けた5月8日、俺たちS.T.S.C.第3小隊はワッケイン司令に呼び出された。司令執務室で、俺たちはワッケイン司令に敬礼を送る。答礼を返して来たワッケイン司令は、口を開く。
「うむ、ご苦労。諸君らの活躍で、通商破壊戦は軌道に乗った。まあ流石に現状は、諸君らが任務に就いていた間ほど戦果は上がっておらんし、残念ながら幾ばくかの犠牲も出ておる。なれどその犠牲も、当初の計算よりも少ないのは
で、だ。今回の呼び出しは……」
そう言ったワッケイン司令は、机上の端末に手を伸ばすと、キーを叩く。
「ああ、入室してきたま……いや、『入って来なさい』。……貴官らが最後に助け出した、ジオンからの投降者のうち、2名だ」
「「「「!!」」」」
ワッケイン司令は、格式ばった言い方から、あえて平易な表現に切り替えて、『誰か』に入室を促す。言われてバタバタ入室して来たのは、8~9歳前後と見ゆる2名の子供だった。片方は男児、もう片方は女児である。
「「はーい!」」
「うむ、元気でなにより。自己紹介しなさい。この者達が、君たちが会いたがっていた
「「はい!ワッケインのおじちゃん!」」
なんてこと言うんだ、この子供らは。言うに事欠いて『おじちゃん』かよ! だがワッケイン司令は信じられん事に、微笑みを浮かべて頷いてやがる。
「え? おじちゃんは、おじちゃんだよ?」
「だよねー」
しまった、俺の思念をこのガキども受け取りやがったか!? 下手すると俺たちがニュータイプ能力を持ってる事がワッケイン司令に……。
「まあいいよね。僕はアルヴィン・アヴィントン。助けてくれて、ありがとう!」
「あたしはマーシャ・マクレガーです! 殺されるかと思ったけど……。おかげで助かりました!」
「あと、ワッケインのおじちゃん。あの両側に箱がくっついたお
「あの人たちも、あたしたちが怖くて泣いてるとき、心で応援してくれて……」
!? まずい!! ネルソン乗組員の事までバレるか!? そしてワッケイン司令は、苦笑いを浮かべると言葉を発する。
「ああ、あの艦の乗組員は、忙しくてな。残念だが会わせてやれんのだ。すまんな」
「……はーい」
「仕方ないよ、アルヴィン」
「さて、おじさんたちは難しいお話がある。君たちは行きなさい」
「「はーい!!」」
子供らは司令執務室を出て行った。俺たちは、恐る恐るワッケイン司令の表情を窺う。彼の顔は、厳しく引き締められていた。うん、ニュータイプ感覚で解ってはいたんだ。司令は子供らに向かっては、柔らかい表情と感情を向けてはいたんだ。だが俺たちに対しては、少しばかり不審と言うか、そう言う雰囲気を出していた。
「……あの子供たちはな。サイド4の生き残りらしい」
「「「「!!」」」」
「ジオン軍に捕らわれ、サイド3まで連れて行かれて、何らかの実験に供されていた模様だ。貴官らは、『ニュータイプ』と言う言葉を知っているか? ああ、言わんでいい。流石にオダ中尉は顔にも出さんが、エミリア少尉、クラーク伍長、グレース伍長は表情に出ている」
お前ら……。いや、もういいけどよ。ワッケイン司令は、大きく溜息を吐いた。
「貴官らが保護した投降者たちなのだが……。ジオンでニュータイプの研究を行っていた者たちの一部、なのだ。一週間戦争やルウム戦役において、亜光速のビームを予期して回避してみせたザクのパイロットが幾人か居たらしい。ジオンでは、それがニュータイプではないか、と考えた。そしてその軍事利用を思い付いたらしい。
まだ本格的ではないらしいのだが、それでもかなり非人道的な実験も行われている模様だ。そしてサイド4生き残りのあの子供らも、言い方は悪いが『実験材料』として『消費』されるところだったらしい。そこでまだ若干良識のあった研究者の一部が必死で救出し、脱出してきたと言う訳だな」
「「「「……」」」」
「彼らは連邦軍に保護を求めて来た。その代価として、ジオンでのニュータイプ研究資料を引き渡す事でな。あの子供たちは、レビル将軍の保護下に置かれる事になる。研究者たちはこのまま連邦軍で、レビル将軍の傘下で可能な限り『穏健な』ニュータイプ研究を行う事になるな。
……で、だ」
ワッケイン司令は眼を
「わたしとしては、貴官らやネルソン乗組員がニュータイプであったところで、どうと言う事もない。というか、個人的には眉唾物だと考えている。たとえ貴官らが一騎当千の超人的な能力を発揮し、その戦力価値が信じられぬほど高く評価されようとも、な。
