信長の野望・宇宙世紀乱世伝withパワーアップキット 作:雑草弁士
ワイアット中将がしばらくルナ2をうろつき回って、ようやく地球に戻った頃の事だ。レイ技術大尉が、ちょっとぶりにルナ2に顔を出した。俺は大量に書き上げてあった技術文書を持って、クラークやグェン整備班長と共に彼に会いに行く。
一応ワッケイン司令を通じて、技術文書の類は都度都度レイ技術大尉に届けてもらっていたんだけどな。それでも彼がルナ2にしょっちゅう顔出ししていた頃に比べれば、未提出の文書が溜まる溜まる。
「レイ技術大尉、また会えて嬉しいですよ。早速、未提出の技術論文とか、あとRGM-79(E)に施した現場での改良、問題点の改修点などの資料を持ってきました」
「ははは、早速だね。どれ、見せてもらうとしようか」
「……? 技術大尉、何か元気が無い様ですが……」
俺の言葉に、レイ技術大尉は一瞬頬を引き攣らせる。だが、溜息を吐いて口を開いた。
「いや、な。ここしばらくは息子を住まわせている私の家が、RXシリーズの実験場になっている場所の近くにあるものでね。そこに帰っていたんだ。だが……。
息子とは、禄に話せていなくてね。少し思うところがあったんだよ」
「……お察しします。RX計画、特にRX-78を一刻も早く使える様にしなくては、犠牲になる連邦軍軍人が級数的に増えるのは目に見えています。ついつい家族の事が、後回しになってしまうのも……」
「うむ……。いや、気を使ってもらって済まない。さて、まずはRGM-79(E)の書類から読ませてもらおうか」
気を取り直したレイ技術大尉は、俺たちとのディスカッションを開始する。だが俺とクラークは、彼が息子さんの事を気持ちで引き摺っている事をニュータイプ能力で察知していた。まあ、知らぬふりをして、お付き合いするしか無いんだが。ニュータイプ能力ってのも、便利だがそれ以上になるわけではないんだ。
そして有意義な時間が過ぎ、濃密な意見交換に満足した俺たちは、今日の所は解散しようとしていた。と、そこへ机上の端末が呼び出し音を立てる。レイ技術大尉は急ぎ、端末のスイッチをONにした。
「こちらレイ技術大尉。……はっ! はい、今こちらに来ております。今代わり……はい、全員に? 了解です」
レイ技術大尉は、端末をスピーカーモードに切り替える。そして机上端末からは、ワッケイン司令の声が響き渡った。
『……オダ中尉! 聞いているか、オダ中尉!』
「はっ! こちらオダ中尉です」
『緊急の命令を伝える! サイド7にてテスト中の連邦軍試作
「な、なんですと!?」
レイ技術大尉が色を失う。俺は彼の脳裏に幾つかの
だが最後に、そして最も強く彼の心に浮かび上がったのは、やはり14~15歳程度の赤毛の少年の姿だ。……それは以前に写真を見た事がある、レイ技術大尉の息子の姿だった。
『現状向こうとの通信は途絶している。貴官らS.T.S.C.第3小隊は、至急
「了解です。ただちに……」
「し、司令! ワッケイン司令! わたしも、わたしも一緒に行かせてくれないかね!?」
『レイ技術大尉?』
レイ技術大尉は、必死の形相でワッケイン司令に懇願する。ワッケイン司令の声は戸惑った様な響きがあったが、しかしすぐに自己を取り戻した。
『うむ、了解した。RX計画の主任であるレイ技術大尉が共に行ってくれると言うならば心強い。
では貴官らは可能な限り最速で、サイド7へと向かい出立せよ。場合によっては向こうの実験施設を全て放棄し、研究成果等々を全て引き払う。それ故、わたしも現場で判断するため、ルナ2で建造し先日進宙したペガサス級3番艦、ペガサスJr.で後を追う。
では行け!』
「はっ!!」
そういや、司令の本来の座乗艦マゼラン級戦艦マゼランは、前回小破して修理のついでに改修工事を行うんだったな。そんな事を考えながら、俺とクラークは急ぎレイ技術大尉の部屋を飛び出す。その後を、わたわたと言った感じでレイ技術大尉とグェン整備班長が追いかけて来た。
