信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
宇宙世紀0079、6月4日。俺たちS.T.S.C.第3小隊とネルソン級
それで通商破壊艦隊の第2班が多大な被害を被ったんだよな。艦はどれも損傷を被ったが、なんとか逃げ切った。だけどボール部隊が壊滅、12人のボール乗りのうち、3人が未帰還。ボール部隊の護衛役だったルナ2
サンダース軍曹は、ボール乗りだったけど腕が良かったんで、
それでも上は、せめて
俺たちに与えられた任務は、連邦狩り部隊が出て来たら即座に叩き潰す事だった。って言うか、普通できるかよ。ワッケイン司令、ちょっと俺たちに期待かけ過ぎじゃないか?
まあ、任務は果たしたんだがな。俺たち普通じゃないし。
チベ級を旗艦とするムサイ級4隻の小艦隊に、奴ら合計24機の
いや、いいね! ビームライフル! RX-78ガンダムに装備される物と同一規格だって言うけど、RGM-79(E)の
俺たちは隠密状態からいきなり沈めやすいムサイ艦を狙い、各自が1艦を撃沈して見せた。泡を食ったチベ級から8機のザクⅡ、うち1機がS型で1機がR-1型だったけれど、それが出撃して来たんだが。浮足立っていた奴らは敵では無かった。奴らは自分が襲う側で、襲われる側だとは思って無かったんだろ。
更にチベ級がネルソンからの砲撃で、
……でも、ジム(E)型だとビームライフル、ビームサーベルと同時のドライブができないからなあ。もうちょっと核融合炉、出力強化できなかったのかな。次は普通のビームスプレーガンか、マシンガンも装備の選択肢に入れておこう。いや、ビームスプレーガンを腰に装備しといて手に対艦用のバズーカって手もあるか。
せっかくレイ技術大尉が、RX-78やRGM-79用の試作装備を多数手配してくれたんだしな。使ってデータ取らなきゃ。
そう言えば、レイ技術大尉は今地球かな? それともどこか別の場所でRXシリーズの仕上げをしてるのかな? ルナ2基地のPXで一緒に飲んだとき、息子さんの写真を懐に入れてたっけなあ。
そんな事を思いつつも、俺は
見事任務を果たして帰還した事を、ワッケイン司令に報告しようとしたんだ。そしたら今、ワッケイン司令はルナ2に不在だった。秘密の作戦があって、マゼラン級戦艦マゼランに乗艦して、小規模な艦隊を率いて出航したらしい。仕方なしに代理の副司令やってるアンベールって大尉さんに代わりに報告したんだけどな。その大尉さんは何時まで保つか、わからない状況だった。
ワッケイン司令の代理って仕事は、胃に穴が開きそうになるのはわかる。わかるが今は非常時なんだ。頑張ってほしい。……この人が俺の部下だったら、俺の『
緊急事態が起こった。ワッケイン司令が窮地に追い詰められているらしい。実はジャブローのお偉いさんが、人気取りなのか何なのか前線を慰問に来ようとしてたらしいんだ。そしてその慰問先に、最近は微妙に安全なルナ2基地を選んだんだ。ここしばらく、ルナ2基地そのものが攻撃される事って無かったからな。
ワッケイン司令はそのお偉いさんを迎えに出るため、渋々とマゼラン級マゼラン、ゲイバッハ、ウィスコンシン、オーウェルという4隻の小艦隊を率いて行ったんだ。だが……お偉いさんの移動日程が、どこからか洩れたらしい。ジャブローからのシャトルが、ジオン軍に襲撃を受けた。
被弾したお偉いさんのシャトルから、お偉いさんと乗員をマゼランに移乗させて、今ワッケイン司令の小艦隊は必死にルナ2へと逃走中だ。対艦戦闘ならマゼラン4隻あれば大抵の敵には優位に立てるが、
ワッケイン司令の座乗艦マゼランからの通信は、そこまでルナ2基地に伝えるのが限界で、敵のミノフスキー粒子散布のせいで途切れた。ワッケイン司令を喪うわけにはいかない。なんとか助けに行かなくては。
「しかしワッケイン司令が、こちらルナ2への行程をどの程度来ているかが分らん。地球近傍で敵に捕捉され、戦闘になっているとしたら、通常航行で3日はかかる。間に合わん……」
「副司令アンベール大尉、方法はあります。無茶な方法ですが……。ワッケイン司令を喪うわけには行きません。そのお偉いさんとやらも、ね」
そして俺はアンベール大尉に腹案を説明した。副司令である大尉は、引き攣った顔をしたがその案を了承する。彼の右手が胃袋を押さえていたのは、気付かないフリをしてやった。
俺たちS.T.S.C.第3小隊とその
ネルソンとセンダイは、目標と速度を合わせる。もう既に、戦端は開かれているらしく、メガ粒子砲のビームが交錯していた。
『オダ中尉、進路クリア! 発進願います!』
「了解! オダ中尉、S.T.S.C.03-00! 出るぞ!」
俺はカタパルトに自分の機体を載せると、発進する。凄まじいGが背中を蹴飛ばし、俺のRGM-79(E)は宇宙空間に飛び出していた。先に発艦していたクラーク、エミリア少尉、グレースの機体が俺の周囲でフォーメーションを固める。
俺たちから見て左手では、センダイから発艦したS.T.S.C.第4小隊が俺たち同様にフォーメーションを組んでいた。流石、俺たちを除けばルナ2の