それ故に、貴官らがニュータイプ云々と言う話はこの場限りだ。正直、その様な超能力じみた現象など、ふざけるな、と言いたい」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「礼を言われる事ではない……。それは当たり前の事なのだからな。連邦軍は、けっして正義だけの存在では無いかも知れん。だがな、外道に
この事に関しては、現状この場限りとする。わたしは以後、ニュータイプに関しては口に出しもしないし、訊きもせん。事情の許す限りではあるがな。あの子供らにも、口止めをしておく。……下がってよろしい。寒い、時代、だな」
俺たちは黙ってワッケイン司令に敬礼を送った。ワッケイン司令は答礼で返して来る。ワッケイン司令の
翌5月9日、俺たちはレイ技術大尉、グェン整備班長以下の整備班と共に、RGM―79(E)初期型ジムのマグネット・コーティング処置を行っていた。ちなみにモスク・ハン博士は今回は居ない。彼は彼で、色々忙しいのだ。しょっちゅう最前線のルナ2基地なんかに来てられない。
それでも彼が置いて行ってくれたマグネット・コーティング処置用の機材一式と、前回ザニー改で取ったデータのおかげで、ジム(E)型のマグネット・コーティング処置は非常にスムーズに進んだ。前回は優秀な技術者科学者がずらりと揃っていた上でかなりの時間かかったが、今回はほどほどに早目に終わりそうだ。
そんな中、作業が一段落した休憩中に、レイ技術大尉が口を開いた。無論、周囲に目を遣って俺、クラーク、グェン整備班長以外が聞いていない事を確認した上で、である。
「……ふむ。さて、いよいよ連邦軍のMS開発も大詰めだ。せっかくRGM-79(E)をマグネット・コーティング処置したがね。さほど長く使う事は無いかも知れん」
「……いよいよRGM-79が?」
「うむ。このまま行けば8月、上手く行けば7月末には先行量産型が配備開始されるだろう。そしてその手前、6月半ば頃には……」
レイ技術大尉は深々と頷く。うん、言いたい事はわかる。RXシリーズの75、77、78の機体が、特にRX-78ガンダムが出来上がるんだ。ちなみにRX-76ボールはRB-79系列として、既に量産ラインに乗ってるからな。
「地球から派遣された、『本当の意味での』エリートがテストパイロットとして来るらしい。諸君らほどじゃないが技術分野にも精通し、操縦技量も鹵獲ザクやザニー、現状少数生産されたRGM-79(G)陸戦型ジムで腕を磨いた逸材だ」
「第1や第2のイメージがあるから、エリートって言葉にゃ不安があるっすね」
「それは大丈夫な様だよ。わたしも最初は不安だったが、先日ジャブローで実際に会ってみたからね。
ただなあ……。これから諸君らとはしばらく会えん事になるかも知れないな。諸君ら、特にオダ中尉とのディスカッションは非常にためになるから、可能な限り時間を作ってルナ2に来ていたのだがね」
そうか……。V作戦、RX計画が大詰めになるからな。そちらに掛かりっきりになるのは仕方ないだろう。特にRX-78ガンダムは何より大事だ。
「アレが完成して、実戦テスト機として運用開始すれば、アレから抽出したデータをRGM-79にも転用できます。アレの完成は、ジオンに勝つために是非とも必要ですよ」
「その通りだな。なんとしてもアレを完成させねばならん。頑張るよ。……おっと、コーヒーが冷めてしまったな」
「ただでさえ泥水コーヒーが、ますます不味くなりますなあ」
グェン整備班長の冗談にならない冗談に、その場の一同は乾いた笑いを上げる。さて、RX-78ガンダム……。無事に完成して欲しい物だ。そうなれば、またジオン公国を叩くのに一歩近づく。俺は冷めた泥水コーヒーを、一気に飲み干した。
ガ○ア脱落! マ○シュとオル○ガはどうなるんでしょうね、これは。たぶんキ○リアの命で追いかけて来たんでしょうし、その任務に失敗した上に母艦も喪失。黒○三連星の名も地に落ちたでしょうねー。
そしてワッケイン司令、ちょっとばかり贔屓でカッコ良く(笑)。というか、連邦軍で良識派ですよね、ワッケインは。Ζガンダム時代に生き残ってたら、さぞかし生きづらかっただろうなあ……。
V作戦、RX計画、ずんどこ前倒しです。ガンダムは大地に立てるのか!?