今、俺たちの乗った
俺はレイ技術大尉に語り掛ける。
「レイ技術大尉、きっと息子さんは無事です。そう信じましょう」
「あ、ああ……。ああ……。ありがとう」
そしてしばし後、俺たちはサイド7宙域へとたどり着く。俺たちはそこで、単艦で行動しているムサイ艦を発見した。そのムサイ艦は、必死で突撃をかける1隻のコロンブス級輸送艦に向け、メガ粒子砲を連射している。俺は自機RGM-79(E)のコクピットで、ネルソン
そして2機のザクⅡ、一方は動きからS型らしいのだが、それらと交戦しているグレー一色の白兵戦用
ガンキャノンはどうにも画一的な動きは否めないが、それでも普通に機動戦を行えている。だがそれでも、F型のザクⅡに押され気味であった。一方のガンダムは、どうにも動きが拙い。一応動かせてはいるのだが、どうにも素人くさい動きだった。そしてガンダムに、S型ザクⅡのマシンガンが連続して着弾する。
そしてついに、あと少しでムサイ艦に体当たりが叶うと言うところで、コロンブス級輸送艦……チャールストンが爆発し、火球に変じた。俺の脳裏に、チャールストン乗員の断末魔と、そしてガンダムのパイロットの絶叫が響く。
(ああーーーっ!! プレスコット艦長ーーー!! ちくしょう!!)
それは年若い、というよりも幼い少年の声だった。そしてガンダムの動きが変わる。一方的にS型ザクに押されていたものが、少しずつではあるが押し返し始めたのだ。
「くそ、まだ出られんのか!?」
『オダ小隊、距離OK、進路クリア! 順次発艦してください!』
「S.T.S.C.第3小隊! 全機出撃せよ!」
『『『了解!』』』
俺たちは順次カタパルトを使って、ジム(E)型を発進させる。そしてネルソンからは即座にメガ粒子砲のビームが、ムサイ艦に向けて放たれた。俺たちならば、
そのビームは吸い込まれる様にムサイ艦に命中し、ムサイ艦は小破する。ムサイ艦の危機にS型ザクⅡとF型ザクⅡが慌てて戻ろうとするのだが、ガンキャノンと、そして刻一刻と動きが良くなって行くグレーのガンダムが、それを許さない。
そして俺は狙いを定める。今日の装備は、ビームサーベルを使えない事を覚悟して一撃必殺のビームライフルなのだ。有効射程距離も、ビームスプレーガンよりも遥かに長い。
「……くらえっ!」
まずは数を減らす。ガンダムとガンキャノンにかかる圧力を減らす。俺はF型のザクⅡを狙い撃った。一瞬で胴体を撃ち抜かれ、爆光に変わるF型ザクⅡ。敵パイロットの断末魔の絶叫が、脳裏に響いた。
(が、ガトー中尉ーーー!!)
ガトーって誰だ? あのS型のパイロット、こいつらの
『おのれ、ザザザ
こいつオープン回線で……。何が
……S型ザクⅡは損傷したムサイ艦に着艦、ムサイ艦は必死で最大速度で逃げて行く。こちらのネルソンは全速力でサイド7宙域に向かっていたため、推進剤に余裕が無い。残念ながら、逃がしてしまった、か。
俺たちはガンダム、ガンキャノンと共に建設途中であるサイド7の1バンチコロニー宇宙港に入る。ちなみにネルソンは、コロンブス級チャールストンの生存者が居ないか、捜索中だ。おそらくは……いや、確実に生存者は居ないと思われるが。
宇宙港ではRX-75ガンタンクが外の宇宙へ、その長大な大砲を威嚇する様に向けていた。だが俺たちが入港するとその2機も後ろに付き従った。巨大なエアロックを通り抜け、コロニー内部に入る。
ここで俺たちは機体を駐機させ、
まあ、コロニー内に進入しても、コロニー外壁の大地に着陸せずに中の空間で浮いてるだけなら、無重力は無重力なんだが。コロニーの人工重力は結局は遠心力だからな。外壁の回転に追随せずに浮いてれば、0Gのままってわけだ。