前方では小破したマゼラン級……。あれはワッケイン司令のマゼランか? それともランプレヒト大尉が指揮を執っているウィスコンシンか? どっちだ? それがF型ザクⅡ数機にたかられて、集中攻撃を受けている。
俺たち第3小隊は、全速で突入する。そして機体右手のビームスプレーガンを単発で撃つ。射程距離ぎりぎりだが、命中。ザクⅡ相手なら、ビームスプレーガンで充分な威力だ。マゼラン級を
ワッケイン司令の思念を感じる。こっちが旗艦のマゼランだったか。俺はマゼランの
「こちらS.T.S.C.第3小隊小隊長オダ中尉! 副司令アンベール大尉の命令を受け、お迎えに上がりました」
『よく間に合ってくれたな。どんな手品を使った? いや、今はいい。ゲイバッハが敵
当艦は僚艦と共に体勢を立て直し、砲戦で敵艦を撃滅する』
「了解!」
S.T.S.C.第4小隊が、俺たちを支援する位置に着く。俺たち第3小隊は、クラーク機を
戦闘は第4小隊の連中が、最後のムサイ級軽巡洋艦を撃沈する事で終わった。俺たちは母艦へと帰還し、そのままブリッジへ上がる。ネルソンとセンダイは、マゼラン級4隻の艦隊の両舷に就く形で編制に加わった。
しかし酷いな。マゼラン級4隻はいずれも小破、ゲイバッハなんかは下手すると中破判定行くんじゃないかな。修理が大変そうだ。そんな事を考えていると、やはり旗艦のマゼランからレーザー通信で呼び出しが掛かった。
「オダ中尉、ワッケイン司令からの呼び出しが……」
「メインスクリーンに出してくれるか?」
「了解です」
ワッケイン司令の姿が、ブリッジのメインスクリーンに大写しになる。第3小隊の面々と、ブリッジ要員たちが敬礼を送ると、司令も答礼を返して来た。
『うむ、ご苦労。此度は、よく間に合ってくれた。非常の来援に感謝する。
それで急な話なのだがな。中将閣下が貴官らと話したい、との事だ』
「はっ! 了解です!」
『では閣下、どうぞ』
『うむ』
そう言ってワッケイン司令と入れ替わりで画面に映ったのは、細身の初老の将官だった。書類で見た事あるな。たしかグリーン・ワイアット中将だ。俺たちは直立不動で、再度敬礼を送る。ワイアット中将は柔らかく笑うと、答礼を返して来た。
『諸君らのおかげで命拾いをした。よく来てくれた。わたしはグリーン・ワイアット中将だ』
「はっ! ありがたいお言葉です!」
『諸君らの事は、色々と聞いておるよ。スペースノイドの希望の星、全スペースノイドの裏切り者であるジオン公国を討つ、正義の志士だとな』
「……」
うん、いや。そう言う噂が流れつつあるのはクラークやエミリア少尉から聞いて知ってる。だけど俺たちがジオンを叩くのは、復讐の側面がほとんどを占めるんだけどな。けれどまあ、必要とあれば客寄せパンダになるのもやむを得ない。
『しかし……』
そしてワイアット中将は視線をグレースに向ける。その視線には、若干のいたましさが浮かんでいた。
『グレース・ギャレット伍長、だったな。まだ14歳であったか……。伍長の様な若者が、一兵として戦争に関わらねばならぬのは、我々将官の力不足だな。紳士として、申し訳無く思う。赦して欲しい』
「伍長、お返事を」
「はっ! もったいないお言葉です、ありがとうございます!」
『うむ。正直内心忸怩たる物があるが、地球連邦軍は伍長たちの力を必要としている。オダ中尉、エッジワース少尉、キャラハン伍長、ギャレット伍長。それとネルソン艦長、ウェイド中尉待遇少尉、総舵手マクウィリアムズ二等准尉、通信士……』
ワイアット中将は、ネルソン
(タヌキ、いや顔つきから言えばキツネだよな……)
(少なくとも、ああいう姿勢を示した事で、この場にいる人間に好意的な感情を抱かせるのには成功してるわよね)
(まあ、権力や影響力、発言力が欲しいのはそうだとは思いますがね。まだ連邦軍の将官の中じゃ、ましな方じゃないんですか?)
(そうであって欲しいですよねー)
(なるほど。できるなら、『まだマシ』レベルからもう1歩、良い方向に行ってほしいですけどね)
ちなみに俺としては、しれっと俺たちの念話にいつの間にか加わっているウェイド艦長、おまえさんの事が驚きだ。俺が与えたニュータイプ能力は最低限だったはずなのに、いつの間にか随分と向上してやがるな。
そしてワイアット中将は、にこやかに笑みを浮かべて言った。
『さて、諸君らの他にも、ネルソン級センダイの面々にも声をかけねばならんのでな。済まないが、通信はこの辺にさせてもら……。あ、いや。そう言えば諸君ら、どうやって我々の窮地に間に合ったのかね? 普通ならば、丸1日はルナ2からかかるはずだと』
「はっ! それに関しましては、ネルソンとセンダイ、2隻のネルソン級
流石にそれを進言したときには、副司令には呆れられてしまった模様ですが。ですがこうして間に合ったのは、安堵いたしました」
『なんと!』
ワイアット中将は唖然とする。その後ろでワッケイン司令も、目を丸くしていたが。何にせよ、ワッケイン司令を救出する事が出来て、何よりだ。ワイアット中将を救えた事で、ワッケイン司令の立場も護れただろうし。
俺たちの艦隊は、ルナ2基地へと帰還して行った。
みんな大好きワイアット。
実はわたしも好きです。
少なくともジャブローの将官の中では、まだマシな方ですよね。
(ワッケインのついでに)彼を救った事が、どの様な影響をもたらすか……!