それはともかく、ガンキャノンとガンダムが駐機姿勢を取る。そしてコクピットハッチを解放。パイロットが降りて来た。一方、ガンタンクもまた、腹部のコクピットハッチを開けて、パイロットが降りて来る。なおガンタンクは当初2人乗り予定だったが、俺がレイ技術大尉に意見具申したのが通って、腹部のコクピットに火器管制系を移動、頭部はカメラになっていた。
クラークが、目を見張る。エミリア少尉が唖然とする。グレースはぎょっとする。いや、俺も驚いてはいるんだ。だが、ちょっとばかりは予想してもいたからな。少なくともガンダムのパイロットについては。
ガンキャノンのパイロットが、敬礼をして来る。俺たちは答礼を返した。
「自分はRX-77-2ガンキャノン専属テストパイロット、タカノリ・オオモリ少尉であります」
「自分は、ルナ2基地
「はっ! か、彼らは……。せ、責任は全て自分にあります! 彼らには、その……」
「いいから、何があったかを話してくれ。それと、彼らの紹介を」
そして俺は、ガンダムから降りて来たデニムの上下の少年を、困ったような表情で見遣る。そう、レイ技術大尉の懐の写真で見た、彼の息子……。その名を確か、アムロ・レイと言ったはずだった。
オオモリ少尉の話によれば、コロニー内部に潜入した2機のザクⅡによる奇襲攻撃で、実験施設に居たRXシリーズのテストパイロット連中は、彼を除き全滅したらしい。ザクⅡの片方は何やら周囲に無差別に攻撃をしていた模様で、コロニーの民間人にも多数の犠牲者が出た模様だ。
そしてオオモリ少尉が必死で自分のガンキャノンに乗り込んだときには、2機のザクⅡはガンダム3号機によって撃破されていた。ザクⅡの攻撃で焼け出されたアムロ君が機体に乗り込み、マニュアル片手に2機のザクⅡを撃破したのだと言う。
そしてもう1人、カイ・シデン君だ。カイ君は大型特殊車両の免許を持っていた事からやけくそになって、と言うか現場から逃げようとして乗り物として使うためにガンタンクに乗り込んだらしい。ただし結局ザクⅡに前方に回り込まれて、必死で両手のボップミサイルを乱射していたそうだ。
ここで出て来るのが、コロンブス級チャールストン艦長のプレスコット艦長だ。生き残りの中で最上位であった彼は、彼の責任でアムロ君、カイ君を現地徴用する。ただし日付は、前日にして。これは軍事機密に触れてしまった、彼らを護るための措置であった。
まあ、機密兵器を勝手に使って戦闘なんてしたら、軍刑務所送りは免れないだろうし。けれどその程度の偽装工作で、軍刑務所送りが免れられるかね? 難しいところだ。それにこうなっちまっては、2人とも軍から逃れられないだろうし。
そしてプレスコット艦長は、外のムサイ艦がコロニーに向けてメガ粒子砲の照準を合わせている事を彼らに説明する。その上で彼は、『自分たちがコロンブス級チャールストンで、逃亡する振りをして囮になるから、その隙にガンキャノンとガンダムでムサイを撃沈してくれ』と頼んだのだそうだ。
カイ君あたりは、『俺たちの方こそ囮で、本当は逃げるんじゃないだろうな?』と疑っていたそうだが。だがムサイ艦にはまだ2機、S型とF型のザクⅡが残されていたのだ。その2機にガンキャノンとそしてガンダムが封じ込められているのを見たプレスコット艦長は、逃げる演技をやめてムサイ艦にコロンブス級チャールストンを向き直らせ、
結局は目的を果たせずに、チャールストンは爆沈。そこへ俺たちの
そして
今回、色々と本編と違う事が起きてますね。
まずガンキャノンのテスパイが生き残った事。彼はエリートさんですが、きっちり気配りもしてくれる、いい人です。
そしてシャアじゃなかった事。ガトーさんでした。
更にアムロが乗ってたのが、3号機(!!)だった事。1号機と2号機がどうなったかは、次回で。
……でも、なんでコロンブス級チャールストンが、数あるコロンブス級の中でRX計画に従事してる輸送艦だって、ジオンにバレたんでしょうね?(笑)